レビュー
【ネタバレ注意】怒濤の最終回迎えた「ガンダム ジークアクス」第12話レビュー
ファンの「好き」詰め込んだガンダム架空戦記ついに完結
2025年6月25日 13:33
- 【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】
- 配信:Prime Videoほか
6月24日、ついに「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の物語が完結した。何がでてきても不思議ではない驚愕の展開が続き、放送後のSNSを賑わせていたが、それも終わりだと思うと寂しいものがある。
そこで本稿では、最終回12話の感想を、ガノタ(「ガンダム」ファン)から見たマニアックな視点を混ぜつつレビューしていきたいと思う。なお、オマケとして、「宇宙世紀ものあまり見てないよ=ファースト、Zなどを未見」の方向けに、理解しにくい部分を補足する豆知識も紹介しておく。
早速ネタバレ全開で、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」とは何だったのかをネタバレありで世界観、第1~11話ガイド、第12話(最終回)レビューの順で見ていく。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の概要と世界観
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」をひとことで言ってしまえば、TVアニメ「機動戦士ガンダム」など(以下、正史)の世界観をそのままに、「もしガンダムに乗ったのがアムロ(本来の主人公)ではなく、シャア(主人公のライバル)だったら?」という「IF」を映像化した架空戦記。シャアがガンダムを強奪したことで歴史が変わり、本来勝利するはずだった地球連邦軍が負け、ジオン公国が勝利した戦争終結後の宇宙世紀0085年が、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の主な舞台となる。
先行上映された劇場版「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-」では、このあたりの流れをタイムラインにしたがって正史部分をリブートしたパートと、戦争終結後の新規パートの2パートの順に描いていた。だが、テレビ版は少し順序が異なっていて新規パートからのスタートした。
物語は、マチュが運び屋をやっているニャアンや赤いガンダムに乗るシュウジと出会い、偶然手にいれたMS「GQuuuuuuX」に搭乗し非合法の「クランバトル」に身を投じるというもの。
放送開始時は個人的に「『クランバトル』を通してマチュが成長していく物語」かと思っていたが、実は物語が進むにつれて架空戦記ではなく「並行世界」の物語であることが明かされ、もはや何が起きてもおかしくない展開が毎週話題となっていた。
制作陣の遊び心と思うか悪ノリと感じるかは人それぞれだが、本当に最終回の方向が読めないアニメも珍しい。「続きは劇場版で」とか富野監督風「全員死亡エンド」とか、いまどき見かけない「夢オチ」とか、まさかの「おめでとうエンド」とか、ファンの間でも結末を予想する動きが活発だった。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」エピソードガイド(第1~11話)
本項では、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」について第1~11話までについて、あらすじとみどころで振り返って紹介していく。
第1話「赤いガンダム」
サイド6のイズマコロニーで生活する高校生マチュは、運び屋をしているニャアンと出会う。そんな中、行方不明になっていた「赤いガンダム」と「GQuuuuuuX」、軍警察との間で戦闘が始まり、マチュは成り行きから「GQuuuuuuX」に乗り込むことになる。
タイトルにもなっている「赤いガンダム」は、シャアが鹵獲した正史世界の「ガンダム(RX-78-02)を改良したもの。1年戦争末期に行方不明となるが、現在はシュウジ・イトウの搭乗機になっている。シャアの消息は?シュウジとは何者?
