トピック

モニターの力でゲーム体験を変える。LGの4K最新OLED+AI技術「32GX870B-B」レビュー

新作はもちろん、旧作の体験もプレミアム化する広守備範囲モニター

【LG UltraGear AI「32GX870B-B」】
6月11日 発売
価格:オープン(予想実売価格230,000円前後)

 ゲーミングモニターを選ぶ際、パネルがOLED(有機EL)であるかどうかは重要な要素のひとつだ。OLEDモニターは、本物に近い「黒」の再現性や、高輝度・高コントラストによる表現力の高さ、応答速度の速さなど、ゲーマーが求める性能を備えている。

 最近では液晶モニターでも極小のLEDを配置することで明るさを制御するMiniLEDなども出てきたが、映像の美しさを最優先とするなら、今のところOLEDに勝る選択肢はないと言っていいだろう。

 今回紹介するLGエレクトロニクス・ジャパンの31.5インチ4K有機ELゲーミングモニター「32GX870B-B」は、OLEDのなかでもLG独自の最新世代OLED技術が採用されているモニターだ。それだけではなく、アップスケーリングやAIサウンドなどAI機能を強化したゲーミングブランド「UltraGear AI」の最新機種となる。

 今回はそんな「32GX870B-B」の実力を試してみた。ポイントは、タンデムテクノロジーを採用したLG第4世代有機ELパネルによって生み出される高いレベルの色彩表現、高リフレッシュレートのプレイフィール。そして、AIアップスケーリングによって引き上げられる解像度だ。

 使用したのは、日本を舞台にしたオープンワールドレースゲームの「Forza Horizon 6」(Xbox Game Studios)、月面を舞台としたSFアクションアドベンチャー「プラグマタ」(カプコン)という最新ゲームと、今も多くのファンに支持されているアクションゲームの名作「NieR:Automata」(スクウェア・エニックス)の3タイトルだ。

高級感のあるカーブを効果的に使ったデザイン

 まずはスペックとデザイン周りを確認していきたい。発表されているカタログスペックは以下のようになっている。

【32GX870B-B】
【32GX870B-B】
画面サイズ(解像度)4K(3840×2160)
パネル有機EL
表面処理アンチグレア
アスペクト比16:9
輝度335cd/㎡
ピーク輝度(標準値)1500cd/㎡(APL 1.5%)
視野角178°/ 178°(CR≧10)
応答速度0.03ms(GTG)
コントラスト比1,850,000:1
色再現性DCI-P3 99.5%
表示色約10.7億色
リフレッシュレート4K時:240Hz/フルHD時:480Hz
可変リフレッシュレートVESA Certified AdaptiveSync、AMD FreeSync Premium Pro、NVIDIA G-SYNC Compatible
スイベル左30°/右30°
ティルト前:-8°~後:15°
高さ調整110mm
ピボット対応
入力端子DisplayPort×1 (UHBR20)、HDMI×2、USB Type-C×1、USBダウンストリーム×2、ヘッドホン(ステレオミニジャック)×1
VESA対応100×100
価格229,800円

□「32GX870B-B」の商品ページ

 デスク上にセッティングすると31.5インチのナローベゼルな画面は視界を覆い尽くすサイズで迫力や没入感は文句なし。作業領域が広く、たくさんの資料を並べたり、画像を原寸大で確認しやすく便利だ。

 背面は、縁にいくほど薄くなる緩やかなカーブのデザインが高級感を感じさせる。背面上部には「LG」の文字を組み合わせた「LG UltraGear」シリーズのロゴが刻印されている。

 スタンドは五角形で、奥行きは25cm。大きなモニターを安定させるためにサイズはそれなりに大きいが、底面の厚さは約4mmとかなりフラットな造作になっており邪魔にならないデザインだ。

背面には存在感のある「LG UltraGear」が刻印されている
サイドから。背面は緩やかなカーブを描いている
スタンド底面部分

 I/Oポートは本体の底面部分にある。HDMIが2ポート、DisplayPortと90WのPower Deliveryに対応したUSB Type-Cが各1ポート、ダウンストリーム用のUSB Type-A 3.0端子が2ポートとACアダプタのポートが並んでいる。

