レビュー
「カプコンカップ12」公式採用ヘッドセット「Arctis Nova 7 Gen 2」レビュー
バランス良く自由度も高い、SteelSeriesプレミアムクラス第2世代
2026年4月8日 00:00
- 【Arctis Nova 7 Gen 2】
- 発売日:1月16日
- 参考価格:各33,310円(カラー:ブラック、ホワイト、マゼンダ)
デンマークで創業されたゲーミングギアブランド「SteelSeries(スティールシリーズ)ヘッドセット「Arctis Nova 7」が第2世代へと進化し、「Arctis Nova 7 Gen 2」として新たに1月に発売された。参考価格は33,310円。
モデルチェンジを果たし、両国国技館にて3月に開催されたカプコン「ストリートファイター6」の世界大会「カプコンカップ 12」では大会公式ヘッドセットにも採用された。Gen 2となり、ファーストモデルと比べてどこがどう変わったのかなど、本機のレビューをお届けする。
| 【「Arctis Nova 7 Gen 2」のスペック】 | |
|---|---|
| ドライバー | 40mmネオジム磁気ドライバー(20~22,000 Hz) |
| マイク | ClearCast Gen 2 - 伸縮式ブームマイク(双指向性ノイズキャンセリング、周波数特性(ワイヤレス):100-6500Hz(Bluetooth)100-7000Hz(2.4GHz) |
| 接続 | 2.4GHz、Bluetooth V5.0(同時接続対応) |
| バッテリー持続時間 | 最大54時間(2.4GHzワイヤレス)/ 42時間(Bluetooth)/ 38時間(2.4GHz+BT同時使用時) |
| 重量 | 325g |
Arctis Nova 7 Gen 2では新色マゼンダが登場
まずはArctis Nova 7 Gen 2とはどんなモデルなのかを紹介しておく。
SteelSeriesのヘッドセットArctisシリーズは、インナーイヤータイプのGameBudsとオーバーイヤータイプのNovaとにわかれる。前モデルにあたる「Arctis Nova 7」は2022年9月に発売されており、今回刷新されて「Gen 2」となった。
Arctis NovaシリーズはHi-Res対応のEliteを頂点とし、Pro、7、5、3、1と続いており、「Gen 2」への刷新は7が初。位置づけとしては、ハイミドルクラスの最新ヘッドセットと捉えることができるだろう。
なおArctis Nova 7 Gen 2はワイヤレスであることが強調されているが、パッケージには3.5mmジャックを含むケーブルも同梱されているうえその差し込み口も用意されている。付属のUSB-Cドングルによる2.4GHz接続、Bluetooth接続と合わせて、アナログの有線接続でも本製品を使用することが可能だ。
ちなみにNova 7 Gen 2でも初代同様、Nova 7、Nova 7P、Nova 7Xと3タイプが発売されている。ただ、日本国内においては7Xの流通がなく、無印と7Pのみの販売となっている。無印は主にPCでゲームを遊ぶ人に向けたスタンダードモデル、7Pはプレイステーション 4や5を中心に遊ぶ人向けで、後述のCHATMIXダイヤルがマイクのモニタ音量調節ダイヤルになっている点が違う。ちなみにXbox OneシリーズはUSBオーディオに独自規格が採用されていて、7Xはこれに対応したモデルになっている。
Gen 2になって大きく変わった点として、本体カラーがブラックとホワイトに加え、新色のマゼンダが追加となり、計3色となったことがまず挙げられる。本稿ではその新色マゼンダを貸与いただき、記事を作成している。個人的にこうした赤系統の派手な色は好みの色のひとつ。絶対的な数としてどれだけ売れるかわからないが、個性的な配色が“選べる”という点はとても大事だと思っている。
本体色が増えたことに加え、ハードウェア的にも大きく進化した点がある。バッテリー駆動時間が大幅に伸び、最長約50時間の連続使用が可能になったとのこと。これについては後に詳しく述べることとする。
2.4GHz、Bluetooth、有線と3通りの接続が可能
内部に関しても基本的には初代の仕様を踏襲している。まずは心臓部とも言えるドライバーだが、これには初代同様、口径40mmの「ネオジウムマグネティックドライバー」が採用された。ネオジウム、とあるが、物質名としてはネオジムが正しい。ネオジム磁石といえば、最近は100円ショップなどでも売られている、あの強力な磁石だ。
