インタビュー

話題のF2Pストラテジー「Total War: Arena」クリエイターインタビュー

βテスト開始に向けて準備進む。侍や象兵は「ユーザーの要望次第」

4月7日収録

 「Total War」のCreative Assemblyと、「World of Tanks」のWargamingがタッグを組んで、お互いの持ち味を活かしながら共同開発している「Total War: Arena」。「Total War」ファンはもちろんのこと、同作が扱う古代史ファンにも要注目のタイトルとなっている。

 「Total War: Arena」の特徴はいくつかあるが、最大の特徴は、あの敷居の高い「Total War」のゲーム性を、「World of Tanks」風のFree to Playのゲームデザインで手軽に遊べるように改良されていることだ。もちろん、基本プレイ無料で、古代史に興味のある人なら誰でも楽しむことができる。この圧倒的な敷居の低さが魅力だ。

 本稿では、「Total War: Arena」アジア初お披露目に合わせて実施されたクリエイターインタビューの模様をお届けしたい。「Total War: Arena」のファーストインプレッションと合わせてお楽しみ頂きたい。

 インタビューでは、残念ながらサービス開始時期についてはわからなかったものの、βテストに向けての障壁はほぼなく、大きな機能拡張を待っている状態でもないことがよくわかった。βテストに必要なコンテンツはすでに入っており、早ければ今年半ばにも動きがあるのではないかと感じた。「Total War: Arena」はAPACサーバーに接続する形で日本語版でのサービスも予定されており、ストラテジーゲームファンはぜひご注目いただきたい。

ゲームジャンルは「エピックFree to Playオンラインタクティカルストラテジー」

「Total War Arena」Associate ProducerのJose Edgardo Garcia氏
Head of Marketing APAC Tatsiana Martsinouskaya氏

――「Total War: Arena」の正式サービスまでの大まかなスケジュールを教えて欲しい。

Garcia氏:特定のスケジュールはまだ確定していないが、社内テストはすでにフェーズ6まで行なっている。近々フェーズ7のテストが予定されており、それが終わったらCBTに移行し、オープンβ、正式サービスと進めていく予定。我々としても早く出したいのは山々だが、Creative Assemblyに開発を急がせてゲームのクオリティを下げるようなことはしたくないので、クオリティを維持しながらスケジュールを組んで開発を進めている。

――体験して最初に感じたのは、なぜゲームタイトルを「World of Total War」にしなかったのかということだが、「Total War: Arena」にしなければならなかった理由はあるのか?

Garcia氏:(笑)。名称の理由というのは特にないが、Creative Assemblyとのコラボとして、Wargamingがリリースしている「World of Tanks」という作品と、Creative Assemblyがリリースしている「Total War」という2つのフランチャイズの大事な部分を守った状態で新たなゲームを作りたいと思ったからだ。タイトルも、お互いに敬意を表したものにしたいと考えた。

――「TWA」は「Total War」シリーズの開発者は開発に携わっているのか?

Garcia氏:関わっている。

Martsinouskaya氏:これまで「Total War」シリーズは、一部のハードコアゲーマーが楽しむゲームになっていたが、その一方でカジュアルゲーマーにはハードルが高いゲームになっていた。その点を、今回、我々と共同開発することによって、アクセスが簡単になり、基本プレイ無料で、ゲームもわかりやすくなり、すぐに触って操作がわかるような、敷居を低くして多くの人に楽しんで貰えるようにしたいと考えた。

――ゲームジャンルは?

Garcia氏:良い質問だ。簡単に答えると「エピックFree to Playオンラインタクティカルストラテジー」だ。

――「WoT」には第二次世界大戦前後という大まかな時代のくくりが存在するが、「TWA」が扱う時代は?

Garcia氏:基本的にはローマ帝国あたりを想定している。ローマ帝国から帝国後期まで、年代にすると1000年ぐらいある。

【Capitoline Hill】

――それではナポレオンや日本は登場しないのか?

Garcia氏:「Total War」は偉大なフランチャイズで、その歴史が「Shogun: Total War」からスタートしたこともわかっているので個人的にもその要望には応えていきたいと思っている。まだお約束はできないが、プレーヤーが求めているものを提供することは「TWA」でも大事にしていきたいので、要望次第で考えていきたい。

Martsinouskaya氏:このゲームはまだα段階で、今後テストによって変化していくだろうし、地域に特化したイベントや舞台が出てくる可能性も十分にある。

――今回プレイしたデモには3つの勢力しか登場しないが、正式サービスではいくつぐらいの国でサービスしようと考えているのか

Garcia氏:現在は、今あるコンテンツのクオリティを挙げて完成させたいと思うので、ローマ、ギリシャ、バーバリアンの3つの勢力で正式サービスしたい。「WoWs」のようにまずは日米だけでスタートし、そこからどんどん新しい国が追加されるイメージで捉えていただければ。

――3勢力の特徴を教えて欲しい

Garcia氏:各ファクションの特徴は、史実をベースに組み立てている。ローマは重装歩兵、カタパルトややり投げといった投擲武器に優れる。バーバリアンは史実に基づく奇襲攻撃を得意としており、機動力に優れ、接近攻撃に得意としている。ギリシャは史実では映画「300」のような長い槍や盾を武器に部隊単位の衝突戦を得意としている。

【バーバリアンの兵士】

――バリスタのような攻城兵器の攻撃UIは、特別なものが用意されるのか?

