【第7幕】
Reported by:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

 電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーが生まれるかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で、個性的なマフィアのボス・ぺぺロンチーノを熱演。現在も、TVドラマやTVゲームなどで俳優/声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~


■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

 話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:坂口博信氏の新たなRPGを求めて

壁や箱の後ろに隠れることができるのも新鮮。アクションゲームのようなスリルが味わえる

 2010年12月27日、Wii用の待望の新作RPG「ラストストーリー」のプレゼンテーションイベントが行なわれた。本作のディレクターを務めるのは、世界中のプレーヤーを魅了する数々の名作RPGを手掛けてきた坂口博信氏だ。

 ゲームシステムの詳細については、イベントレポートを読んでいただくとして、ここでは、今回の体験を通じて、僕がRPGファンとして感じたことを伝えたいと思う。果たして、「ラストストーリー」は、本当に“新たなRPG”になれるのだろうか?

 「ゼノブレイド」も証明した通り、現代のRPGが形を変えつつある。個人的には、ランダムエンカウントやターン形式のバトルが廃止され、アクション性が増したものへと変わりつつあると思う。「ラストストーリー」は、「ゼノブレイド」と同じような路線を進んでいると思う。しかも、「ゼノブレイド」以上に直感的でアクション要素に拍車がかかっているようにも感じた。

 例えば、攻撃については、敵に向かってレバーを入れるだけで剣による攻撃を行なう。やはり、未来のRPGは過去の作品の“硬派さ”を保ちつつ、初心者も問題なく覚えられるシンプルなインターフェイスを持ち合わせるべきだと思う。シンプルに思えるが、実は奥が深い。「ラストストーリー」は、まさにそのコンセプトの下に開発されたと思われる。

ボタン1つで防御できる。さまざまなアクションをシンプルな操作で実行でき、かつ、奥の深いバトルに参加しているという印象を受けたボウガンによる攻撃も用意されており、シューティングゲームのような爽快感も味わえる新しいコマンドが必要になる度に、スタイル抜群のチュートリアル画面が表示される

「僕の魔法なら……」という具合に、仲間が状況に応じてヒントと思われる発言することがある

 「ラストストーリー」が「ゼノブレイド」と共通している要素は、もう1つあると思う。それは、本作のバトルを通じてMMORPGをプレイしているような感覚を味わえるところだ。プレーヤーが操作するのは主人公のエルザだけだが、戦闘中の仲間の会話やリアクションは、ほかのプレーヤーが操作していると思えるほど、現実味に溢れている。

 例えば、ダンジョンを探索中に、このあと待ち受けるピンチを乗り越える為のアドバイスを与えてくれたり、部屋の出口を見つける為のヒントを教えてくれたり、意見を交換するなど、会話シーンのあとにバトルがあるのではなく、仲間と会話しながらバトルや探索を進めていく。

ギャザリングをずっと使い続けると、戦闘を単調に感じるかもしれない

 「ラストストーリー」のバトルを語る上で外せないのが、「ギャザリング」というコマンドだ。「ギャザリング」発動中は、仲間が敵に邪魔されることなく魔法の詠唱に集中できるように、主人公のエルザが周囲にいるすべての敵の注意を自分のほうに引き付ける。

 坂口氏も、「ギャザリング」を使わない場合と、使う場合の、2つのパターンを見せてくれた。前者の場合は、苦戦の末にパーティー全滅という悲劇が待っていたが、後者の場合は、敵の群れを比較的スムーズに倒すことができていた。

 少し気になったのが、「ギャザリング」を使っている間、基本的に主人公のエルザが防御に集中すること。戦闘が長引いた場合、“何もやっていない”という印象を受けるプレーヤーもいるかもしれない。

主人公が通行人にぶつかると、その人がリアルにリアクションする。物語の進行には関係のない要素だが、1つのリアルな世界を構築するのに貢献していると思う

 初公開された街での探索パートも好印象。本作では、すべてのオペレーションの本拠地ともいえる巨大な街が用意された。もちろん、ほかの街も存在する可能性はあるが、個人的には複数の街があるよりも、ディテールにこだわった1つの大きな街のほうが魅力を感じる。

