レビュー
「ボーダーランズ4」レビュー
瞬きすら忘れるド派手なバトルに酔いしれる! 本質は“ボダラン”ながら各所が進化
2025年9月11日 21:00
- 【ボーダーランズ4】
- 9月12日 発売予定
- 価格:
- 通常版:9,460円
- デラックス・エディション:13,860円
- 超デラックス・エディション:16,500円
2Kはプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用シューティングRPG「ボーダーランズ4(Borderlands 4)」を9月12日に発売する(※ Nintendo Switch 2版は10月3日に発売予定)。同作は、Gearbox Softwareが開発する、一人称視点の大人気ルートシューターだ。
荒廃した惑星を舞台に「ヴォルト・ハンター」と呼ばれる常人離れした戦士たちが、良からぬ陰謀を企てるヴィランたちと対峙しながら、惑星の危機を救う人気シリーズ「ボーダーランズ」(以下、「ボダラン」)の最新作となる。ブラックユーモアとジョークを全面に打ち出した、コミカルでクレイジーな作風がグローバルに支持され続けており、ハック&スラッシュとシューター要素を掛け合わせたゲーム性もプレーヤー間で高い評価を獲得している。昨年2024年には、実写映画版が放映されるなど、根強い人気を誇るシリーズとして知られている。
今回はゲームの発売に先駆けて2Kより先行プレイ用コードの提供を受けた。早速、シリーズ最新作「ボーダーランズ4」を実際にプレイした上で感じた、新たな魅力とその所感についてお届けしていこう。
「ボーダーランズ4」の舞台は惑星「カイロス」――独裁者・タイムキーパーの支配に挑む叛逆の物語
「ボーダーランズ4」は、無慈悲な独裁者・タイムキーパーと、その軍団「オーダー」が管理している惑星カイロスがゲームの舞台となる。カイロスに住まう者は皆等しくタイムキーパーに「ボルト」と呼ばれるインプラントを埋め込まれ、監視・管理されている。ある種洗脳や催眠にも近い状態と言えたが、タイムキーパーはボルトを利用することで、カイロス全土を自身のもたらす秩序によって掌握していた。
しかし、ひょんなことからボルトの束縛を振り解いた者たちによって、次第にタイムキーパーへ反旗を翻そうとする反抗勢力が増大していくことに。そんな混沌としたカイロスの情勢を他所に、自由気ままに暴れ倒す4人のヴォルト・ハンターたちは、ある日オーダーの軍勢に拘束され、やがてタイムキーパーにボルトを埋め込まれてしまう。ピンチに陥ったプレーヤーの前に現れたのは、「クリムゾン・レジスタンス」所属のヴォルト・ハンターを名乗る青年・アージェイだった。
プレーヤーとアージェイはたった2人でオーダーの基地からの脱出を試みる。追っ手を退け、あと一歩というところで、プレーヤーは意識をタイムキーパーに乗っ取られてしまう。しかしアージェイの機転によってプレーヤーは無事逃げ延びることに成功。その後、漂流した先でクリムゾン・レジスタンスのリーダー(!)のクラップトラップと出会い、やや強引にクリムゾン・レジスタンスに加わることになっていく。
プレーヤーは、クラップトラップの命令を受けて、タイムキーパーに対抗するため、惑星カイロス中に存在するレジスタンス組織との協力関係を結ぶために各地を旅していくこととなる。
本作のメインクエストでは広大なカイロスを駆け回り、タイムキーパーを倒すために戦力を増強していく過程が描かれる。その過程でどんな出会いと別れのドラマが待ち受けているのかは、ネタバレになってしまうので、直接その目で確かめてもらいたい。ちなみに、前作「ボーダーランス3」をプレイしていると、ナンバリングとしての繋がりを強く感じさせる“サプライズ”も用意されている。
目移りポイントが多すぎて嬉しくなるオープンマップ化
「ボダラン」シリーズもナンバリング4作目にして、完全なオープンワールドではないものの、ついにシームレスなオープンマップを採用するに至った。過去作でもハック&スラッシュとフィールド探索の醍醐味を味わうには、十分な広さを備えていたと記憶する。程よい高低差と開けた空間がバランス良く混ざり合い、探索エリアによってはターミナルからビークルを引っ張り出してこなければ、移動するには不便なくらいには広かった。