Garcia氏:良い質問だ。バリスタは、イメージとしては「WoT」の自走砲と同じように、遠距離から攻撃するスタイルになるため、通常とは異なる画面が用意される予定で、若干違う操作が導入される予定。Tierが上がると射程が伸びていく。

――「TWA」には攻城戦はあるのか?

Garcia氏:現在は対戦ルールは「WoT」と同じように敵を全滅させるか、陣地を占領するかなので、陣地占領が攻城戦に近いところがあるかもしれないが、正式サービスまでは今のルールのみとなるが、リリース後に拡張して攻城戦モードを追加するようなことはあり得ると思う。これについては開発側も乗り気なので。

Martsinouskaya氏:現在我々が「TWA」で追求しているのは広大な戦いを再現すること。単純計算で10人のプレーヤーが100ユニットの部隊を3部隊ずつ操作するので、3,000対3,000の戦いになる。このエピックな大迫力のバトルを提供するということにフォーカスして開発を進めている。

――では、投石機は城壁や城門に向けてではなく、部隊に対して投げる?

Garcia氏:基本そうなる。あまり良い例ではないが、映画「グラディエイター」などを見てもわかるように、攻城兵器が対人兵器として使われた記録もあるので、対人に使うことがおかしいということはない。

――10対10という人数ではゲームバランスを取るのが難しいのでは?

Garcia氏:このゲームではエピックバトルをお届けしたい。そのためにはそれなりの人数がいないと大迫力にならない。1人で操作するのは3部隊だけなので、ある程度プレーヤーがいないといけない。過去のテストでは、7対7や15体15など人数を変えてのテストも行なったが、それらの人数ではゲームバランスが著しく崩れたので、現在の10対10になった。

――「WoT」のように、開発を完了して購入した部隊はストックできないのか?

Garcia氏:ストックできない。それは仕様で、正式サービスでもそうなる。イメージとしては、毎回高額のシルバーを出して戦車を買い直すのではなく、戦闘後に修理代を払って再出撃するようなイメージに近い。史実では部隊の再編成には莫大なコストが必要となったが、「TWA」はゲームなので、低い数値で部隊編成が行なえるようになっている。

――ゴールドで購入するプレミアム部隊もあるのか?

Garcia氏:もちろん用意している。ゴールドで買うプレミアムユニットは、1度買うとTier1部隊と同じで入れ替え費用が一切掛からない仕様になっている。

——「TWA」のそのほかのマネタイズ要素を教えて欲しい。

Garcia氏:プレミアムユニットやプレミアムアカウントなどを用意しているが、今現在はそれ以外には課金要素は特に考えておらず、新たなプレミアムユニットについても、まずは完成したゲームをプレイしたユーザーが何を欲しがるかによって考えていきたい。

Martsinouskaya氏:WargamingはF2Pの会社であり、Creative Assemblyに激しいマネタイズのゲームを希望するつもりはないし、彼らもそれは望んでいない。

――「TWA」にはゲーム物理は取り入れられているのか? もし、使う場合、門や壁を破壊して奥に侵入するというギミックもあるのか?

Garcia氏:ゲーム物理は入ってるのでそういったこともやろうと思えばできる。現時点では、小さい壁を壊すという要素はある。たとえば、ローマの部隊は木製のバリケードを立てることができる。これによって弓矢の攻撃を抑えたり、進軍を止めたりできるし、敵は逆にそれを破壊することができる。ただ、このゲームは対人のエピックバトルにフィーチャーしているので、壁を破壊しながら進軍していくということはない。

――コマンダーはユニットとして登場するのか?

Garcia氏:ズームインしてほしい、第一部隊の中に自分が選択した指揮官が専用のグラフィックスでちゃんといる(笑)。その部隊が全滅したらコマンダーが倒されることもある。指揮官がやられてしまっても部隊自体は指揮できるが、指揮官の専用スキルは使えなくなるので、第一部隊はできるだけ敵に倒されないようにしたほうがいい。

――コマンダーが戦闘中に戦死した場合、次回のバトルで、復活に一定の時間が掛かったり、経験値が減るなどの何かペナルティはあるのか?

Garcia氏:今のところ一切のペナルティは設定されていない。不屈のコマンダーとして何度でも生き返る(笑)。

――今回スキルツリーを見ていてチャリオットや象兵がいないのが気になった、こういったスペシャルな部隊はゲームに登場するのか?

