レビュー

「RKGK」レビュー

”ラクガキ”で世界を救う! ステージを飛び回るアニメ風爽快アクション

【RKGK / Rakugaki】

発売日:5月23日

価格:2,770円

プラットフォーム:PC(Steam)

 日本のアニメに大きく影響を受けた3Dアクションゲーム「RKGK(以下:ラクガキ)」が5月23日に発売となった。価格は2,770円で、5月30日12時まで10%オフで購入できる。

 「ラクガキ」は、そのタイトル名から分かる通り、日本のポップカルチャーに対する影響を隅々に感じる作品となっている。開発したのは、メキシコのWabisabi Games。Riot Gamesの資金支援プログラム「Riot Games Underrepresented Founders Program」のサポートのもと、Gearbox Publishingがパブリッシャーとなっている。

 本作は、コミカルなアニメーションタッチのビジュアルと、近未来感とポップさが入り混じったパンクな世界に特徴がある。アクションは、そんな世界をスタイリッシュに駆け抜けていくものだ。

 なお、「ラクガキ」はWabisabi Gamesのデビュー作となる。全体的に非常にユニークなゲーム性となっていたので、早速その魅力を紹介していこう。

【RKGK | Gameplay Trailer】

スプレー缶を片手に世界を救う!? 王道ながらもポップな世界観で描かれる独自の物語

 本作は、様々なギミックが内包された各ステージを攻略していくタイプの3Dアクションゲームだ。ステージ攻略を進めるごとに、ストーリーが進行していく作品となっている。

 本作の舞台となるのは、かつては様々な表現が自由に繁栄していた「Cap City」。しかし、人々から思考を奪い洗脳する装置「モニター」と、これを生み出した「ミスター・バフ」が街を支配してしまう。

 そんな彼を打倒するべく結成されたのが、レジスタンスチーム「RKGK」(ラクガキ)。「RKGK」のリーダーである少女「ヴァラ―」はスプレー缶を片手に、街に蔓延る「モニター」や、悪のマシーンをグラフィティアートで塗りつぶす。彼女を中心に、「RKGK」が街を開放していく雄姿が描かれる。

強大な悪役に支配された街をレジスタンスが開放していく王道のストーリー展開。ゲーム全体の雰囲気も非常にアメリカンでクール!
こちらが本作の主人公となる「ヴァラ―」。可愛いというよりはボーイッシュでカッコいい印象の少女で、相棒のロボット「Ayo」と共に率先して街の解放の為に戦う勇敢で大胆不敵な芯の強いキャラクターとなっている。所々で出てしまう口の悪さや素行の悪さが目立つときもあるが、世界観とマッチしたノリの良いキャラクターだ。

 ストーリーは主にステージ攻略中の会話パートやステージクリア後に流れるイラストムービーで描写される。中でもイラストムービーには力が入っており、アメリカンコミックのようなタッチで本作のポップでパンクな世界観を存分に引き出していく。解放されていく「Cap City」の様子やキャラクター達のカッコいい姿が描かれており、非常に良い。

 またステージ攻略中では、3Dキャラクターを用いたムービーが挟まるタイミングもある。こちらもポップな印象をしっかり反映させたカッコいい仕上がりになっているのもグッドだ。

 主人公が「グラフィティ・アーティスト」という設定だけあり、ゲーム全体がどことなくアーティスティックでオシャレな雰囲気に仕上がっている。こうしたビジュアルやアートワークは、本作の魅力の1つだろう。

各ステージをクリアするごとに見れるムービーはスタイリッシュさ全振り!本作の雰囲気を存分に堪能できる完成度となっている。正直筆者はこのパートで描かれる「ヴァラ―」の方がイラストのタッチとマッチしていて好きだったりする。
他にもロード画面やステージセレクト中に現れる可愛らしいドット絵の「ヴァラ―」など、様々なタッチで描かれる「ヴァラ―」を本作では見ることができる。

ステージを駆け巡る”ラクガキ”アクション! やり込みもできる

 本作はステージ攻略型の3Dアクションゲームとなり、パルクールさながらのスピーディーで爽快感の強い操作性が大きな特徴だ。プレーヤーは「ヴァラ―」を操作して二段ジャンプ、ステップ、ダッシュ等の基本的なムーヴに加え、「ラクガキ」らしいスプレー缶を用いた様々なアクションを駆使する事ができる。

