Wii Uゲームレビュー

ピクミン3

9年振りとなるシリーズ最新作!
初心者は気軽に遊べつつも、上級者は世界一を目指せる万人向けタイトル!

ジャンル:
  • AIアクション
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • Wii U
発売日:
2013年7月13日
プレイ人数:
1~2人
レーティング:
CERO:A(全年齢対象)

 任天堂は7月13日、Wii U用AIアクション「ピクミン3」を発売した。価格はパッケージ版、ダウンロード版共に5,985円。プレイ人数は1~2人。

 Wiiで「ピクミン」、同「2」がリメイクされているものの、ゲームキューブ版「ピクミン2」から考えると、9年振りとなるシリーズ最新作では、ピクミンを操るキャラクターが3人になり、新たなピクミンやモードが追加されている。また、高解像度(1080pの映像出力に対応。描画解像度は720p相当)になり、映像もより美しくなっている。

 操作方法は、Wii U GamePad(GamePad)、Wiiリモコン(プラス)+ヌンチャク、Wii U PROコントローラーに対応。TVモニターを使わない「GamePadのみ」のプレイにも対応しており、「TVモニター+GamePad+Wiiリモコン+ヌンチャク」、「TVモニター+GamePad」など、様々な環境でプレイできる。

操作キャラクターが3人に増えたことで広がった遊びの幅。GPADを使って3人を別々に行動させることでより効率的な探索が可能に!

 本作には「ストーリーモード」、「ミッションモード」、「ビンゴバトルモード」と3つのモードが収録されている。まずはストーリーモードを中心に紹介していきたい。

 ストーリーモードは、果実を巡る大冒険が描かれる1人プレイ専用モード。食料危機を迎えた「コッパイ星」から3人の専門家「アルフ」、「チャーリー」、「ブリトニー」が惑星「PNF-404」に派遣されるが、着陸寸前でアクシデントに見舞われ、3人が別々の場所に着陸してしまう所から物語が始まる。

 シリーズファンにはオリマーやルーイの存在が気になるだろうが、彼らも本作に登場し、ストーリーに密接に関わってくる。どのように関わってくるのか、プレイして確認してもらいたい。

ストーリーモードの冒頭のシーン。まるで映画のような演出だ。ゲームキューブ版でも映像の美しさが印象的だったが、高解像度になり、より美しくなっている

 最初はチュートリアル的な要素が強く、これまでのシリーズのようにキャラクター1人を操作し、ピクミンの扱い方など、本作のプレイ方法をプレイしながら習得できる。ゲームを進めていくと、2人、3人と操作できる人数が増えていくようになっている。

ピクミンを投げる、集合・解散などの操作、ペレットや原生生物を母体であるオニヨンに持ち帰るとピクミンが増える、行動時間は朝から日が暮れるまで、置き去りになったピクミンは夜間に原生生物に食べられてしまうといったゲームのルールを、プレイしながら学ぶことができる

 プレーヤーが1度に直接操作できるリーダー(アルフたち、ピクミンを率いるキャラクター)は1人なのだが、3人になったことで遊びの幅が広がっている。3人それぞれ別々に行動することはもちろん、ピクミンのように投げることもできるようになっているからだ。

 例えば、段差があって進めない場所でも、投げて届く場所であれば、仲間とピクミンを投げてやり、投げた仲間に操作を切り替えることで探索できる。このような2人、3人だからこそ解ける仕掛けがいくつも用意されている。

1人では進めない場所も、2人や3人なら進むことができる。ピクミンだけでなく、リーダーを投げるという選択肢を忘れずにプレイしていけばクリアは難しくない
GPADでは全体が確認できることに加え、リーダーとそのリーダーが連れているピクミンを指定した場所に自動で移動するよう指示できる。また、プレイに役立つ情報が記された探索メモ、ピクミンの数などが確認できるピクミンインフォなども閲覧できる

 人数が増えたことは探索効率の面でも有効に働く。3人それぞれを別々の場所に向かわせたり、敵と戦ってピクミンが減った際にピクミンを連れて応援に向かうといったことができる。ここで活躍するのが通信端末「GPAD」。GPADでは踏破済みのマップが表示され、リーダーやピクミン、果実の場所などが確認でき、GPAD上で目的地を指示しておけば、リーダーはピクミンを連れて目的地まで自動で移動してくれる。

 1日が終わるとGPADでリプレイが再生できる。1日をどのように行動したか、早送りで閲覧できる機能だ。利用しなくてもゲームを進めることはできるが、これがなかなか面白い。いかに無駄な動きをしているかとか、「こうすればもっと効率が良くなる」といったことがすぐにわかる。ストーリーモードは1人専用のモードだが、誰か1人がプレイし、みんなでリプレイを見ながら検討するのも面白い。