 坂口氏も説明していたが、街は人とのインタラクションが楽しめる、活気あふれる場所になっている。例えば、「Seek」というコマンドを使って周囲の人々やオブジェクトにズームすることができ、人の動作や市場の雰囲気などをよりダイレクトに感じ取ることができる。

 また、遊び心をくすぐるようなアクションも用意されている。例えば、バナナの皮を地面に仕掛けておき、それを通りかかった人が踏むと滑るというようなリアクションを楽しむことができる。それが、どこまで遊びに繋がるのかは不明だが、インタレクトすることで何らかのご褒美がプレーヤーを待っていると思われる。

時間の経過によって、街でのイベントが変わるといった仕掛けも盛り込まれているのだろうか?店に入ると、買い物のメニューが表示される。ゲームのテンポを速くさせる為の選択だと思うが、実際に入店して欲しかった仲間との会話は新鮮! ぼけた背景の上に、さまざまな表情やリアクションを見せるキャラクターのポリゴンモデルが表示される。会話の所々に選択肢が現われるのも面白い

主人公にさまざまな防具をつける坂口氏。中には、キャラクターの肌が完全に隠れる、岩でできたモンスターのような外見の鎧もあるようだ。これについて坂口氏は、「どういうゲームなのか、わからないようなものも用意しました」とコメントした

 装備の選択肢も豊富。装備する防具の種類によって、キャラクターの見た目がゲームに反映されるのはもちろん、防具を構成する各パートの色を変えたり、余計だと思われるパートを解除するなど、キャラクターの姿を自由自在にセッティングすることができる。

 ちなみに選択肢の1つとして、キャラクターを裸にすることも可能。なお、プレゼンテーションでは、エルザが裸になるというユーモアたっぷりのシーンも披露された。このような演出も、坂口氏の作品のトレードマークの1つだと思う。

 最後にオプションの豊富さについて触れたい。ムービーを早送りできる機能やカメラを動かせる機能など、オプションの項目の多さに圧倒された。これなら各プレーヤーが、自分の好みに合った理想のセッティングでゲームを楽しめるだろう。

 最高のチームで開発された「ラストストーリー」。今回の体験会では本作の魅力をたっぷり確認することができた。舞台が1つの島に限定されているところが、RPGの定番といえるワールドマップ上での乗り物での移動パートがないことを予感させ、「ゼノブレイド」の特徴の1つだった解放感のあるオープンスペースも今回確認できなかったことから、本作はダンジョンを中心に冒険が展開するのではないかと思われる。

 これらの特徴は、本作のアイデンティティを確立する為に必要な個性だと思う。「ラストストーリー」は、未来のRPGが目指すべき1つの形を提示していると思う。坂口氏による、RPGの新たな形、新たな解釈。それを、僕を含めたRPGファンのみんなが求めていたはずだ。発売日がさらに待ち遠しくなった!

(C) 2010 Nintendo /MISTWALKER

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「THE LAST STORY」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/slsj/
□関連情報
【2010年12月27日】任天堂、Wii「THE LAST STORY」プレゼンテーションを秋葉原で開催
サプライズで岩田社長が登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101227_417724.html


其ノ二:傑作アドベンチャーゲームが大ヒットしないのはなぜ!?

本作の舞台は、エリート学生が集まる“希望ヶ峰学園”だ。謎の理由で、学生たちがその中に閉じ込められ、外の世界と隔離した学園生活を送ることになる。学園を卒業する為の唯一の手段は、クラスメイトを殺すことだ

 日本のプレーヤーに異議あり! 1つのゲームが大流行して、同時期に発売されるほかの“買うべきゲーム”をまったく忘れてしまう傾向に、異議あり!

