レビュー

「Star Fox(スターフォックス)」レビュー

Switch 2で体験する3Dシューティングの正統進化系。キャラクターやメカ描写にも注目!

【Star Fox(スターフォックス)】
6月25日 発売予定
価格:
6,480円(パッケージ版)
5,480円(ダウンロード版)

 5月7日に突如発表されたNintendo Switch 2用シューティング「Star Fox(スターフォックス)」が、6月25日に早くも発売を迎える。

 本作は任天堂が贈る3Dシューティング「スターフォックス」シリーズの中でも、最高傑作と評される1997年発売のNINTENDO 64ソフト「スターフォックス64」のリメイク作だ。そのゲームシステムやプレイフィールはそのままに、現代の技術をもって映像や演出をアップデート。さらに多数の新要素を加えた、まさに“新生”「Star Fox」と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。

 Switch 2のポテンシャルも存分に実感できる、本作のレビューをお届けしよう。

【Star Fox 紹介映像】

過去に数度リメイクされた傑作「スターフォックス64」を現代の技術で再構築

 シリーズ初代「スターフォックス」がスーパーファミコンで登場したのは1993年のこと。当時はまだ3DCGの発展期であったが、カートリッジ内に「スーパーFXチップ」(3次元描画用強化回路)を搭載し、スーパーファミコンで初めて3Dポリゴンをゲームの表現に採用した画期的なタイトルとなった。自機「アーウィン」は立体的な三角形の集合体のような形状で、フレームレートも低かったものの、そこには確かな“ゲームの未来”を感じることができたのだ。

「スーパーファミコン Nintendo Classics」より「スターフォックス」。スーパーファミコンで3Dポリゴン表現を実現した、当時としては極めて画期的なタイトルだった

 それから4年後の1997年に、本作の原作となる「スターフォックス64」がNINTENDO 64タイトルとして発売される。わずか4年の間に、ゲームの表現は3DCGが主流となりグラフィックスの方向性もがらりと変わった。3Dポリゴンにはテクスチャが貼られ、アーウィンをはじめとするメカや背景の表現も格段に豊かになっている。

 これらの2作品は「Nintendo Switch Online」の対象タイトルとして現在もプレイ可能なので、機会があればぜひ本作と遊び比べてみてほしい。

「NINTENDO 64 Nintendo Classics」より「スターフォックス64」。映像の強化だけでなく、音声もフルボイス化。アナログスティックによる入力で操作感も向上した

 NINTENDO 64での発売から30年近くが経過し、最新ハードであるSwitch 2で表現された本作の映像美はPVなどでご覧いただく通り。ゲームの性質上、繰り返しプレイすることになるタイトルだけに、かつて64版を遊び尽くした人ほど、その進化の度合いには大きな驚きを覚えるはず。

かつて味わった体験が大幅にアップデート。現代のプレイスタイルにもマッチしたプレイフィールを実現している

 オリジナルではテキストベースで語られるだけだったプロローグは新たに映像化され、主人公フォックス・マクラウドの父、ジェームズ・マクラウド率いる先代の“やとわれ遊撃隊”スターフォックスの様子が描かれ、登場キャラクター達のバックストーリーに深みを持たせている。

フォックスの父ジェームズ、ペッピー・ヘア、ピグマ・デンガーの先代スターフォックス。ピグマの裏切りにより、ジェームズは生死不明となってしまう

 PVでも大きな話題を呼んだ主人公のフォックスをはじめとする動物をモチーフとした登場キャラクター達の“もふもふ感”はもちろん際立っているのだが、実際にゲームをプレイしてみると、それとは別にメカ描写の緻密さに強く惹き付けられた。

動物達が擬人化されたキャラクターとして物語を繰り広げる内容は、「スターフォックス」シリーズの伝統

 メカもののSF作品では定番の見せ方とはいえ、「スターフォックス」においてここまでディテールにこだわった描写は新鮮で、自機となるアーウィンの格好良さには思わずシビれてしまうほど。

 特定のミッションで乗り込む「ランドマスター」や「ブルーマリン」、彼らの母艦である「グレートフォックス」、そして対峙する敵側のメカに至るまで、ムービーやプレイ中の演出を見ればそれぞれへの愛着はきっと深まるはずだ。

アーウィンにはマーキングや機体の細かな傷、汚れなども見られる
出撃やミッション完了時のシーンはアングルも凝っていて、メカ好きならきっと興奮する
様々な惑星で展開されるミッションの背景やボスなどのメカ描写にも注目だ

惑星を巡る多数のミッションが存在。アクションを駆使して道を切り開け!

