レビュー
「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」レビュー
マリオもコースも変化するワンダーが面白い! 初心者でも楽しめる11年ぶりの2Dマリオ
2023年10月20日 00:00
- 【スーパーマリオブラザーズ ワンダー】
- 開発・発売元:任天堂
- ジャンル:アクション
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- 発売日:10月20日
- 価格:
- パッケージ版 / 6,578円
- ダウンロード版 / 6,500円
10月20日発売の「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」は、これまで見たことのない新鮮な仕掛けだらけの「2Dマリオ」だ。中でも本作最大の特徴である、コース自体が変化したりする「ワンダー」の仕掛けが面白く、コース毎に全く違う展開を楽しめる。
また、筆者はアクションゲームが得意ではないのだが、便利アイテムとなる「バッジ」の存在や、ある程度好きなコースを選んで攻略できる機能のおかげで楽しくプレイできている。今回は本作の魅力を、じっくり楽しみながら見つけていく。
舞台は花咲く「フラワー王国」。イモムシのような王子と共に旅立つ
本作の舞台は「フラワー王国」という、「キノコ王国」からは少し離れた場所。イモムシのような見た目の「フロリアン王子」に招かれて、マリオ、ルイージ、ピーチ、デイジー、キノピオ、キノピコ、ヨッシー、トッテンといった面々がやってきた。そこにクッパがやってきて、「ワンダーフラワー」の力で城と一体化し、フラワー王国中に災いをまき散らした……というのが物語の始まりだ。
このワンダーフラワーと、その種「ワンダーシード」が本作のキーアイテムとなる。ワンダーフラワーにふれると、不思議な変化が起こる「ワンダー」が発動。コース自体が変化したり、マリオたちの体が雲や敵などに変わったりする。それがメインのコース全てで起きるため、ワンダーフラワーを探す楽しみや変化後のコースを遊ぶのも楽しみもあり、プレイヤーを飽きさせない。
ワンダーフラワーの力で起きるコースの変化はじつに様々だ。コースにパックンフラワーが多ければ歌い出したり、ローラースケートで滑るノコノコが主役だと滑りやすいコースが登場したりする。楽しい変化が多い一方で、クッパの力の影響が大きいコースでは地形が崩れたり、背景から攻撃されたり、ということもある。
そしてマリオたち自身が変化するワンダーもある。敵やコースの一部になって動いて仕掛けを解くコースも登場し、ただコースを走ってクリアするだけではない点が本作の最大の魅力といえる。ワンダーフラワーを取らずにコースを進むこともできるが、ぜひとも「ワンダー」でしかできない体験をしてほしい。
操作キャラクターが多いのも特徴だ。おなじみのマリオとルイージ、ピーチ、デイジー、キノピオ、キノピコに、ヨッシーとトッテンも操作できる。ヨッシーたちは得意の舌を出して小さいアイテムや敵を「たべる」、たべた敵などを「はきだす」、通常のジャンプからボタンを押し続けることで少し高く、長く跳べる「ふんばりジャンプ」を使える上、敵にぶつかってもダメージを受けない特徴を持つ。また、トッテンもダメージを受けない、ぶつかってものけぞらないという長所がある。代わりに変身ができないため、ゾウやドリルといった変身が必要な仕掛けを解くことは難しいだろう。アクションが苦手なプレイヤー向けのお助けキャラ、といった立ち位置だ。
フロリアン王子はプレイヤーと一緒に行動するガイド役で、頭に花のようなバッジを装着して助けてくれる。バッジにも様々な種類があり、「アクションバッジ」や「パワーアップバッジ」といったタイプによって花びらの形や色が変わる。装着するバッジによってフロリアン王子の見た目も変わるため、その細かな変化も面白い。
バッジはコース中に効果を発揮するお助けアイテムで、壁に貼り付いた状態でもう一度ジャンプできたり、帽子を大きく広げてパラシュートのように使えたり、コースに特別なブロックを配置するものなどがある。ミスしやすい状況から助けてくれたり、通常たどり着けない場所へ行けるバッジもあり、単に攻略が簡単になるだけではなく、仕掛けを解く際にも有用となる。
ちなみにバッジは「王子の気まぐれ」でランダムに付け替えることもできる。コースを経るたびに付け替えてもらって、ランダム性を味わってみても楽しそうだ。
あらゆる状態で変化する音と演出が楽しい
本作には「ファイア」の他に「ゾウ」、「アワ」、「ドリル」といった変身能力が登場する。こういった能力はただ敵を攻撃するだけでなく、仕掛けを解くのにも役立つ。仕掛けに必要な変身はそのコース中に拾えるので、スーパーキノコを取った状態でハテナブロックを叩いておこう。
この変身で注目したいのが「音」と「ゴール時の演出」だ。ちびマリオ、スーパーマリオ、ゾウマリオのジャンプの音はそれぞれ異なり、さらにゴール時にゾウ変身で水を溜め込んでいるとポプリンにかけて花が咲く。またゾウ変身か否かでコースBGMも変化するのだ。ここは是非とも実際に遊んで確かめてほしい。
どこから攻略したい? 自由度が増したワールド攻略
