【第6幕】
Reported by:ジョン・カミナリ
logo design / manga:フランチェスコ・アッカッターティス

 電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~


■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

 話題のニュースや注目のテーマをいくつかピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:レベルファイブによる“世界征服”が始まった!

「LEVEL5 VISION 2009」での「ファンタジーライフ」のスクリーンショット。見ての通り、DS版はレトロなドットグラフィックスだった。これでも良かったが、立体視も楽しめる3Dへの転換がゲームに新たな価値を持たせるだろう

 今、欧米でも高い注目を集めている日本のゲームメーカー、レベルファイブ。10月に行なわれた「LEVEL5 VISION 2010」では、代表取締役社長の日野晃博氏が、正真正銘のすごいラインナップを披露した。既に発表されていた「ファンタジーライフ」や「タイムトラベラー」のほかに、カプコンとのタイアップ作品「レイトン教授VS逆転裁判」も電撃発表したのだ。

 僕が注目したのは、発表当初に予定されていたゲーム機が変更されたことだ。2009年に「ファンタジーライフ」が初公開された頃は、DS用ソフトとして開発されていたが、「LEVEL5 VISION 2010」で3DSに変更されることが明らかになった。

 スクリーンショットを見れば、グラフィックスが進化したことがわかる。当時のレトロなドットグラフィックスの代わりに、3DSのパワーを生かした美しい3Dグラフィックスが採用されている。

レベルファイブの社長、日野晃博氏はドリームチームを作ることに成功した。開発は「MOTHER 3」のブラウニーブラウン、音楽は植松伸夫氏、そしてイメージイラストは天野喜孝氏が担当することになった。すごいRPGが完成することは間違いなし!

 DS版を待っていたユーザーにとっては、ある意味、期待を裏切られる形になるのかもしれないが、日野氏の判断は適切だったと思う。DSの時代から3DSの時代へと移り変わろうとしている現在、どちらを選択するのがいいだろうか?

 日野氏は、自分の信じている未来を選択したようだ。「レイトン教授」の最新作だけでなく、「ファンタジーライフ」なども3DSに変更した。もちろんリスクがないとは言えないが、夢のある日野氏のゲームビジョンには感銘を受けた。

 瞬時の判断力が勝敗を決める。日野氏は時間を無駄にしない。3DSへの移行もそうだが、米サンタモニカに開設された初の海外支店「レベルファイブ インターナショナル アメリカ」も、重要な役割を担うことになるだろう。

 「レベルファイブ インターナショナル アメリカ」では、アメリカ人向けのソフトが制作されるのだろうか?それとも単なるローカライズオフィスとして機能するのだろうか?個人的には、アメリカ人と直接触れ合うことで、アメリカ人の好みに合わせたゲームの開発が従来よりも簡単になると思う。レベルファイブの“アメリカ征服”に大注目!

(C)LEVEL-5 Inc.
※画面はすべて開発中のものです。

□レベルファイブのホームページ
http://www.level5.co.jp/
□「ファンタジーライフ」のページ
http://www.level5.co.jp/products/fantasylife/
□関連情報
【2010年10月20日】レベルファイブ、「LEVEL5 VISION 2010」開催
3DSを中心とした新作情報を一挙公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101020_401172.html


其ノ二:音速のハリネズミが信頼回復に成功!

Wii版のグラフィックスはすべてポリゴンによるものだが、メガドライブの作品を彷彿とさせるサイドビューのステージも沢山用意されている。昔からのファンは大喜び!

