【特別企画】
『機動戦士ガンダム』はどのように作られてきたのか――初代から『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』、そして50周年へ向けて【CEDEC+KYUSHU 2025】
2026年1月21日 18:00
- 【CEDEC+KYUSHU 2025】
- 開催期間:
- リアル開催 11月29日
- タイムシフト配信 12月3日〜12月17日
- 会場:九州産業大学 1号館+オンライン
11月29日に開催された「CEDEC+KYUSHU 2025」の特別招待講演「機動戦士ガンダムシリーズプロデュースについて~初代から最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』そして50周年へ~」。
このセッションでは、バンダイナムコフィルムワークス(旧サンライズ)で長年「ガンダム」シリーズを手掛けてきた、ガンダム事業本部 取締役本部長の小形尚弘氏が登壇し、小形氏のプロデュース作品遍歴を辿りながら、「ガンダム」シリーズのプロデュースにおけるポイントが説明された。モデレーターを務めたのは、ゲーム『.hack』シリーズや数々のアニメ作品とも深い縁を持つ、サイバーコネクトツーの代表取締役・松山洋氏だ。
本稿では、両氏のトークから浮かび上がった“ガンダム制作のリアル”、そしてアニメ業界の現場で積み重ねられてきた経験について紹介する。
小形氏は1997年にサンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)に入社。第1スタジオにて『犬夜叉』制作デスクを経て2006年よりプロデューサーとして『結界師』『テイルズ オブ ジ アビス』『犬夜叉 完結編』『機動戦士ガンダムUC』『Gのレコンギスタ』『機動戦士ガンダム サンダーボルト』などを手掛ける。2018年同社執行役員に就任し、劇場版『機動戦士ガンダムNT』プロデューサー、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』エグゼクティブプロデューサーなど数々のガンダム作品を手掛け、ガンダムのIP軸戦略を担う。2025年より同社取締役、ガンダム事業本部本部長に就任。
「就職氷河期」からのスタート――“ガンダムに詳しくない新人”の誕生
小形氏がサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)に入社したのは1997年。まさに“超就職氷河期”と呼ばれた時代だ。
小形氏は意外にも『ガンダム』に強い思い入れがあったわけではなく、幼少期は受験や部活動でリアルタイム視聴を逃し、アニメから少し距離があったという。大学時代、友人の影響で本格的にアニメを観始め、レンタルビデオ店で偶然手に取った『機動戦士Ζガンダム』に衝撃を受けたことが人生の転機となった。
「エンドロールの“日本サンライズ”という文字を見て、就職ガイドを開いたらサンライズが載っていた。そこで受けてみたら、受かった。そんな単純な動機でした」と小形氏は語った。
当時のサンライズは第一から第三事業部に分かれており、新人はまず研修後に事業部へ配属される。講演の中で小形氏は、配属を決める“運命のじゃんけん”のエピソードを披露した。
じゃんけんの勝敗ひとつで、後に独立して『鋼の錬金術師』などを手掛けるスタジオボンズ側に行く可能性もあったという。
最初の仕事はアニメを現場で動かす仕事
そんな小形氏が最初に担当したのは、制作進行。
絵コンテから完成までの工程管理、素材管理、スケジューリング、クリエイターとの連携など、制作の根幹を支える重要な役職だ。
小形氏が制作進行として最初に関わったのは、当時人気を博していた『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の第9話だった。
今では1年に1作品を担当すれば多いほうだが、当時は年間3~5作品を掛け持ちするのが当たり前の時代だったという。当時の膨大な制作経験が小形氏の基礎を形づくったと感慨深げに述べた。
富野由悠季監督との出会い――「制作進行がいなければ作品は作れない」と言ってくれた人
いくつかの現場を経て出会ったのが、『ガンダム』の生みの親である富野由悠季監督。
富野監督は厳しいことで知られるが、小形氏は「制作進行に対しては非常に優しい人だった」と話した。「富野さんは、誰がいなくなったら作品が成り立たないかを本当に理解していました。制作進行は作品の命。そのことを尊重してくれていました」という。