ではオープンマップになってどうなったかというと、自然過ぎて違和感がない。厳密にはシステム刷新なのだろうが、元からオープンマップゲームに馴染む素質があったと思うし、「3」の発売からすでに6年が経過していることなどを考えれば、必然だったのだろう。
シームレス化に伴い、広大なマップには随所にランダムイベントが散りばめられている。オーダーの軍事施設やリッパーの縄張り、カイロスに生息する原生生物たちの住処。オーダーとレジスタンスが争ったと思われる跡地や、廃屋が並ぶ場所もあるが、そうした探索ポイントの数々にプラスアルファで、突発的なイベントが用意されている。
「ボダラン」は“今よりも強力な武器を入手する”ことがコアとなる楽しみの一つであり、気ままなマップ探索とそこに付随する戦闘の相性はすこぶる良い。クエスト目標への移動中、オーダーとリッパーの争いに巻き込まれた結果、運良く欲しかった武器やアイテムを見つけられる発見の喜びはひとしおだ。
また、今回はオープンマップなので行動範囲の制約も少ない。比較的序盤からビークルが使えるため、それさえ入手してしまえば好きなタイミングで自由に探索を始められる。もっとも、メインクエストを進めていくことで、必然的にプレーヤーの行動範囲が拡大していくプレイの導線が敷かれていることから、無理に意図せずとも広大なカイロスの地を結果的には奔走することになるわけだが。
過去作ではエリア間にロードを挟む上、各エリアの広さに制限があった。それでもいち個人としては気にならない広さだったが、人によってはどことなく閉鎖感を感じていたユーザーがいるかもしれない。ただ、これは決して悪いことではなく、だからこそ探索する指針をプレーヤーがマップを見ながら感覚的に察せるメリットがあった。
しかしながらひとつなぎの惑星カイロスでは、完全ではないものの、オープンマップ上を自由に行き来できる。そして、そのオープンマップを冒険する上では目移りする場所があまりにも多い。多すぎて、嬉しい悲鳴が止まらないくらいである。
ビークルをかっ飛ばしていると、所々で気になるポイントがプレーヤーの視界に入り込み、気がつくと依頼の目的そっちのけでスリルと最上の武器を求めてドンパチ銃撃戦を展開している。おかげで中々メインクエストも進まない……。
プレーヤーたちは、徐々に危険を顧みないヴォルト・ハンターのような探究心と欲望に掻きたてられていく。時間泥棒な「ボダラン」のゲーム性は、広々としたシームレスなマップを導入したことによって、一層の深みを手にしたようである。
ちなみに、本稿執筆にあたってはスケジュールの関係上、シングルプレイでのみのゲームプレイとなった。だが、「ボーダーランズ4」でも恒例のマルチプレイモードは楽しめる。最近ではどのゲームでもあまり推されることがなくなってきているが、本作はPS5/Xbox Series X|S版といった家庭用ハードにおいて、ローカルでの画面分割協力プレイが可能となっている。
ゲームの対象年齢(レーティングZ区分)を考えると、さすがに子どもの居る家庭でお父さんが堂々とプレイするのは躊躇われるところだろう。しかしながら我々のような大の大人が、夜な夜な酒とツマミを持ち寄って、画面分割で遊ぶのはきっと背徳的で楽しいに違いない。オープンマップ化はマルチプレイの体験もシームレスになるため、そうした観点でもゲームにはプラスだ。
さらにオンラインならハードの垣根を越えたクロスプレイにより、最大4人でカイロスを探索できる。たとえば、友人と4人と雑談を楽しみながらわちゃわちゃと戦いに明け暮れるのは絶対に盛り上がる遊び方だ。仮に筆者のようなフレンドがいないぼっちでも、野良のヴォルト・ハンターと言語を交わさず、フィーリングだけで共闘することにもロマンを感じる。
他のプレーヤーと協力してコンテンツに挑めば、自分が使うヴォルト・ハンターのまだ見ぬ可能性を発見できたり、あるいは選ばなかったヴォルト・ハンターの固有スキルに魅了されたりもするだろう。共闘することで初めて得られる仲間の心強さ、ロールプレイの醍醐味は、本作の遊び方にさらなる奥行きをもたらしてくれると思う。
ヴォルト・ハンターすら振り回すクラップトラップのやかましさに安心感。ジョークとユーモアあふれる会話劇にも注目!