 筆者個人的には、下に向けて並んでいるI/Oポートのほうが使いやすく感じるので評価したいポイントだ。モニターを一番上まで上げると、下に頭を入れて目視しながらのケーブル配置が可能だからだ。またスタンドにはケーブルをまとめて背面に送るための穴が開いている。配線が終わってから別パーツとして付属しているカバーを取り付けると、すっきりした背面になる。

I/Oポート
10cm×10cmのVESAマウントに対応している
スタンドにはケーブルオーガナイズ用の穴が開いている

 モニター縁の下部には、後述する「Dual Mode」の切り替えボタンと、オーディオジャックが設置されている。また、モニターの下部中央辺りの背面には、OSDメニューを操作するためのジョイスティックボタンが付いている。スティックを押し込むことでメニューが起動し、上下左右に動かして押し込むという動作で選択することができる。

OSDメニュー
ジョイスティックボタン

 角度調整はスイベルが左右とも30°、ティルトが前に8°、後ろに15°まで動かせる。高さ調整は11cmの幅で上下に動かすことができる。ピボット回転にも対応しており、右に90°回転させた縦型モニターとしても利用することができる。

 ほかにACアダプタ、各1.8mのHDMIケーブル、DisplayPortケーブル、USB Type-Cケーブルが1本ずつ付属している。

右にスイベルさせたところ
後ろには15°まで動かせる
縦型モニターとしても使用できる
HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、USB Type-Cケーブルが付属している

「RGBタンデムテクノロジー」が生み出すピュアな色彩

 本モニターはLGの第4世代有機ELパネルが使用されている。LGのパネルに採用されている「プライマリーRGBタンデムテクノロジー」は消費電力を抑えながら、前世代のパネルよりも輝度を向上させている。

 明るい場所と暗い場所が隣接している時、特に廉価な液晶モニターではバックライトの白い光が黒い箇所に影響を与えてしまい、黒がグレーに濁ってしまう。有機ELモニターは液晶モニターのようなバックライトを使わずに、自ら発光する素子のパネルを使用するため、有機EL最大の特徴でもある濁りのない漆黒と、高輝度、高コントラストでエッジの効いた鮮やかな色彩を表現することができる。

 第3世代までの有機ELパネルは「青・イエローグリーン(YG)・青」という3層のパネルを使って白を表現し、それをカラーフィルタで分光するという方法で色を表現していた。しかし、黄色の発光層で赤と緑を表現するため、青に比べて赤と緑のピークが低くなるという弱点があった。

第3世代パネルの3層積層イメージ
第4世代パネルの4層積層イメージ

 第4世代では「青・緑・青・赤」の4層構造になり、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色ともにくっきりとしたピークを描くより純粋な色を作り出すことができるようになった。

第3世代では赤と緑のピークが低く黄色が混じっている
第4世代では赤と緑のピークが高くなっている

 これらの進化によって3層から4層に光源が増え、輝度が335cd/㎡に向上している。さらに、APL1.5%時(画面のほとんどが真っ暗で、ごく一部だけが光っている状態)では1500cd/㎡の高輝度を実現している。例えば暗闇での爆発や、一瞬の閃光などのシーンをより鮮明に、印象的に表現することができる。

 HDR表示性能を示す認証規格「VESA DisplayHDR」では「True Black 500」というグレードに位置づけられている。True BlackはOLEDなどの自発光ディスプレイ向けの規格で、夜空や洞窟の中などの漆黒を表現する能力が高いことを意味する。

「プラグマタ」の宇宙空間表現。宇宙の漆黒は有機ELが得意とするシーンだ

 デジタルシネマの色域DCI-P3のカバー率は、スペック上では99.5%となっているが、世界的な第三者機関のIntertekで100% Color Volumeの認証を受けている。これにより、デジタルシネマを忠実に表示させられることが証明されている。

 応答速度(GTG)は0.03msと超高速。さらに「GTG」よりも実際の見え方に近い性能を評価することができるとされるVESA ClearMR(Clear Motion Ratio) 13000の認証を受けている。ClearMRは実際の動画表示において、ぼやけ(モーションブラー)の少なさを評価する規格。

 ClearMRはディスプレイの残像感や画面のぼやけにくさを数値化した基準で、ClearMRは、2026年現在3000から21000までの14段階に分かれており、本モニターが認証されているのはClearMR 13000。高い水準の認証であり、レースゲームやFPS、アクションゲームなど動きの速い映像を表示する際に、残像を抑えた見えやすい画面が期待できる。