一般的なオーディオスピーカーやヘッドフォンのドライバーユニットは、ボイスコイルと呼ばれるコイルに電流を流すと、すぐそばに設置された永久磁石との相互作用によって振動板が動いて空気を震わせ、音を鳴らすという仕組みになっている。このとき、永久磁石が強力であるほど同じ電流量でもより強く振動板を動かせる。つまり、大きな音が出せるようになるのだ。
永久磁石としては一般的なフェライト磁石と比較するとネオジム磁石は体積当たりの磁力が数倍以上もある。そのため、より小さく軽い磁石で同じだけの磁力を得ることができ、高効率化、具体的には小型軽量化が可能になるのである。
本機を付属の「USB-Cマルチプラットフォームドングル」を使ってPCやスマートフォンに実際に無線で接続してその音を聞いてみると、中低音の情報量が豊かで、音がわりと太く聞こえる印象だ。高域が鳴っていないわけではなく、たとえば音楽を聴くとボーカルやメロディラインを奏でる楽器が前に出てくるような感じ、といえば伝わるだろうか。
ゲームなどに利用したときの印象も同様で、さまざまな音をしっかりと聴かせてくれたそのうえで、爆発音などがしっかりと響くが、しかしそれが大袈裟すぎない。非常にバランスのよいヘッドセットという印象だ。
筆者は以前から有線のArctis Nova 1を利用しているが、これとの聞き比べもおこなってみた。とはいえ、有線では再生機器内で音声信号を作り出し、アンプで増幅して送り出すのに対し、ワイヤレスでは電波として受信した信号をヘッドセット内で音声信号へと復調し、それを増幅して鳴らすことになる。「どこで音がつくられるか」が変わってくるので単純な聞き比べでは条件が変わりすぎる。
本機Arctis Nova 7 Gen 2はUSB-Cドングルによる2.4GHz接続かBluetooth接続を用いてのワイヤレスな使い方が主ではあるが、3.5mmワイヤオーディオジャックを備え、これを使った有線での接続にも対応し、本体と同色のケーブルも付属している。そこで3.5mmのヘッドフォンジャックを備えたちょっと古めのスマートフォン、シャープの「AQUOS R3」を使い、Arctis Nova 7 Gen 2とNova 1を同じ有線接続で聞き比べてみた。
どちらも使われているドライバーは同じなのだが、音の情報量がArctis Nova 7 Gen 2のほうが豊かでにグレードの違いが感じられた。Arctis Nova 7 Gen 2のほうがしっかりと音が鳴っているのに対し、Nova 1の音は決して悪くないものの、持ち比べたときの印象同様に、少し“軽く”感じられるのだ。
Arctis Nova 7 Gen 2の重量はメーカー公称値で325グラム。一方、Nova 1の重量は236グラムで、Nova 1よりも約100グラム近く重いことになる。有線という同じ条件での聞き比べで感じられた違いには、構造的なものだけでなく、この重さの違いが鳴りにも少なからず影響しているように思う。
また、せっかくなのでArctis Nova 7 Gen 2をAQUOS R3上で有線、2.4GHz、Bluetoothと3種類の接続方法で聞き比べてもみた。
全域がフラットで素直に聞こえたのは有線。2.4GHz接続では全体的に音の情報量が増して艶やかな印象となり、前述のように中低音もよりはっきりと響いた。Bluetooth接続では中低音域がより強く響き、少しバランスが変わって感じられた。
もっとも、これら私が感じた聴感上の違いはあくまでも3通りの接続の比較での話であること、また先に言ったように有線接続における音質は再生機器に内蔵されているDACやアンプの影響も大きいので再生機器が変わればまた結果は変わってくることには留意して欲しい。
3通りの接続方法で聞き比べて見て、直感的に素早く別の機器への差し替えが行える有線接続には改めてそれなりのメリットがあると感じた。ワイヤレスだけでなく、3.5mmジャックを備えていることは本機が持つ長所のひとつと言えるだろう。
2.4GHz&Bluetooth同時接続など初代の強みをそのまま踏襲
前述のように、本機Arctis Nova 7 Gen 2の無線接続方法は付属のUSB-Cドングルを使った2.4GHzでの低遅延無線接続、Bluetoothの2通りが使える。しかも、本機はその同時接続にも対応しているところがポイントだ。たとえば低遅延のUSB-Cドングルでゲームを遊びながら、Bluetooth接続で、音楽を重ねて再生する、といったことができる。