シリーズではもはや恒例と言っていいほどに、4人のヴォルト・ハンターたちがプレイアブルキャラクターとして登場している。もちろん、そのお約束は本作でも健在。皆それぞれに個性があって、得意とする役割・強みが大きく異なっている。
元軍人で戦闘に特化したエクソスーツを駆使するラファ、フェーズエネルギーを自在に操り、エネルギー体を召喚するヴェックス、強靱な肉体とフォージアックスで豪快に戦うアモン、特殊かつ多彩な兵装で敵の動きを封じ込めるハーロウ。性別、性格、出身、生い立ち、皆一様にバラバラだが、一貫して「タイムキーパーを打倒する」というメインクエスト上での目的は変わらない。なお、彼らがヴォルト・ハンターになるまでの経緯は、公式YouTubeのキャラクタートレーラーにて補完されている形だ。
今回のプレイでは、タンクキャラのアモンでゲームを進めていた。アモンは耐久力に優れるアビリティを多く備えており、何かと強引気味なプレイスタイルの筆者にピッタリなキャラクター。その風貌はほかの3人と比べて大柄な体躯で、洋ゲーらしい正当派(?)な歴戦のマッチョおやじといったところである。
戦い方も性格も豪快な人物なのだが、戦士としての矜恃と哲学を持ち合わせており、その無骨さが魅力的だ。かと思えば、愛車のビークルがボロボロに傷つくと「泣くかもしれん……(震え声)」とボヤき始めたり、ビークルに対して相棒のように語りかけたりなど、妙な愛着を持っている。たまに見せる弱気な台詞とのギャップがなんとも愛おしい、おやじ萌えなキャラとなっている。
シリーズでお馴染みのクラップトラップも相変わらずの存在感を誇る。これまでは単なるズッコケポンコツロボくらいの立ち位置だったが、本作では味方勢力「クリムゾン・レジスタンス」のリーダーなどになっていて、随分大それた立場だ。
しかしながら、一騎当千のヴォルト・ハンターたちすら振り回すエキセントリックな言動とそのハイテンションぶりに安心感すら覚える。果てしない荒野が続く惑星、イカれたリッパーたち、そしてクラップトラップのやかましさがなければ、きっと「ボダラン」として成立し得ないだろう。
どこか憎めないアクの強いNPCもたくさん登場するので、ここにも注目しておきたい。どいつもこいつもヴォルト・ハンターに対して良くない偏見を持っていて、それを隠そうともしないが、雑用やおつかいをちゃっかりと依頼してくる図太さの持ち主ばかり。
ヴォルト・ハンターもまんざらではないようで、たまに悪態をつきながらも従順に依頼はこなす。サブクエストではそうした個性あふれる(もといクレイジー)なNPCたちと供に、実に「ボダラン」らしいとしか形容できない、ぶっ飛んだ展開と結末のエピソードが待っている。
思わず笑ってしまうしょうもないジョークとユーモラスな会話が、作中にはこれでもかと練られているので、ゲームを手に取る際はぜひその辺りにも注目してほしいところだ。
3系統のスキルツリーで成長の方向性を決める楽しみ
前項で軽く紹介していたように、今回のゲームプレイではタンクキャラのアモンを使用している。ロールとビジュアルに目がいきがちだが、実のところスキル・ポイントの割り振り方次第で、ヴォルト・ハンターは攻撃重視にも耐久重視にも個性を伸ばせる。
戦闘とクエストの達成を繰り返して経験値を集め、獲得したスキル・ポイントでアビリティの強化・解放を行う。各ヴォルト・ハンターには3つの「アクション・スキル」を起点にそれぞれスキルツリーが用意されており、それらのスキルツリーにポイントを割り振ることで成長の方向性と個性を決めていける。
起点となるアクション・スキルを切り替えると、戦闘中にヴォルト・ハンターが使用するスキルも切り替わる、という仕組みだ。
アモンのコンセプトを考えると、タンクらしい耐久性を伸ばしていくなら「ヴェンジャンス」が良さそうだ。「ヴェンジャンス」では、シールドを展開して攻撃を防ぎながら、鞭による反撃が可能だ。
ただ、ここで近接戦闘に長けた「カラミティ」を成長させていけば、前衛でゴリゴリ戦うインファイターらしいビルドを構築できる。また「サイバネティクス」ならフォージアックスを両手に持ち、それをブン投げたりブーメランのように使ったり、あるいは敵切りつけるといった戦い方ができる。
どのタイプでゲームを進めていくかはプレーヤーの自由だし、気分転換くらいの感覚で簡単に切り替えられるため、最初は気楽に振ってしまっても構わない。ポイントは後から振り直せるので、ビルドの方向性が決まってきてから再考するというのも手段の一つとなる。
本稿執筆時点ではまだまだ先が長そうだが、ヴォルト・ハンターの育成は本作におけるエンドコンテンツの1つだということが発表されている。また、ゲーム中はヴォルト・ハンターとビークルのカスタマイズ用スキンが入手できるので、惑星カイロスでの冒険を通して自分好みのヴォルト・ハンターを作り出していきたい。
戦闘は“シューター”から空間を使った“アクション”へと進化
FPSとしての「ボダラン」のキモは、これまで入手した多彩な武器種の使い分けと、ヴォルト・ハンターのスキルを駆使したド派手な戦闘の一体感に集約される。その様相はシューターというより、さながらアクションに近い。
