コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ
連載第9弾
「ダークソウル リマスタード」は日本スピリッツを貫いた「七転八起」ゲームだね
2018年11月22日 07:00
みんな元気? BJ Foxです。僕が主演しているドラマ「ホーム・スィート東京」シーズン2のNHK Worldでの公開のお祝いで、12月3日に日本語スタンダップコメディーライブをやることとなっています! ゲーム業界で働いた経験も番組制作の裏話などをネタにしますので、ご興味がある方、ぜひ!
今回のテーマは「ダークソウル」だ。ずっとプレイしたかったけど、怖くて触っていなかった「ダークソウル」だ。FROM SOFTWAREの代表的な「Souls」ダンジョンRPGシリーズの2つ目が、不死の呪いにかかれた騎士ごとく、リマスター版としてNintendo Switchに蘇ってきた。ホラーは苦手だからシリーズは全てスルーしてきたけど、ここまで来たら、もう逃げる言い訳がないよね。でも恐いものは恐い。
だけど、せっかく大好きなNintendo Switchで出してくれたから、気軽にプレイしてみようと思った。そういえば「Diablo III」のNintendo Switch版も間もなく出るので、和製とアメリカ製のクラシックRPGの両方をプレイして比較企画にでもできると、未来へ希望を持ったまま、とても前向きに考えていた。なんか、日本の代表的なシリーズを全然触っていない、正直なところ、恥ずかしい事実を埋め合わせようという気持ちもあった。
僕はそういう気持ちを抱きながら「ダークソウル リマスタード」を発売日に購入し、おそるおそるゲームを開始してみた。
それから1カ月あまりが経過した。今は自分がどう考えているかすら、わからない状態だ。まるでピリ辛担々麺を食っている最中で、確かにうまいけど、美味しいと言えるのか? 口の中が燃えているけど、なぜかついにスプーンがまたスープの中に入ってしまう、そんな感じだ。
考えを整理してみよう。
まず、このシリーズが和ゲーの代表として挙げられることは、確かに正しいと思うと同時に、不思議かつユニークだと思う。
「日本のゲームは何?」と一般のイギリス人に聞くと、可愛い系が出てくるだろう。特にRPGに関して、「ポケットモンスター」、「ファイナルファンタシー」、「ドラゴンクエスト」などが多い。「モンスターハンター」はそれらに比べるとより大人らしいけど、「クールジャパン」の証を失わないとばかりに、アイルーが主役級の目立ち方をしている。
そしてここからが重要だが、“「ダークソウル」の厳しさ”も和ゲーの代表に含まれるんだ。日本にいる僕のゲーム好きの友人たちもみんなこのシリーズの大ファンだ。ビジュアルが全然「ジャパン」的ではないにもかかわらず、まさに日本的なゲームとしてこの「ダークソウル」を捉えている。
僕もプレイしながら、ずっと日本的だなぁと思ってた。ひとつは、今までの伝統や昔のゲームをリスペクトしているところだ。ものがすぐに手にするよりも工夫と努力が報われるシステムだ。
話は変わるけど、私が制作しているドラマ「ホームスイート東京」のシーズン2の最初のエピソードでは、イギリス人の主人公ブライアンは書道体験会に行く。格好いい字をすぐに書きたい彼は、まずは、「一」から開始する練習にうんざりして「どうせ今ってタイプやタッチスクルーンの時代に書道なんて馬鹿げてるんだ!」とすぐに怒って諦める。このドラマは、毎回のエピソードで、ことわざや四字熟語を取り上げる作りとなっているが、その回のテーマとは、「千里の道も一歩から」だったし、努力の重要性という昔ながらの日本的な思いが、最終的にブライアンに浸透してきて、書道を見直す流れだ(僕が演じてるからそこまでのネタバレを許して!)。「ダークソウル」にも似たような思いが貫かれていると思う。少しずつ。努力。挫折や死があるこぞ、それを乗り越えることがさらに気持ちいい。
ちなみにそのエピソードの脚本・企画の段階のタイミングで、別のことわざも案として上がっていた。それは「七転八起」。このDNAは「ダークソウル」にも通っているだろう。ただ、その数字はもっと多くする必要があると思うよ。7回や8回ではとても足りない!
僕はNintendo Switchにこのようなゲームが出ていること自体が面白いと思っている。内容とフォームとのギャップがすごいんだ。画面上の錆びた銀色と暗赤色に、Joy-Conのネオンブルーとレッドのギャップ。Nintendo Switchでプレイできるなんてありがたいが、このゲーム性が携帯機に向いているかどうかは別問題だと思っている。
僕のプレイスタイルは、家ではPS4、電車で移動中にNintendo Switchで遊びたいと思っているけど、そういう遊び方に向いていないんだね。こういうゲームは、じっくりプレイするもので、なかなか、恵比寿から六本木まで少しだけ遊ぶというスタイルは非常に無理だった。僕にとって「ダークソウル」は、本体をドックに入れて、テレビで長時間プレイしないと進まないものだった。
まあ、クリスマスにロンドンへ帰る便はいいかも? 12時間もかかるし、ボリューム的にはちょうどいいかなと思ったけど、やっぱりダメだね。プレイ中にフラストレーションを感じて、イギリス紳士の口からは出てくるはずもない、「放送禁止用語」がついつい飛び出してしまうから、いろんな意味で公共交通機関に向いていないかも。
最後に言うのは、「レッド・デッド・リデンプション2(RDR2)」との共通点も非常に感じられたと言うことだ。それは、もちろん「放送禁止用語」を噴出させることや、操作性が一緒という意味ではない。前回の連載では、「RDR2」は、内容と形式においても大胆なミッションだと述べようとしてみた。ゲームの内容とは、時代に取り残されたアウトローの話であり、そのゲームのスタイルも時代の風潮に逆らおうとしているのではないか、と言う説。「ダークソウル」もそれ以上に完璧に「内容」と「形式」が一致している。内容も地獄ふうな描写であり、プレイスタイルもまさにそう。映画館の4D IMAXよりも、プレイしているよりも心身的に体験している感じだ。激辛カレーごとく身体中がテンションとフラストレーションで燃えてる。
僕は最後まで食べ切れるかな?
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