使って試してみました! ゲームグッズ研究所

連載第393回

NEOGEO miniでも使える!主要ハードほぼ全ての8機種対応アーケードスティック「Mayflash F300」を試してみた

 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。

 アーケードスティックコントローラーといえば各ハードごとに対応製品がわかれているので、手広く遊んでいる人だとアケコンだらけになりかねない。移植タイトルや格闘ゲームが好きな人なら1度は、「1台でいろんな機種に使えるアケコンがあればいいのになぁ……」と思ったことがあるはず。

 その希望に叶う製品を展開しているということで、ここ数年注目を集めているのが中国MAYFLASHの販売するアーケードスティックだ。

 MAYFLASHのアーケードスティック製品は、現在主流なハードのほぼ全てに対応するほか、ファームウェアのアップデートで対応ハードを増やしているのが特徴。2018年9月末から提供されているファームウェアでは「NEOGEO mini」にまで対応したのが話題となっている。

 今回はそんなMAYFLASHのアーケードスティックラインナップから、「F300」を使って試してみた。

「NEOGEO mini」含め8機種に使える、MAYFLASH製のアーケードスティック「F300」

メーカー:Mayflash
実売価格:7,000円~10,000円
対応機種:PS4/PS3/XBOX ONE/XBOX 360/XBOX ONE X/PC/Android/Switch/NEOGEO mini
発売日:2015年12月21日

 今回試しているアーケードスティック「F300」は、海外だと2015年の年末に発売された製品で、かなり年月が経っている。だが、発売後もファームウェアのアップデートによって使用できるハードを増やしていったのが大きな特徴で、今も同社のラインナップの中でもスタンダードモデルといって良い製品だ。

 現在は以下の8機種に対応している。

・プレイステーション 4
・プレイステーション 3
・Xbox One
・Xbox 360
・Nintendo Switch
・Windows
・Android
・NEOGEO mini

 このように多機種に対応していて、特に最新のファームウェアで「NEOGEO mini」に対応したのが驚き。現在のところ(2018年10月)、「NEOGEO mini」に使えるアーケードスティックはMayflashの製品のみとなっている。

 ただし、この多機種対応にはそれなりの前提というか条件がある。このうちPS4、Xbox One/Xbox 360については、純正コントローラーなどの「コントローラー認証」ができるコントローラーをアーケードスティックに接続して使うことになる。

 「F300」自体には認証用のチップなどが搭載されていないので、認証機能のあるコントローラーをアケコンに接続して認証を通すというやり方だ。簡単に言うと“強引に使えるようにしている”わけで、動作など諸々に公式的なサポートがある製品ではない。例えば、今後の各ハードのアップデートなどによってアケコンが動作しなくなったり動作に不具合が出たりする可能性もあるのだが、おそらくMayflashはそれに対応するファームウェアを提供するなどして追従していくのが想像できる。そうした、“手間やリスクも込みで自己責任で扱える人向け”な製品と言える。

PS4、Xbox One、Xbox 360は写真のように本体認証のできる純正コントローラーを接続することで、F300も操作できるようになるという方式

 ちなみに、今回試している「F300」も2018年10月現在の出荷状態のバージョン1.14ではNEOGEO miniに対応していないので、製品ページから提供されているツールでファームウェアをバージョン1.16にアップデートする必要がある。

 さらに、NEOGEO miniと接続するには、USBケーブルのコネクタをTYPE AからTYPE Cに変換するアダプタも必要になる(PC用の汎用アダプタで問題ない)。こうしたところも自分で情報を調べて用意できる人向けな製品というところもあるだろう。

NEOGEO miniにもファームウェアアップデートで対応した。ただし、接続にはUSBケーブルコネクタをTYPE AからTYPE Cに変換するアダプタも必要になる。こうしたところがあるので、そうしたアダプターの用意やPCを経由してのアップデートなどができる人向けの製品とは言える

 アーケードスティックとしての作りを見ていこう。1レバー8ボタン搭載で中型サイズの筐体を採用した、汎用的なアーケードスティックコントローラーだ。

 サイズは、29×22×6.5cm(横×縦×高さ)。「F300」はレバーとボタンに自社製パーツを使用しているものの三和電子の業務用パーツに換装することもできるが、そうした業務用パーツでの1レバー8ボタンを搭載する筐体としてはコンパクトな大きさになっている。

