レビュー
「サイレントヒル f」レビュー
竜騎士07節が効いた謎に包まれたストーリーと、型破りなアクションがプレーヤーを狂気の世界に惹き込む
2025年9月22日 16:00
- 【SILENT HILL f】
- 9月25日 発売予定
- 価格:
- 8,580円(スタンダードエディション)
- 9,790円(デラックスエディション)
2022年に、日本を舞台にした「SILENT HILL(サイレントヒル)」シリーズ最新作として発表された「SILENT HILL f(サイレントヒル f)」が、コナミデジタルエンタテインメントより9月25日にプレイステーション 5/Xbox Series X/PCでついにリリースされる。
昨年リリースされた「SILENT HILL 2」もほぼ新作と言っても過言ではない作りではあったが、本作は完全新作ということもあり、リメイク以上にファンからの注目を集めている。
「SILENT HILL」シリーズといえば、精神を抉るような恐怖演出が特徴のサイコロジカルホラーゲームだ。本作でもシリーズ定番の不気味な登場人物や世界観、グロテスクなバケモノなどは健在で、プレーヤーの不安感を煽りに煽ってくる。
ゲームの舞台を日本にし、これまでには無かったアクション性を取り入れた挑戦的な本作を今回一足早く触り、エンディングまでプレイさせていただいた。結論から言うと通しで1度クリアした時点の感想は“シリーズの中でもっとも謎が多い作品”であった。
本稿では、基本となるゲーム性や本作ならではの全く新しいアクション、ゲームを進めれば進めるほど深まっていく本作の謎について紹介していきたいと思う。後半には1周目のエンディングの内容にも少し触れているので注意していただきたい。
昭和の田舎町を舞台とした新作には無限に復活するバケモノも存在
1960年の昭和の田舎町・戎ヶ丘(えびすがおか)が本作の舞台となっている。畑があり、民家や商店などが並ぶその町並みは昭和のレトロ感を見事に再現している。
本作の主人公「深水雛子」と父親が喧嘩をして家を飛び出すシーンからゲームが始まる。昭和感があるのは町並みだけではなく、父親のちょっとしたセリフからもリアルな昭和の頑固親父感が滲み出ている。
日常的なシーンはほんの冒頭のみで、家を出た後に友達と何気ない会話を交わしているところで唐突に謎の霧と赤く不気味な植物に襲われる。逃げる途中で一緒にいた友達とは散り散りになってしまう。
冒頭は緩やかで時間をかけて徐々に怖くなっていく映画のような見せ方ではなく、早々に恐怖の世界観に変わっていく展開はゲームならではのテンポの良さといえるだろう。
アメリカから日本へと舞台を変えたものの、不気味な町を探索して溢れ出るバケモノを蹴散らしながら立ち塞がる難解な仕掛けを突破して進んでいくという、ゲームの軸となる部分はお馴染みの「SILENT HILL」。
シリーズの顔とも言える嫌悪感が凝縮されたバケモノもこれまでと変わらずプレーヤーを恐怖で震えさせる。探索をしているなかでバケモノがどこに潜んでいて、いつ襲われるかがわからない状況は片時たりとも安心できない緊張感が味わえる。
舞台は戎ヶ丘の町だけではなく、これまでのシリーズ同様に通常の「表世界」と「裏世界」が存在する。雛子が眠りについたり意識を失うことで世界が変化し、2つの世界を交互に行き来してゲームを進めていく。
「SILENT HILL 2」では裏と表で建物内の様相が変化するといった形で世界が変わる境界が曖昧に描かれていた。しかし本作の裏世界は一貫して暗闇に包まれた不気味な社殿となっているので、世界の切り替わりを明確に感じ取れるようになっている。
この裏世界では表の世界よりもさらに手強いバケモノが出現してプレーヤーを苦しめてくる。しかも強いだけでなく、社殿の敵は1度倒しても一定時間が経過すると復活するというかなり厄介な特徴を持っているのだ。
表ではほとんどのバケモノは1度倒せば再び湧いてくることはないので倒してから心置きなくゆっくり探索できるのだが、裏では行動不能にしたら復活する前に急いで辺りを調べて回る必要があり、探索中もいつ復活してくるか常にハラハラ感に襲われる。
武器が壊れる怖さなど、様々な角度から恐怖が襲い掛かる
バケモノの存在以外にもプレーヤーをハラハラさせる要素がある。今作ではほとんどの武器に耐久度が設定されており、武器を使い続けて耐久度が0になると壊れて使えなくなってしまうのだ。手持ちの武器が心もとないときは過去作以上に不安と恐怖が圧し掛かる。
武器とアイテムには所持できる数の上限もあり、回復をはじめとしたアイテムを無限に所持することができないのも本作の難易度と恐怖を底上げしている。
筆者はこういったゲームでは基本的に貧乏性プレイで、完全回復アイテムなどは貯めに貯め込んで結局最後まで使わずに終わるパターンなのだが今回はそうはいかず、その理由はアイテムの種類によって所持容量の圧迫具合が変わってくるのだ。
