Bethesda、「Hunted: The Demon's Forge」プレビュー
UE3エンジン採用のファンタジーアクション、「Brink」の最新PVも掲載!


4月21日、22開催(現地時間)

会場:The Palms Casino



 Bethesda Softworksは、開発子会社であるBethesda Game Studiosが手がけた「The Elder Scrolls IV: Oblivion」と「Fallout 3」の2本柱で近年急成長を遂げたメーカーである。

 そのBethesda Softworksの弱点は寡作であることだ。「Oblivion」の発売が2006年で、「Fallout 3」が2008年。今回の「Bethesda Gamers Day 2010」でもBethesda Game Studiosが現在開発していると予想される「The Elder Scrolls V」の発表は見送られ、2010年度内の発売はほぼ消え、「Oblivion」の発売から5年以上の間隔が空くことはほぼ間違いない情勢だ。発売されれば500万本は確定というビッグブランドでありながら、いずれも重厚長大型のRPGであるため数を出せないのが難点である。日本で言うところの「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズに近い状況に陥りつつある。

 そこで近年Bethesda Softworksが力を入れているのが、セカンドパーティー、サードパーティーを使った開発パイプラインの増強だ。2009年に発売された「WET」はArtificial Mind and Movementというカナダのゲームデベロッパーが担当しており、初報でお伝えした「Rage」もid Software、第2報でお伝えした「Fallout: New Vegas」も米Obsidian Entertainmentがそれぞれ開発を担当している。

 Bethesda Softworksでは、こうした流れは今後も加速させていく。本稿で紹介する「Hunted: The Demon's Forge」と「Brink」も、それぞれ米inXile Entertainmentと、英Splash Damageが開発を担当している。Zenimaxグループの資金力と、Bethesda Softworksの作品のクオリティに対するこだわり、そしてセカンドパーティー/サードパーティーの開発力。Bethesda Softworksの実りの時期はまだまだ続きそうな印象だ。

【「Brink」最新スクリーンショット】
初報でお伝えしたように、「Brink」は、アイスランドの火山噴火による火山灰の影響でロンドンからスタッフを派遣できず、デモそのものが中止になった。このため残念ながらプレビュー記事はお届けできないが、最新スクリーンショットとプロモーションムービーは用意されていたので掲載しておきたい。 概要についてはニュースで取り上げているのでぜひ参考にしてみてほしい

【「Brink」プロモーションムービー】
「Brink」特有の軽快なアクションと、立体的なレベルデザイン、多彩なアクションが確認できる最新プロモーションムービー。キャラクターのアバター性の高さも売りのひとつだが、その基本的なデザインは英国風の味わいがある



■ 「Baldur's Gate」を生み出したInterplay創設者Brian Fargoの最新作「Hunted: The Demon's Forge」

デモを担当した「Hunted: The Demon's Forge」Creative DirectorのMichael “Maxx” Kaufman氏
2人1組で冒険を行なうキャディックとオーロラ。バトルスタイルは固定ではなく、状況に合わせて切り替えることができる
ボス戦では、多くの雑魚モンスターが襲いかかってくる中、ボスの対処を考え、弱点を攻撃しなければならない
デモで見たラストシーン。果たしてオーロラは巨大なモンスターに捕らわれたキャディックを救い出せるのか!?

 「Hunted: The Demon's Forge」は、今年3月にサンフランシスコで開催されたGDCで発表されたばかりのアクションRPGだ。「Baldur's Gate」、「Fallout」、「The Bard's Tale」等、数々の伝説的RPGを生み出したInterplay創設者Brian Fargo氏が、「原点回帰」と称して開発に力を注いでいる作品である。発売プラットフォームは、プレイステーション 3、Xbox 360、Windows PC。日本ではPS3とXbox 360版の発売が予定されている。発売時期は未定となっている。

 基本コンセプトは、「Dungeons & Dragons」や「Ultima」、「Might & Magic」といったダークファンタジーの世界観をモチーフにしたコンピューターゲームを最新技術で現代に甦らせようというもので、ゲームエンジンには「Unreal Engine 3.0」を採用し、CO-OP(協力プレイ)前提のゲームデザインが採用されている。Kaufman氏はデモで“Dungeon Crawling”(ダンジョン探索)という言葉を繰り返し、D&Dの影響を強く受けたゲームであることをアピールしていた。