第2話「白いガンダム」
ジオン独立戦争時、シャアは地球連邦軍のV作戦をキャッチしサイド7に侵入。連邦軍のMS「ガンダム」と強襲揚陸艦ホワイトベースを鹵獲した。以降、シャアは自身の専用機としてガンダムに搭乗。ホワイトベースは「ソドン」と名を変える。
ジーンのザクが故障しているというだけで大きく歴史が変わる……はずなのだが、どこかで見た名場面をシャアが代わりに実演。「次は何をする?」とワクワクする演出だった。
第3話「クランバトルのマチュ」
クランバトルという非合法のモビルスーツ対戦に参加するため、マチュはコンビを組んで闘う相手として「赤いガンダム」のパイロットを探す。そして、マチュは初めての本格的な戦闘を経験することになる。
TVアニメ「機動戦士ガンダム」ではアムロとララァ(敵の女性ニュータイプパイロット)が語りあっていたニュータイプだけの空間のようなものが、本作でも登場。マチュは「キラキラ」と呼ぶ。
第4話「魔女の戦争」
ジオンから魔女と恐れられた女性パイロット「シイコ・スガイ」が、マチュが所属しているクランバトルチーム「ポメラにアンズ」が経営するジャンク屋に現れた。彼女にとって戦争は終わっても「赤いガンダム」との戦いは終わっていない。そして彼らはクランバトルで闘うことになる。
シイコの搭乗する機体は何と「ゲルググ」。しかもシイコの得意な戦術に必要な特殊装備も付いており、マチュたちを苦しめる。必見のバトルシーンが展開。
第5話「ニャアンはキラキラを知らない」
マチュ、ニャアン、シュウジの3人は、クランバトルの賞金で地球に行こうと計画する。だが、マチュはエグザベ少尉とともに軍警に追われて隠れるしかない。もし、マチュがクランバトルに参加できなければ、多額の違約金を支払うことになるため、ニャアンはある行動をとることに。
正史でアムロとの激戦を繰り広げた、ジオン公国のネームドパイロットチーム「黒い三連星」が登場。一人欠けてしまっているものの、シュウジたちとクランバトルで闘う
第6話「キシリア暗殺計画」
マチュ、ニャアン、シュウジの関係がゆがみ始めた。そんな中、ポメラニアンズのリーダーであるアンキーが赤いガンダムの情報をジオンに売ろうとしていることを知ったマチュは、ある計画をニャアンに持ちかける。
「機動戦士Zガンダム」などに登場した地球連邦軍の将校バスク・オムや、ゲーツ・キャパが登場し、ファーストガンダム以外からのゲスト出演で盛り上がった。
第7話「マチュのリベリオン」
マチュとニャアンは、アンキーを出し抜く計画を実施するも失敗。クランバトルの対戦相手は、バトルを隠れ蓑にしてキシリア暗殺を狙い、町中を破壊する。そんな中、マチュはテロリストの一味として軍警から手配されてしまう。
第6話に引き続き、「機動戦士Zガンダム」のファン大歓喜の内容が展開。この世界のサイコガンダムがこの世界のハンブラビとともにキシリア暗殺を実行した。また、シャリア・ブルもキケロガで参戦。突如としてモビルスーツ形態が披露された。
第8話「月に墜(堕)ちる」
サイド6の話は一旦終了。舞台は1年戦争末期へと遡る。ジオンと地球連邦との最終決戦が始まり、地球連邦軍はソロモン要塞をジオンの要のひとつである月面都市グラナダへと落とす作戦が決行されたのだ。果たしてシャアとシャリア・ブルは阻止できるのか?
見所としては2つあり、ひとつはシャアと彼の妹であるアルテイシア(セイラ)との邂逅。もうひとつは、本編後半でニャアンが乗ることになるジフレドという新MSの登場だ。「ジフレド」の登場シーンは、まさにカラーの作品らしい構図が見られる。
第9話「シャロンの薔薇」
シャリア・ブルに助けられたマチュは、ソドンクルーとともにサイド6を離れて地球へ向かった。そして地球付近で脱走し、とある女性に助けられることに。そしてマチュは女性を宇宙に連れて行き、自由にしようとするのだが……。ついに、物語の真実が見え始める。
ついに、ララァ本人が登場。ただし、シャアとはまだ出会っておらずララァは囚われたまま。そして、物語のキーとなる「シャロンの薔薇」は、正史で「エルメス」と呼ばれるモビルアーマーであることが明かされた。
第10話「イオマグヌッソ封鎖」
いよいよ最終決戦に向けてのコマが揃い始める。マチュはシャロンの薔薇に囚われたララァを救い出そうとイオマグヌッソへと向かう。一方、ニャアンはキシリアの命令でイオマグヌッソを奪取し、ゼクノヴァを動かそうとする。
本編とはあまり関係ないが、シャリア・ブルが木星で何をしていたのかがわかるエピソードが挿入されている。どのような考えで活動しているのかが垣間見える重要なエピソードだ。
第11話「アルファ殺したち」
マチュの「GQuuuuuuX」とニャアンの「ジフレド」がついに激突。ヒゲマンことシャリア・ブルからオールレンジ攻撃の攻略法を聞いていたことで善戦する。一方、混乱を極める中、ついにシャアが正体を明かし、キシリアと対峙。この戦いの行方は?