例えば、体力と精神力をわずかに回復させる「赤いカプセル」は何個所持していても1枠しか埋まらないが、全回復の「救急箱」は1つにつき1枠が埋まってしまうので貯め込んでしまうと手持ちがパンパンになり、必要なアイテムが拾えなくなるという事態に陥ってしまう。
アイテムが持てる数はそれほど多くはないので、所持できるアイテムの枠を空けることを考えながら場面に応じて適当なアイテムを使っていくというリソース管理が重要になってくる。
これまでのシリーズ作品と一線を画す、型破りな新アクションが登場
「SILENT HILL f」の売りの1つである、圧倒的に進化したアクション部分についても触れていこう。
本作は日本が舞台ということもあって銃社会の世界ではない。そのため、これまでの作品には必ず存在したハンドガンやショットガンといったような銃火器は一切登場しない。鉄パイプや包丁、斧のような日本で身近(?)にある武器を使った接近戦がメインとなる。
攻撃の種類は、発生は早いがダメージの小さい通常攻撃と、逆に発生は遅いがダメージが大きい強攻撃の2つ使い分けて戦っていく。
今作では「持久力」と「精神力」がバトルのカギを握っている。特に重要なのは持久力で、戦闘中でのダッシュや回避アクション、そして攻撃を行なうとゲージを消費する。持久力が0になるとそれらの行動が一定時間できなくなり、ゲージが回復するまでの時間は無防備な状態を晒すことになる。
もう1つの精神力は「集中」というアクションを使うのに必要になる。集中しているときは敵の攻撃にカウンターを叩き込む「見切り反撃」がやりやすくなるのと、必ず敵を怯ませることができる「渾身の一撃」を使うことができる。
持久力と同様に、精神力も一定時間の経過で基本は回復するのだが、敵の特定の攻撃を受けたり渾身の一撃を放つことで精神力の最大値が減ってしまうのだ。アクション難易度「難関」以上では回復アイテムを使うか祠で心を鎮めないと最大値は回復しないので注意が必要だ。
戦闘の難易度はリメイク版「SILENT HILL 2」も過去作と比べて高かったが本作はさらにその上を行っている。木材や鉄パイプをとりあえずブンブン振り回しているだけで敵を蹴散らせるなんてことはもちろん無く、アクションゲームのようにプレーヤーの腕が試される。
まず、敵はこちらの攻撃で必ず怯むとは限らず、そのまま反撃してくることもあるという厄介な性能をしている。いわゆるアーマー持ちのため、攻めだけのゴリ押し戦術で戦っていてはかなりの痛手を負ってしまう。
なので、ダメージを受けずに敵を倒すなら基本的には見切り反撃を軸に戦っていきたい。敵が特定の攻撃をしてくる際に“一瞬だけ残像の様なエフェクト”が出るので、出た瞬間に強攻撃をすると見切り反撃が成功する。
通常だとエフェクトが出る時間が短いので見切り反撃を決めるのがなかなか難しいが、集中をしているとエフェクトが出る瞬間がスローモーションになるのでかなり狙いやすくなる。
もちろん見切り反撃不可の攻撃もあるので、集中をしながら敵を凝視してエフェクトが出たら見切り反撃を食らわせ、エフェクトが出ずに攻撃を仕掛けてきたらすかさず回避アクションでかわすといった、反射神経と判断力が要求される。
持久力が無くなると攻撃も回避もできなくなるので、減ってきたら敵と距離をとって落ち着いて持久力を回復させつつ戦うといったゲージ管理も大事になる。
これまでのシリーズで戦闘を楽に済ませるためには銃火器をぶっ放すか、アクションの腕を上げるしかないというところだったが、今作では主人公の成長システムが実装されている。
祠でお供えすることで手に入る「功徳」というポイントと、道中で拾えるアイテムの「祈願絵馬」を使って祈願することで雛子の体力、精神力、持久力の最大値をアップさせられたり、装備の枠を増やすことが可能。
体力や精神力も大事だが、中でも持久力の多さで戦闘の難易度が大きく変わるので、最初のうちに上げておくと戦いが格段に有利になるのでおすすめだ。
以前に行なわれたメディア向け試遊会の時点で「SILENT HILL f」のアクション性の高さに驚かされたのだが、実はアクション面で“さらに驚きの要素”が待っていた。ゲームを進めると雛子は“獣の力”を使えるようになり、人知を超えたパワーで戦うことができる。
片腕は少女には似つかわしくない厳つい獣の腕となり、その剛腕から強力な殴りや引っかき攻撃を繰り出すことができる。通常の武器の攻撃よりも敵が怯みやすいので、一方的に殴り続けるパワープレイで敵を粉砕できる。
獣の腕には「吸魂」という能力も備わっている。先でも触れたが裏世界の社殿の敵は倒しても一定時間で復活する性質を持っているのだが、一度倒した敵を復活する前に吸魂をすれば完全に敵を消滅させることができるのだ。
この際、新たに「葛の葉の烙印」というゲージも追加され、敵を攻撃したり、吸魂をするとゲージが溜まっていく。葛の葉の烙印が満杯になると覚醒することができ、ゲージが無くなるまでの一定時間「獣の大腕」へと強化される。