 アメリカと言えば、現在「ソニック カラーズ」が、ジャーナリストとプレーヤーのどちらからも高い評価を得ている。ドリームキャストの「ソニック アドベンチャー」以来の秀作として認められており、「ソニック」ファンの僕にとっても、嬉しいニュースだ。

 これまでの「ソニック」の、3Dとの相性は抜群とは言えなかった。カメラワークが悪かったり、走行中に予測不可能な崖に落ちたりするなど、問題は多々あった。しかし、過去の失敗から学び「ソニック」チームは、本当に納得の行く作品を作り上げたと思う。

 ちなみに、僕はただ今プレイ中。感想は別稿でお届けするが、アメリカ人と同意見であることだけは言っておきたい。ギャラクシーを飛び回る、“ヒゲの水道屋さん”に多大な影響を受けたことは間違いないが、何よりも大事なのは結果だ。面白ければそれでいいのだ!

(C) SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「ソニック カラーズ」のページ
http://sonic.sega.jp/SonicColors/
□関連情報
【2010年11月18日】【本日発売!】セガ、Wii/DS「ソニック カラーズ」開発者インタビュー
2Dと3Dのソニックの完成形を目指して開発されたシリーズ最新作
http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/20101118_407653.html


其ノ三:あの大作RPGに、まさかの緊急事態発生!?

 好評もあれば、酷評もある。シリーズのファンとしては、欧米ゲームサイトの「ファイナルファンタジーXIV」(FFXIV)のレビュー記事を読んだ時、ショックを受けた。「一体、何が起きているんだよ!」、という怒りの気持ちも混じっていた。長年RPGを作ってきた老舗メーカーの最新作が何故!?

 正式サービス開始後、アメリカ人はレビューを書いた。インターフェイスが使いにくいとか、システム自体がややこしい、モンスターPCでも処理落ちが目立つなど、解決すべき問題は山積みであると。もちろん点数は、非常に低かった。ユーザーの不満の声に、スクウェア・エニックスの取締役社長、和田洋一氏は決算発表会で「信頼回復に全力を注いでいる」と答えた。

 危機的な現状を認め歩みを止めずに前に進むことは重要だが、問題はなぜ調整不足の作品が、世界中のゲームショップに出荷されたのかということだ。スクウェア・エニックスのチェックシステムが本当に機能しているのか、と疑わざるを得ない。

 11月26日、朗報があった。スクウェア・エニックスは、殺到していたユーザーの改善要望に対応した。「FFXIV」のゲームシステムやインターフェイスの問題を改善する大幅なアップデートが実施されたのだ。スクウェア・エニックスのこの早急な対応は、大いに評価したい。

 欧米のゲームサイトでは、既に多くのユーザーからコメントが寄せられている。余計な手間を抑える新インターフェイスが好感を呼んだようだ。これこそが、当初発売されるべきだった「FFXIV」のスタートの形だという主張もあった。

 しかし、ストーリーに関係しているメインクエストに辿りつくまでの道のりはまだ長すぎるという声もある。カジュアルプレーヤーは何時間もの“レベルアップクエスト”についていけないという意見も目立つ。

 僕が言いたいのは、オンラインであっても、オフラインであっても、RPGというジャンルは誰がやっても直感的で遊びやすいものであるべきだということ。今後も定期的に調整が行なわれれば、少しずつ完成した形になるだろうと僕は信じている。

 最初から理想に近いゲームを提供して欲しかったが、MMORPGというジャンルではそれが簡単に実現できないというのも事実だ。そして、もう1つ確実に言えることは、この失敗から、これからの作品の制作に役立つ大きな成果が得られたに違いない。

11月26日のアップデートにより、ユーザーからの要望が多かったゲームシステムやインターフェイスの改善が行なわれた。

(C) 2010 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ファイナルファンタジー XIV」のページ
http://jp.finalfantasyxiv.com/
□関連情報
【2010年11月26日】スクエニ、「FF XIV」初の大規模アップデートを実施
“早急に対応可能な案件”に応えるシステムアップデート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101126_409671.html


其ノ四:「ゼノブレイド」に続き新たな傑作の誕生?