 ストーリー展開はオリジナルの「スターフォックス64」の構成に則っている。平和な惑星コーネリアに混乱をもたらし、辺境の惑星ベノムへと追放された天才科学者Dr.アンドルフが軍事蜂起。近隣の惑星への侵略を開始し、その魔の手はついにコーネリアにまで及んでいく。この危機を阻止すべく、コーネリア軍に雇われたのが、フォックス率いるスターフォックスの面々である。

ストーリー自体は独立したものなので、本作から初めてシリーズに触れる人でも問題なく楽しめるはず

 プレイヤーはフォックスとなり、Dr.アンドルフの拠点である「ベノム」を目指してミッションを遂行していくことになる。ベノムまでのルートは複数存在し、ミッションでの戦績や行動によって分岐していく。いわゆる“1周”のプレイはさほど長くはないものの、ステージ分岐によって展開や難易度は変わるため、進行ルートを模索することも本作の醍醐味のひとつだ。

ルートは自由に選択できるわけではなく、特定の条件を満たすことで開かれていく。例えばこの「セクターY」はコーネリアに存在する2体のボスのうち、「アタック・キャリア」を撃破すると選択可能となる

 ゲームは画面奥に向かって進んでいく王道の3Dシューティングとなる。カメラはアーウィンを背後から捉える三人称視点と、臨場感あふれるコクピット視点を任意に切り替えられるようになっている。後者はローリングによる酔いを回避するために、背景が回転しないように設定することが可能だ。

 自機のアーウィンには狭い隙間をすり抜けるための「機体の傾け」や、障害物を回避する「ブレーキ」と「ブースト」、敵弾を弾く「ローリング」、背後を取られたときの「宙返り」や「Uターン」、そして強力なロックオン射撃を行う「チャージショット」など、多彩なアクションが用意されていて、各ミッションはこれらを駆使した攻略を必要とする奥深いレベルデザインが施されている。

 ちなみにこれらの操作は、ゲーム冒頭のトレーニングやミッション中に仲間から飛んでくる通信により、プレイしながら自然と身に付けることが可能だ。

 覚えるべきアクションは多いが、現代のプレイスタイルに最適化された操作感覚と、高いフレームレートのおかげで、終始ストレスなく快適にプレイを楽しむことができた。

初回プレイ時はトレーニングで基本操作を身に着けられる。キーアサインは「スターフォックス64 3D」に近く、設定の変更はできない
敵の攻撃だけでなく、ミッション内に配置された障害物にも注意が必要だ。アクションを駆使して回避していこう
ミッションには仲間とともに挑んでいくわけだが、こちらの射撃は仲間にも当たりダメージを与えてしまうので要注意。仲間は耐久力が0になると、ミッションから離脱してしまう

 ミッションによっては、一定の広さがある3D空間を縦横無尽に飛び回って空中戦を展開する「オールレンジモード」や、前述のランドマスター(地対空戦車)やブルーマリン(改造潜水艦)といった異なる乗り物に乗り込んで進むステージも用意されている。周回プレイを前提としたゲームデザインにおいて、プレイヤーを飽きさせない緩急のある展開は高く評価できるポイントだ。

ボス戦など特定のシーンでは「オールレンジモード」に移行する。360度自由に飛び回って敵と戦っていく。ライバルのスターウルフとのドッグファイトは胸が熱くなる展開だ
地対空戦車ランドマスターでの出撃シーン。基本操作はアーウィンと変わらないが、ホバリングによる短時間の空中移動など、陸上ならではのアクションを楽しめる
水の惑星「アクアス」のミッションで乗り込む改造潜水艦ブルーマリン。レーザー攻撃のほか、暗い深海を照らす照明弾の役割も兼ねた魚雷を制限なしで発射できる

Switch 2独自の要素で、空中戦の楽しさが倍増する!?

 Switch 2のハードウェアの機能に依存する見逃せない新要素が「マウスモード」と「なりきりフィルター」だ。

 前者はその名の通り、Joy-Con 2のマウス機能を用いた操作方法で、通常のスティック操作よりも正確かつ直感的なエイミングを行えるのが最大のメリットとなる。実際に体験してみると、多少の慣れとマウス操作のための平らな場所の確保が必要となるものの、ボスなどのピンポイント射撃が必要な状況では、かなりのアドバンテージを感じることができた。

マウスモードはJoy-Con 2をマウス持ちのスタンスにすることで即時に切り替わる。視点はコクピット視点となり、ボタン配置も若干変わるので、事前に確認しておきたい
Joy-Con 2が接地面から離れると通常モードに戻ってしまうので、マウス操作を主体に遊ぶときはストラップを装着して安定性を確保したい