 “異議あり”と言えば、あの有名な弁護士シリーズが真っ先に思い浮かぶが、今回の主役はスパイクが制作した「ダンガンロンパ」だ。PSP用に開発され、アクションやシューティング要素を大胆に取り入れたアドベンチャーゲームとなっている。

 キャラクターの特異さやゲームシステムの斬新さに惹かれ、プレイすることにした。そして、確実に言えるのは、これほど面白いアドベンチャーで遊んだのは、本当に久々だということだ。

 「ダンガンロンパ」は、アドベンチャーゲームとアクションゲームという、日本が誇る2つのジャンルを融合させたゲームだ。この2つのジャンルが適度に絡み合い、絶妙なバランスの新感覚アドベンチャーが生み出されたと思う。本作の裁判パートでは、ほかのゲームで見られなかった、シューティングゲームやリズムゲーム的な要素が導入され新鮮さが増した。

 ゲームを始める前には、アドベンチャーとアクションパートのそれぞれの難易度を調節できるので、各プレーヤーに最適なバランスでゲームに挑めるのだ。これも、本作の丁寧な作りを物語っている。システムに関する詳細な情報については、弊誌に掲載されたレビュー記事を参考にして欲しい。

 「ダンガンロンパ」。このような優れたアドベンチャーゲームがヒットしないと、正直に言って困る。なぜなら、今後アドベンチャーというジャンルが本当に消える恐れがあるからだ。欧米ではもう既に絶滅したと言っても過言ではない。だからこそ、このジャンルに定評のある日本のゲームメーカーにはこれからも、優れたアドベンチャーを作り続けて欲しい。

 本作は確かに、万人には受けいれられないような、強烈な個性を持っている。頻繁な暴力表現、狂気に満ちたキャラクター、残酷なセリフの連発。もちろん、これらの特徴が本作のユーザーを制限しているのだが、大人ゲーマーは、逆にこの強烈な個性に惹かれると思う。虜になりそうなこの個性こそが、本作のウリなのだ。

キャスティングされた声優陣にも脱帽だ。それぞれの個性的な声が、キャラクターに、鳥肌が立つほどの命を吹き込んだ。特にこの3人のキャラクターに圧倒された

 自らを学園長と名乗る「モノクマ」というキャラクターにも注目して欲しい。顔の半分はカワイイのに、もう半分は悪魔のような恐ろしさを持っている。声があの国民的なアニメのキャラクターを連想させるのに、言っていることは残酷そのもの。個人的には、ゲーム史上の最高傑作のキャラクターだと思う。

 最後に本作の演出について。裁判パートの演出は秀逸。メリーゴーランドのように回るカメラが、キャラクターの顔を1人1人追っていく。さらにテクノ調の曲が、ゲームをより盛り上げている。演出面でもユニークなスタイルを持っているアドベンチャーゲームだと確実に言える。

 単刀直入に言うと、CEROレーティングの17才以上という条件を満たしていてアドベンチャーゲームが好きなプレーヤーなら、本作のユニークな世界観にぜひとも酔いしれて欲しい。「ダンガンロンパ」の続編を発売させるためにも、日本の絶品アドベンチャーゲームを応援していきたい。

大山のぶ代さんが声を担当した学園長のモノクマは、数々の名セリフを生み出した。特に笑い声の「うぷぷぷ……」は、頭から離れないぐらい中毒性抜群だ!イラストとポリゴンを独特なスタイルでミックスさせた裁判パート。そのカッコよさが単なる画像で伝えるのが不可能なので是非自分の目と耳で体感して欲しい!

(C)Spike All Rights Reserved.

□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」のページ
http://danganronpa.com/
□関連情報
【2010年12月2日】PSPゲームレビュー「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/review/20101202_411176.html


其ノ三:名越稔洋氏の新たな挑戦とは?

 「龍が如く」シリーズで、世界的な人気を集める日本屈指のゲームクリエーター名越稔洋氏が、新たな挑戦をしている。日本だけでなく、欧米のプレーヤーも夢中にさせるゲームの制作だ。いわゆる、グローバルな大作。タイトルは「Binary Domain(バイナリー ドメイン)」。12月の初めに電撃発表され、PS3/Xbox 360用に開発が進められている。純粋なアクションゲームで、オンラインマルチプレイをウリにするゲームだ。

 過去に行なったインタビューでの名越氏のコメントを思い出した。「龍が如く」で培った技術を生かして、まったく新しいプロジェクトに移りたいという気持ちが、ずっと前からあったようだ。「龍が如く」シリーズで実現できなかったものを、新しいゲームで実現させたいと言っていた。おそらく本作が、名越氏の言っていた「新しいゲーム」なのだろう。