 有名な大作RPGが期待を裏切ることがあれば、“無”から生まれた新しいRPGが、あっという間にトップにのし上がることもあるだろう。その背景に、数々の大作RPGを手掛けてきた、あの坂口博信氏がいると思えば可能性はさらに高まるのではないだろうか?

 もちろん、2011年の1月27日に発売を予定しているWii用の「THE LAST STORY」のことだ。10月に行なわれた「Nintendo Conference」で実際に体験したが、その完成度の高さに圧倒された。特に、リアルタイムに進行する、アクションと戦略を織り交ぜた新感覚の戦闘パートに好印象を受けた。

戦闘中に特に重宝しそうな要素が、主人公のエルザに与えられた敵の注意を引きつける「ギャザリング」という能力。ギャザリング実行中に、仲間たちは魔法の詠唱に集中できるわけだ

 ゲームの試遊が終わった途端に関係者らしき人物が僕に近付いてきた。流暢な英語で「What do you think of the game?」(ゲームのこと、どう思いますか?)と聞いてきたのだ。僕は、戦闘システムは新鮮味に溢れていて面白いが、もう少しWiiリモコンを使って直感的に遊べる要素が欲しかったと正直に答えた。僕の感想を聞いた彼は、「Thank you very much」と笑顔でお礼を言った。

 実は、今回初めて、ゲームイベントで日本人スタッフから声をかけられた。僕の外国人プレーヤーとしての感想を求められた。僕の意見がゲームのさらなるクオリティー向上に繋がるかもしれないと思うだけで、とても嬉しい。

 結局、その人物が任天堂とミストウォーカーのどちらの人だったのかはわからなかったが、国内だけでなく海外のプレーヤーも大切にしたいという彼の思いは伝わってきた。

 高騰し続けるゲームの開発費。それでも、日本のマーケットだけに拘り続けたいと思っているゲームクリエイターも少なくないようだ。海外を意識しないなんて、あまりにももったいないと思うのは僕だけだろうか?

(C) 2010 Nintendo / MISTWALKER

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「Nintendo Conference 2010」のページ
http://www.nintendo.co.jp/n10/conference2010/
□「THE LAST STORY」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/slsj/
□関連情報
【2010年11月19日】任天堂、Wii「THE LAST STORY」
戦闘システムなどゲームの概要を紹介
早期購入者特典やWii本体同梱パックの情報も公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101119_407759.html
【2010年9月29日】任天堂、「Nintendo Conference 2010」で3DSの発売日と価格を発表
3D立体視のほか、通信機能の強化などで普及を目指す
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100929_396921.html


■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

 僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C) 2010 Nintendo / MISTWALKER

1位:THE LAST STORY
   プラットフォーム:Wii
   ジャンル:RPG
   発売元:任天堂
   発売日:2011年1月27日
   価格:6,279円
   CEROレーティング:B

 先月に続きトップに輝いている作品。新鮮味溢れる戦闘システムに最も魅力を感じる。仲間が放った魔法の着弾点に残る「魔法サークル」に応じた属性攻撃を仕掛けることで、戦闘をより有利に進められるなど、戦略性の高いバトルに期待大。他のプレーヤーと協力してボスの討伐に挑めるオンラインモードも存在するので、満足感はさらにアップ!?

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2010年11月19日】任天堂、Wii「THE LAST STORY」
戦闘システムなどゲームの概要を紹介
早期購入者特典やWii本体同梱パックの情報も公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101119_407759.html

(C) 2011 CHUNSOFT

2位:ぞんびだいすき
   プラットフォーム:DS
   ジャンル:ぞんびぞろぞろアクション
   発売元:チュンソフト
   発売日:2011年1月20日
   価格:5,040円
   CEROレーティング:B

 チュンソフトには、いつも驚かされる。RPGやサウンドノベルなど、毎回新しいジャンルに挑戦し続けるチュンソフトが大好き!今回は、コミカルな感じでゾンビvs人間の戦いが描かれるユニークなアクションゲームを制作した。プレーヤーが、人間ではなくゾンビたちを操るところがとても新鮮!昔のドットゲームを思わせるカラフルなグラフィックスも見どころの1つ。

