任天堂、「Nintendo Conference 2010」で3DSの発売日と価格を発表
3D立体視のほか、通信機能の強化などで普及を目指す
専用充電台にセットしたニンテンドー3DS |
任天堂株式会社は、幕張メッセにおいて、報道関係者および流通関係者などを招き、「Nintendo Conference 2010」を開催した。
カンファレンスの流れとしては、岩田 聡代表取締役社長のプレゼンテーションが1時間ほど、そして各ソフトの体験試遊会が行なわれた。本稿では、主にプレゼンテーションの内容をまとめてお伝えする。
速報の通り、ニンテンドー3DSは2011年2月26日に25,000円で発売される。カラーは「アクアブルー」と「コスモブラック」の2色。付属品には専用充電台、3DS用ACアダプタ、専用タッチペン(伸縮式)、SDメモリーカード(2GB)、ARカード(6枚)となっている。
【アクアブルー】 | ||
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【コスモブラック】 | ||
【会場に展示された3DS】 | |
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■ 「DSi LL」の「スーパーマリオ25周年記念カラー」や「Wiiリモコンプラス」も発表
WiiリモコンとWiiモーションプラスを一体化した「Wiiリモコンプラス」 |
プレゼンテーションでは、まず、9月18日に発売されたポケモンの「ポケットモンスターブラック・ホワイト」が255万本の初週販売本数を記録し、今後の普及への期待を述べたほか、「スーパーマリオ」25周年キャンペーンの概要、そして年末以降の商戦でのラインナップに触れた。
その中で、「スーパーマリオ」25周年キャンペーンの一環としてニンテンドーDSi LLの記念カラーが10月28日に18,000円で発売されることが明らかにされた。また、「ゼルダの伝説」のようにWiiモーションプラス専用ソフトも登場することも踏まえ、WiiモーションプラスとWiiリモコンを一体化した「Wiiリモコンプラス」の発売も明らかにされた。カラーは4色で、現行のWiiリモコンのカラーすべてがフォローされる。
「ポケットモンスターブラック・ホワイト」の初週販売本数から、さらなる普及に期待がかかる。「ポケモン卒業世代の回帰現象」が見られるという | |
「スーパーマリオ25周年」キャンペーンの一環として、ニンテンドーDSi LLの記念カラーが10月28日に18,000円で発売 |
年末商戦から来年へのソフトのラインナップを矢継ぎ早に紹介した |
■ より一層の普及の手立てを講じる「ニンテンドー3DS」
さて、注目されたニンテンドー3DS」に関する話題になると、岩田氏はまず、改めて特別なメガネをかけなくても3D立体視が可能であることをアピール。「3D立体視によって、画面の迫力が増すことはもちろん、空間の認識がしやすい」とメリットを述べ、任天堂は長年立体視に関して研究してきたと語った。3D元年と言われる今年、3Dの普及には、「ハードウェアとソフトウェアのニワトリと卵の関係を解かねばならない」と続けた岩田氏は「その点で携帯型ゲーム機は表示デバイスが一体型であり、すべてのお客様に同じ環境を提供でき、圧倒的に有利。また、3D立体視の見え方に個人差があるが、3Dボリュームを用意することで効果を調整できるようにした。3D表示をオフにすることもできる」と3D立体視の普及に言及した。
さらに「DSの登場から6年が経過し、携帯機で使える技術も大きく進化した。画面解像度こそ据え置き機にはかなわないが、グラフィックス性能も向上した」と3DSに対しての自信を述べた。
しかし続いて、「普及したプラットフォームの互換性があるとはいえ、楽観視はしていない」と3DSの2つの普及への課題を挙げた。1つは「裸眼立体視は体験できなければその価値を実感できない」こと。これに対しては、「持ち運べること」というメリットから引き続き、3DSの各機能、とくに通信周りのパワーアップについて説明が行なわれた。「持ち歩く、響き合う、毎日が新しい」と題して説明されたことは以下の通り。
・「すれちがい通信」に関しては、DS~DSiシリーズまではソフトを起動させてすれ違い通信モードにして持ち歩く必要があったが、3DSではスリープモード中に本体が複数のソフトのすれちがい通信を自動的に行なう。
・すれちがい通信が発生したことを知らせる「おしらせランプ」の搭載
・すれちがったあと、お知らせリストをメニューからチェック可能。どのソフトでのすれ違いか、そして新たに搭載された「すれちがいMii広場」でもすれ違うことが可能
岩田氏は普及の手立てとしてまず「すれちがい通信」の強化を挙げた |
3DSに搭載される「Miiスタジオ」は、Wiiの「似顔絵チャンネル」の機能と似ているが、3DSで撮影したカメラ画像から、自動的にMiiを作成する機能が追加されている。カメラの画像からいくつかの候補を作りだし、さらにできあがったもののパーツを調整することもできる。加えて、作ったMiiをQRコードを介して他の3DSへと持っていくことができる。
