レビュー

ポーカー×ローグライクに熱中! 可憐な少女たちの罪を描く「クライムライト」先行レビュー

何度も挑戦したくなる“絶妙”難易度の2Dアクション。残酷で生々しいストーリーとの落差にも注目

【クライムライト/CRYMELIGHT】
11月5日 発売予定
価格:
4,378円(パッケージ・通常版)
10,978円(ティーパーティBOX)
3,278円(ダウンロード・通常版)
6,578円~(ダウンロード・デラックスエディション)
「クライムライト/CRYMELIGHT」

 フリューは、プレイステーション 5/Nintendo Switch 2/PC用ローグライクアクション「クライムライト/CRYMELIGHT」を11月5日に発売する。

 本作は2018年発売の「クライスタ」をはじめとした少女の涙にフォーカスする「クライ」シリーズの新作タイトル。記憶をなくしアリスと命名された少女が元の世界へ帰るため、背負った罪と向き合いながらコロシアイのゲームへ参加する。そんなシリーズの最新作は過去作の系譜を受け継ぎつつも、従来のような3DアクションRPGではなく、2Dアクションへと路線変更を行なった。基本的には独立したストーリーになっており、新規プレイヤーであっても過去作のファンであっても関係なく楽しめるはずだ。

 かわいらしい世界観に見えるが、“罪”をテーマとした物語は驚くほどダークで壮絶。またローグライクとアクションを融合させたゲーム性は、何度も挑戦したくなるような奥深さがある。

 今回は本作を発売前に触れる機会を得たので、その魅力を極力ネタバレなしでお伝えしていきたい。

【クライムライト/CRYMELIGHT - 1stトレーラー】

一見ファンシーな世界観だけど……残酷で生々しい“罪”を描くストーリー

 作品の舞台となる〈ワンダーランド〉は、死者の魂が囚われる牢獄。記憶を失った少女・アリスは案内人の白兎に導かれ、“女王を倒した者だけが自由になれる”というコロシアイのゲームに参加することになる。

 こうした設定からも分かるように、本作のモチーフとなっているのは、かの有名なルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」。アリスや女王=ハートのクイーン以外にも、招かれざる客・メアリ、猫のように気まぐれなチェシャ、過激な思想をもつマッド、ティーパーティのお茶を用意するマーチといったキャラクターたちが登場する。

 さらにマップやステージなどのデザインも一貫したモチーフが用いられており、まるで絵本のような世界観が作り上げられている。

 しかしそんな幻想世界の雰囲気とは裏腹に、作中で展開される物語は実にダークで生々しい。ゲームの進行に伴い、登場人物たちが過去に犯した“罪”が明かされていくのだが、その内容はあまりにも容赦がない。プロット・ストーリーは「Kanon(ビジュアルアーツ)」や「クライ」シリーズでお馴染みの久弥直樹氏が監修を担当している。

 そのほかコンポーザーの削除氏が手掛ける楽曲も、本作の雰囲気作りに寄与している。削除氏といえばさまざまな音ゲーに楽曲を提供してきた人気作曲家で、これまでの「クライ」シリーズにも携わってきた。本作ではストリングスの響きを活かしたBGMによって、優美でありながらどこか不安を感じさせるような独特の空気感を作り上げている。

ポーカー×ローグライク! 運と戦略が絡み合う独自のビルド構築システム

 本作のジャンルは、いわゆるステージクリア型のローグライクアクションとなっている。

 ゲーム全体は2つのモードに分かれており、プレイヤーは「コロシアイ」で探索・戦闘を行ない、ゲームオーバーになるたび出撃拠点の「ティーパーティ会場」戻される。入手した素材を使ってアリスを強化し、また次の「コロシアイ」に挑んでいく……という流れだ。

拠点となる「ティーパーティ会場」
「コロシアイ」のステージは階層ごとに異なる

 また「コロシアイ」のマップはローグライクゲームで見かけるような見た目で、いくつものマスで構成されている。進める道が分岐しており、敵とバトルするマスに止まった際には前述した戦闘が開始。敵を全滅させることで、踏んだマスに応じた報酬を入手できる。

 なかには体力を回復できるマスや買い物ができるマスもあり、どんなルートで先に進むのか考えなくてはならない。そして各階層の奥には「番人」と呼ばれるエリアボスが待ち構えており、撃破することで次の階層に進める仕組みとなっている。

 報酬に関してとくに重要なのが、アリスの能力を強化するクライムカードという要素だ。基本的な戦闘マスでは、終了時に報酬として3枚のカードが提示され、プレイヤーはそのうち1枚を選んで獲得できる。

 カードの内容は攻撃力上昇や最大HP上昇といったステータスバフから、「通常攻撃の範囲が拡大する」や「回復するたびにアリスを中心に衝撃波を放つ」といったものまでさまざま。また獲得した強化は「コロシアイ」中のみ有効で、「ティーパーティ会場」に戻るとすべて失われる。

 すなわちクライムカードこそがローグライク的なゲーム性を形成しているのだが、ここに“ポーカー”の要素が加わっている点に本作のオリジナリティがある。

 というのもカードにはトランプのスート(マーク)と数字が記載されており、5枚の手札で役を完成させることで、それぞれのカードがレベルアップするのだ。役の難しさに応じてレベルアップの幅は大きく変動するため、カードの選択にも戦略性が生まれる。