1日が終わると、ピクミンの増減、獲得した果実などの情報が閲覧できる。持ち帰った果実はジュースになり、ジュースは1日に1本消費されていく。行動日数はジュースの数に依存するわけだ

 3人を動かせるようになったことでで難しくなったのでは? と思うかもしれないが、あくまで効率を良くするなら、という視点でのことであり、無理に3人を使いこなさなくてもクリアできるようになっているので安心してもらいたい。3人の協力が必須となるのは、複数人でないと解けない仕掛けだけだ。

性質の異なるピクミンたち。本作から「岩ピクミン」と「羽ピクミン」が新たに登場

 ストーリーモードで登場するピクミンは5種類。シリーズでお馴染みの「赤ピクミン」、「青ピクミン」、「黄ピクミン」、初登場となる「岩ピクミン」と「羽ピクミン」だ。なお、「紫ピクミン」と「白ピクミン」はミッションモード、ビンゴバトルモードで登場する。

 ピクミンにはそれぞれ得手不得手があり、場面に応じて使い分けることが攻略の鍵となる。ここでストーリーモードで登場する5種類のピクミンを簡単に紹介したい。

 赤ピクミンは、火に強く、戦いが得意。火に強いため、燃えている場所、火を吹く敵と戦う際には特に活躍してくれる。また、攻撃力が高いため、戦闘全般で役立つ。

 青ピクミンは、水中で行動できる唯一のピクミン。水中にある物を運んだり、水中にいる敵との戦闘は青ピクミンに任せることになる。

 黄ピクミンは、電気を通し、電気に強い。途切れた電気ケーブルに黄ピクミンを投げ込んでやれば通電させることができる。投げると高く飛ぶ、穴掘りが得意という性質も持っている。どのピクミンでも穴掘りできるが、黄ピクミンに任せれば早く掘り終わる。

ピクミンにはそれぞれ得手不得手がある。それぞれの特性を理解し、使い分けるようにしたい

 岩ピクミンは、硬く、投げて直撃させると威力が高い。その硬さにより、踏まれてもつぶれない(死なない)特性も持っている。本作ではポインターのカーソルが対象にプロジェクションされるようになったため、狙った位置に直撃させやすい。

投げると威力が高く、踏まれてもつぶれない、攻守を兼ね備えた岩ピクミン。結晶のようなオブジェクトは岩ピクミンでないと壊せない

 羽ピクミンは、空を飛び、埋まっている物を引き上げられる。空を飛ぶため、地面を移動する他のピクミンと違い、独自のルートで物を運ぶ。戦闘においては、純粋な攻撃力は低いが、空中の敵との戦いを得意とする。

道がなくても羽ピクミンならお構いなし。空を飛び、物を運んでくれる。ただし、空は安全かというとそうではない。羽ピクミンが飛ぶルート上に、クモが巣を張っていることがあるからだ。ちなみにリーダーが水の中を移動している時には、羽ピクミンは水上を飛んでついてきてくれる

短い時間で遊べ、攻略しがいのあるミッションモード

 ミッションモードは制限時間内に与えられた目的の達成を目指すモード。1人でも2人でもプレイでき、2人の場合は協力プレイとなる。このモードでは、プレイ内容によりスコアが決定し、スコアによってブロンズ/シルバー/ゴールドとランク付けされる。インターネットランキングに対応しており、世界中のプレーヤーとスコアを競うことができる。

 モード内は、「お宝を集めろ!」、「原生生物を倒せ!」、「巨大生物を倒せ!」の3カテゴリに分けられており、最初にプレイできるコースは1つだが、条件を満たすと新たなコースが開放される。

 お宝を集めろ!では、コース内に配置されたお宝を発見、収集する。それぞれのお宝には点数が設定されており、集めたお宝の数や倒して持ち帰った敵の数などでスコアが決まる。

 「原生生物を倒せ!」では、多くの原生生物撃破を目指す。より早く敵を倒すには、有効な攻撃手段や倒す順番が重要になってくる。

 「巨大生物を倒せ!」では、ストーリーモードで倒した巨大生物と戦う。行動パターンを把握し、ピクミンの被害を最小限に押さえ、的確にダメージを与えていきたい。

 決められた目的の達成を目指すミッションモード。よりよいスコアを狙うには、お宝や敵の場所の把握、ショートカットになるルートの作成、有効な攻撃手段、敵の行動や弱点を知ることが必要になる。これらは全てストーリーモードでも重要なこと。ミッションモードはストーリーモードクリアのいい練習にもなるわけだ。また、「お宝を集めろ!」の最初のステージの制限時間は7分となっているように、短い時間でプレイできるのも嬉しいところだ。