強化中は攻撃の威力がアップするのはもちろん、こちらは無敵状態となっているので思いのままに暴れまくって敵を無双することができる。しかも獣の大腕で倒した敵はすぐさま消滅するので吸魂する必要すらもない。ボス戦や大勢のバケモノを相手にする場面ではかなりの活躍が期待できる。
誰もが予想できない今回の新アクションは最初に見た瞬間は本当に驚かされた。バケモノの復活を阻止できたり、爽快さすら感じるダイナミックなアクションは、ホラーゲームという面で見てしまうと怖さはやや薄れてしまうが、それ以上にゲーム中盤まで苦しめられてきた“緊張感からの解放”が怖さとは違うベクトルでの面白さの体験に繋がっている。
竜騎士07氏の神髄である、謎が謎を呼ぶストーリー
改めて、今回レビューを書くにあたって1週目のエンディングを見るところまでプレイしたが、率直な感想を言うと本作のストーリーはとにかく謎が多い。
竜騎士07節ともいえる複雑なストーリー構成となっており“1回クリアしただけでは物語の9割は謎のままで終わる”という作りになっている。「嘘だッ!!」と言いたくなるかもしれないが本当である。
ここからは、あまりネタバレにならないようストーリーの詳細な内容は避けつつ、筆者がプレイして感じた謎の部分に触れていきたいと思う。
「SILENT HILL」といえば、ゲームを進めているうちに徐々に異変が現われるものだが、本作は冒頭の友達とのやりとりから違和感しかない。
雛子の友達の「五十嵐咲子」は物を貸し借りしあうほど仲の良い友達の関係性。しかし、他愛もない会話をしている最中に突然「裏切り者」という暴言を浴びせられることがたびたびある。正確には、本当にそういった言葉を声に出して言われているのか、それともただ雛子の脳内で再生されているだけなのか、そこも非常に曖昧だったりする。
もう1人の友達の「西田凛子」は世話焼きで面倒見のいい子ではあるのだが、言動の端々に雛子への冷たさが見え隠れしている。雛子と凛子が階段を下りていて、前を行く雛子が階段から転落する場面があり、凛子は「ドジだね」と心無い言葉をかけるが、本当に雛子がただ足を踏み外しただけなのか、実は凛子が手を下したのか――その真相は不明である。
雛子がいない裏では、幼馴染の「岩井修」と“雛子はもう死んでいる”といったような理解不能な会話も交わされていたりと言動の全てが不可解すぎる。詳しくは全く分からないが、雛子と友達との関係に明かされていない大きな秘密がありそうだ。
裏世界の社殿でのみ姿を見せる「狐面の男」も謎に満ちている。
初めて裏世界に迷い込んでしまったとき雛子をバケモノから守ってくれたりと、初めは手を貸してくれる人物なのかと思われたが段々と雲行きが怪しくなってくる。雛子にかなり過激な試練を課したり、いつの間にか雛子を自分のものにしようとしていたりと、ゲームをプレイしていて急な流れにずっと置いてけぼりを食らっていた。
裏世界に来てしまったときは普段通りだった雛子も、いつしか狐面の男が言うことを全て受け入れる“生気の無い人形”のようになっていくのも不気味であった。
結局1周目のプレイではこの狐面の男の正体は一切わからずじまいだったが、2周目以降も深くプレイしていけばその謎が明かされるのだろう。
1周目の終盤では、社殿で大量のバケモノが押し寄せてきて、雛子は半狂乱になりながらもバケモノたちを蹴散らして社殿からの脱出を試みるという展開に突入する。
視界は歪み、場面は社殿、自分の住む町、自宅の中と場面が目まぐるしく移り変わり、さらに回復アイテムの赤いカプセルがそこら中に無数に転がっているという狂気的な演出で描かれている。
バケモノと対峙していると時折、人々の困惑するような声が聞こえてくることがあるのだが、これも非常に意味深である。
今回、通しで1周目のエンディングまでプレイしたが、多くの謎を残したままのエンディングのモヤモヤ感は「ひぐらしのなく頃に」の「鬼隠し編」を読み終えたときに近い感覚で(※)、竜騎士07氏の味を色濃く感じることができた。
※「ひぐらしのなく頃に」は「◯◯し編」という複数のエピソードで構成されており「鬼隠し編」は物語の序章にあたる
1周目のプレイは、「SILENT HILL f」の登場人物や世界観の大枠を知るためのあくまでも序章といった内容で物語の本筋は何もわかっていない。本作はどういった物語を描いているのか、そして“f”というワードに含まれた意味とは……。ぜひ実際にプレイして全ての真相を明かしてもらいたい。
(C)Konami Digital Entertainment
※画面は開発中のものです。






























































































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