全部がみどころと言ってもいい回だが、復活したシャアが突然昔の赤い士官服に魔法少女のように変身したり、ラストで“あっちの世界”からオリジナルの「ガンダム」がでてきたり情報量が多かった。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」第12話「だから僕は…」レビュー
ここからは、12話「だから僕は…」のレビューとなる。最終話のネタバレを含むのでまだ見ていない方は先に視聴することをおすすめする。
第12話「だから僕は…」は、ゼクノヴァが発現し、シュウジが向こうの世界から戻ってきたところから始まる。状況が見えないなか、行動することができないソドンクルー。彼らを置き去りに戦線はさらに激化していく。シャリア・ブルのキケロガとエグザベのギャンとの戦闘は続き、あるべき未来について相容れない隔たりがあることを悟るふたり。
一方で、シャアはイオマグヌッソを利用し、ララァを向こうの世界へと返そうと試みる。だが、そのルートは一方通行ではなく双方向であり、シュウジはオリジナルの「ガンダム(RX-78-02)」で、「GQuuuuuuX」の世界へとやってくる。シュウジの目的は意外にもバラの少女=ララァを殺すことで、この終わりなき世界から彼女を開放しようとしているようだった。
「キラキラ」の世界で語り合うマチュとシュウジ。しかし、そこで見たものは向こう側の世界で実際に起こった「ガンダム」と「Gファイター」、「ゲルググ」と「エルメス」による戦闘だった。オリジナルの声優を使った贅沢なリメイクムービーかと思いきや、正史とは違いシャアを守れず絶望するララァ。そして、それこそがシャアが殺されない世界を再構築するという連鎖を生んだキッカケであることが語られる。
この時、BGMに映画「機動戦士ガンダムIII・めぐりあい宇宙」で使用された井上大輔さんの「ビギニング」が流れる。「ああ、そうかだから劇場版のタイトルは『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』なのか」と納得した。
そんな風に思っていると、画面には「グフ」からはじまり、「ツダ」、「ビグロ」、「ビグザム」、「ガルバルディα」、山下いくと氏版「赤いヤツ(推定サザビー)」など、多数のシャア専用機が流れていく。そして、それらに乗っても毎回、「白い悪魔=ガンダム」に殺されるシャアに悲しむララァが描かれた。
そんな煉獄で見付けた解が、「シャアがガンダムに乗ってしまえばいい」という、「GQuuuuuuX」の世界線だったのだ。だが、その世界を否定しているのがシャアで、それを知ったララァの絶望が両方の世界を消滅させる。そう考えたシュウジは、ララァが目覚める前に殺し、「GQuuuuuuX」の世界線だけを消そうと考えたのだ。
そんな中、ギレンを亡き者にし新たな世界を構築したいキシリアは戦艦チベを使って、シャアの赤いガンダムを攻撃。さらに、シャリア・ブルもキケロガでやってきて、混戦となる。この時、シャリア・ブルはシュウジのオリジナルガンダムを見て、自分が殺された世界線を想像し恐怖していた。
だが、そんな恐怖を打ち消し、チベを攻撃するシャリア・ブル。その攻撃こそ回避できたチベだが、最終的にはシャアの赤いガンダムで艦橋を撃ち抜かれる。ガルマが生きているのでセリフこそ違うが、この部分はシャアが生身か赤いガンダムに乗っているかどうかの違いはあるものの、バズーカで殺されるというほぼ正史と同じ構図だ。なお、この時、ニャアンはキシリアが死んだことをニュータイプの直感で理解し、落ち込むのだった。
一方、「ララァを助けるためにララァを殺す」というシュウジに納得できないマチュは、「GQuuuuuuX」を駆りオリジナルガンダムと戦闘に突入。しかし、シュウジの技能の前にマチュは歯が立たない。そこへ、2人の交戦に気づき、ニャアンが戦闘に割り込む。マチュとニャアンが和解し、3人で地球の海を見るため、2人でマヴを組んでシュウジを止めようと試みる。
