【連載第5回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


「大航海時代Online」で感じた“コミュニティの温かさ”
インドからの苦難のソロ航海、仲間の声に支えられ家路へ


 オンラインゲームの様々な面を取り上げ、面白さを再確認する「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」。今回は、「大航海時代Online」でギルド(商会)チャットを通じて体験した“コミュニティの温かさ”を語っていきたい。

 「大航海時代Online」は本質的にソロプレイの要素が強く、周りに水平線しか見えない中1人で旅することも多い。しかし、ギルドチャットを利用すれば、ゲーム内でキャラクター同士が顔を合わせなくてもコミュニケーションがとれる。退屈になりがちな遠洋航海中に、クエストの感想や、ちょっとした疑問、雑談、攻略法などゲーム中様々なことをギルドメンバーと情報交換した。

 「大航海時代Online」では自分の位置が特定できる正確なワールドマップはない。周囲の地形をスキルで確認しながら、コンパスを頼りに「こっちに港があるに違いない」と予測しながら大海原を進む。時には不安に囚われたり、危険な状況に陥ってしまう。そんなとき、ギルドチャットは本当にありがたく、冒険の支えになってくれた。今回はそんな体験を語ろう。


■ 「がんばれ!」 嵐の中、不安を紛らわせてくれた仲間達の声援

インドではカレーが食べられる。世界各地の名物料理と出会えるのもこのゲームの楽しさだ

 「大航海時代Online」での憧れの1つが「インド洋」である。ヴァスコ・ダ・ガマが発見したアフリカ、喜望峰を回るルートを自分の船でもたどってみたい。なによりも、コショウやルビーなど持ち帰ることができれば大きな儲けになる商材が眠っている。実力的にはまだ早かったが、とにかく挑戦してみたかったのだ。商会の先輩達に作ってもらった船、そして作ってもらったアイテムを使えばきっと行ける!

 目標は「インドからコショウを持ち帰ってくる」事に決めた。このため、行きは乗ることで自動的に目的地に運んでくれる「定期船」を使った。アフリカのケープで乗り換え、インドのカリカットに向かう。初めてついたインドは「とにかく緑色の世界」だった。海は緑で、街全体も緑のフィルターをかけたようになっていて、ヨーロッパの街とは全く違う雰囲気だった。

 しばらくインド周辺の探索を行なった後、有り金を全部はたいてコショウを買い、カリカットを出発した。まっすぐ西にインド洋を横切り、一気にアフリカと右岸まで向かう計画だ。

 「大航海時代Online」では航海中さまざまなことが起こる。船が汚れると船員が病気になるし、火災が起きる場合もある。船員達のためにいい食料を積んでおかなくてはならないし、修理用の材料も持っておきたい。これらに対処するためのアイテムも必要だ。長い航海と、コショウを運ぶ事を優先しているため、船員は最低限しか配置していないが、その当時のできうる限りのアイテムを揃えて航海に乗り出した。大きな心配は“嵐”だった。インド洋は他の海域と比べても嵐が多いのである。たった1人でこの困難に立ち向い、遠洋航海を成功させなければならない。


イラスト:ミズノ マサト

「嵐です、こわいよー!」

 案の定、インド洋横断のど真ん中で嵐に遭遇した。嵐の間は船は進めず、錨を降ろして耐え忍ぶしかない。この時精神的に助かったのがギルドチャットの存在だ。「嵐に遭ってます、こわいよー」、「がんばれー」。こんな簡単なやりとりだが、僕がここにいることを知って心配してくれる人がいる、というのは大きな心の支えになった。

 実は嵐に遭遇したときパニックに陥ってしまい、焦って席を立ったりPCの周りをうろうろ歩いたりしてしまった。初航海ならではの慌てっぷりに、ベテラン航海者たちは、チャットで色々な話や、意見を聞かせてくれた。自分のことのように心配して、細かく状況を聞いてくる人や、「大したことない」と自分の怖かった記憶を語る人、余裕たっぷりにアドバイスをしてくれる人、様々なやり方で僕をフォローしてくれた。リアルタイムで具体的な支援をしてくれる、というのはシステム上できないが、彼等との「話」はずいぶん僕の緊張を解いてくれた。

 嵐が過ぎ去り、再び船を進めることができてからも、僕は心細さを紛らわすため、ギルドメンバーに細かく状況を説明していった。初めてのインド洋の心細さ、というのはすべてのメンバーにとって相通ずる部分があるようで、色々な人が応援してくれた。「大航海時代Online」では、自分の位置をマップ上で知るすべがない。スキルを使えば周囲を表示できるが、自分が目指すところに進んでいるか、というのは、コンパスで確認するしかない。マップに島の影が全くない地点では、自分が本当に目指す方向に進んでいるか、疑心暗鬼にかられる。アフリカ東岸が見えたとき、本当に安堵したことを覚えている。商会の人達に報告すると、褒めてもらえたのも嬉しかった。