 今回はXbox 360版を使っていくつかのステージのデモンストレーションが行なわれた。登場キャラクターは盾と剣を携えた屈強な戦士タイプのキャディックと、弓を携えレンジ攻撃を得意とするセクシー美女のオーロラの2人。AIをパートナーに1人でプレイすることもできるし、2人でプレイすることもできる。チェックポイントでは使用キャラクターを入れ替えることも可能だ。

 キャラクター育成は、ステージの途中で敵を倒したり、宝箱から手に入る「クリスタル」を消費して、スキルツリーを伸ばしていくスタイルを採用している。2人は物理攻撃以外に魔法を使うこともできる。どのツリーを伸ばしていくかによって個性的なキャラクターが育成できるようだ。

 ステージの節目にはカットシーンが挿入されるが、すべてリアルタイム処理で、そのままプレイシーンに繋がっていく。驚いたのはプレイシーンの最中にもバトルを終えるたびに2人が会話を行なうところで、劇中のキャラクターをダイレクトに操作しているような臨場感が味わえる。ただ、一方でCO-OP時はボイスチャットを妨げそうでもあり、最終的にどのような形でまとまるのか気になるところだ。

 基本的なゲームデザインは、ステージクリア型のオーソドックスなアクションRPGで、ゲーム視点は肩越しに眺めるサードパーソンビュー。自キャラが視界を遮らないように、左寄りに表示されるようになっている。これにより弓で狙いを付けたり、目の前の敵の攻撃を盾で凌いだり、剣で攻撃したりといったことが行ないやすくなっている。同じエンジンを使っているためか、レンダリングタッチが多少似ていることもあり、ファーストインプレッションは、“ファンタジー版「Gears of War II」”という雰囲気だ。ちなみにこの評価は、GDCでの発表後、多くのメディアから発せられたという。

 基本的にダンジョンRPGとして開発されているため、街で人々と会話を交わすようなシーンは用意されていないが、その代わりにダンジョンの中に、インタラクトできるNPCや“死体”が用意されている。デモでは死体の霊を呼び出して、過去の出来事として近くにある強力な武器があることを聞いて、その斧を探し出すという演出を確認することができた。

 ゲーム性は、リアルさとファンタジックな表現がバランス良く入り交じっており、両者のギャップが楽しい。たとえば、両サイドの遺跡が突然崩れ落ちてきたり、スケルトンが地中から沸いて出てきたり、一定の条件を満たすと、橋が出現して渡れるようになったり階段が現われたりなど、「ゼルダの伝説」シリーズにも通ずる純粋なファンタジーテイストのギミックが散見される一方で、ロープを矢で切って吊り階段を落としたり、雑草を切り払いながら道を作っていったり、明かりを灯さないとまったく何も見えないダンジョンなど、リアルなところは非常にリアルな設計になっている。

 ダンジョンは、ゲームブックスの名作「死のワナの地下迷宮」や映画「インディージョーンズ」を彷彿とさせるデストラップが至る所に仕掛けられ、謎を解くと意外なところから通路が現われたりする。印象に残ったのはダンジョンの暗さで、ダンジョンに配置されているトーチに明かりを灯していかないと本当に何も見えない。火矢を放って周囲の状況を確認しながら少しずつ進む感覚や、暗がりで敵に襲われて壁を背に戦うシーンなどはいかにもファンタジーの真骨頂で非常に楽しそうだ。

 ボス戦は、特定の弱点への攻撃を繰り返しながら、最後にコマンド入力のトドメを決めるという「God of War III」(Sony Computer Entertainment America)ライクな戦いとなっている。デモの最後には、ダンジョンの最深部で、剣が刺さった台座に近づいたキャディックが巨大な甲殻類のようなボスモンスターに襲われるというシーンで終えた。これまでありそうでなかったダークファンタジーをモチーフにしたCO-OPゲームであるだけに、今後の開発の進捗が楽しみだ。


キャディックは近距離武器2種類、遠距離1種類と盾を装備でき、オーロラは遠距離2種類に近距離1種類を装備可能。それ以上の武器は捨てることになる

剣、斧、メイス、クロスボウといった基本的な攻撃手段のほかに、備え付けのバリスタや魔法なども駆使して戦うことができる


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(2010年 5月 4日)

[Reported by 中村聖司 ]