□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.jp/
□関連情報
【2010年11月4日】チュンソフト、DS「ぞんびだいすき」
発売日を2011年1月20日に決定!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101104_404500.html

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

3位:無限回廊 光と影の箱
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:影絵のパズル
   発売元:SCEJ
   発売日:12月23日
   価格:3,980円
   CEROレーティング:A

 PS Moveのモーションコントローラーを懐中電灯に見立て、影の上を歩く主人公をゴールに導くという前代未聞の遊び。プレーヤーは、ブロックに光を送ることで背景の影を変えることができる。角度によって影の形が変わり、ゴールへの道が完成するわけだ。自分でステージを作り、世界のユーザーたちと共有できるモードにも注目して欲しい。

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□関連情報
【2010年10月22日】SCEJ、PS3/PS Move「無限回廊 光と影の箱」
発売を12月23日へ延期
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101022_401875.html

(C)SEGA

4位:戦場のヴァルキュリア3
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:アクティブ・シミュレーションRPG
   発売元:セガ
   発売日:2011年1月27日
   価格:6,279円
   CEROレーティング:B

 シリーズの集大成ともいえる続編が、いよいよPSPに登場。体験版をプレイしたところ、前作で面倒だと思われた部分を排除し、新たな要素を追加するなど、全体的に遊びやすくなった印象を受けた。特筆すべきは、特定のキャラクターが強力なパワーを得るSPというコマンドの追加。戦場で使えるユニットの数も増えたので、戦略性がさらに高くなった。

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□関連情報
【2010年11月26日】セガ、PSP「戦場のヴァルキュリア3」
キャラクター紹介動画第2弾「リエラ篇」を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101126_409584.html

(C)AKS 2010 (C)2010 NBGI
※画面は開発中のものです。

5位:AKB1/48 アイドルと恋したら…
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:究極の恋愛妄想ゲーム
   発売元:バンダイナムコゲームス
   発売日:12月23日
   価格:5,229円
   CEROレーティング:B

 タイトルが示すように、究極の妄想ゲームが開発された。プレーヤーが片思いというオーソドックスな設定ではなく、アイドルグループのメンバーがプレーヤーのことを大好きという、夢のような設定が非常に面白いと思う。PSPの画面がアイドルとコミュニケーションを取れる端末に見立てているところも新鮮。AKB48好きには必須アイテムだ!

□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2010年11月12日】バンダイナムコ、PSP「AKB1/48 アイドルと恋したら…」
AKB48を容赦なくフッていく、究極の恋愛妄想ゲーム
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101112_406220.html


■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

 ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

ラストランカー
プラットフォーム:PSP
ジャンル:RPG
発売元:カプコン
発売日:発売中(7月15日)
価格:5,990円

 カプコンの待望の新作RPGである本作。僕はずっと気になっていたタイトルだったので、つい最近購入し遊んでみた。しかし、日本人の友達に「今、『ラストランカー』で遊んでいるよ!」と言っても、「えっ?聞いたことがない」という返答が多かった。何故だろう?

 「ラストランカー」は、既に弊誌で詳しく紹介されレビュー記事も掲載された。詳しい情報を知りたい人は、こちらの記事を参照して欲しい。僕はゲームの内容よりも、何故本作が好きになったのかと、そして何故大ヒットしなかったのかについて、個人的な嗜好を軸に考えたいと思う。

 本作の主人公はランカーだ。ある意味、“ファシスト的”とも言えるこのゲームの架空社会では、ランクがすべてを決める。力、富、居住地のレベル。ランクの低い人は、強い相手との戦いに勝利すると、相手のランクを奪うことができ社会的な地位が少しずつ上がるようになっている。

