レビュー

キーボードとコントローラーのいいとこ取り!左手用キーパッド「Razer Tartarus V2 Pro」レビュー

約7年ぶりのシリーズ新モデル。キースイッチもサムスティックも最新仕様に

【Tartarus V2 Pro】
9月18日 発売
価格:33,280円

 Razerは、左手用キーパッド「Tartarus V2 Pro」を9月18日に発売する。価格は33,280円。

 本製品は、2019年10月に発売された「Tartarus Pro」以来、約7年ぶりとなる同社のPC向け左手用キーパッド最新モデル。実はRazer、2008年3月発売の「Nostromo n52te」以来、左手用キーパッドを絶えずラインナップし続けている老舗であり、ファン待望のアイテムとなっているのだ。

 今回は発売に先駆けて試用する機会をいただいたので、本稿では「Tartarus V2 Pro」のレビューをお届け。ゲームでの使用を中心に、キー配置からサムスティックまで一新した「Tartarus」の魅力を紹介していく。

キー配置を一新!「Tartarus V2 Pro」の外観をチェック

 まずは外観を見ていこう。左手用キーパッドはニッチなデバイスだが、簡単に説明すると片手で使えるゲーミングキーボードだ。もちろん、キー数は限られているので、ソフトウェアから「WASD」やゲームでよく使うキーを割り当てて使用する。ゲーミングキーボードよりもコンパクトで、自分だけのキーバインドを追求できるのだ。

 歴代「Tartarus」シリーズのユーザーはすぐに気づいたと思うのだが、今回の「Tartarus V2 Pro」はキー配置を一新しており、キー数も27個とかなり増えている。特に左列のキーは幅広の1.75Uサイズ、右列の23キーと27キーは特殊形状となったことで、指先の感触からキーの位置関係がわかりやすくなった。

【キー配置】
こちらが約7年ぶりの最新モデルとなる「Tartarus V2 Pro」
キー配置を一新しており、左列は幅広の1.75Uサイズ、右列の23キーと27キーは特殊形状となっている
右側面にはインジケーターランプを搭載
左側面にボタンやランプはない
裏面はラバーベースの滑り止めが全体に貼り付けられている
付属品はUSBケーブル、交換用サムスティックキャップ、説明書、ステッカーとシンプルだ

 筐体はいわゆるエルゴノミクスデザインで、左手に特化した形状となっている。リストレストの可動域は広く、左右方向に角度をつけることもできるため、手にフィットするポジションに固定できる。

 一方でキーボード面が拡大したことで端にあるキーが遠くなり、比較的手が大きい筆者でも右上の6キーはかなり手を動かす必要がある。全部で27キーあるので、足りなくなることはあまりないと思うのだが、手のサイズや位置関係によって押しにくいキーがあることは確かだ。

【形状・リストレスト】
キーボード面は傾斜がついている
リストレストはふっくらとしていて、肌触りのいいレザー調となっている
右側面にある2つのボタンでリストレストを調整可能
最大までリストレストを引き出した様子
左右に角度をつけることも可能で、手にフィットするポジションに固定できる
比較的手の大きい筆者でも使いやすい
一方で端にあるキーは指が届きにくいため、自分の手が届く範囲のキーに機能を割り当てよう

 筆者は、2013年8月に発売された初代「Tartarus」をゲーム用途で使っていた過去がある。本来であれば比較画像も掲載したかったのだが、元箱は発掘した一方で実機が見つからなかったためご容赦いただきたい。

 過去の「Tartarus」シリーズと比較すると、「Tartarus V2 Pro」ではスクロールホイール(V2/Proに搭載)が削除された。基本的にマウスと併用するデバイスのため、個人的にはなくても困らないのだが、トラックボール的な使い方をしていたユーザーは注意が必要だ。

 また、歴代「Tartarus」は親指部分に8方向Dパッドが搭載されていたが、「Tartarus V2 Pro」ではサムスティックに置き換わった。細かな仕様は後述するが、サムスティックの方が割り当ての幅が広がるため、個人的には嬉しい変更点だ。

【過去の「Tartarus」シリーズと比較】
「Tartarus V2」と「Tartarus Pro」にあったスクロールホイールは非搭載(画像はTartarus Pro)
「Tartarus V2 Pro」はサムスティックを搭載。割り当ての幅が広がる
筆者宅にあった初代「Tartarus」のパッケージとともに撮影。キースイッチからサムスティックまで、ほぼ全て変わっており時代を感じる

ハイエンドデバイスと同じコンポーネントを採用!スペックを確認

 続いてはスペックを確認しよう。前モデル「Tartarus Pro」は2019年10月発売で、この7年間でゲーミングデバイスに用いられているコンポーネントはかなり進化したが、今回の「Tartarus V2 Pro」は7年分の進化を一気に取り入れている。

 まずキースイッチは、同社のフラッグシップキーボード「Huntsman V3 Pro 8KHz」と同じ光学式の「Razer アナログオプティカルスイッチ Gen-2」を搭載。より高速で精密なコントロールが可能な「ラピッドトリガー」やSOCD機能に相当する「Snap Tap」にも対応している。

 前モデル「Tartarus Pro」も光学式の「Razer アナログオプティカルスイッチ Gen-1」を搭載しており、アップデートで「ラピッドトリガー」や「Snap Tap」にも対応したが、Gen-2ではアクチュエーションポイントの調整範囲が広くなっている。