 ボタンのレイアウトはいわゆるビュウリックス筐体の配置で、筐体手前には手首を置ける傾斜もつけてあってアーケード準拠のレイアウトやデザインをしている。ただ、レバーとボタンの間の距離は少し狭くなっているのが独特で、一般的なアーケード準拠のアーケードスティック製品だとレバーボタンの間は約6.5cm離れているのだが、「F300」は約4.5cmと狭くなっている。コンパクトサイズの筐体ゆえの特徴と言えるが、アーケード準拠のレイアウトに慣れている人だとちょっと窮屈に感じるかもしれない。

 中央の上部にはスタートボタンがあるが、うっかり手が触れて押してしまうということがないよう、一段凹んだところに設置されているのは嬉しい配慮だ。左上には、Xinput/GAME CONSOLE/Dinputの切替えやDパッドとX/Yアナログ軸の切替え、連射機能や、セレクトボタン、HOMEボタンなどが搭載されている。

 多機種対応な製品だけにモード切替えのスイッチが多くあり、組み合わせをちゃんと合わせないと各ゲーム機で動作しないところが少し難しい。製品に同梱されている説明書は日本語で書かれてはいるもののかなり簡素なもので正直なところわかりづらいため、日本代理店のシンカ合同会社の製品紹介ページにある「接続方法」を見るのが1番わかりやすいだろう。

 重量は約1.5kg。筐体のサイズからすると重くなっているが、操作中にズレたり動いたりしないよう、底面のフタに厚めの金属板を使用しているためだ。また、金属板の4隅にはゴム足も貼り付けてある。

 接続ケーブルはUSBコネクタで、ケーブル長は約3m。筐体の背面にはUSBコネクタも1つあって、こちらはPS4/Xbox One/Xbox 360で使うときに認証用の純正コントローラーを接続するコネクタになっている。また付属品にはUSB TYPE A-MicroUSBのケーブルも同梱されている。

1レバー8ボタンタイプのアーケードスティックだが、業務用パーツも換装できるアケコンとしては筐体サイズは小さめ。そのため、レバーとボタンの距離が近くなっている

 いくつかの機種でのプレイに実際に使って試してみた。

 まずは搭載されているレバーとボタンの感触だが、レバーは四角ガイドの標準的なもので、入力スイッチの感触や戻りの反発、ストロークの深さやバネの硬さなど、三和電子の標準的なものに近いものに仕上がっていて好印象だ。強いのこだわりのない人ならこのままでも十分に使える。

 ただ、ボタンの方は感触がボテボテッとしていて、ボタントップの形状も丸みが強く、ボタントップが厚くて重いのを感じさせる。軽快なパシパシッとした感触を求めるのなら換装するのをオススメしたい。また、同社からはレバーとボタンを三和電子製のものに換装してある「F300 Elite」という製品もあるので、そちらを求めるのも手だ。

 PS4/Xbox One/Xbox 360で使う場合は、純正コントローラーや有線コントローラーをF300に接続して本体に認識させてからという手順になる。接続の手間が2段階になるので、多少手間がかかると言えばかかるが、そこは多機種対応とのトレードオフなのでいたしかたのないところ。

 認証させしてしまえば、その後の使用感は一般的なアーケードスティックコントローラーと同様だ。セレクトボタンやHOMEボタンもあるので、どの機種においてもボタン数が足りないということもなかった。また、こうした他機種対応の製品だと機種によっては初期のボタンの割り当てが滅茶苦茶になったりしがちだが、こちらではそういうところはなくデフォルトでそのまま扱える無難なものになっていた。手間がかからず扱いやすい。

 Nintendo Switchで使う場合は、他の機種のように別のコントローラーを使う必要はなく、ドックのUSBコネクタに繋げばそのまま使用可能な状態になる。今回はシステムバージョン6.0.0の本体で試したが、動作には特に問題は見られなかった。

 対応機種に加わったばかりのNEOGEO miniだが、こちらも実際に試してみたところ問題なく操作ができた。研究所員はこのF300の検証がアーケードスティックでNEOGEO miniをプレイする初めての体験となったが、やはりフルサイズのレバーとボタンによる操作のしやすさは圧倒的で、満足度がグンと高まる。ボタンの割り当ては左4ボタンに集約される。

