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“こういうのでいいんだよ”なヘッドセット! SteelSeries「Arctis Nova 3P Wireless」を試す

音質十分、機能最小限で低コスト。4色カラバリも嬉しい

【Arctis Nova 3P Wireless】
6月13日より 順次発売予定
価格:各16,640円

 SteelSeriesより6月13日発売となるゲーミングヘッドセット「Arctis Nova 3P Wireless」。こちらを発売前に試すことができたので、その感触をお伝えしたい。

 「Arctis Nova 3P Wireless」は、音質を十分に確保しつつ、必要な機能を最小限に絞ることでコストを抑えたSteelSeriesの最新ヘッドセット。カラーはブラック、ホワイト、ラベンダー、アクアの4色が揃っており、コーディネートのひとつとしても注目したい製品となっている。

 なお、同じカラーリングのマウス「Rival 3 Gen 2」シリーズも5月30日に発売されている。

ラベンダー
アクア
ホワイト
ブラック
【Arctis Nova 3P Wireless】
項目スペック
ドライバー素材ネオジウムマグネット
接続方式Bluetooth 5.3/2.4 GHz(ドングル使用)、無線のみ
対応ハードBluetooth対応製品・Nintendo Switch、PS5、Android/iOSなどのUSB-C対応製品
連続使用時間最大40時間
マイク着脱式(3.5mmイヤホンジャック)、32kHz/16bit
重さ260g
価格16,640円

ネオジウムマグネット使用で上位モデルと同じ音質を確保

 オーディオドライバーの素材には、SteelSeriesのハイエンド製品にも使用される「ネオジウムマグネット」を採用し、音の表現自体は上位モデルに匹敵する。本製品は完全ワイヤレスで、接続方法はドングル使用による2.4GHzとBluetooth 5.3に2種類。ドングル(USB-C)はペアリング済みなので、PS5やPCなどに挿せばすぐに使用できる。

付属するドングル
PS5の正面に取り付けたところ

 さっそくいろいろ試してみたのだが、音質的には「これでいいじゃん」と思えるものになっている。260gと本体が軽く、カラバリもあるということで音も軽くなるのかと思いきや、シャカシャカした質感には一切ならず、繊細な高音からどっしりとした低音までしっかり表現してくれる。

 音質の良さは立体音響向きでもあり、「モンスターハンターワイルズ」なら人々の話声や凶暴なモンスターの鳴き声、壮大なBGMに至るまで、ばっちり満足行く体験が可能となる。もちろん、音楽や映像鑑賞でも満足を得られるだろう。

 ハイレゾ対応ドライバーを備えた最上位モデル「Arctis Nova Pro Wireless」になると、さらなる繊細な音の響きや音の厚み、そこから感じられる空間の広がりといったような表現で違いが出てくるが、そこまで突き詰めなくても十分にコンテンツの良さを引き出してくれる。

 オプション機能としては、スマホアプリ「SteelSeries Arctis Companion」と連動する。アプリと連動すると、イコライザーのデフォルト設定を含む260種類のゲームタイトル用プリセットを使用できる。PCと接続すればSteelSeriesのPC用イコライザーアプリ「Sonar」とも連動する。

「SteelSeries Arctis Companion」画面。260のプリセットが用意されている
「モンハンワイルズ」。環境音や話し声、モンスターの鳴き声などを間近に、リッチに感じられる

 本体機能やケーブルポートは左側のイヤーパッドに集約されており、こちらも使いやすさのポイント。電源は電源ボタン長押しでオンオフでき、短押しだと2.4GHzとBluetoothの接続切り替えとなる。

 個人的に便利だったのは、電源ボタンの隣りにある音量ホイール。音量が気になったときにクルクルと回して音量を変えられるほか、押し込むと音楽の停止/再生、2回押すと曲のスキップなど、音楽鑑賞に役立つ機能が搭載されている。ほかに、マイクのミュートボタンもこちらにある。

ボタン類は左側に集約

シンプルだが実力のある一品

 マイクは3.5mmジャックの着脱式で、32Khz/16bit対応。なお、使用時間はフル充電で最長40時間、電池残量ゼロから15分の充電でも最大9時間駆動する。

 またユニークなのは、ABS素材でできたヘッドバンド部分に伸縮性があること。そんなケースは滅多にないと思うが、バンドをかなり力強くひねったり開いたりしても、しなやかな感じでもとに戻り、壊れにくくなっている。持ち運びなどにも便利と言えるだろう。

マイクは着脱式
ヘッドバンド部分。軽くてしなやかな仕上がり

 ノイズキャンセリングやトランスペアレントモードがなかったり、有線での使用には対応していなかったり、マイクは収納式でなかったりと、ハイエンドモデルと比較すると“ない機能”も少なからずある。が、それらが削ぎ落とされていることで、むしろ使い方はシンプルでわかりやすいくらいである。

 16,640円という価格は、高品質路線のSteelSeriesのラインナップからすると、低価格帯に位置する。SteelSeries製品のハイクラスな音質を持ちながら、機能は必要十分で使い勝手も良いと考えると、かなりお得ではないだろうか。シンプルだが実力はある。まさに、「こういうのでいいんだよ」という使い心地に仕上がっている製品だ。