 公開された動画では、ロボットと戦う主人公たちの様子が展開される。某海外ドラマから出てきたかのような主人公、お決まりの黒人パートナー、そして、東洋人女性がチームをなしている。1990年代のセガの格闘ゲームを連想させるような、とてもステレオタイプな設定だと思う。

 ビジュアル面でも、“古さ”が目立っている。リサイクルされたアイディア。某SF映画で何度も見たことがあるかのようなシーン。個性に欠けるキャラクター。アメリカ発の某FPSから出てきたかのような主人公の、個性のない顔がそれを物語っている。「龍が如く」シリーズの魅力的なキャラクターに慣れ親しんでいる僕の目には、あまりにもオーソドックスに見えた。

 もちろん、これは初めての動画だから、これからゲームデザインが一新されることは考えられる。だが、初めて公開する映像だからこそ、4分以上の長いものではなく、もっとテンポが速く、コンパクトでゲームの特徴をストレートに描写する動画が見たかった。

 動画を見たあと、いつものように欧米サイトでのユーザーの反応も調べてみたが、主な意見は僕と同じだった。名越氏の作品だけに、システム面のクオリティはきっと高いだろうという評価が多いが、デザインや演出は拍子抜けだったという。

ロボットの姿や主人公の装備するアーマー、さらにキャラクターのモデルやアクティングもステレオタイプだと思う

 名越氏の作品を愛してきたからこそ、自分の正直な第一印象をはっきりと伝えることにした。キャラクターやロボットのデザインをはじめ、日本人の持つユニークな発想、技術、スタイルは、欧米でも愛されている。だからこそ、日本産のゲームの個性を活かしつつ、欧米のプレーヤーからも受け入れられるような機能が豊富でインターフェイスが使いやすいゲームシステムを開発して欲しい。日本のユニークなグラフィックススタイルは、さらなる付加価値として考えるべきだろう。

(C)SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「Binary Domain」のページ
http://www.binarydomaingame.com/
□関連情報
【2010年12月2日】セガ、PS3/Xbox 360「Binary Domain」始動!
「龍が如く」開発チームのマルチプレイ対応新タイトル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101202_410996.html


■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

 僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C) 2010 Nintendo / MISTWALKER

1位:THE LAST STORY
   プラットフォーム:Wii
   ジャンル:RPG
   発売元:任天堂
   発売日:1月27日
   価格:6,279円
   CEROレーティング:B

 数々の名作RPGの生みの親である坂口氏の新たなファンタジー。他のRPGと異なり、本作の舞台は島という限られた世界だ。主人公のエルザが傭兵として訪れるこの島では、自分の運命を変えるミッションが待ち受けている。舞台を“小さく”することで、逆にディテールにこだわることができたのではないだろうか。演出にも期待大!

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2010年12月27日】任天堂、Wii「THE LAST STORY」プレゼンテーションを秋葉原で開催
サプライズで岩田社長が登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101227_417724.html

(C)ATLUS CO.,LTD. 2010

2位:キャサリン
   プラットフォーム:PS3/Xbox 360
   ジャンル:アクションアドベンチャー
   発売元:インデックス
   発売日:2月17日
   価格:7,329円
   CEROレーティング:C

 予告動画を観れば、このゲームを欲せずにはいられない。「ペルソナ」シリーズのチームが、今までになかったアダルトなアドベンチャーゲームの実現に成功した。これこそが、日本だけが作れるユニークなスタイルのホラーアドベンチャーだ。妥協を許さないエロチックな演出にも酔いしれた。アクションパートで表現される主人公の悪夢にも大注目!

□インデックスのホームページ
http://www.index-hd.com/
□関連情報
【2011年1月6日】アトラス、PS3/Xbox 360「キャサリン」
最新プロモーションムービーを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110106_418339.html

(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

3位:逆転検事2
   プラットフォーム:DS
   ジャンル:推理アドベンチャー
   発売元:カプコン
   発売日:2月3日
   価格:5,040円
   CEROレーティング:B

 去年の東京ゲームショーで初登場した「逆転検事2」の発売が近付いてきた。体験版にも収録された本作の新要素の1つ「ロジックチェス」が、相手との会話をさらにダイナミックなものへと進化させたと思う。キャラクターのアニメーションは申し分ないが、対決パートのセリフに声が使われていない点に古さを感じた。3作目は是非3DSで出して欲しい!