 カプコンの選んだテーマは、本当に現実味に溢れていると思う。結局、主人公の疑問は「社会のトップになっても、本当の幸せを得られるのだろうか?」ということだ。その心の葛藤が秀逸なセリフで表現されているので、ゲームを通じてぜひ体験して欲しい。

 また、一騎討ちを主軸にした戦闘パートにも魅了された。格闘ゲーム的な遊びやすさを持っており、RPGが苦手な人でもすぐに馴染めるようになっている。弱・強やサブウェポンなどの攻撃を上手に使い分けること、敵のターンになる前に敵に最大限のダメージを与えることが勝利への近道だ。

 攻撃に必要なSPゲージは自動的にリチャージしていくが、SPゲージが満タンになってから複数の攻撃を連続で実行するか、それともSPゲージが2つ目まで達した時点で、2つだけ消費する弱攻撃を仕掛けるか、タイミングが何よりも重要だ。緊張感溢れるバトルパートは、文句なしの出来栄えだと思う。

 他のランカーとの戦いでは、4種の格闘スタイルの切り替えが重要な役割を担う。例えば、「ATTACK STYLE」ではHPにダメージを与え、「BREAK STYLE」ではBREAKゲージを減らすことに専念するという感じだ。相手のBREAKゲージがゼロになればBREAK状態となり、HPに与えることのできるダメージ量が圧倒的に増える。

 ただし、1回のバトルでは4種のうち2つのスタイルしか選べないようになっている。つまり、組み合わせが悪いと思っても、戦闘中にスタイルの変更はできない。相手に負けると装備やスタイルの選択画面が表示されるので、そこで再挑戦する前に設定を変えられるようになっている。そこがプレーヤーの戦略性を問われる部分でもあるのだが、すべてのスタイル(全部で4つ)への切り替えが戦闘中にできたら、もっと遊びやすかったような気がする。

 本作では、修練(いわゆるクエスト)を遂行すると許可証を獲得でき、新しいエリアにアクセス可能となるが、ワールドの拡大するペースが非常に遅いため、最初の10時間は同じロケーションを何回も探索することがあった。自分が相手より格段に強くても、弱い敵との戦闘はスキップできない。弱い敵との頻繁なランダムエンカウントが、探索のリズムを損ねてしまうのが残念だった。

 もちろん、一本道のRPGを好むユーザーもいるだろうが、個人的にはもう少し選択肢を増やして欲しかった。ほとんどの場合、ランクを上げる為の選択肢が1つしか用意されていないため、決められた修練を遂行するまで、ほかのことが一切できなくなる。ヒントも少ないので、次のランカーがどこにいるのかわからないこともあった。

 また、本作にはオンラインモードが必要だったと思う。ランカーの概念を生かしたマルチプレーヤーモードがないことが、本作の最大の欠点と言えるかもしれない。1つの広大な世界の中でプレーヤーたちがランクを奪い合ったり、共通の目標を達成する為に力を合わせて戦うことができるオンラインモードがあれば、本作はもっと成功したに違いない。

フィールドやダンジョンの構造がシンプルだと感じた。分岐も少ないし、ギミックや隠し要素も欠けていると思う。探索をもっと楽しめるような工夫が必要だったと思う
街やワールドマップで利用できメニューから目的地の項目を選ぶだけで一瞬にして好きなロケーションへと飛べるトラベルマップを活用すると、移動は快適になる

 オンラインモードがないのは残念だが、「ラストランカー」は1人用の秀逸なRPGだ。最後まで画面に釘付けになるストーリー。ピラミッド社会の問題点を指摘するかのような深いセリフ。戦術の切り替えとスキルの活用がカギとなる、リアルタイムでの一騎討ちスタイルの戦闘。

 そして、このゲームにはもう1つすごい要素がある。これまでに、数々のRPGの作曲を手掛けてきた下村陽子氏の素晴らしい曲を楽しむことができるのだ。歌が多く採用されたバトルテーマは、稀に見る最高傑作だと思った。下村陽子氏のファンというだけでも、本作を購入する価値はあると思う。

【グッジョブ!】【異議あり!】
ストーリーが面白いフィールドデザインがシンプル過ぎ
キャラクターが魅力的ゲーム進行が一本道
戦闘パートが遊びやすいヒントが少なく行き詰まる
音楽が素晴らしいオンラインモードがない

(C)CAPCOM CO., LTD. 2010 ALL RIGHTS RESERVED.