NEOGEO miniでも問題なく使用できた。やはりフルサイズのレバーとボタンでの操作は快適

 入力遅延については、他機種対応な製品ということもあって一概に言えないところがあるが、ひとまず各ハードで使ってみて遅延をはっきり感じるようなことはなかった。それぞれのハードに適した電子回路を使っていたり、調整がされているわけではないので入力遅延が大きそうだと想像してしまうところだが、そういったことは特になかった。

 ただ、各機種に特化しこだわって調整されている製品と比べると厳しいというのは間違いなさそうで、PS4において低遅延と評価されているHORIの「ファイティングエッジ刃 for PlayStation 4 / PC」と、PS4版「ストリートファイターV アーケードエディション」にて1ボタンで2台の大キックが同時入力されるように配線してのぶつけあいをしてみたが、相打ちのなかに「ファイティングエッジ刃 for PlayStation 4 / PC」側のカウンターヒット勝ちが混じって、「F300」側が勝つことは1度もないという結果だった。

 まとめると、より本格的なプレイ環境として特に入力遅延をシビアに意識するのなら、各機種に特化して調整されている製品を購入するのが無難という、多くの人が「それはそうだろうな」と感じるであろうイメージ通りの結論になる。ただ「F300」自体も、いろいろな機種に1台で対応するコスパ重視な製品としては、遅延も気にならない程度で十分に使える製品と言える。

同時技出しでのテスト。1P側が「ファイティングエッジ刃 for PlayStation 4 / PC」、2P側が「MAYFLASH F300」。相打ちの中に「ファイティングエッジ刃」のカウンターヒット勝ちが混じるという結果だった。とはいえ、最速クラスの呼び声高い「ファイティングエッジ刃」にはさすがに負けるものの、「F300」もいろいろなハードに使えるという特徴からすれば、十分にレスポンスの良い製品となっている

 底面の金属板を外せば筐体内部にアクセスできる。「F300」で使われているレバーとボタンは同社製のものだが、レバーユニットを設置するガイドは三和電子製のレバーユニットをつけられるし、ボタンもファストン端子なので換装もできる。

 ただ、レバーユニットはレバーのスイッチ4個それぞれにケーブルが半田付けされていて、その4本が基板と繋がっているという特殊な作り。そのためアーケード用レバーと換装するなら接続用のハーネスも用意しなければいけないのだが、そのハーネスは5pinの両方の端がメスコネクタになっているという、これまた特殊なものが必要になる。

 この5pinメスメスのコネクタ付きハーネスというのはアーケードゲーム用パーツとして生産供給されているものではなく、いわゆるドローンなどのRCヘリコプターに主に使われているパーツだという。このハーネスはAmazonで一応購入できるものの、それ以外では入手が難しい。もしそのハーネスが入手できなければ、三和電子から5pinの片側メスコネクタ片側ケーブルむき出しのものが販売されているので、それを2本繋げて自作するなどするほかないだろう。

 というわけで、ハーネスの現時点での入手性の低さを考えると、「F300」自体は手軽に換装するというのにはオススメしづらい。レバーやボタンを三和電子製のものにしたいなら、「F300」と同型ながら標準で三和電子製のレバーとボタンを搭載している「F300 Elite」という製品が発売されているので、そちらがオススメだ。

筐体内部の写真。ボタンはファストン端子なので業務用パーツに換装できるが、レバーは5pinメスメスコネクタというちょっと変わったハーネスが必要になる

 アーケードスティック「F300」を使って試してみたが、魅力としてはやはり、これ1台で主要なハードに加えてNEOGEO miniにまで使えてしまうというコストパフォーマンスの高さが最大のポイントだ。そこに価値が集約されていると言ってもいいだろう。

 各機種での操作の感触にも特に大きな問題と感じるものもなく良好だった。さすがに入力遅延などをシビアに考えた場合は、それぞれのハードに特化した製品に軍配は上がるが、「F300」そのものの入力レスポンスに遅延を感じるほどではなく良好で、「いろんなハードでレバーで快適に操作したい」という大前提はちゃんと叶えられる。

 ファームウェアのアップデートなども含めて全体的に「自分で情報を追って自己責任で扱える人向け」な製品ではあるが、多数の機種を揃えているヘビーユーザーなゲームファンなら活躍する場面も多いだろう。そうした人にオススメのアーケードスティックだ。