Miiを作成する「Miiスタジオ」では撮影した画像からMiiを生成する機能がある。作ったMiiはQRコードで配ることが可能 |
「すれちがいMii広場」ですれちがったMiiには、いつ、何回すれ違ったか、住んでいるところといった情報のほかに、最後に遊んだソフトのデータも付与されている。広場で並ぶMiiには、最後に遊んだソフトのアイコンが看板となっている。
ほかにも、本体内蔵ソフトとして、「ARゲームズ」が用意されている。3D立体視とAR(拡張現実)は相性がよいといわれているため、「3DSはよりARにマッチしている」と岩田氏は述べた。
「ARゲームズ」は付属の6枚のARカードですぐに遊ぶことができる |
また、ここ数年で携帯電話に搭載されることが増えた「歩数計」機能とソフトごとに遊んだ時間や回数、1回のプレイ時間や遊んだ日付(最初と最後)などが記録される「思い出きろく帳」も内蔵される。Wiiの「今日の出来事」機能を取り込み、さらに発展させていることがうかがえる。
「思い出きろく帳」でプレイ履歴などが記録され、閲覧できるようになる |
DSiから搭載されたカメラソフトも「ニンテンドー3DSカメラ」として強化。3DSには外側にステレオ、内側上画面上にシングルのカメラが搭載されているが、外側カメラで3D立体視写真が撮影できるだけでなく、内側カメラと外側カメラを同時に使って2人の画像を撮影し、合成する機能も搭載されている。
岩田氏と宮本 茂氏の写真を合成してみたところ |
ほかには、3DSの下画面中央に移動した「HOME」ボタンは、ソフトのプレイを中断してHOMEメニューに戻ることが可能となった。1度ホームに戻ってニンテンドーDSiブラウザーで調べ物をした後、またHOMEボタンを押せばゲームプレイが再開できる。
HOMEボタンはゲームを中断して復帰できるようになった |
● ダウンロード販売や通信可能拠点も強化! ゲームボーイ(カラー)ソフトがついに「バーチャルコンソール」に登場
DSiシリーズ以降、ソフトのダウンロード販売も行なわれてきたが、3DSではWiiでいう「みんなのニンテンドーチャンネル」(販促)と「ショッピングチャンネル」(販売)の機能を統合。メニュー項目の見直しなどで、軽快なレスポンスを実現する。
ダウンロードしたコンテンツはSDカードに登録されるが、3DSはあらかじめ2GBのSDメモリーカードを同梱することが明らかにされた。また、ニンテンドーDSiショップで購入したソフトを、3DSへと引っ越しさせる機能も搭載される。
さらに、「スーパーマリオランド」や「ゼルダの伝説 夢をみる島DX」といったゲームボーイ、ゲームボーイカラーでリリースされたタイトルを3DS上でプレイできる「バーチャルコンソール」が3DSで実現。ほかにも、クラシックゲームを3D表示化したソフト(例としてはバンダイナムコゲームスの『ゼビウス』を3D化したものを挙げていた)や、ニンテンドー3DS専用の新作ダウンロードソフト、そしてニンテンドーDSiウェアが遊べる。
また、3DSをスリープ状態にして置いている間に、無線LANスポットに自動接続し、コンテンツをダウンロードする機能「いつの間に通信」機能も搭載。新しいランキングデータ、新しいゴーストデータ、新しい無料ソフトなどをダウンロードしてくれる。
Wi-Fi通信が設定なしでできる拠点の強化にも努める。「nintendo zone」をマクドナルドとの協業で展開し、「マックでDS」だけでなく3DSの通信環境として整備していくほか、NTTBPの「Wifine」でも3DSの通信を可能にする。各鉄道や空港、カフェ・ファーストフード店などでも通信が可能になる予定だ。
ほかに、日本テレビやフジテレビと個別に協力し、無料で3D立体視映像を毎日配信するという。
● 「実際に体験することで3DSの真の価値をご理解いただけると思います」
2つ目の普及の課題としては、これまでリリースしたハードでは「任天堂ハードで売れるのは任天堂ソフトばかり」という話題があることに関して触れ、岩田氏はまず「まず自社のソフトでハードを普及に努め、土台作りをすることを自分たち自身の責任として取り組んできましたが、日本でのサードパーティ比率が特にWiiは低かった」とサードパーティタイトルの各ハードウェア別の販売比率データを見せた。そして、「3DSでも同じことが起こるという懸念に対して、取り組まねばなりません」と決意を述べた。しかし、北米のデータを加えると、世界的規模でみれば、Wiiの比率もそこまで低いものではないと説明した。
さらに、「(3DSの普及には、)各サードパーティの方々と足並みをそろえていく必要があると考えています」と、各クリエイターのインタビューを流し、3DSにクリエイターたちがいかに期待しているのかもアピールした。そして最後に、「今日もお話いたしましたように、ご自身で体験することで3DSの真の価値をご理解いただけると思います。3DSをぜひご体験ください」とプレゼンを締めくくった。
3DSの普及のためには、サードパーティとのより一層の連携が必要ということをアピールしてプレゼンは締めくくられた |
(2010年 9月 29日)