ゲーミングヘッドセットとしての利用においては、2.4GHz接続でゲーム機やPCのゲームサウンドを再生しつつ、Bluetooth接続でスマートフォン上でボイスチャットアプリを楽しむ、といった使い方が考えられる。友だちとボイスチャットを楽しみながら、それを中断させることなく、ドングルを差し替えることでプラットフォームをまたぎながら次々といろんなゲームを楽しむ。そんな使い方ができるのは本機の強みと言えるだろう。
それぞれの接続方式ごとのボリュームは、本機右耳部分にあるCHATMIXダイヤルを使って行う。ゲームパッドのアイコンが描かれた「ゲーミング」側が2.4GHz接続、スピーチバルーンのアイコンが描かれた「チャット」側がBluetooth接続を示している。もちろんそれぞれの再生機器側での音量設定も行うことで、かなり細かくそのバランスは設定することが可能だ。
ちなみにBluetoothでスマートフォンに接続し、USB-Cでゲームチャットも楽しんでいるようなケースでは、Bluetoothでの通話がはじまるとUSB-C側ではマイクが自動的にミュートされる仕様となっている。通話内容がゲームチャットに流れてしまうことを防いでくれるのだ。
ゲームなどに最適化した300種類以上のイコライザー設定を用意
前述のように本機Arctis Nova 7 Gen 2はハードウェア的にこれ単体で見てもかなり見どころのあるつくりになっている。が、その真価を発揮するのはPCやスマートフォン用にリリースされているアプリを併用したときだ。WindowsやMacでは「SteelSeries GG」、モバイルには「SteelSeries Arctis Companion」というアプリが用意されていて、Arctis Nova 7 Gen 2に関するセッティングが行える。
GGはSteelSeriesのゲーミングギアを統合的に管理するアプリだ。ここではWindows11環境をベースに話を進めていく。
GGではウィンドウ左端に並ぶアイコンから「Sonar」を選ぶことでサウンド関連の設定が行える。基本的には水平に並ぶタブから「ミキサー」を選び、「マスター」で主音量を設定したうえで、「ゲーミング」と「チャット」の音量を設定。前述のCHATMIXダイヤルがニュートラルな状態にあるときの音量バランスを設定する。また、マイク入力の音量設定も同じミキサー画面で行う。
特筆すべきはゲーミング、チャットとそれぞれに設定できるイコライザーだ。音楽のジャンル別といった一般的なものに加え、さまざまなゲームタイトル専用のものを中心に、プリセットが300種類以上も用意されていて、しかもその数は今も日を追うごとにどんどん増えている。接続方法ごとにイコライジングを変えられるのは本機ならではの強みと言えるだろう。言うまでもないが、先の聞き比べはイコライザー設定に「Flat」を指定して行った。
イコライザーの詳細な設定を見ると、たとえば「Apex Legends」と「VALORANT」、「PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS(PUBG)」では似ていながらそれぞれに明確な違いがある。たとえば足音や銃声など、そのゲームで「勝つ」うえで重要な意味を持つ効果音が浮かび上がるような設定になっているようだ。
各タイトルごとに違う「重要な意味を持つ効果音」の帯域をピンポイントで持ち上げ、重低音域や不必要な環境音などを切ったり抑えたりしつつ、全体としてあまり不自然にならないように設定しているようだ。
実際にゲームを遊んでみると、イコライザーをFlatにしたままでもしっかりとさまざまな音を聴き分けることができた。しかし、ゲーム専用の設定を用いることでゲーム中で聞き逃してはいけない音、たとえば「PUBG」では建物内で階上から聞こえる足音などがしっかり強調され、すこし浮き上がって聞こえるようになった。また、擬似サラウンドによる音像定位もかなりしっかりしているといった印象だ。
公式大会採用「スト6」、音はSonar導入でより輝く
先にも書いたように、本機Arctis Nova 7 Gen 2は3月に両国国技館で開催された「カプコンカップ12」で大会公式ヘッドセットとしても採用された。会場にはSteelSeriesのブースも出展され、そこでは本機の試聴も可能だったが、「ストリートファイター6」における聞き心地はどうだろうか?