次から次へと出現する敵を、武器の火力とスキルで力任せに制圧していくのは、シリーズに共通している爽快感だ。本作ではそうした戦闘の魅力に、ダブル・ジャンプとグラップリングフック、ロケットブーストに空中ダッシュといった、3次元的な挙動のアプローチを試みている。X軸とY軸を中心とした平面移動だけに留まらず、Z軸のダイナミズムを強化している。
たとえば、フックで空中に跳躍後、ブーストで緩やかに滑空しつつ高所から敵を制圧する……といった芸当は本作「ボダラン4」からの新たな戦術と言える。特にボスバトルはこうした新アクションを積極的に使うことが前提となっていて、プレイスキルにも相応のものが求められる。
特に空間を意識して避けなければ手痛く被弾してしまうギミックが満載だ。過去作の撃っては避けて、なボスバトルは分かりやすさこそあれど、やはりあくまでもシューターとしての域を出ないものだった。それが今回の新要素により、アクションゲームらしいボスバトルへと体験のレイヤーが1つ上がった印象だ。
プレーヤーにはアクションの自由度が拡張された一方、敵となるオーダーとリッパーもそれなりに手強い調整がされていると思う。リッパーの中には厄介なタレットを召喚してくる者がいるし、オーダーの戦力は軒悩み戦闘力が高い。プレーヤー側の難易度選択次第ではあるものの、全体的に敵が手強い印象を受けた。本レビューにあっては、難易度「普通」でプレイしている。しかし、自身のプレイを見返してみると、サブクエストやマップ探索中にデスを重ねている傾向が多い。
「今作では飛べるから」とむやみに跳躍すれば集中砲火を受ける。あっという間にシールドは限界値を超えていき、体力も空中ダッシュを使うためのブーストゲージも枯渇状態である。かといって、遮蔽物に隠れてただ撃ち合うだけというのも「ボダラン」の楽しみ方を自ら欠いている気がしてならない。それにリッパーもオーダーの兵士も、プレーヤー目がけて猪突猛進に向かってくるため、武器とスキルの手早い火力制圧が自然と有効な戦術だと思えてくる。
なお、立ち回り方については筆者もまだまだ研究中の身だということを提言しておきたい。本作の戦闘はスキルの選択と銃の組み合わせだけでも膨大だし、実際の戦闘中も応用と機転を利かせられるだけの自由度が本当に高い。そのため「こうすることが基本セオリー」だと明言することがなかなか難しい。三次元的な挙動を活かした立ち回り方も、いろいろと模索できることだろう。
ただ、いずれにしても、各ヴォルト・ハンターに用意された3種のスキルツリー選択は、バトルスタイルの基本軸に置かれることとなる。いちプレーヤーとして腕を磨ける余地が大いにあることは、喜ばしいことだろう。少なくとも、過去シリーズからバトルの常識をアップデートしておく必要はある。瞬きすら忘れる激しい展開に誰もがエキサイトするはずだ。
伸び代を残しつつも、ハチャメチャな冒険にゲーマー魂が揺さぶられる
本作は紛うことなき「ボーダーランズ」の看板を背負ったナンバリング最新作であることは明白だ。戦闘・探索・育成・クエストの没入感、ゲーム体験を総合的にバージョンアップすることに成功している。しかし、本作は「ボダラン」というシリーズにとって、ある意味“新章”と言えるタイトルでもある。
オープンマップ化への路線変更そのものは成功したと認めているが、せっかくの新アクションがワールド探索に活かし切れていない、という側面もある。ダブル・ジャンプで微妙に登り切れない崖。クライミングと、グラップリングの跳躍は、用途があまりに限定されている印象を受けた。
過去作のようなルートシューターとしての「ボダラン」であれば、こうしたインタラクティブポイントの配分に違和感を覚えることはなかったかもしない。シームレスではなく、マップごとにエリアが区切られているが故に、遊びの密度が高いつくりになっていたからだ。
ランダムイベントや探索できるポイントがある箇所はとても満足できるのだが、そうではない、ただ移動するだけのような場所もある。その場合、ユーザーへの配慮はほぼいつでも呼べるビークルだけというのは、せっかくのオープンマップなのに正直もったいない気がする。
とはいえ、ゲームとして気になる部分はそのくらいだ。今作からの新しい試みの数々は、シリーズの方向性を決定づけるための試金石であり、時代に合わせたフォーマットづくりへの挑戦、と考えられるだろう。
その意味では、触れてみるほど“いつもの「ボダラン」”と言える仕上がりである。新たな舞台、新たなヴォルト・ハンター、新たな宿敵とのハチャメチャで世紀末な冒険に、ゲーマー魂が揺さぶられること請け合いだ。
(C)2025 Gearbox Software. Published by 2K Games. Developed by Gearbox. Gearbox, Borderlands, and related logos are all trademarks of Gearbox Software, LLC. 2K and the 2K logo are trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.

































































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