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【2010年12月16日】カプコン、DS「逆転検事2」
最新プロモーションムービーを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101216_414785.html

(c)Marvelous Entertainment Inc.

4位:勇者30 SECOND
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:超速ドラマチックRPG
   発売元:マーベラスエンターテイメント
   発売日:2月10日
   価格:4,980円
   CEROレーティング:A

 前作のファンだったので、早速体験版をダウンロードして遊んでみた。前作のおまけ要素的なシューティングゲームなどが廃止されたのは好印象。さらにRPGモードは、より力が入れられており本格化。時間の進まない「グローバル」と30秒のタイムリミットがある「クエスト」という2つのフェーズにわけられた。RPG好きには朗報ばかりだ!

□マーベラスエンターテイメントのホームページ
http://www.mmv.co.jp/
□関連情報
【2010年11月5日】マーベラス、PSP「勇者30 SECOND」
発売日決定! 体験版のプレイ感想を募集中
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101105_404930.html

(C)2011 NBGI (C)いのまたむつみ (C)藤島康介
※画面は開発中のものです。

5位:ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:自分だけの騎士団を率いるシミュレーションRPG
   発売元:バンダイナムコゲームス
   発売日:1月20日
   価格:5,229円
   CEROレーティング:A

 2003年2月にPS2版が発売されて以来、根強い人気を誇るシリーズのPSP版。キャラクターたちを育成できる無限大の可能性にいつも驚かされる。バトルシステム「ローテーションバトル」も、本作のユニークな特徴の1つだ。さらに、PSP版には“テイルズ オブ”シリーズのキャラクターたちが登場する新モードも追加された。

□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2010年12月28日】バンダイナムコ、PSP「ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~」
体験版より少し先の物語とブレイブス・レジェンドモードの新情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101228_417737.html


■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

 ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

アクトレイザー
プラットフォーム:スーパーファミコン
ジャンル:アクション+シミュレーション
発売元:スクウェア・エニックス(旧エニックス)
発売日:1990年12月16日
価格:8,400円

まずマップ上で天空城を移動させ、発展させたい土地を選ぶ。マップの拡大/縮小エフェクトも見所の1つ

 「アクトレイザー」は、まったく異なる2つのジャンルを違和感なく融合させるという実験に成功した。その2つのジャンルは、アクションとシミュレーションだった。当時流行っていた横/縦スクロールのアクションパートに、いわゆる町作りを目標とした「ゴッドゲーム」の魅力をたっぷり味わえるシミュレーションパートが加わっていた。

 事の発端は、魔王と神との壮絶な戦い。負けた神が天空城へと逃げ、深い眠りについた。その一方で魔王は、世界を6つの地域にわけ、それぞれ6匹のしもべに支配させた。残った人間を魔物へと変えた魔王は、絶対的な支配を得ることになった。

 それから時が流れ、神は再び目覚めた。自分の失敗をずっと嘆いても何も生まれない。実行に移るのだ。各地域に残った遺跡に再び人間が住めるように、徘徊する魔物と戦う決心をするのだった。

 本作は、神の住む天空城から始まる。6つのエリアの中から任意に目的地を選び、そこにいる魔物と戦いエリアを発展させていく。魔物との戦いは、アクションモードで展開される。横/縦にスクロールする昔懐かしの2Dステージ。久しぶりにプレイして思った。難易度は極めて高い。

 また、プレーヤーの動きや攻撃パターンが少ない為、敵の動きをよく分析しながら慎重にプレイする必要がある。ゲームの進行度に伴い、アクションモードの難易度がさらに高くなるので、クリエイションモードで十分にキャラクターを強化してから挑むことが重要になる。

アクションステージの所々に、HPを回復するアイテムが配置されている。それらを拾いながらボスまで辿りつくと、勝利する確率が一気に上がる剣での攻撃パターンは、1つしか用意されていないが、ゲームが進むと魔法も手に入るので、攻撃パターンも少しずつ増すキャラクターのHPやMPは、クリエイションモードでのレベルアップで上昇する。アクションモードでまだ弱いと思ったら、クリエイションモードでレベルを上げてから再挑戦しよう