まずイコライザーを入れないFlatで聞くと、前述したようにバランスがよく、様々な音をしっかり聞かせてくれるため、ゲーム内で重要になる打撃音などの音が聞き取りやすい。満遍なく、しっかり音が聞こえるという安定感は、公式大会で採用された大きな理由のひとつだろう。
そして、Sonarには「Street Fighter 6」という専用プリセットが用意されている点もポイントだ。
実際にこのプリセットをFlatと聞き比べてまず感じるのは、「打撃音の重さ」だ。低音域がかなり大きく持ち上げられているので、攻撃がヒットしたときの効果音がより迫力を増す。また、ドライブインパクトなどが発動した際の重圧のある独特な効果音もしっかり響くようになり、互いの駆け引きがより際立つ印象だ。
「ストリートファイター6」のプリセットでは全般的に低域と高域が強調された、いわゆる「ドンシャリ」と言われるようなセッティングになっている。しかも、Music:RockやMusic:Metalなど音楽用のプリセットと比べるとその波形は遙かに極端で過激。そのため、もちろんBGMもまたその影響を大きく受ける。「スト6」をBGM重視でプレイするという場合は、人によってはベースラインやバスドラムの音が大きく響きすぎると感じるケースもあるかもしれない。
また各プリセットはGG上からであれば、自分でアレンジを加えることが可能だ。たとえばこのケース、「ストリートファイター6」で言えば、プリセットの低域をもう少し控えめにしても、Arctis Nova 7 Gen 2ならしっかりとその迫力を伝えてくれる。
聴感は個人差もある。「ストリートファイター6」に限らず、プリセットを参考により自分に適したものへと煮詰めていくのもいいだろう。自分で調整をかけたプリセットは複製して自由に名前をつけて保存ができるし、そのプリセットのデフォルト状態へ戻すこともできる。グラフィカルで自由度の高いイコライザーで気軽に設定をいじってみて、実際の音の変化を体感してみるのは意外と楽しい作業だ。
なお、Arctis Nova 7 Gen 2はファームウェアの更新もこのGGから行う。GGを起動したPCに付属のUSBケーブルを使ってArctis Nova 7 Gen 2を接続し、画面の指示に従っていれば何の苦労もなくファームウェアの更新は終わる。
実際に大会でこのような設定が採用されたかどうかはわからないが、音の面から「スト6」のプレイ環境を細かくセッティングできるのは本製品の大きなメリットだろう。公式大会での採用を受けて本製品を揃えたという場合でも、納得感のある機能が備わっていると言える。
ちなみに、GGがSteelSeriesのゲーミングギアを統合的に管理するものであるのに対し、スマートフォンアプリのArctis CompanionはSonar、特にイコライジングの部分を抽出したような機能に特化している。利用できるプリセットの数はGGのSonarと同様、300種類以上。特にイコライジングをせずともArctis Nova 7 Gen 2はしっかりした音を聴かせてくれるが、やはりスマートフォンと接続するのであれば、Arctis Companionを入れておくに越したことはない。ただし、プリセット設定の再調整やファームウェアの更新はArctis Companion上ではできず、PC上のGGでしか行えない点には注意が必要だ。
重量はそのままに連続使用時間が約50時間に
冒頭でも触れたが、初代からGen 2への進化した点として、バッテリー駆動時間が最長38時間から50時間へと大幅に伸びた。
ワイヤレス機器の駆動時間は言うまでもなく基本的にはバッテリー容量によって決まるが、容量が大きいほど重量が増していく傾向がある。しかしArctis Nova 7 Gen 2の重量はメーカー公表値で325グラム/0.72lbsと初代と変わらない。
重量そのままということは、バッテリーを変更したというよりも消費電力が大幅に改善されたということなのだろうか。初代でも十分実用的なレベルではあったが、Gen 2になってその長所をより伸ばしてきた形だ。駆動時間が伸びたとしても重量が増して使用感が悪化してはあまり意味がない。その点、重量が変わらないままに駆動時間を12時間も伸ばしているのは改善点として純粋に評価ができる。
装着感についても述べておく。一般的なヘッドセットでは、左右のドライバー部分をつなぐヘッドバンドにクッションが組み込まれ、そこが頭頂部に触れるようなつくりになっている。一方、Arctis Novaシリーズではその内側に伸縮性のある布製のヘッドバンドが取り付けられ、それがユーザーの頭頂部に触れ、本体を支える形になる。
この布のヘッドバンドは一般的なヘッドセットよりも頭部に触れる面積が広く、重量がより分散される。また、左右のドライバーが両耳に与える圧迫感を軽減しつつ、それでいてホールドに不安を感じさせない効果もある。肌触りのいい素材で覆われた柔らかなイヤークッションの効果も手伝い、耳への圧迫がさほど強くない割に、頭を振ってもあまりズレない安定感がある。重量による負担をあまり感じないのはこうしたArctis Nova 7 Gen 2の全体的な構造によるところも大きい。
総じて鑑みるに、Arctis Nova 7 Gen 2の325グラムという重量は快適さを損なうほどの重さではなく、また、最長50時間も駆動できるバッテリーを内蔵したワイヤレスヘッドセットとして考えればかなりバランスが取れていると感じる。
このレビューを執筆するにあたり、Arctis Nova 7 Gen 2を音楽再生にも利用してみたが、専用ソフトウェアによるイコライジングの自由度が高いことも手伝って、かなり満足のいく音が聴けた。
やはり本機Arctis Nova 7 Gen 2が持つ性能と個性をしっかりと引き出すためにはハードウェア単体の使用ではなく、専用ソフトウェアの活用は必須と言えよう。価格分かそれ以上の高い納得度、満足感が得られる製品だと思う。



































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