Garcia氏:勢力間のテクニカルツリーのバランス調整が大事なので、チャリオットや象兵といった“エキゾチックユニット”は今のところ考えていない。ゲームが完成した後に、ゲームバランスがしっかり取れるようであれば追加していきたい。もちろん、Creative Assemblyの開発スタッフがどう考えているかも重要なので、彼らの意見も聞きながら、バランスが取れると判断されればぜひ入れて行きたい。

――3部隊を操作するというゲームの基本コンセプトについて質問だが、なぜ5や10ではなく3部隊なのか?

Garcia氏:基本的にはCAが様々なテストした結果選ばれた数字となる。仮に30部隊なら3万対3万というとんでもない数字になってしまうが、3部隊なら3,000対3,000になる。この3,000対3,000という数字がCreative Assemblyが考えたもっともコントロールが利く最大規模の戦いということだ。

——部隊編成では同じ勢力で揃える必要があるということだが、マッチングでは異なる勢力の部隊が味方になることもあるのか?

Garcia氏:その通り。そこは「WoT」と変わらない。

――「TWA」は部隊の組み合わせ方におもしろさがあるが、組み合わせによってセットボーナスみたいな要素はあるのか?

Garcia氏:多種多様なボーナスが用意されている。ボーナスは大きく分けて2種類ある。1つは事前編成、もう1つは戦い方だ。編成については、異なる部隊を混成させれば、多様ボーナスとして30%の経験値ボーナスが得られる。戦闘中は部隊の組み合わせとは関係なく、戦い方によってボーナスが付く。正面攻撃にはボーナスは付かないが、正面に加えて側面からも攻撃することで、ステータスや結果へのボーナスが得られる。弓兵は後ろから攻撃できるので戦術ボーナスが得られる

――ビギナーに対するおすすめのプレイスタイルを教えて欲しい。

Garcia氏:どこがおすすめかは難しくて、プレイスタイルによって全然違うゲームになる。自分の経験を話すと、最初にローマを選んだ。理由はローマの歴史が好きだから。ローマの司令官を選んで、ローマの重装歩兵で近接戦闘に挑んだが、スタイルが合わないのか何度も負けてストレスがたまったので、気分転換にバリスタ、カタパルトといった投擲兵器でプレイしたらプレイスタイルにマッチしたのか連戦連勝して、今の主要なプレイスタイルになっている。なので、まずは自分に合ったプレイスタイルを見つけるために一杯触っていただきたい。

――ゲームサーバーはどうなるか?

Garcia氏:そのことについて話すのはまだ少し早いが、各地域にサーバーを置いてやりたい、アジアはAPACサーバーを置いてやりたい。

Martsinouskaya氏:大事なのはプレーヤー数がどれぐらいいるか、仮に日本に大勢のプレーヤーが居た場合は独立したサーバーになるが、いずれにしてもまずはAPACサーバーの状況を見てからということになる。

――侍がいれば、多くの日本人が遊びたいと思うのではないだろうか(笑)。

Garcia氏:わかっている(笑)。「TWA」のクリエイティブディレクターから各地域の担当者に、どうすれば各地域でヒットするかを聞かれたが、「日本は有名なアニメとコラボして親近感を持って貰う施策がいい」と答えた。また、「それではどういうアニメがいいか?」とも聞かれてそのときは即答できなかったが、「テルマエロマエ」がいけるのではないかと思って、今度教えようと考えている(笑)。

 Wargamingの強みは各リージョンにオフィスがあることで、地域の特性を理解した上で一番良い戦略を練って、コラボレーションや企画を考えることができる。これはCreative Assemblyにはない特徴のひとつなので、そういう知識やアイデアなどをCreative Assemblyに提供して、各地域に刺さるゲームを提供していきたい。ただ、まずはしっかりゲームを完成させていきたい。

――マップの舞台は?

Garcia氏:マップデザインの基本コンセプトは、司令官が活躍したり、由来になっているマップを再現している。たとえば、ルビコンというマップはルビコン川を描いたマップだが、ジュリアス・シーザーが活躍したマップ。現在もコマンダーの由来のあるマップの制作を進めている。

――兵科は、歩兵、弓兵、騎馬、投石機以外の兵科はゲームに登場する?

Garcia氏:遠い未来もそういうこともあるかもしれないが現時点では考えていない。侍を導入するなら種子島の鉄砲が必要だし、テックツリーを伸ばす必要がでてくるので、本当に入れようと思ったらTier30ぐらい伸ばしたり、大幅に改修する必要があるだろう(笑)。

――サービススケジュールは未定ということだが、今後予定されているβテストはどのような計画を立てているのか?

Garcia氏:基本はグローバル共通で一気に行なう予定。

――正式サービスはいくつぐらいのマップ数でスタートさせる予定なのか?

Garcia氏:マップについては、正式サービスまでにどれぐらい用意するかまだ検討段階。現在は4マップぐらいあって、触っていただいてわかったように、草とかが物理で動くなど非常にクオリティが高いマップばかりで、開発に時間が掛かるので、いくつ用意できるがわからない

【Capitoline Hill】
ローマにとっては本拠地とも言えるマップ。森や山、畑、各種建物があり、この中で3,000対3,000のバトルが繰り広げられる