 しかし、実はここからが「本番」なのだ。アフリカの西側はまさに僕のようなインド、そして新大陸からの富を運ぶプレーヤーを待ち受けるPK(プレーヤーキラー)の海賊達が待ち受けている。彼等に襲われたら一巻の終わりなのだ。商会リーダーから危ないルートなどは教えてもらい、多少遠回りはするようにしているが、他の海域に比べ、危険度が最も高いのだ。喜望峰、そしてアフリカの西をじりじりと北上しながら、僕はいちいちギルドチャットに現状を報告していった。

 いま考えると、かなりウザイチャットだったと思うが、そうしないと不安で仕方なかったのだ。色々応えてくれた商会の方々には、本当に感謝したい。危険域を超えて、安全海域に到達したときの安堵感はいまでも忘れられない。カリカットから出発して2時間、まさに「大冒険」だった。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「PKに備えて、朝4時に航海」

広大な海を自分の船でどこまでも旅していく。世界の海では、プレーヤーを狙うPKに狙われる危険性が常にある

 「大航海時代Online」で恐ろしいのがPK(プレーヤーキラー)だ。PKに襲われれば船は沈められ、根こそぎ稼ぎを奪われてしまう。ヨーロッパ近海はPK禁止区域だが、ここから出られるようになる、中級者にとってPKは恐怖の対象だ。特に遠くから貿易品を満載し、ヨーロッパに帰るときが危ない。こちらは輸送を優先させるため、人員も砲弾も最小限、対するPKは戦闘用装備満載で、しかも戦いに特化していたりする。

 僕は商会に入った初期からPKの怖さを繰り返し聞かされていた。危険海域はできるだけ遠回りをするルートを教えてもらった。危険海域に入ったらプレーヤー検索を真っ先にして、赤ネームがいれば引き返す。僕はPKに遭わないようにするために奥の手を使った。

 それは「活動時間をずらす」ことだ。僕は遠くで貿易品を積んでそこで一旦ゲームを止め、目覚ましをセットして眠りにつき、朝4時に起きて危険海域を横断した。それでもPKへの注意は怠らず、びくびくしながら進んだ。

 こうして進みながら、朝6時くらいにはヨーロッパに着いた。この時間帯でのプレイを奨めてくれた人も含め、商会の何人かが同じように早朝プレイをしていた。筆者はライターのため、この後仮眠を取ることができたが、このまま出社するという人も多かった。PKに対処するために現実の時間を工夫するというのは、ロールプレイ、という意味でかなりリアルな感触だなあと、布団に潜り込むときに改めて思ったりした。



~今回ぐだってしまったオンラインゲーム~

「大航海時代Online」

スフィンクスを発見。各国の地理や歴史、文化も学べる

 「大航海時代Online」は、ヨーロッパの海洋冒険者が世界の海へと旅立つMMORPG。プレーヤーは「商人」、「冒険者」、「軍人」の3つの職業レベルといくつものスキルで自分の考える海洋冒険者を作り上げていく。2005年3月よりサービスがスタートし、2009年4月にはプレイステーション 3版も発売された。サービス形式は月額課金だ。

 美しい青い空と海、世界各地を自分の船で巡り、インドや東アジア、新大陸アメリカなど未知の世界を探索していく楽しさは他のオンラインゲームにはない、独自の魅力を持っている。2009年12月には拡張パック「大航海時代 Online ~El Oriente~」が発売され、待望の日本地域が実装された。その後、台湾、朝鮮、中国を実装している。新たな遺跡ダンジョン「パレンケ」を11月に実装し、2011年2月22日には第4弾の拡張パック「Tierra Americana」の発売が予定されている。

 大陸の形、点在する港、世界各地デコとなる自然の描写、各地の建物とイベント、地域の名産……などなど、「大航海時代Online」は膨大な資料によって世界が作られており、「ここへ行ってみたい」と異国への憧れを強く刺激する作品だ。


【スクリーンショット】
世界各地の海と港を巡っていく「大航海時代Online」。世界を旅する楽しさは他の作品の追随を許さない
最新のアップデートでは、新衣装や新ダンジョン、新ペットの「パンダ」が登場する

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(2010年 11月 30日)

[Reported by 勝田哲也]