佐藤カフジのVR GAMING TODAY!
“VR祭り”と化すGDC 2016の注目ポイントを総予習する!
世界最大のゲーム開発者のための祭典で、VRの未来が見えてくる!?
2016年3月14日 14:50
世界最大のゲーム開発者向けカンファレンス「Game Developers Conference 2016」がいよいよ米国時間の3月14日より開催される。GDCが始まって30周年となる今年は、コンシューマーVRが本格的にローンチする年という意味でも大きな節目となる。
この節目にあたって、今年のGDCではかつてない規模でVR・ARが扱われる。その皮切りとなるのは会期1日目と2日目に予定されているVR・AR関連集中トラック、名づけてVirtual Reality Developers Conference=VRDCだ。
VRDCはGDC内の集中トラックという位置づけだが、その中でも「GameVR/AR」と「Entertainment VR/AR」という2つのカテゴリーが存在。その双方合わせて2日間で40以上のセッションが開催予定となっている。
そのほか、会期3日目から5日目にかけての通常セッション日にも、VR・ARに関連したセッションが数十コマも予定されており、多数のゲームメーカーやプラットフォーマー、ハードウェアメーカー等から様々なVR・AR関連開発情報が披露される見込みだ。
これほどまでにVR・ARに特化したGDCはもちろん過去初めてのこと。「VR元年」と言われる今年のGDCでは、大勢のゲーム開発者が貴重なノウハウを持ち帰ることになるはずだ。それは間違いなく、将来のVRゲームの進化を読み解く鍵になっていくはず。
今回はVR祭りと化したGDC直前ということで、注目の企業やセッションについての情報を予習することにしてみよう。
GDC 2016、VR関連注目企業
GDCではVRに注力する多数のプラットフォーマーやゲームエンジンメーカーが最新の情報やノウハウを披露する。ここでは最も注目すべき企業について、出展予定の内容を見ていこう。
Sony Computer Entertainment
プレイステーション 4用のVRシステム、PlayStation VRの発売を2016年第2四半期を控えるSCEは、GDC会期2日目の3月15日に、大型のプレスカンファレンスを開催する予定だ。カンファレンスではPSVRの価格や発売日が明らかになることが予想されるほか、最新コンテンツの試遊機会もたっぷりの時間をかけて提供される模様。筆者もできるだけ多くのコンテンツをしっかり体験し、レポートをお届けするつもりだ。
また、会期2日目までに開催されるVR関連集中セッション「VRDC」ではPSVR向けのコンテンツを手がけるSony London Studioによるセッションが予定されているほか、通常セッション日にもSCE本体によるPSVRのプログラミングセッションが予定されている。このPSVR関連情報が、GDC全体を通じて最も分厚く報じられることになりそうだ。
Oculus
Oculus Riftの発売を目前に控えたOculusは、GDC開幕に合わせて海外メディア向けの体験会を実施しているほか、GDC Expo会場には最大規模となる大型ブースを出展し、Oculus Riftで楽しめるコンテンツを大量に展示する模様だ。セッション日には複数の関連セッションが予定されており、Oculus Story StudioによるVRコンテンツ制作のノウハウ開示や、Oculus本体によるテクニカルセッションなど、VR関連開発者にとって幅広い情報が得られることになると期待される。
Valve
こちらもSteamVR初号機、HTC Viveの発売を目前に控えるValveは、会期3日目となる3月16日、HTC Viveに対応するVRゲームやアプリを30タイトル以上もプレス向けに公開する予定だ。Stress Level Zeroによる「Hover Junker」をはじめとするルームスケールVRをフル活用したゲームから、Epic GamesによるUnreal EditorのVR版に至るまで、幅広いラインナップが網羅される。ただ、試遊できる時間には限りがあるため、どれを優先的に選択するか、いまから筆者は頭を悩ませている。セッション日にはValveから2つの関連セッションの実施も予定されている。
AMD
CPU/GPUメーカーのAMDは、GDC初日の3月14日に大型のプレスカンファレンスを開催する予定だ。そこで発表される内容はまだ明らかになっていないが、次世代GPUアーキテクチャPolarisを用いた新GPUシリーズの発表がなされることが期待されている。同時期に次世代アーキテクチャPascalを投入予定のNVIDIAに先んじる形での発表となれば、VR関連業界からの高い注目を浴びることになりそうだ。
Epic Games
Unreal Engineを開発するEpic Gamesは、例年どおり大型のブースをGDC Expoに出展する。今年の目玉は、Unreal Editor機能をそのままVR空間内で駆使できる、VRエディター機能だ。HTC ViveやOculus RiftのVRコントローラーを使った「体感型ゲーム開発」がどのようなものになるか、直接体験できる貴重な機会になるかもしれない。
VRDCおよび通常セッションの注目ポイント、その他の出展や催し
会期2日目までのVRDCや、3日目以降の通常セッションデイに予定されている各種VR・AR関連セッションの中から、VRゲームファンの注目に値しそうなものをピックアップしてみよう。
VRゲーム関連注目セッション
まず初日の14日には、PSVRファーストパーティであるSony London Studioが「Fast And Flexible: Technical Art And Rendering for the Unkown」というセッションを実施。数々のPSVR向けコンテンツを生み出した開発手法の秘密が語られる模様だ。
2日目には、Oculus Touchを利用したVRFPSとして話題となったEpic Games「Bullet Train」のポストモーテムセッション「Going off the Rails: The Making of Bullet Train」が行なわれる。VR時代のFPSがどのように制作されるか、興味津々だ。
3日目の16日には、Sony提供セッション「PlayStation VR: Development and Innovations」というプログラミングセッションが開催される。このセッションではPSVRのハードウェアとソフトウェアに関する最新情報が披露されるほか、「The PLAYROOM VR」の開発チームから驚きの新情報がもたらされる、らしい。
同じく16日にはOculusによる面白そうなセッションも予定されている。「Cross-platform Multiplayer Games and IAP on the Oculus Platform SDK」と題されたこのセッションでは、VRゲームのクロスプラットフォーム・マルチプレイヤーという、新境地のコンテンツ開発についての議論がなされることになりそうだ。
17日に予定されているARMによるセッション「Achieve High Quality Mobile VR Games」も興味深い。モバイルプロセッサーの巨人であるARMが本格的にVRゲームに注目しているとなれば、モバイルVRが十分な品質を獲得する時期も早まることになるかもしれない。
GDCではその他にも多数のVR関連セッションが予定されている。筆者としてはできるかぎり幅広くレポートしていくつもりだ。
VR Lounge
GDCの会期中全体にあたる3月14日から18日にかけ、会場内にはVRゲーム体験コーナー「VR Lounge」が設営される。ここではGunfire Gamesの「Chronos」やSurviosによる「Raw Data」をはじめ、スポンサーのEpic Gamesが選定した10本のVRゲームおよびVRエクスペリエンスが展示される予定だ。ここでしか体験できないタイトルも存在するため、筆者としても時間を見つけてしっかりとチェックしておきたいと考えている次第。
今週一杯をかけて開催されるGDC。このようにたくさんのVR関連情報が飛び出してくるイベントとなるので、ゲームファン、VRファンの皆さんはぜひ注目していこう。