 そして後者の「なりきりフィルター」は、別売りのUSBカメラを通してプレイヤーアバターを登場キャラクターの姿に変えるというユニークな機能だ。オンラインプレイ時の気分を盛り上げたり、フレンドとのマルチプレイで“顔出しはしたくないけど、リアクションは共有したい”といったときに最適な機能だ。

USBカメラを接続して筆者の顔に向けるとこの通り。本人の顔の動きに合わせてキャラクターの表情がシンクロする

ゲームをやり込みたい人に向けた「チャレンジモード」と、新たな対戦ツールとなる「バトルモード」

 ゲーム本編となるストーリーモードとは別に、本作の遊びの幅をさらに広げてくれる2つの独立したプレイモードも紹介しておきたい。

 「チャレンジモード」は、ストーリーモードでクリアしたミッションに課せられた様々なお題に挑むモードだ。“制限時間内のミッションクリア”や“特定の敵の撃破”、“隠し要素の発見”といったバリエーションがあり、ストーリーモードのプレイ時には気付かなかったミッション内の何かを見つけられるきっかけにもなりそうだ。

チャレンジモードでは、ミッションごとに異なるお題が提示される。特定の敵を倒すものなどもあり、具体的にどの敵が対象かを「ホロメモリ」(キャラクター図鑑)で確認しておくといい

 そして「バトルモード」は、主にオンラインやおすそわけ通信によって楽しめる対戦モードだ。過去のシリーズの同モードとは一線を画し、本作ではスターフォックス側とスターウルフ側に分かれての4対4のチーム戦が展開される。

スターフォックスチーム対スターウルフチームでのチーム戦。操作する機体の性能は全て同じだ

 3つのステージから選べるミッション(対戦マップ)は、それぞれポイントの獲得条件が異なり、単なるドッグファイトに収まらない戦略的な空中戦が繰り広げられる。チーム戦ならではの、味方のサポートや、自分が撃墜されないよう立ち回るなど、このモードならではの連携の面白さを味わえる。

 今回は発売前なので、AIが操作するボットを交えてのソロプレイを試してみたが、正直なところ味方のボットは頼りなく、逆に敵になると手強いという印象があり、どちらかといえばステージの把握や立ち回りの練習用と認識するのが正しいだろう。

 ルール自体はよく練られているので、発売後の世界のプレイヤーとマッチングできるオンライン対戦は白熱したものになることが予想される。

コーネリアはマップ上に展開される「サテライトタワー」周辺のゾーンを占拠すると高得点を獲得できる
フィチナは隕石が激しく降り注ぐミッション。落下した隕石を破壊すると出現する「エナジークリスタル」を多く取ったチームに高得点だ
セクターYはスペースパイレーツが運ぶ貨物を奪い、自陣へと持ち帰れば高得点。貨物は相手に奪われることもあるので、運搬役への援護も重要となる

傑作の遺伝子を受け継ぎ、未来へと進んでいく“新生”「Star Fox」

 最新機種のSwitch 2のハードパワーをひっさげて、令和の時代へと帰還した新生「Star Fox」。初代作から既に33年、原作の「スターフォックス64」からは29年もの月日が経過している。それからの技術の進歩を考えるとこのクオリティは当然とも言えるが、当時の3D表現をリアルタイムで体験してきたファンの1人としては、見違えるほどの姿となったフォックス達やアーウィン、そしてライラット系の情景を眺めたことで、「よくぞここまで進化したな……」という気持ちがあふれ、胸が熱くなった。

 3Dシューティングとしての純粋な面白さはもちろん健在であり、それどころか映像の高精細化によって激戦のシーンでも戦況を判断しやすくなるという、ゲームプレイ上での大きなメリットも生まれている。操作の快適さは言わずもがなで、さらにマウスモードというSwitch 2ならではの付加価値も加わったことで、遊びの幅も格段に広がっている。

 また進化したバトルモードは、オンラインやおすそわけ通信を介して、本作が“対戦ツール”として昇華された点も見逃せない。ちょっとしたeスポーツ的な競技としても盛り上がるようなポテンシャルも感じていて、アップデートでミッションが増えたり、パイロットに個性が設定されたりすればその楽しさはさらに加速しそうな予感もする。

 リメイクタイトルのレビューの締めにこのような言葉を使うのも少々気が引けるが、本作のクオリティを体験したからこそ、“このシステムや映像美を継承した、完全新作を遊んでみたい”というささやかな欲望が、プレイ中にふつふつと湧き上がってきた。「スターフォックス」シリーズの未来への期待を胸に抱きつつ、まずは本作でフォックス達と共に、星々の平和を取り戻すためのミッションへと挑んでいただきたい。