Dual Modeで4Kと480Hzをワンボタンで切り替え

 本モニターには4K/240Hzと、フルHD/480Hzという2つの状態をワンボタンで切り替える「Dual Mode」が搭載されている。「Dual Mode」は、OSDメニューの中にある「ゲーム機能設定」の中にあり、オフ時にはディスプレイ設定が4Kまで選択できるようになる

 これをオンにすると、解像度はフルHDが上限になる代わりに、リフレッシュレートを480Hzまで引き上げることができる。ほかにも、画面サイズを24.5インチ、27インチに制限することで視野を固定するFPS向けの設定が複数用意されている。

「Dual Mode」オフ。4K、240Hzでのプレイが可能
「Dual Mode」オン。フルHD、480Hzでのプレイが可能
「Dual Mode」のメニュー画面

 さらに、GPUのフレームレートに合わせてモニターのリフレッシュレートを同期させることで、ティアリングやスタッタリングを抑えるVRR(可変リフレッシュレート)にも対応。「VESA Certified AdaptiveSync」に加え、「AMD FreeSync Premium Pro テクノロジー」、「NVIDIA G-SYNC Compatible」もサポートしている。

 このほかにも、遅延を最小限に抑える「DAS(Dynamic Action Sync)モード」や、暗いシーンで視認性を高めるために黒のコントラストを調整する「ブラックスタビライザー」、クロスヘアやFPSカウンターなど、FPSのプレイ体験を強化するための定番機能もしっかり搭載されている。

 「ブラックスタビライザー」は暗いシーンでの視認性を高めるために、黒のコントラストだけを調整する機能。デフォルトでは50になっており、最大値の100にすると全体的に白っぽくなるが暗い部分まではっきり見えるようになる。逆に0にすると全体が暗くなる。ホラーゲームをプレイする時には下げておくと怖さが増しそうだ。

【ブラックスタビライザー】
100では暗い部分がかなり引き上げられる
0では全体的に暗く闇に沈む
【クロスヘア】
クロスヘアはドットとクロスの2種で、カラーはグリーンとレッドが用意されている

 また、「ゲーミングモード」では7種類のプリセット設定をワンボタンで切り替えることができる。設定は「パーソナルな映像」、「ゲーマー1」、「ゲーマー2」、「FPS」、「RTS」、「鮮やか」、「最大輝度」の7種類。

 このうち「パーソナルな映像」は、「LG Switch」というアプリをインストールしてこのアプリのガイドに沿って自分好みの設定を作るためのプリセット、「ゲーマー1」と「ゲーマー2」は手動でカスタマイズした設定を保存するためのプリセットとなっている。

 「FPS」は暗所の視認性を重視しており、「RTS」は俯瞰視点での視認性を高めるために色やコントラストが強めの設定となっている。「鮮やか」は、色の正確な表現よりも派手さを優先したプリセットで、「最大輝度」は明るさを優先にしている。それぞれのモードを選択した状態で「設定」から明るさや輝度、コントラストなどのカスタマイズを行なうことで各プリセットを自分専用の設定にすることができる。

【ゲームモード】
「パーソナルな映像」。アプリ「LG Switch」で好みの設定を作るためのプリセット
「ゲーマー1」
「ゲーマー2」。こちら2つは手動で設定するためのプリセット
「FPS」。暗所の視認性を重視したモード
「RTS」。色やコントラストが強めの設定
「鮮やか」。よりも派手な表現を優先したプリセット
「最大輝度」。明るさを最優先したモード

AIを使ったアップスケーリングやサウンド

 「32GX870B-B」には「4K AI Upscaling」、「AI Sound」、「AI Scene Optimization」という、AIを使った3つの機能が搭載されている。

 「4K AI Upscaling」は、モニターに内蔵されたプロセッサーによって、低解像度のコンテンツを4K解像度へアップスケーリングする技術。たとえば、4K未対応のフルHDゲームを4Kモニターに出力すると、テクスチャが全体的にぼやけた感じになってしまう。「4K AI Upscaling」はその場合でもAIがピクセルを補完して、くっきりと鮮明な画像に引き上げてくれる。

 「NieR:Automata」で試した結果は以下の通り。機能をオンにすると、特に2Bなどのキャラクターがアップになる場面ではよりくっきりとした印象を受ける。全体としては劇的に画質が変化するわけではないが、細かく見ていくと「High」では刀のエッジ部分などジャギが目立ちやすい部分がより綺麗に描画されている。