 たとえば通常の攻撃方法は、スプレーを敵にぶっ掛けるというもの。噴射されたスプレーは地面や壁に残り続けるので、各ステージの見た目がどんどんとカラフルに染まっていく光景は本作ならではと言える。

基本的なアクションはゲーマーであれば手になじむような操作感ばかり! スプレーを活かしたアクションはカラフルで目新しさがある

 また相棒ロボットである「Ayo」と協力したアクションも本作の特徴だ。地面にスプレーを噴射しながら移動し続けられる「サーフ」は「Ayo」に引っ張られる形でスプレーの波に乗る様に移動でき、「グライド」は「Ato」にぶら下がりながらスプレー噴射をする事で一定時間空中を浮遊できる。

 どちらも”スプレーを噴射しながら”というのがミソで、「サーフ」であれば移動しながらスイッチを押したり、スプレーのおかげで普通では進めない床を進めるようになるなどの恩恵がある。

 「グライド」は直接的に床にスプレーを噴射する事で、特定の地面の下にあるスイッチを押せたり、敵を空中から攻撃ができるといった特性がある。地面でも空中でも、とにかくスプレーをまき散らしながらステージを攻略する。上手く使えれば、スプレーひとつで敵を翻弄するヴァラーの高揚感を体験できるだろう。移動を可能とするアクションとなっているのだ。

「Ayo」と協力する「サーフ」や「グライド」はうまく扱えるとアクションが映えるし攻略もスピーディーになったりと良い事づくめ。如何にこれらのアクションを上手く扱えるかが本作のカギだ。

 各ステージ毎には、特徴的なギミックが用意されているのも本作の魅力だろう。中でも特定の場所にワイヤーを伸ばし、特定のポイントに瞬時に移動ができる「グラップリングフック」は頻繁に行うアクションとなっていた。

 足場の離れた場所を華麗に飛び回ったり、コースターのようになっている光の道「レール」をスタイリッシュに駆け抜ける際に使用したり、バトルでは特定の敵の上に移動して攻撃を行う等、非常に多種多様な活躍を見せてくれる。

 一瞬で離れた場所に移動できる「グラップリングフック」は見栄えが良く、アクション下手な筆者でも”上手くアクションしてる感”を強く感じることができた。非常に操作していて楽しい部分となっていた。

空中を飛び回ったり「レール」を次々に渡っていくゾーンがあったりなどパルクールさながらのアクションを楽しめるエリアが数多く用意されている。
他にも「サーフ」や「グライダー」を上手く駆使しなければ突破できないステージがあったりなど、アクションゲームをやる上で遊びたいステージギミックは一通りしっかり揃っている印象だった。

 また各エリアのラストを飾るステージでは様々なギミックを用いたボス戦が待ち受けている。通常のステージとは異なり、ボス戦ならではのギミックが満載。バトルがメインとなるため、緊張感のあるアクションを楽しめる。

 特にボス戦のギミックはどれも特徴的。たとえば、突撃してくるボスを特定の壁にぶつけるように誘導する、敵の攻撃を避けながらステージのギミックを起動する等が、代表的だ。単純に真っ向から突撃するのではなく、頭を使い戦うスタイルはある意味「ヴァラ―」のキャラクター性ともマッチしていると言えるだろう。

ボス戦のギミックは多岐にわたり、雑魚敵を大量に放出するタイプから弾幕でこちらを追い詰めてくるタイプなど飽きさせない作りとなっている。攻撃を凌いだりどうしたら相手にダメージを与えられるかを考えたり等を考える必要がある。

 次に、ステージ攻略をしていく上で重要となる本作独自の要素を紹介していく。

 本作のステージには「ミスター・バフ」が設置した「モニター」が各所に設置されており、それらを「ペイント」してアートに塗りつぶして行く、という要素もある。

 「モニター」はステージを進んで居れば自然と目に入る場所に置いてあるタイプから、ギミックを解いたり隅々まで探索しないと見つけられないような場所に設置されているタイプもあったりなど、多種多様な形でセッティングされている。