従来作品のように1-1から1-4へというように決まったルートでコースを攻略せず、一部の苦手なコースを避けて進められるのも本作の魅力だ。ワールドの一部が点線でつながっていない、自由に歩き回れるエリアもあり、好きなコースを選んで攻略できる。特定のコースを攻略すると現れるおまけコースがあったり、序盤にも高難度のコースがあったり、一度諦めたコースを後で再攻略したりと、プレイに自由度を持たせることでプレイヤーに「挑戦したい」と思わせる仕様は新鮮で面白い。
他にも、コース中で手に入る紫色のコイン「フラワーコイン」を集めると解放できる要素もある。「フラワーコイン」はフラワー王国の住民である「ポプリン」のお店や、元気のないポプリンに力を与えるために使うことができ、バッジや1UPキノコの獲得、隠されたコースを見つけるためにも使う。コースに3枚隠されている大きなフラワーコインは収集要素でもあるため、見つけたら忘れずに回収したい。
コインといえば、黄色い通常のコインは100枚集めると「のこり数」が1増える。体感だが本作ではコースに置かれているコインや、仕掛けを解くことで現れるコインが多めで、さらにワンダーフラワーの効果中に手に入るコインが多いためのこり数を増やしやすい。何度かミスすることもあったが、そのおかげで20時間弱遊んでいてのこり数が0になったことがないまま進められている。こういった点で、本作が初めての2Dマリオというプレイヤーも難なく楽しめそうだ。
「ゆるくつながる」オンラインプレイで助け合う
本作ではオンラインプレイが可能だが、「ゆるくつながる」ことが特徴だ。オンラインプレイはワールド各所の「通信アンテナさん」やメインメニューから有効化できる。
オンラインプレイ中はミスをしても「タマシイ」になることができ、同じ時間に同じコースをプレイしている誰かに触れることで助けてもらえる。コースの途中で閉じ込められたり、行き詰まった場合はL+R長押しでタマシイになることができるため、誰かに助けてもらうことも可能だ。タマシイでいると「ライブゴースト」として半透明に見える別のプレイヤーが実体化し、触れることで復活できる。
オフライン状態でもスティック下+Xボタンで設置できる「パネル」は、自分がそこへたどり着いた証にできる。これも他のプレイヤーがタマシイの状態で触れると復活できるため、ミスしやすい場所に置いておけばどこかのプレイヤーが使ってくれるだろう。
また、ライブゴーストと出会った場合はXボタンを押すとあいさつを行える。Xボタンを長押しすると4種類のあいさつを送信できるため、必要に応じて使い分けよう。
YダッシュBジャンプか、BダッシュAジャンプか
本作では標準の操作でYボタンにダッシュ、Bボタンにジャンプが割り当てられているが、オプションでBダッシュ、Aジャンプに変更可能だ。筆者は親指の先でYボタンを押しつつ親指の腹でBボタンを押す操作に慣れたので標準操作で遊んでいるが、従来の2Dマリオの操作感が欲しいプレイヤーにも優しい仕様といえる。同じオプションで、空中で急降下する攻撃のヒップドロップも操作を変えられる。
この他オプションでは、コースに点在する「おしゃべりフラワー」の言語設定も行える。「本体設定と同じ」や日本語の他に英語、フランス語(フランス/カナダ)、ドイツ語、スペイン語(スペイン/ラテンアメリカ)、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語(ポルトガル/ブラジル)、ロシア語、繁体字、簡体字、韓国語を選べる。
おしゃべりフラワーはコースのいたるところに生えている花だ。。コースに応じてヒントをくれたり、雑談をしたり、プレイヤーをほめたりとさまざまな役割があり、文字通りコースに花を添えている。特徴的な声も聞き慣れると可愛らしさがあるのもいい。
「初心者向け」でありながらチャレンジが楽しい
「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」は、本作が初めての2Dマリオだという人も、従来シリーズをやり込んだプレイヤーも遊びやすいゲームだと感じた。難易度が星の数で分かり、難しそうなコースは避けてよく、慣れたプレイヤーは挑戦して序盤からたくさんのワンダーシードを獲得できる。後になって星の数が多いコースを攻略できたなら、それは序盤で諦めたコースに再挑戦したら攻略できそうだ、というサインでもある。
本作を攻略するうえで重要なことは、ジャンプのタイミングと高さだ。ボタンを押す長さで大ジャンプか小ジャンプが変わり、ダッシュをするか、しないかでジャンプの飛距離が変わる。中盤になってくるとジャンプの調節が必要なコースが増えてきて、プレイヤーに成長を求めてくる。
筆者は星3つ~4つのコースを何度かクリアして、星4つの一部のおまけコースを挑戦しているところだ。同じ星の数でも多少難易度にばらつきがあるものの、同じ星の数のコースを攻略できるならば、何度か練習すればクリアできそうだ……という印象を持った。また、メインコースであれば星4つでも比較的簡単だと思える。
ごく個人的な意見を言えば、敵を何百体と倒し続けてレベルを上げなければ勝てないとか、強力すぎる攻撃が来ないように祈りながら戦うわけでもなく、ただ自分の腕を頼りに戦えばどうにかなるゲームを遊ぶのは楽しい。もちろん先に挙げた遊び方の中でも自分の腕でどうにかなる作品はあるが、最も達成感のある勝ち方は試行錯誤を重ねた自分の腕で勝ち取るものだと思う。この達成感を味わってみてはいかがだろうか。
(C) Nintendo