「オタマトーン」 |
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[ おもちゃソムリエ ] | |
冬期オリンピックブームで沸き返る今日この頃、ご機嫌いかがでしょうか。私、エレトイ──電池、電源を用いて駆動する玩具をご紹介させていただく、おもちゃソムリエの田渕健康と申します。ここでは、いまが旬の逸品や世に埋もれている通好みの快作、そしてイベントレポートなどをお届けし、皆様とエレトイの距離をお近づけするお手伝いをさせていただきます。心をしばし童心に帰して、お楽しみください。 |
■ 誰でもすぐに演奏家! 触るだけで音を奏でるシンプルおしゃれな電子楽器
今回ご紹介する「オタマトーン」という製品は、当コーナーでははじめてとなる「電子楽器系エレトイ」です。一見すると、音符の符頭の部分に顔がデザインされたユニークなインテリアグッズに見えますが、れっきとした電子楽器の1種。電源を入れて弾くことで、自由に音楽を奏でることができます。
本製品を開発したのは、他に類を見ない独特のライブパフォーマンスを行なうアートユニットと知られている「明和電機」。ヤンキーバイクのパフォーマンスを再現したサックス型ヤンキーホーン「竹田丸」や、自動演奏を行なうパーカッションマシーン「ロボ・ブラジル」など、明和電機はこれまで数々の電子楽器を世に輩出してきました。そして、昨年末に「明和電機ボイス計画」の一環としてプロデュースされ、ユルカワ系の電子楽器として注目を集めているのが、この「オタマトーン」なのです。それではさっそく本製品の見どころをチェックしていきましょう。
オタマジャクシをモチーフにした可愛らしいインテリアグッズに見えますが、その正体は新感覚の電子楽器です | 「オタマトーン」の大きさはキッチンツールの “おたま”くらいのサイズ。本体重量は223グラムとなっています | パッケージの裏面には、明和電機代表取締役社長・土佐信道氏の姿が……。自ら「オタマトーン」の特徴を解説しています |
■ 恒例のパッケージ確認! さっそく音を鳴らしてみましょう
「オタマトーン」の電源は乾電池を使用します。符頭(たま)の背面部にあるカバーを空けると電池ケースが現われるので、ここに単4形の乾電池3本を差し込みましょう。なお、パッケージには「オタマトーン」本体と一緒に、動作確認用のバッテリーが同梱されていますが、これはあくまで確認用。すぐに電池切れになってしまうので、別途単4電池3本を用意しておくといいでしょう。なお、電池ケースのカバーを開けるにはプラスドライバーが必要になるので、こちらも併せてご用意ください。
「オタマトーン」の電源スイッチは、電池ケースの上部にあります。ボリューム調節装置を兼ねたスライド式スイッチとなっており、「電源OFF」、「ボリューム小」、「ボリューム大」のいずれかに切り替えが可能です。ボリューム大といっても決して大音量というわけではありませんが、本製品には外部出力端子は付いておりません。音色は本体内蔵のスピーカーから鳴るため、夜間に演奏を楽しむならボリュームに注意しましょう。
電源の用意ができたところで、さっそく動作確認と参りましょう。「シッポスイッチ」と呼ばれる、「オタマトーン」の符幹(ぼう)の部分を指で押さえてみると、何とも形容しがたい「ワ~」というホンワカとした音が鳴り響きます。そうです。「オタマトーン」はギターのようにシッポスイッチを指で触れたりスライドさせたりして演奏する電子楽器なのです。
電源は単4形の乾電池3本。充電式のニッケル水素電池にも対応しているので、くり返し遊ぶなら充電池が便利です | まずはシッポスイッチを指で触って音が鳴るか確認しましょう。鳴り響く音色や音域には、わずかながら個体差があります | 机の上に置いて琴のようにつま弾くことも可能です。慣れるまではこのやり方で音階の位置を探ってもいいでしょう |
■ 音域はたったの1オクターブ……なのに、多彩な表現力を発揮
「オタマトーン」から発せられる音は、シッポスイッチの触れる場所によって音階が変わっていきます。奏でられる音域は約1オクターブ。要するに「ド、レ、ミ、ファ……」と音を鳴らしていき、次のドまでです。ちょっと音域の幅が狭すぎるような気もしますが、電源スイッチの下にあるオクターブスイッチを切り替えることで、「Low(低い)」、「Mid(中くらい)」、「Hi(高い)」の3段階で音域を切り替えることが可能です。演奏したい曲の雰囲気に合わせてオクターブスイッチで最適な音域を切り替えましょう。
音の鳴らし方を覚えれば、あとはメロディを奏でるだけ。しかし、シッポスイッチには鍵盤楽器のように音階の位置を示すしるしや目盛りがいっさいないため、同じ音を鳴らすつもりでも触れる強さや位置のズレによって、発せられる音色は微妙に変わってきます。このアナログでファジィな操作感こそが「オタマトーン」の魅力。誰にでもすぐに弾けるようになるものの微妙に違った音色になるため、不思議と飽きずに遊べるのです。また、音が鳴っているあいだに「オタマトーン」の符頭を左右から指で押して口をパクパクさせると、音にビブラートをかけられます。「ワー」という音が「ウワウワウワウー」といった感じでしょうか。オクターブスイッチと併せてこの機能を使いこなせば、かなりの表現力を持ったメロディを奏でられます。
■ オモチャに限りなく近い、お手軽でハイセンスな電子楽器
オモチャと電子楽器の中間地点に存在する、新感覚のエレトイといった印象の「オタマトーン」。音を鳴らすという行為そのものが楽しく、工夫次第ではさまざまな曲が演奏できてしまう懐の深さを併せ持っています。音色はのんびりとした癒し系サウンドなので、幅広い年齢層にマッチしそうな一品ですね。多少音階がずれてもかえって「イイ味」になるのも本製品の魅力でしょう。
唯一残念なのが外部出力端子の類がいっさい無い点。前述のとおり夜間の演奏にはボリュームに注意する必要がありますし、レコーダーに接続してオクターブスイッチの切り替えによる多重録音を楽しむ……といった遊び方ができればもっと良かったかもしれません。
「ギターやバイオリンみたいな本格的な楽器はめんどうだけど、手軽に音楽を演奏したいなあ~」という方にとっては、「オタマトーン」はジャストフィットのエレトイです。音を奏でる楽しさとホンワカした音色による癒しは、夜長の時間つぶしにピッタリ。部屋に飾るインテリアグッズとしても秀逸なデザインで、なにより女の子ウケも良さそうですよね?
(C)2009 YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD. / MAYWA DENKI
□キューブのホームページ
http://www.cube-works.co.jp
□明和電機のホームページ
http://www.maywadenki.com/
□「オタマトーン」のページ
http://www.cube-works.co.jp/works/meywadenki/index.html#10
(2010年 2月 24日)