ルール設定や操作方法により、実力があっても熱い対戦ができるビンゴバトルモード

 ビンゴバトルモードは、2人プレイ専用の対戦モード。ビンゴシートの絵と同じ果実や原生生物を集め、ビンゴ完成を目指す。ステージは12種類。

 ステージ内には敵がいるし、敵自体もビンゴに関わってくるため、まずはピクミンを増やすことが重要になる。ストーリーモードと同じく、ペレットや倒した原生生物を回収して、ピクミンを増やしていく。

 続いてビンゴ成立に必要な果実や原生生物を集めていくのだが、相手が必要な果実を先に回収したり、対戦相手にピクミンをぶつけたりといった方法で相手を邪魔することができる。

自分のだけでなく、相手のビンゴシートも確認できる。常にチェックし、自分のビンゴ成立を目指しつつ、相手を邪魔していきたい
対戦相手にピクミンをぶつけると、相手にくっついて邪魔をする。相手のピクミンが運ぶ果実などを、より多くのピクミンを投げつけて奪い取ることもできる

 このモードでは、アイテムの使い方も重要になる。アイテムはヤブレカブレというチェリーを回収することで使えるようになる。チェリーがオニヨンに入るとルーレットが回り、使えるアイテムが決定する。アイテムは任意に発動でき、5個までためておける。岩を落としたり、ビンゴシートのマスをランダムに埋めたりと、その効果は様々だ。

ヤブレカブレを回収するとアイテムが獲得できる。アイテムをうまく使って有利に対戦を進めたい

 1発逆転が狙えるアイテムの存在に加え、ルールが設定できるため、実力差があっても対戦が楽しめるのもこのモードのポイントだ。ルール設定では、マカロン(各陣に設置された勝利のマカロンを自陣に持ち帰ることでビンゴに関係なく勝利できる)の有無、最初に連れて歩けるピクミンの数、操作リーダー数(1or2人)が設定できる。

マカロンの有無やピクミンの数などが設定できる。強いプレーヤーはピクミンの数を減らしたり、マカロンは使わないと決めてプレイするといいだろう

 さらに操作方法でもハンデがつけられる。GamePadには果実、原生生物やプレーヤーの位置情報などが示される。ビンゴに必要なものの場所が確認できるため、利用しない手はない。そのため、弱いプレーヤーがGamePadで操作すれば、もう一方のプレーヤーはGamePadが閲覧できなくなり、大きなハンデがつけられる。

最後に

 9年振りとなる待望のシリーズ最新作は、プラットフォームをWii Uに移し、1080pに対応したことで、ゲームキューブでも美しかった映像がより美しくなり、それぞれ動きの異なるピクミン1匹ずつがよく見えるようになっている。ハード性能が向上により、画面外にいるものも含め、全てのピクミンや敵が動かせるようになったため、GamePadで全体を見せられるようになった。

 システム面では、やはり3人のリーダーを使えるようになった点が大きいだろう。互いを投げたり、それぞれ個別に動かしたりと、遊びの幅が広がっている。本作でピクミンに初めて触れる人はもちろんだが、3人制に加え、新たなピクミンの登場により、シリーズを遊んできたプレーヤーでも新鮮な気持ちでプレイできるはずだ。

 また、AIが賢くなっている点もここで挙げておきたい。例えば、橋をかける部品を運ばせるために部品のある場所にピクミンを投げると、部品を運んだ後、何も指示しなくても部品のある場所に戻って、再度運んでくれたりする。ただ、部品がなくなっても部品のあった場所に戻ったり、移動中に壁に引っかかったりと、賢くない面もあり、見た目もそうだが、賢すぎない所もピクミンを愛らしく感じる要因なのではないだろうか。

 果実を集めれば、長期間に渡り、ゆったりと探索することができ、ボスに与えたダメージは日が変わっても蓄積するため、時間さえかければ誰でもクリアできる本作。より高みを目指すプレーヤーには、短期間クリア、1匹もピクミンを殺さずにクリアなど、目標を設定することで難易度を上げることもできる。ミッションモードはオンラインランキングに対応しているので、世界一を目指してみるのもいいだろう。年齢、性別、ゲームの腕を問わず遊べる、高品質で安心の1本だ。

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(木原卓)