レビュー
「カルドセプト ビギンズ」レビュー
ここから始まるセプターへの道。未経験者こそ遊んでほしいシリーズ最新作
2026年7月9日 00:00
- 【カルドセプト ビギンズ】
- 7月16日 発売予定
- 価格:
- Switch通常版(パッケージ/ダウンロード) 6,380円
- Switch特装版(パッケージのみ) 12,980円
- Switch 2 Edition通常版(パッケージ/ダウンロード) 7,480円
- Switch 2 Edition特装版(パッケージのみ) 14,080円
- Switch 2 Editionアップグレードパス(ダウンロードのみ) 1,100円
1997年に初リリースされ、“セプター”と呼ばれる熱狂的なファンを生み出したカード&ボードゲーム「カルドセプト」シリーズ。その待望の最新作「カルドセプト ビギンズ」が、7月16日にネオスから発売される。価格はSwitch通常版が6,380円より。
ファンタジー作品に登場するクリーチャーやアイテム、魔法などをカードに見立て、ブック(カードデッキ)を構築し、スゴロク状のボードの上で領地を広げ、そこから得られる“総魔力”を競い合う――。そんなシリーズ伝統の基本ルールはそのままに、本作では初代「カルドセプト」で語られた物語の前日譚が描かれる。
オリジナル版の開発を手がけた大宮ソフト監修のもと、「街コロ」などで知られるグランディングが開発を担当。キャラクター&クリーチャーデザインに松浦聖氏、サウンドにノイジークロークを迎え、10年ぶりの完全新作としてセプター達の期待を集めている。
弊誌では3月に2章までプレイした試遊レポートをお届けしているが、本稿ではそれを踏まえ、さらに先の章までプレイして見えた本作の魅力をお伝えしていく。本作の基本的なルールなどはそちらを参考にしていただきたい。
新たな開発体制のもと、10年ぶりに還ってきた「カルドセプト」シリーズ最新作
初代「カルドセプト」が世に送り出されたのは、今から29年前の1997年10月のこと。「マジック:ザ・ギャザリング」(当時ホビージャパン)や「ポケモンカードゲーム」(当時メディアファクトリー)などのトレーディングカードゲーム(TCG)が世に浸透しつつあった当時、筆者もユーザーだったセガサターンでTCGが1人でも(←ここが大事)手軽に遊べるということで、比較的早い段階から本作に注目し、ソフトも発売日に購入した。以降も主に携帯ゲーム機で発売されたシリーズを中心に楽しんできた身だ。
「カルドセプト」のゲームデザイナーであり、本作の開発にも携わる神宮孝行氏は、当時の雑誌記事で「野球や将棋のような完成度の高いルールのもとに味わえる“理詰めの面白さ”を目指した」と同作についてコメントしている。
初代で構築されたルールが、現在もさほど変わらずに継承されている事実は、神宮氏が目指したゲームデザインがその時点でいかに完成されていたかを証明している。29年前に構築されたシリーズの原点をまだ未体験という人は、7月30日に発売される初代の移植版「カルドセプト ザ ファースト」を、本作の前後に遊んでみるのもいいかもしれない。
本作は「ビギンズ(=始まり)」のタイトルが表す通り、初代「カルドセプト」の前日譚を描いている。
世界を創造した女神カルドラの手によって作り出された“創造の書”「カルドセプト」。太古の時代、神々の戦いによって打ち砕かれたカルドセプトの破片は、石板状のカードとなって世界に四散した。やがて、そのカードの力を引き出せる「セプター」と呼ばれる者たちが地上に現れる。
プレイヤーはセプターの少年「カムル」となって、「王立学府セプトアカデミア」に転入。最初の石板使い「オリジン」の痕跡を追いながら、「異能者」としての能力を覚醒させていくことになる。
初代の前日譚という設定はあるものの、今回プレイした範囲では、過去作の知識がなくても問題なくストーリーを楽しめるように感じられた。その一方で、人頭杖「ゴリガン」の登場や、過去作を匂わせる演出など、往年のセプターなら思わずニヤリとする要素も各所に散りばめられている。
カムルが主人公のメインストーリーに、別視点で進められるサイドストーリーも用意
試遊レポートでもお届けした通り、ゲームの基本ルールやシステムは歴代シリーズのそれに則っている。前作「カルドセプト リボルト」のような大胆なシステム変更はみられず、むしろシリーズの原点に立ち戻った印象だ。
メインモードである「ストーリー」では、複数のマスで構成されたマップがあり、プレイヤーは手持ちのカード40枚で構築した「ブック」と、行動に必要な「魔力(G)」を持って、ストーリーに準じて登場するセプターとの対戦を行う。マップによっては、同時に複数のセプターを相手にする展開もある。
マップには、スタート兼ゴール地点となる「城」と、チェックポイントの「砦」があり、それらが「土地」のマスで繋がっている。プレイヤーはカードを1枚引いた後、8面ダイスを振って出た目の数だけ進み、すべての砦を巡って城へと戻るのが基本的な周回の流れだ。道中で止まった土地に手札の「クリーチャー」を召喚して領地を増やし、バトルや土地の開発、周回時のボーナス、通行料のやり取りなどを経て「総魔力」を規定値まで増やし、その段階で先に城へゴールした者が勝者となる。