 アクションモードをクリアして魔物を追い払うと、土地の発展を目指すクリエイションモードに移る。ここでプレーヤーは、神を操作し土地のマップを移動しながらさまざまな行動を起こす。メニュから一目で機能がわかるアイコンを選び、信じられないシンプルさで道を作ったりできるのだ。つまり、シミュレーションゲームが苦手でも、このパートを大いに楽しめるわけだ。

メニューから道のアイコンを選ぶと、マップにカーソルが表示され、それを動かすことで道の形や方向を決めることができる画面の上部に表示された砂時計の砂がすべて落ちると、人間はプレーヤーが引いた道に沿って畑や建物を作り始める道や建物が増えると人口も少しずつ増加していく。人口が増加することで、プレーヤーのレベルが上がりHPが増加する

 クリエイションモードでは、町が発展していくにつれ、数々の悩みが住人たちを襲う。例えば、「周辺に木々が多すぎて建物が作れない」や「川を渡る技術がない」など、プレーヤーである神が、人間の悩みに耳を傾け奇跡を起こすことによって、これらの問題は解消される。メニューから落雷や雨、地震を選び、土地のさらなる発展に繋がる変化をもたらすことができる。

例えば、雷を落とすことで邪魔になる木々や岩を取り除くことができる風車のある土地では、風が止まることがある。ここで奇跡を起こして風を吹かせることができれば、風車は再び動き出し、住人が通常通りの行動を再開する奇跡を起こしたプレーヤーに、人間たちがアイテムを捧げることがある。もらえるアイテムは、MPを増やすものなど、ゲームの進行に良い影響を与えるものばかりだ

 さらにクリエイションモードでは、土地に残った魔物の巣を封印する必要がある。なぜなら、巣が残っている限り、そこから魔物がずっと生み出されるからだ。

 プレーヤーが操作する神は弓矢で魔物を倒しつつ、巣へと続く道を作る指示を人間たちに与えなければならない。道が完成すると人間は巣に向かい、巣が消え去る封印の魔法を行なう。すべての巣が封印されると、その土地のしもべ(ボス)が待ち受けるアクションモードに移ることになる。

人口がある程度増えたところで、魔物の巣の封印が実行できるようになっている神の矢の攻撃力を一時的に上げる便利なアイテムも、住人から貰えることがある放っておくと、魔物たちは人間の作った建物や畑を壊し始める。そうなる前に矢で倒そう

 アクションモードは、攻撃パターンが少ないため、今プレイすると少し古くなったようにも感じるが、クリエイションモードは現代でも最高に楽しめると思う。面倒なものを一切取り除いた、初心者にうってつけのシンプルでわかりやすい流れになっている。アクションとシミュレーションの絶妙な両立に魅了されるだろう。

 なお本作は、現在、Wiiのバーチャルコンソール(VC)にて配信中。価格は800Wiiポイント(800円相当)。

【グッジョブ!】【異議あり!】
クリエイションモードが楽しい難易度が高め
インターフェイスがわかりやすい攻撃のパターンが少ない
アクションステージを12以上収録アニメーションが粗い
古代祐三氏の音楽が最高!やり込み要素が少ない

(C) 1990 QUINTET/YUZO KOSHIRO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□VC版「アクトレイザー」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ac/


■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

 このコーナーでは僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1991年
イベント:「SONIC THE HEDGEHOG」発売!
ハプニング:郵便配達人が遅い!ベランダでのサバイバル劇が始まる!?