 クリアには必須ではないが、すべてを見つけようとすると何度かステージを繰り返す必要があるかもしれない。プレーヤーをそれらを見つけ出しながらも、スピーディーかつスタイリッシュにステージを進んでいくのが本作の基本的なプレイスタイルとなる。

ステージ内には様々なタイプのモニターが存在するが、全てを網羅できるかはプレーヤー次第な難易度ととなっている。「ペイント」を行った場所には日本カルチャーが入り混じった独特のアートが出現する。かなり前衛的なモノも多いので必見だ

 そしてここまで何度も”スタイリッシュ”と連呼してきた事には意味がある。本作では、ダメージを受けずに連続で敵を撃破したりペイントを成功させ続ける……すなわち”スタイリッシュ”なアクションを決め続ける事によって、「ヴァラ―」は「ディフェイサーモード」と呼ばれる特別なモードに入る。

 「ディフェイサーモード」中は様々なアクションが強化され、より爽快にステージを駆け抜ける事ができるようになる。中でも「サーフ」アクションは移動速度がかなり上昇し、さらに「サーフ」でぶつかった敵を倒せるようになる。つまり、無敵状態で突き進む事ができるようになるのだ。

 ただしステージの崖下に落下したり敵からダメージを受けてしまうと「ディフェイサーモード」は解除されてしまうため、いかに素早く「ディフェイサーモード」になり、それを維持し続けられるかも楽しみのひとつとなる。「ディフェイサーモード」になったままステージをゴールできた時の爽快感は格別だったので、プレイする際にはぜひ狙ってもらいたい。

「ディフェイサーモード」はいわば「ヴァラー」がノリノリになっている状態! 各アクションのエフェクトも進化するので元のポップさと合わさって画面がさらに色鮮やかになる

 本作で覚える必要がある操作は以上の要素だけというのも素晴らしいポイントだ。分かりやすくシンプルでありながら、上手くステージを駆け抜けられた時の爽快感は、本作ならではの体験を生み出せているように感じた。

 各ステージをクリアすると、クリアタイム、ペイントしたモニターの数、ダメージを受けた回数などからクリアスコアが表示され、プレーヤーの腕前が表示される仕組みで、スコアアタックにも適している。

 筆者がプレイした際は、1回目はひたすら気持ち良く突き進む事を優先、2回目は探索をメインにステージ内の構造を理解、3回目以降はスコアが伸びるように速さと正確さを追求するといった具合に、ひとつのステージを繰り返し遊ぶことができた。

さっくりプレイで満足度高め! RTA勢などにオススメ

 本作の想定プレイ時間は、カジュアルに遊んで約6~8時間、ゲーム内要素を全てコンプリートしようとすると10時間前後と紹介されている。アクションゲームにしては少しボリュームが控えめに感じるかもしれないが、実際の感覚でいえばゲーム体験は充実していたし、やり込もうと思えば幾らでもやり込めるようになっているため、作品としての満足度は非常に高かった。

 実際筆者も1周目は、とにかく気持ちよさ優先でプレイしたかったので探索などは二の次で遊んでいたが、2周目からは、同じステージでも最短ルートを考えたりクリア後のスコアを意識したりで遊び方の変化を楽しめたり、ゲーム難易度の変更や「ヴァラ―」の衣装変更など、プレーヤーが自由にカスタマイズできる部分の遊びまで手を出し始め、気づいたらしっかり長時間遊んでしまった。

高スコアを取る為には何度もステージをトライしてミッションや攻略法を開拓していく必要があり、やり込める要素はしっかり用意されている。拠点ではゲーム内通過を使用して「ヴァラ―」の衣装チェンジや「ペイント」で絵が帰るアートのカスタマイズなども行えるので、想定プレイ時間よりもボリューミーなゲーム体験ができるだろう

 個人的には、上手い人のプレイこそが映えるゲーム性だと思っているので、RTA向きだとも感じている。アクションゲーマーにはぜひ1度遊んで欲しいタイトルなので、新しくやり込むゲームを探している人は、是非本作をチェックしてみてはいかがだろうか。