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/


■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

 このコーナーでは僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1991年1月20日
イベント:初のカラー携帯ゲーム機「ゲームギア」がイタリアに上陸!
ハプニング:マンションの新しい管理人が、まさかの○○!?

 1991年は、セガのメガドライブのゲームで楽しい毎日を過ごしていた時代。学校の宿題が終わったら、ゲー友のクリスティアーノを家に呼んで、ほとんど毎日一緒に遊んでいた。

 僕たちが住んでいたのは、緑に溢れた住宅地だった。日本の団地とマンションの間の住宅地。僕たちは、公園と呼べるほどの広い中庭を遊び場として使っていた。とても住みやすい場所だった。

 植物や芝生の手入れを担当していたのは、マンションの管理人だった。メガドライブ時代の真っ只中、前の管理人が転職して、新しい管理人が雇われた。ずっとお世話になっていたので、少し悲しかったが、新しい出会いがあると思うと、ワクワクもしていた。新しい管理人はどんな人なんだろう?まさか、オタクだったりして?

 一週間ぐらい経つと、“後継者”がマンションの一階に引っ越してきた。見た瞬間に、この人、不思議だなと思った。髪の毛はまるで、ヘルメットのようだった。強風が吹いても、リーゼントは微動だにしないほどの硬さだった。無意識に笑ってしまいそうな、変わった髪型だった。

 新しい管理人の名前はジュリオだった。実は、フランス人とイタリア人のハーフだった。彼が幼かった頃、両親はフランスに移住した。ジュリオは、そこで高校を卒業した後、電機系の専門学校に通った。なので、電気系の物にとても詳しかった。

 そして、大人になって結婚したら、憧れていたイタリアに帰ろうと思って、仕事を探す為にローマに辿りついたわけだ。ずっとフランスに住んでいた影響からか、彼のイタリア語はとても強いアクセントを持っていた。その話し方が癖になって、彼の声を聞く為に、わざわざ中庭に行くことが多かった。

 管理人としての給料が安かったせいか、ジュリオは副業もやっていた。“なんでも屋さん”。もっと正確に言うと、マンションの住人たちの電気&水道系修理を引き受けていた。

「ジュリオさん、台所の水が出ない!」
「はい、わかりもした!すぐ行きも~す!」

「ジュリオさん、寝室のライトが点かない!」
「だいしょぶ~!すぐ行きも~す!」

 “じょ”の発音が“しょ”になったり、語尾の“ます”が、“も~す”になったり、彼のアクセントはとても個性的で面白かった。

 強烈なキャラクターとサービス精神のおかげで、ジュリオはあっという間にマンションの人気者になった。前の管理人が去ってから1カ月しか経っていなかったが、僕はジュリオのことをずっと前から知っているような気持ちになっていた。きっと、何かの共通点があるに違いないと、その時直感した。

 ある日のこと。ジムに行く為に家を出た。階段を降りて、マンションの出口のすぐ隣にある、管理人室の前を通った瞬間に、横目に何かを感じた。とても慣れ親しんでいる何かを見たような気がした。管理人室のほうに振り向いたら、信じられないシーンが目に飛び込んできた。

 管理人室の机の前に座っていたジュリオは、黒い物体を手に持っていて、それに夢中になっていた。近付いてよく見てみたら、その黒い物体の正体がわかった。それは、日本で発売されたばかりのセガの携帯ゲーム機「ゲームギア」ではないか!