「4K AI Upscaling」をオンにすればゲーム本体に4K設定がなくても4Kで美麗な映像を楽しめる
「4K AI Upscaling」設定「High」
「4K AI Upscaling」設定「オフ」
左が「High」、右が「オフ」。9Sの刀部分を上記を拡大すると、わずかだがジャギが消えていることがわかる

 「AI Sound」は音声、効果音、BGMを分離して、内蔵スピーカーやモニターに接続したヘッドホンを通じて、最適化されたクリアな音声を提供するという機能。ヘッドホンで聴くと、5.1chでなくても、PCに直接接続している時より音源の前後左右の立体感が増している印象を受けた。特に、キラキラと輝くようなパーティクルの効果音や重低音の効果音については、今まで気づいていなかった繊細な音にまで気づくことができた。

 本モニターには内蔵スピーカーが搭載されており、中音~高音域であればこのスピーカーで十分な音質を得られる。一方で、重低音などさらに音にこだわりたいという人は、モニター下部にあるオーディオジャックにヘッドホンや外付けのスピーカーを接続することで、より高い音質でAI Soundを体験することができる。

 「AI Scene Optimization」は、ゲームやスポーツ、アニメーション、ドキュメントなど、AIが表示されているコンテンツを認識し、自動調整することで表示を最適化してくれる機能。

 筆者の場合、この機能で大きなメリットを感じたのは文字の表示だ。画素密度144PPIの4Kというだけでも十分に美しいが、「32GX870B-B」ではブラウザの文字やOfficeアプリ、テキストエディターなどの文字が格段に読みやすくなる。特にテキストエディターでは顕著で、フルHDモニターではドットがはっきりと見える文字が、印刷クオリティのような美しいフォントとして表示される。

筆者が仕事で使っているフルHDモニターで表示したテキスト
まったく設定の変更なしで、表示するモニターを変えただけで大きな変化があった

 ゲーム実況の配信中に流れるテキストメッセージも同様に読みやすくなる。輝度の低いモニターでは白がにじんで輪郭がぼやけてしまうが、本モニターではすべてのテキストがくっきりと読みやすく、それもあって目が疲れにくかった。

Dual Modeの利点が生きる2つのプレイスタイル「Forza Horizon 6」

 「Forza Horizon 6(フォルツァ ホライゾン 6)」はマイクロソフトが2026年5月に発売したオープンワールド・レーシングゲーム。今作は日本を舞台に、都市や地方の田園地帯、海岸沿いの港湾地帯や工業地帯など日本らしい風景の中をドライブすることができる。

 車もレース向けのスポーツカーから軽自動車、軽トラックなど日本の風景の中でおなじみの車も多く登場する。風景を見て楽しむ、モータースポーツのレースに興じるという本作の2つの側面は本モニターが持つ「Dual Mode」が大活躍する状況でもある。

 ドライブしながら風景写真を撮って回るなら、4K/240Hzで風景の美しさを際立たせたい。撮影したスクリーンショットはゲーム内のギャラリーから見たり、ネットで公開することもできる。

 レースに参加する時には、フルHD/480Hz表示に切り替えることで、微妙な操作への画像の追従性を上げて、滑らかな映像でレースを楽しむことができる。「Forza Horizon 6」は「32GX870B-B」のメリットを最も感じられる一作といえるだろう。

有機ELの生み出す鮮やかな光がSF的な演出とマッチする「プラグマタ」

 もう1つの最新ゲーム「プラグマタ」はカプコンが2026年4月に発売した最新のSFアクションアドベンチャー。近未来の月を舞台に、月基地に派遣されたシステム監査員ヒュー・ウイリアムズと、ルナフィラメントという万能の素材で作られた少女の姿をしたアンドロイド、ディアナが協力して戦う、戦闘中にパズルとアクションを交互に行なうという異色のゲームだ。

 本作では、近未来的な装飾の明かりや、ヒューがジャンプする時のバーナーの煌めきなど、ゲーム内でも光が非常に印象的に使用されている。その鋭い輝きは有機ELが最も得意とする表現でもある。

 目に焼き付くような高精細なライトの光や、1500cd/㎡というピーク輝度の高さが生み出す爆発光の鮮やかさが、アクションシーンや戦闘シーンのリアリティを高めてくれる。