 1991年。髭の水道屋さんが、世界中のプレーヤーにゲームの王様として崇められている。任天堂のゲーム機は、ゲーム好きの必須アイテムになりつつあった。もちろん、僕もその1人のファンだった。マリオに匹敵するようなゲームは、おそらくずっと現われないだろうと思っていた。

 言うまでもなく、僕の予想は間違っていた。1991年。学校が夏休みに入ったばかりの時期だった。愛読していたゲーム雑誌の最新号を買う為に家の近くのキオスクに向かう。雑誌のタイトルは「CONSOLE MANIA」だ。

 当時、話題沸騰中の日本の家庭ゲーム機の輸入ゲームのプレビューやレビュー記事が載っていた、イタヲタには必須の雑誌だった。僕は、発売日が近付いてくると、1日に何回もキオスクに確認しに行っていたぐらいマニアックな読者だったのだ。

 最新号の表紙には、初めて見るキャラクターが載っていた。アメリカンコミックスを思わせるような、青い動物。ネコのような、ネズミのような……どうやら、そのキャラクターの名前は“ソニック”というらしい。今月号にレビュー記事が載っているようだ。大切な雑誌だから、家に帰ってから読もう!ソファに横たわってゆっくりと、雑誌を徹底解剖しよう!と、定番の流れだった。

 「SONIC THE HEDGEHOG」(ソニック)。メガドライブ用の新感覚プラットフォームゲーム。レビュー記事のタイトルはそう伝えていた。そして、4ページにも渡った長いレビュー記事のスコアを見てみると……100点!100点中100点だ!つまり、満点!記者のコメントは「とうとうマリオにとって最強のライバルが現われた!」や、「マリオはもう1人ではない!」など、ベタ褒めの言葉ばかりだった。

 その瞬間に、僕の体が勝手にソファから起き上がった。そして、誰かにコントロールされているかのように自動的に電話機へと向かったのだ。インポートゲームを扱っていたミラノのゲームショップに電話する為に。

 「ソニック」は、ミラノのゲームショップに既に届いていた。そして、僕はその日、無事に注文することができた。あとは、何日か待つだけだ。店員は「今日は土曜日だから、おそらく来週の火、水あたりに届くのではないだろうか」と言っていたから、予想よりも早いと思った。

 いいね!とにかく、明日は日曜日だから、学校の宿題に集中して、ゲームのことをあまり考えないようにしよう。しかし、いくら自分にそう言い聞かせても、僕の頭の中は「ソニック」でいっぱいだった……。

 月曜日がスムーズに過ぎ、もう火曜日になった。授業の終わりを告げる学校のチャイムが鳴った瞬間、まるで音速のハリネズミに変身したかのように走り出し、家へと急いだ。なぜなら、「ソニック」の入った小包みが既に家に届いているかもしれないからだ。母が家のドアを開けるや否や、僕は母に確認した。

 「ママ、小包み、届いてない?」
 「いや、電気代と手紙だけだったよ」

 そっか……人生は、そう簡単にうまく行くはずがない!とその時思った。しかし、僕の人生が進む為の条件は「ソニック」を受け取ることだけだった。

 昼ご飯を食べ終えると、早速、マイルームに閉じこもった。ある作戦を実行するためだ。作戦とは、夜までベランダで待機することだ。ある人を“待ち伏せ”する為の作戦だった。その人の正体は、もちろん郵便配達人だ。今日か明日、「ソニック」の入った小包みを届けに来るはずの“配達人待ち伏せ作戦”スタート!

 僕は、まるで戦争映画の敵の接近を待ち受ける兵士のようだった。マンションの2階にある自宅のベランダから、中庭や正面入り口まで続く道の様子を一望できた。つまりここで待機すれば、配達人を見過ごすことは不可能ということになる。

 午後3時半。昼休みを終えた管理人のジュリオが、24時間唇に貼りついたタバコを吸いながら中庭の地面を掃除し始めた。彼は、ベランダで待機していた僕の存在に気付き、顎で挨拶してきた。僕が挨拶をかわそうとした瞬間に事態が一変した!中庭の奥の正面入り口から、怪しい人物が入ってきたのではないか!配達人っぽい制服を着ているし、手に小包みを抱えているではないか!

 2階だから、ベランダから直接中庭に飛び降りたい気持ちだが、危険だから階段を使おう。30秒も経たないうちに、ジュリオと配達人がいる中庭に着いた。郵便の人が、駆けつけた僕のことを見た瞬間「この少年、一体誰?」と、驚いた表情を見せた。配達人が去っていくのを待って、早速ジュリオに例の質問を投げかけた。

 「ジュリオ、僕宛ての小包みは届いていない?」

 ジュリオは、受け取ったばかりの郵便物に目をやりながら、「えっと……これはしがいもーす、これもしがいもーす、これもしがいもーす」と言った。

 何故“違います”とちゃんと発音できないんだろうと思いながら、少し落ち込んだ気持ちで自宅のベランダへと戻った。もう今日は、郵便の人は来ないだろうと思っていたが、それでもベランダでの作戦を続けることにした。もちろん日が暮れるまで!