さらに富野監督は、若手スタッフの意見を積極的に求めたそうだ。モビルスーツのネーミングや設定への意見を聞かれることも多く、小形氏は「素人ながら創作の一部に関われた感覚」をここで強く感じたと振り返った。
さらに富野監督について小形氏は「予定調和を嫌い、自作に対してもアンチテーゼを突き付ける人物」だと語った。
既存のフォーマットに収まらぬ姿勢は、70年代ロボットアニメへの批判性としても表れ、後年の『ガンダム』作品群にも強く影響を与えた。この「破壊と再構築」の精神に触れたことは、後の小形氏のプロデュース業の基礎となった。
『犬夜叉』で学んだ「終わらない作品」の苦しさと強さ
制作進行から制作デスクへステップアップした作品が、2000年に放送開始した『犬夜叉』 だった。第120話付近で制作デスクに就任したという。そして最終的に全167話を走り抜けることになった。
連載中作品のアニメ化は「物語が終わらない」ことによる苦労も多い、と小形氏は当時を振り返った。しかしその膨大な話数を管理することで、アニメ制作の経験値が劇的に蓄積されていったという。
次に携わった『焼きたて!!ジャぱん』『クラスターエッジ』では、急な監督交代や放送直前に絵コンテしかないなど、危機的状況にも直面した。そんなときに小形氏を助けてくれたのは、他でもない「アニメ業界の人たちすべて」だった。
「他社さんのスタッフでも、あそこの人たちが今困っていると聞けば、うちに持ってこいと手を貸してくれました。村社会と言われることもある業界だけど、助け合いの精神が本当に強い世界です」
こうした現場の連帯感が、多くの名作を支えているのだと語った。
小形氏が初めてプロデューサーを務めたのは『結界師』。50話以上にわたる長期シリーズで、毎週のシナリオ会議に参加し、脚本家や放送局プロデューサーと共に作品を磨いていくことになった。
「新人の自分がベテランに囲まれて意見を言うのは本当に緊張しました。でも、シナリオを読み、議論し、作品を良くするために主張するというプロデューサーとしての自覚が、ここで育ったとも言えます」
小形氏のこうした経験は、後の『シティーハンター』や各「ガンダム」シリーズにつながっていく。
『ガンダムUC』での学びは感情を描くこと
プロデューサーとして最初に大きな転機になったのが、『機動戦士ガンダムUC』の企画・制作だった。
監督に推薦したのは古橋一浩氏。古橋監督はドラマ構築と感情描写に優れ、キャラクターが重力を受けていると感じられるような細かな演出まで徹底しており、生々しい描写を入れるセンスは強烈だったという。
脚本は福井晴敏氏による原作小説の設定を再構築したが、福井氏がそれを許容し、チームとして高い完成度に着地させた。小形氏自身も「自分のキャリアでいまだに越え難い作品」と語るほどの達成度を得た。
しかし『ガンダムUC』制作は決して順調ではなく、映像のクオリティを求めるあまり当初6話の予定が最終的に7話へ増加してしまったのだった。
『ガンダムUC』制作期に、小形氏は大きな転換点を迎える。「人生を賭けてアニメを作るスタッフがいるのだから、もっと多くの人に見てほしい」――作品の価値を届けるため、事業側の仕事に興味を持ち始めたのだ。
当時、『ガンダム』の劇場興行は強くなかった。家族層やカップルが手を伸ばしにくいブランドイメージがあり、動員が伸びにくい。さらにイベント上映の館数も少なく、ビジネスとしては制約が多かった。
そこで小形氏は、上映規模を広げる施策に着手。『ガンダムNT』『閃光のハサウェイ』などで館数を増やし、『閃光のハサウェイ』でついに20億円興収を突破。その後の『水星の魔女』や『ククルス・ドアンの島』『ガンダムSEED FREEDOM』へ続く流れを作った。
また、他社との連携として新作劇場版『シティーハンター』等にも携わる。これは「他社のトレンドを吸収し、ガンダムの思考が凝り固まらないようにするリフレッシュ兼修行」だと語った。
さらにガンダムブランドを広げるために、実験的映像にも積極的に挑戦。短編『復讐のレクイエム』や、VR長編作品『銀灰の幻影』も出した。これらは事業的メリット以上に『ガンダム表現の幅』を増やす目的があり国際的な評価を得たことで、ガンダムブランドの映像文化としての位置づけも強化する結果となった。
『ガンダム』の歴史は「壊して更新してきた歴史」
講演の後半は『ガンダム』の46年の歴史と、そこから描く未来戦略について語られた。
他監督が『ガンダム』を作る文化の始まり