不朽の名作「NieR:Automata」も4K画質でプレイ可能

 最後に「NieR:Automata」では「4K AI Upscaling」を試してみた。「NieR:Automata」は2017年にスクウェア・エニックスから発売されたアクションRPG。人類は機械生命体との戦いに敗れて月に避難しており、地上ではアンドロイドが人類のために機械生命体と戦っている。ヨルハ部隊の戦闘用アンドロイドである2Bは、調査用アンドロイド9Sと共に、地球の調査を命じられる。

 不条理ながら深い精神性を感じる物語と魅力的なキャラクターデザイン、複数のエンディングが用意されたシステム、スタイリッシュなバトルなどがファンを魅了しており、来年で10周年を迎えるにも関わらず今でも人気が衰えない名作だ。

 「4K AI Upscaling」をオンにしてプレイすると、顔がアップになるシーンでも、ぼやけが目立つことはない。「NieR:Automata」では月の拠点は白黒画像だったり、シーンによって横スクロールになったり、オープンワールドになったりと、多彩な構図や表現が特長だ。もともとのアートディレクションが優れていることもあり、「4K AI Upscaling」をオフにしても大きく印象が崩れることはなかった。一方で、オンにすると輪郭や細部のぼやけが抑えられ、古いタイトルを大画面4Kで遊ぶ際の補助機能として有効だと感じた。

 最新作を美しい画面でプレイしたい人はもちろん、旧作を4K画面で遊びたい人にとっても選択する価値のあるモニターだといえるだろう。

広範囲に渡るゲーム体験を一気にプレミアム化する価値

 「32GX870B-B」は31.5インチあるため、机の上に置くには大きすぎるかと心配したのだが、実際に使うとフレームが非常に薄く、コンパクトなデザインだったこともありまったくの杞憂だった。数日間レビューのために使用していると、逆にこのサイズでないと物足りなくなってくるほどだ。筆者は普段、どちらも27インチのフルHD、WQHDの2つのモニターで仕事をしているが、同じ感覚で「32GX870B-B」1つに資料などを並べたところ、まだスペースに余裕があった。4Kかつ31.5インチであることで、これが非常に使いやすかった。

 AIを活用した3つの機能は、いずれも特に細かい設定は必要なく、状況に応じた形で自動的に対応してくれる。今回3つの機能を試して、特に印象深かったのは「AI Sound」だった。音は作品を盛り上げるための重要な要素だが、本格的に突き詰めようと思ったら結構な投資が別途必要になるだろう。

 それがモニター自体の持つAI機能によって、手持ちのスピーカーやヘッドホンでよりクオリティの高いサウンドを楽しめるようになるのは、個人的にはかなり嬉しいポイントだ。また、文字表示の綺麗さも特筆したい。

 その上で、「32GX870B-B」を選ぶ最大の理由は有機ELの美しさにある。LGならではの第4世代パネルは、彩度が高くても特定の色がぎらつかず、自然な色を表現している。また、高いコントラスト比の間を埋める明暗のグラデーションも美しく、広いダイナミックレンジに多くの色情報が詰め込まれており、2Dの画面でありながら、映像に奥行きや立体感を感じる。

 「32GX870B-B」が面白いのは、こうしたモニター側の性能とAIによる補助が加わることで、これまで遊ばれてきた旧作も含めて体験が底上げされるところだ。最新作はもちろん、過去の名作を再度プレイしたり、これから楽しみたいという場合にも、本モニターはゲームの世界をこれ以上なく美しく表現してくれると思う。

 約23万円という価格はゲーミングモニターとしてはかなり高価な部類に入る。しかし「32GX870B-B」は、一級品の画面の美しさはもちろんのこと、様々なゲームジャンルを網羅するDual Modeなどの機能や、サウンド環境や旧作体験の底上げにまでリーチするAI機能など、広範囲に渡るゲーム体験を一気にプレミアム化する力がある。さらに言えば、アップスケーリング機能は写真や映像の編集でも効果を発揮し、ゲーム以外の場面でも活躍してくれるだろう。

 単にPCやゲーム機から出力された映像を映すのではなく、モニターが主導してゲーム体験そのものを変えてくれる。「32GX870B-B」は、そうした新しい価値を持ったゲーミングモニターだ。