 午後6時15分。台所から美味しそうなミートソースの匂いが漂い始めた時、運命の歯車が再び動いた!正面入り口のところに、配達人のシルエットを見つけた!しかも、持っている小包みの数は、さっきやってきた配達人よりも明らかに多いのだ。

 OH YEAHH!あの小包みの山の中に、僕の大切なハリネズミが入っている確率は極めて高い!その瞬間に自分の手を見て、ゲームの箱が握られている未来のイメージが思い浮かんだ。あと5分で遊べる!と確信していた。

 ジュリオのところに走っていった。瞬間移動のような速さだった。

 「ジュリオ、今回、僕宛ての小包み、来てない?ミラノから?」

 「えっと……」

 ジュリオは、小包みにプリントされた住所を1つずつ確認していく。

 「みんな、しがいもーす」

 NOOOOO! 2回目もダメなのか! あのミラノのゲームショップ、ちゃんとゲームを送ったのかなと、疑い始めていた。大きくため息を吐きながら、また自宅のベランダへと戻った。

 時計を見ると午後8時だった。僕は、希望を捨てずにまだベランダで待機していた。ジュリオはもう中庭にはいない。仕事が終わり、家で夕飯を食べているようだ。今日は、諦めるしかないのかな?“配達人待ち伏せ作戦”を一旦中断して、夕飯が待っている台所に向かう。母はミートソースパスタの仕上げに集中していた。

 「パパはまだ?」
 「もうすぐ帰るんじゃない?ほら、あの交差点でいつも渋滞があるでしょ」
 「そっか……」

 「もう人生終わりだ!」といわんばかりの顔で自分の席に座る。

 「どうしたの?おめめ、死んでるよ」
 「いいえ、だ……大丈夫だよ……」
 「どうせ例の小包みが関係しているでしょう?」
 「うーん、そんなことないよ」

 と、答えたものの、その直後に終わりそうもないため息が続いた。目の前の皿を凝視する。皿の内側を走るハリネズミが一瞬見えた。オタクの想像力は凄まじいものだ。でも、遊びたかったな、今夜。本当に楽しみにしていた。いつもの妄想にふけっていたら、ドアのインターフォンが鳴らされた。

 「ディン ド~ン」

 「ほら、パパだよ。手がふさがっているから、君が開けてくれる?」
 「はいはい」

 重たい足取りで玄関に向かって歩き始める。誰なのか確認せずにドアを開け、正面を見ずに「お帰り、パパ」と言って、キッチンへと戻ろうとしたら「あの、こちらカミナリ様のお宅ですよね」という声が聞こえた。

 聞いたことのない声だった。ま、まさか!と振り向いてみると、郵便配達人が立っていたではないか。いや、正確に言うと、宅急便の人だった。そ、そっか!普通の郵便じゃなかったんだ。宅急便で送られていたんだ。だから、8時以降でも届けられる可能性があるんだ。

 「はい、間違いなく、カミナリのオタクでございま~す!」

 満面の笑顔で受取証書にサインして、宅急便の人に必要な代金を渡した。 ドアを閉めて、マイルームへと走ろうとした瞬間……

 「おい、どこ行くの?」

 キッチンにいた母の声だった。

 「まさか、食べずに遊びたいわけじゃないよね?」

 少し怒った口調だった。母は僕の1日の不審な行動を観察していたのだ。もちろん“事件”のすべてを知っていたらしい。

 「ほら、美味しいミートソースを食べた後のほうが、ゲームが面白くなるでしょ?」

 「そ、そうだね」と答え、パパの帰りを待ってみんなで美味しいミートソースパスタを食べ始めたのだった。もちろん、あの夕飯で“早食い自己記録”を更新した。




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(2011年1月7日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]