ストーリーごとのマップのバリエーションも凝っていて、行き止まりの先に砦があり折り返し移動を強いられるマップや、2つの円環状のルートが「橋」で繋がったマップなど、移動ルート自体が戦略に直結するものも多い。さらに城や砦以外にも、セプターに特殊な効果をもたらす施設なども登場する。
ストーリーモードには一律の難易度設定はなく、各マップに設定された難易度を基準に進めていく仕組み。マップの形状、相手セプターの人数、彼らが使うブック構成や行動のクセなどが絶妙に調整されており、特に初見時は相手の狙いが読めず、手こずって敗北してしまうこともあるはず。
筆者も中盤のマップで何度か苦汁をなめることになったが、この試行錯誤こそがセプターとしての成長に繋がる部分であり、決してマイナス要素ではない。勝敗に関わらずカードは手に入るし、報酬の「コイン」を使えばショップでカードを購入できるので、ブックを再構築して何度も挑戦してほしい。
また、カムルが主軸となるメインストーリーの裏で、異なる時間軸や別視点の物語が描かれる「サイドストーリー」の存在も確認できた。カムル以外のキャラクターを操作し、場合によって固有のブックを使用するなど、メインとは一味違う手応えのゲームプレイを楽しみながら、本作の世界観をより深く味わうことができるのだ。
ブックの枚数が40枚になり、ビギナーにも編集がしやすくなった
セプターの戦術の要となる「ブック」は、本作より40枚のカードで構成されるようになった。従来の50枚から10枚減ったことで、対戦が長引いた際にカードが一巡するペースが早まったことに加え、必要なカードを絞り込みやすくなったため、ビギナーが迷いがちなブック構築のハードルが少し下がっている。同時に、上級者にとってはよりコンセプトを尖らせた、洗練されたブックを組む楽しさが増している。
登場するカードは全400種。土地の占領やバトルを行う「クリーチャー」、戦闘時にクリーチャーを強化する「アイテム」、ダイスを振る前に使用して敵味方の戦況をコントロールする「スペル」の3種類に大別される。能力や効果のバランス調整は非常にシビアに行われており、「これさえ入れておけば勝てる」という万能なカードは存在しない。
ブックを組む際には“同名カードは4枚まで(特殊なE[エクストラ]カードは1枚まで)”という条件のもとに40枚を厳選するわけだが、自由度が高く選択肢も多いため、筆者も最初はどのカードを選ぶべきか悩むこともあった。しかしゲーム序盤から使える2種類の初期ブックが非常に扱いやすく完成度の高い内容なので、まずはこれをベースにして、手に入れた新しいカードを導入していくのがオススメだ。
「このカードとこのカードを組み合わせたら強いのでは?」と考えて、自ら編集したブックで勝利できたときの喜びはカクベツだ。しかし次の対戦では、そのブックがあっさりと敗れてしまうこともある。一筋縄ではいかない奥深さこそが本作の醍醐味である。
ブックは最大60冊まで保存できるので、対戦相手の構成や発売後に活発化するであろうコミュニティでの編集例などを参考にしながら、自身のプレイスタイルに馴染むお気に入りの一冊を作り上げていただきたい。
ボードとカードが織りなす、「カルドセプト」ならではの濃密な心理戦
ゲームプレイにおける手触りのよさや、松浦聖氏の手がける魅力的なビジュアルのクオリティは試遊の段階でも十分に感じられたが、腰を据えてプレイすることで、改めて「カルドセプト」ならではの駆け引きの奥深さを再確認できた。
相手のブック構成やカードの使い方、マップ上での行動から見える相手の性格、そしてダイスの出目やカードのドローといった運の要素。これらが複雑に絡み合うゲーム展開は、COMを相手にするストーリーモードであっても非常に刺激的で、一喜一憂させられる。
これがプレイヤー同士の対戦となれば、その熱量はさらに跳ね上がるだろう。自分でプレイするのはもちろん、上級セプター達のハイレベルな対戦を観戦することも、一つのエンターテインメントとして成立するのではないだろうか。
ノイジークロークによるサウンドは、松浦聖氏が描く世界にもマッチしていて、各マップには舞台背景や対戦相手のイメージを強調する楽曲が用意され、目標魔力直前のラストスパートに入って盛り上がりを見せるパートは毎回聴きどころになると思う。耳にする機会が多いであろうブック編集画面やワールドマップ、バトル時などの楽曲もキャッチーで筆者もお気に入りだ。
筆者も久々に味わったセプターとしての至高の体験は、まだシリーズに触れたことがない人にこそ、ぜひ味わっていただきたいもの。経験者はもちろん、ビギナーへの配慮や間口の広さも意識されていて、隅々まで丁寧に作り込まれたクオリティは、10年ぶりの最新作にふさわしい仕上がりだ。この夏、あなたも1人のセプターとして、盤上での熱い戦いに身を投じてみてはいかがだろう。
(C) Omiya Soft (C)Neos Corporation
(C)1997, 2026 Omiya Soft / (C) 2026 CITY CONNECTION CO., LTD.
Music: Copyright (C) 1997 Yuzo Koshiro
Published by (C) Neos Corporation
カルドセプト、Culdceptは有限会社大宮ソフトの登録商標です。
























































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