 最初の出会いからなんとなく感じていた共通点とは、ゲームだったのか!ジュリオも、フランスから来たゲームオタクだったのだ!40歳のおっさんオタクだった!

「ジュリオさん、ゲームが好きだったんですか?」
「しょっと待って、今ポーズをかけるから」
「なになに?どんなゲームで遊んでいるんですか?」

 興奮しながら、画面を覗こうとする僕。画面には、絵の付いたカードのようなモノが沢山表示されていた。そのカードを使ったゲームのようだった。見たことのなかった遊び。一体何なんだろう?

「ジュリオさん、こ、これは?」
「これは、MAHJONGと言いも~す」
「MAHJONG?」
「シャパンではとても有名な遊びど~す」
「そうなんですか?」

 MAHJONG……?フランスから来た新しい管理人が、日本の珍しい遊びのファンだったとは、想像もしなかった。僕は、アクションゲームやシューティングゲームを好んでいたが、ジュリオは頭を使うゲームのほうが好きだったらしい。

「ジュリオさん、ルール、わかりますか?」
「なんとなく」
「なんとなく!?」
「全部はわかりませんが、それでも楽しいど~す」
「そうなんですか?」

 ジュリオは、漢字がまったく読めなかったが、それでも一生懸命、ゲームのルールを理解しようとしていた。

「ジュリオさん、お願いがあります」
「はい、ど~そ」
「ゲームのコレクションを見せてもらえますか?」

 ゲームオタクにとっての定番中の定番。ゲームコレクションを“披露”して、自慢し合うこと。ゲームコレクションの観察でお互いにどういうゲーマーなのか、理解できるようになる。とても重要な儀式だ。

 何も言わずに、ジュリオは机に置かれた鍵束を取って、僕を手招きしながら1階の自宅へと案内してくれた。ドアが開くと、小さな居間が姿を見せた。

 ホラー映画のように部屋は薄暗かった。左手に狭いキッチンスペースがあった。妊娠中の奥さんがイスに座っていた。僕は頭で挨拶した後、ジュリオがいた本棚の前に止まった。どうやら、ゲームコレクションはここに大切に保管されているらしい。

「これからもっと、もっと買いも~す!」

 棚に並んでいたのは、知らないゲームばかりだった。少し奇妙なタイトルもあった。漢字が読めなかったから、正確なタイトルもわからなかった。なになに?第二次世界大戦を舞台にした、メガドライブ用のシミュレーションゲーム?これ、漢字がびっしりで、理解不可能なんじゃないのと思ったら、ジュリオはその箱を指しながら、

「これ、いしばん楽しいど~す!」

 楽しい!? この人、天才なのか?日本語もわからないのに、難しいコマンドだらけのシミュレーションゲームで遊べるなんて、本当にすごいな!あれ?これは?目が止まったゲームの箱は、明らかに頭を使うゲームではなかった。女子プロレス!? なんで、フランス出身の管理人が、日本の女子プロレスのファンなの?あまりのギャップに、口がぽかんと開いた。

「シャパニースWRESTLINGが大好きなんど~す!」

 一体何故?この人はオタクの鑑だ!日本の遊びやスポーツをこよなく愛している!結局、彼のゲームコレクションは、理解に苦しむ不思議なタイトルの連続だったが、これで彼のゲームへの愛情が証明された。この日からは、ジュリオとの素敵な友情が始まった。

 ちなみに、ジュリオの遊んでいたゲームの正確なタイトルをインターネットで調べてみた。第二次世界大戦をテーマにしたシミュレーションゲームは、1989年発売の「スーパー大戦略」で、女子レスのゲームは、1990年発売の「キューティー鈴木のリングサイドエンジェル」だった。




 電遊道では、みなさんに取り上げてほしいネタなどを随時募集します。ドシドシと編集部までメールを送って下さい(編集部)

 

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(2010年12月3日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]