 たとえばレベル1のカードを5枚集めたとして、ワンペアならそのすべてが1ずつ上昇するため、手札のレベル合計は2倍。スリーカードなら3ずつ上昇するため、レベル合計は4倍だ。そのため「カード単体の効果は弱いように見えても、役を優先することで他のカードを大きく強化する」といった選択肢が生まれることになる。

 あるいは高度な役を狙うため、あえて報酬をスルーしたり、不要なカードをショップで売却したりする戦略も成り立つだろう。もちろんポーカーである以上、運要素が大きく絡んでくることも避けられない。本作が体験させてくれるのは、戦略と運の混ざり合った独特のビルド構築だ。

シンプルながら奥深いアクション! ハイリスク・ハイリターンの「クライムライド」が肝

 アクションの部分に関しても、本作は独自のシステムを作り上げている。

 まずアリスの攻撃は、隙が小さい「弱攻撃」、チャージによって三段階強化できる「強攻撃」、敵やオブジェクトをぶつけて大ダメージを狙える「投げ」の3つが基本。それに加えて「回避」と「クライムライド」というアクションが用意されている。

 「クライムライド」は一定の間、防御力低下というリスクを取る代わりに、通常よりも素早く移動できるというもの。ライド中の攻撃によって敵の射撃を跳ね返すこともできるため、攻略の大きな鍵となり得る。

チャージで高火力が出る「強攻撃」
反撃のチャンスとなる「投げ」
機動力の高い「クライムライド」
「クライムライド」中にも攻撃や投げができる

 さらに戦闘報酬として「派生スキル」や「必殺技」を獲得すれば、より一層幅広いアクションが可能に。いずれも複数の種類から選択可能で、攻撃の範囲やダメージ量、クールタイムなどがそれぞれ異なっている。発動時にはダイナミックなエフェクトが発生するので、爽快感のある戦闘を楽しめるはずだ。

さまざまな種類の「派生スキル」
強力なビームで敵を一掃する
巨大なアリスの足で広範囲を踏みつける必殺技「ワンダー・クラッシュ」

 その一方、本作の戦闘はかなり歯ごたえのある難易度となっている印象。敵の攻撃力が高めに設定されている上、ステージを進めると一度に出現する敵の数も増えていく。

 敵の近接攻撃には「予兆」があり、攻撃範囲や攻撃タイミングはその都度マーカーによって明示される。しかしそれでも回避するのは中々難しく、ちょっとしたミスが命取りになってしまう。

 だからこそ単純にアクションが上手いだけでは、「コロシアイ」を生き抜くことは難しい。クライムカードを効率よくレベルアップさせつつ、強力な派生スキルや必殺技を取得していくことが必要不可欠と言えるだろう。

 なお「コロシアイ」の最中しか所有できないクライムカードとは違い、「ティーパーティ会場」へと持ち帰ることができる報酬も存在する。それを消費することで、アリスのステータスや武器を強化したり、ステージ設計を変化させたりできる。「コロシアイ」に挑戦するたびにアリスが強くなっていくため、攻略できずに“詰み”を迎えることはほとんどないはずだ。

何度も挑戦したくなるゲーム性! “重すぎる”ストーリーも本作ならではの魅力

 本作のゲーム性についてまとめると、ローグライクの醍醐味であるビルド構築の中毒性と、スリル溢れるアクションを両立している点に最大の魅力があるように感じられた。

 気を抜くとあっという間にゲームオーバーを迎える絶妙な難易度設計。「投げ」や「クライムライド」など、多彩なアクションを導入した戦闘システム。そして運要素が大きく絡むクライムカードの仕組み……。“戦闘そのもの”を何度も繰り返し楽しませることを意識した作りとなっていることがよく分かる。

強力な「番人」たちが攻略を阻む

 その一方で本作は「ノーマル」モードとは別に、よりやさしい難易度の「ストーリー」モードも用意されている。ゲーム内の「時計部屋」でいつでも切り替えられるので、物語を集中して楽しみたい人やアクションが苦手な人でも安心だ。

 またストーリー部分に関しては、ファンタジックな世界観と壮絶なシナリオの落差が大きな見どころ。可憐な少女たちはいずれも直視しがたい“心の闇”を抱えており、リアルな描写によってその断片が明かされていく。主人公のアリスもその例外ではない。

 攻略が進むにつれて、徐々にキャラクターの過去が浮かび上がってくる構成も特徴的で、シナリオを読むうちに自然と“その先”を知りたくなってしまう。

 人によっては少女たちの過去やそこに付きまとう罪悪感、後悔などの感情が「重すぎる」と感じるかもしれない。だが、そうした“重さ”こそが本作の中核となっていることはたしかだ。刺さる人にはどこまでも深く刺さるシナリオと言えるのではないだろうか。

 罪の意識に囚われた少女たちは、戦いの果てにどんな未来を手に入れるのか。ぜひ実際にゲームに触れ、物語の行く末を確かめてほしい。