『0080 ポケットの中の戦争』で、富野監督以外が初めて『ガンダム』を手がけた。これにより、その時代の旬のクリエイターが『ガンダム』を作る文化が生まれた。
アメリカ大陸での転機『ガンダムW』
『ガンダムW』は初めてアメリカで放送された作品で、アメリカで大ヒット。プラモデルも売れ、『ガンダム』の海外ビジネスの礎となった。
ビジネスが崩れた『∀ガンダム』、復活の『ガンダムSEED』
『∀ガンダム』で一度ビジネス構造が崩れるが、『ガンダムSEED』とSME(ソニー)との音楽連携で再浮上。女性層が3~4割まで伸び、現在の『ガンダム』ファン層の基盤になった。
実物大ガンダム立像が一般認知を押し広げた
2009年に公開された東京お台場の実物大ガンダム立像が海外観光客を含め認知拡大。「オタク向け」のイメージを脱し、ファミリー層にも広がった。
富野由悠季の「前作破壊」こそ『ガンダム』の伝統
・『Zガンダム』でアムロとシャアを情けない大人として描く
・『ガンダムZZ』ではシリアスから突然コメディへ
こうした「常に前作を壊す姿勢」こそ『ガンダム』の本質であり、『水星の魔女』や『GQuuuuuuX』など新作が従来ファンから批判されても、「壊しながら進化するのが『ガンダム』の歴史的に正しい」のだと小形氏は述べた。
そして小形氏が現在のプロデュース指針で最も大切にしているのは、二極化戦略だという。
まず劇場作品は、30~50代の従来ファン向けとし、『ガンダムSEED FREEDOM』や『閃光のハサウェイ』などは「大人のガンダム」。ファンの期待に応える重厚路線を維持する。
テレビシリーズは、若者世代の「自分たちのガンダム」とし『水星の魔女』『GQuuuuuuX』など、「今の若者が感情移入できる『ガンダム』」を目指しているという。
『GQuuuuuuX』の情報コントロールと仕掛け
2025年のテレビシリーズ『GQuuuuuuX』は、毎週SNSで盛り上がる構造を徹底的に計算した。
・全国同時放送でリアタイ視聴を確保
・放送直後に考察できるよう、配信も整備
・ネタバレを避けるため、ガンプラ商品の情報統制を徹底
この仕組みは、かつての“放送翌日の学校の盛り上がり”を現代のネット空間で再現するものだった。
また、制作にはカラーも参画。これまでに繋げてきた縁が、ここで活きたという。
さらに米津玄師さんの起用についても触れ、1年ほど前から監督・音楽チームと検討して依頼したところ、快諾していただいた。米津さんはシナリオを全て読破のうえで作詞作曲し、世界観に深く入り込んだ曲ができあがったそうだ。
ハリウッド版『ガンダム』とグローバル展開について
『ガンダム』の最大の課題は『北米・欧州での認知不足』。アジアでは強いものの、海外では日本ロボットアニメ特有のハードルがある。そこで現在、ハリウッドのレジェンダリーと実写版ガンダムを開発中。これを『グローバル強化の起点』と位置づけている。
また海外展開を本格化させるため、アメリカにフィルムワークス部門を新設。アニメ・音楽のグローバル事業に本格参入する体制が整った。
映像×ガンプラ×ゲーム×現実の融合
『ガンダム』は単なるアニメではなく、総合IPとして独特の構造を持つ。映像、ガンプラ、ゲーム(Gジェネ・バトオペ・各種アプリ)、カード・情報誌、実物大ガンダム立像、イベント、展示、YouTubeやWebメディア、これらが循環し、ブランド力を維持する。
特に実物大ガンダム立像は、「アニメ会社だけでは絶対にできない」バンダイナムコグループの力の象徴だとし、今後も新たな展開が計画されているという。
50周年へ向けて、『ガンダム』を面白いと思う人を増やす
講演のまとめとして語られたのは、「もっと世界中にガンダムを知ってほしい」という、小形氏の強い使命感だった。
・『ガンダム』はまだ海外で伸びしろがある
・若者世代に「自分たちのガンダム」を作ることが重要
・実写映画を起点にグローバル展開を再加速させる
・映像は、ガンダムという良いIPを世界に広めるための責任である
最後に小形氏は「『ガンダム』は本当に面白いIP。もっと多くの人に知ってほしい」と語り、講演は締めくくられた。
(C)CEDEC+KYUSHU 2025 実行委員会. All Rights Reserved.

























































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