そしてまた、その裏側ではシャアが自分の理想のためララァを排除しようとするが、こちらはシャリア・ブルとの戦闘に突入する。シャリア・ブルは、シャアの理想とする「ニュータイプのための世界」のために動いているように見えたが、実はシャアではなく同じジオンの血筋を引く妹アルテイシアを擁立することを計画していた。
その理由は、シャアがトップになれば、人類を粛清しようとすると考えたから。つまり、劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の世界をどこかで感じとったということなのだろう。
そんな中、終わらぬ戦いに終止符を打つため、シュウジのオリジナルガンダムが巨大化する。「機動戦士ガンダムF91」では、質量のある残像という分身があったが、ガンダムの世界で物理的な巨大化は初めてだったと思う。個人的には、「聖戦士ダンバイン」のハイパー化に近いものを感じだが、人によっては「新世紀エヴァンゲリオン」の巨大綾波を思い出したかもしれない。 なお、シャアとシャリア・ブルの戦いは、キケロガの本体が頭部をのぞいて破壊された。
これは、正史でシャアのジオングが頭部だけ残ったことのオマージュなのだろう。そして、話は前後するが、残った頭部すらもシャアの赤いガンダムの攻撃を受けて破壊される。一方シャアの赤いガンダムもキケロガの最後の一撃で頭部と片腕を失い、ほぼ正史のラストシューティングと呼ばれる名シーンを再現する。つまり、アムロとシャアの戦いが、シャアとシャリア・ブルの戦いで再構築されているのだ。
巨大化したガンダムとの戦いに苦戦するマチュとニャアンだったが、ついにニャアンのジフレドが捕まりコアファイターを残して破壊されてしまう。そして勢いづいたシュウジはビームサーベルをエルメスのコクピットに向ける。「GQuuuuuuX」で守りに入るマチュ。そして、そのマチュの願いに反応するように「GQuuuuuuX」が更に覚醒する。
キラキラ世界でシュウジと語り合うマチュに「GQuuuuuuX」内のエンデュミオン・ユニットとなっていたアムロも加わり、結果としてマチュの心の叫びがララァを目覚めさせた。
マチュ、シュウジ、シャア、シャリア・ブル様々な想いが交差し、理解し合うなか、「GQuuuuuuX」は巨大なビームアックスを生成し、白い巨大ガンダムの首をはねることに成功するのだった。そして覚醒したララァはゼクノヴァを起し、イオマグヌッソを消失させた。そして生き残った、マチュ、ニャアン、シャア、シャリア・ブルはそれぞれの道を歩み始めるのだった。
エピローグについては、かなり感動的なシーンもありハッピーエンドと呼べるものだった。筆者個人的には、アルテイシアの側にいたランバ・ラルらしき人物に特に目を惹かれた。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」を見ろ……とガンダムが言っている
全話視聴した感想としては、遊び心満載で良くもカラーっぽい作品に仕上がっていたなぁという印象。好みが分かれる演出も多いけれど、とにかく戦闘シーンの格好良さには脱帽した。
これまで、あまり有線サイコミュ兵器が活躍する印象はなかったけど、キケロガのオールレンジ攻撃が圧巻だった。また、ギャンの活躍なども見ると、「正史で活躍できなかったモビルスーツたちを活躍させてあげたい」という想いが伝わってきた。
もちろん、これはキャラクターたちにも言えることで、エンディングで涙腺が緩んだ人も多いのではなだろうか。ということで、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」はこれで最後になるけれど、「ガンダム」シリーズはもっと続けて欲しいところ。そう言えば、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の続きが制作中という話もあった。まだまだ「ガンダム」は終わらない。
(C)創通・サンライズ






































































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