【キースイッチ】
光学式の「Razer アナログオプティカルスイッチ Gen-2」を搭載。アクチュエーションポイントの調整範囲が広くなった

 加えてサムスティックは、PS5用コントローラー「Raiju V3 Pro」と同じTMRセンサーを採用。磁気センシングで動きを検出するため、摩耗しにくくドリフト現象が起きにくい。さらに交換用サムスティックキャップも付属しており、短い凹型/長い凹型/短い凸型の3種類から選べるようになった。

 また、ポーリングレートも最大8,000Hzに対応しており、光学式スイッチとTMRセンサーのサムスティックの性能を最大限に活かすことができる。まさにゲーミングキーボードとコントローラーのいいとこ取りのようなゲーミングデバイスだ。

【サムスティック】
サムスティックはTMRセンサーを採用。交換用キャップも付属しており、3種類から選べるようになった
最大8,000Hzのポーリングレートに対応。光学式スイッチとサムスティックの性能を最大限に活かせる

 各キーやサムスティックの割り当ては、PC用ソフトウェア「Razer Synapse 4」から設定可能。27個のキースイッチ、サムスティック押し込みを含む4つのボタン、サムスティックの動作モード、ライティングなどを細かくカスタマイズできる。

 また「Tartarus V2 Pro」をPCに接続すると、基本的にはキーボードとして認識されるが、各キーにコントローラーのボタンやサムスティックの機能を割り当てることも可能。この場合、マウスとの併用は一部できなくなるが、ゲーム側にコントローラーとして認識させることもできる。割り当て次第で、左手だけでゲームをプレイすることもできるのだ。

 なお「Tartarus V2 Pro」はあくまで“PC向け”左手用キーパッドであり、コントローラー操作を割り当ててもコンソール機では使用できない。

【Razer Synapse 4】
ソフトウェアからキーバインドやサムスティックの動作モードを変更可能
アクチュエーションポイントやラピッドトリガーもカスタマイズできる
各キーにコントローラー操作を割り当てて、ゲーム側にコントローラーとして認識させることも可能。操作には慣れが必要だが、面白い機能だ
【「Tartarus V2 Pro」のスペック】
  • プログラマブルキー:31個(キースイッチ27個、サイドボタン3個、サムスティック)
  • キースイッチ:Razer アナログオプティカルスイッチ Gen-2
  • アクチュエーションレンジ:0.1〜4.0mm
  • 水平偏向:55gf〜65gf
  • キーキャップ:テクスチャードダブルショットPBT
  • ラピッドトリガー:対応
  • Snap Tap(SOCD):対応
  • サムスティック:TMRアナログセンサー
  • ポーリングレート:最大8,000Hz
  • ライティング:Razer Chroma RGB対応

左手の疲れ軽減!マウスエリアが広がって、キーマウ操作も快適に

 ここからは実際に「Tartarus V2 Pro」でゲームをプレイ。今回はマウスと併用しながら、FPS「Apex Legends(Electronic Arts)」を中心に使ってみた。先述のソフトウェア「Razer Synapse 4」には便利なプリセットが用意されており、今回は「FPS Rapid Trigger」をベースにいくつかのキーをカスタマイズしている。

 まず感じたのは左手の疲れにくさ。傾斜のあるエルゴノミクスデザインによって、手に自然とフィットする位置にキーがあり、長時間のゲームプレイでも疲れを感じにくかった。また、先述のように左列のキーが幅の広いタイプとなったため、キーの位置関係を把握しやすく、キーバインドをしっかりと覚えておけばモニターに集中できる。

キーマップは8種類まで保存可能。このうち4スロットはプリセットが用意されている
今回は「FPS Rapid Trigger」をベースに、一部カスタムしながら使用した
キーボードと比較して左手が疲れにくく、キーの位置関係もわかりやすくなったため、モニターに集中できる

 そして何といっても、マウスエリアが格段に広がるのは大きなメリット。近年は75%や60%サイズといった、小型のゲーミングキーボードがFPSゲーマーの間では人気だが、「Tartarus V2 Pro」はさらにコンパクトでFPSに必要なキー数も揃えている。これによってマウスを動かせる範囲が広がり、小さなデスクでも快適にゲームをプレイできるのだ。

 また、ゲーミングキーボードとしての性能も十分で「ラピッドトリガー」や「Snap Tap」によって、FPSのプレイも非常に快適だった。一方で打鍵音は「カタカタ」と少し大きめの音で、ヘッドセットやイヤホンである程度抑えられるが、気になる方は静音リングなどの装着も検討した方がいいだろう。

マウスエリアが広がるのは大きなメリット。一方で打鍵音は大きめのため、静音リングなどの装着も検討したい

ネックは価格。ゲーマーやクリエイターに刺さる新たな左手用キーパッド

 ここまで「Tartarus V2 Pro」のレビューをお届けしてきた。本製品は、キーボードとコントローラーを融合したようなゲーミングデバイスであり、いつもとは少し違った感覚でゲームを楽しめる。もちろんマクロやショートカットも割り当て可能なため、ゲーマーだけでなくクリエイターにも刺さる一品だろう。

 だが、キースイッチからサムスティックまで最新仕様となり、円安のダブルパンチも相まって、価格は前モデル「Tartarus Pro(実売価格:17,000円前後)」からほぼ倍となる33,280円へと大きく上がってしまった。3万円台となると、ゲーミングキーボード「Huntsman V3 Pro 8KHz(36,980円〜)」やコントローラー「Raiju V3 Pro(32,980円〜)」も視野に入ってくるだろう。

 だが、左手用キーパッドは珍しいゲーミングデバイスで、なかなか新製品も現れないため、引っ越し先に困っていたというユーザーも多いはず。そんな方はぜひ新しくなった「Tartarus」を検討してみてほしい。