PS3/Xbox 360ファーストインプレッション その1

ロスト プラネット 3

洋ゲーテイストと和ゲーテイストの融合、そして濃厚なドラマ性

ジャンル:
  • シネマティックシューティング
発売元:
プラットフォーム:
  • PS3
  • Xbox 360
価格:
6,990円
発売日:
2013年8月29日
プレイ人数:
1人(オンライン:2人~10人)
レーティング:
CERO:D(17歳以上対象)

 カプコンは、プレイステーション 3/Xbox 360用シネマティックシューティング「ロスト プラネット 3」を8月29日に発売する。価格は6,990円で、CEROレーティングはD(17才以上対象)。今回は、公開可能とされたゲーム最序盤のファーストインプレッション・Part.1をお届けする。

極寒の惑星「EDN-3rd」再び ~初代をほうふつとさせる氷雪に覆われた過酷な環境~

 累計出荷490万本を記録した「ロスト プラネット」シリーズ最新作。舞台は、初代「ロスト プラネット エクストリームコンディション」以前の惑星EDN-3rd。入植の最初期が描かれる。

 以前の弊誌記事でもお伝えしているとおり、プレーヤーが操作する主人公キャラクター「ジム・ペイトン」は、愛する妻子を養うべく多国籍企業「NEVEC」入植船団とともにEDN-3rdに降下。現地では“傭兵”よろしく危険な任務を請け負い報酬を得ていく。

 ゲーム本編は、ジムが乗る着陸ポッドが悪天候で不時着するところからスタート。既報のとおり、ジムを操作するときはTPS視点、相棒の工業作業用重機「ユーティリティ・リグ」搭乗時はFPS視点でプレイする。リグの登場は少し先になるが、あらかじめお伝えしておくと、リグの視点変更は不可。従来シリーズのファンからは賛否がわかれそうで、筆者個人も「リグの操作もTPSのほうがいいかなぁ」と思ったが、プレイ中はコクピット視点をふまえた演出やイベントが随所に用意されており、このあたりはトレードオフといった感じ。

 不時着後は、アイテム探索やエイクリッドとの戦闘など“チュートリアル”的な流れを経て開拓拠点「コロニス」へとたどり着く。今回は前作のようにオムニバス形式ではなく、1本のストーリーがシームレスに展開していく。どこで何をすればいいかわからなくなったら方向キー上を押せば「進行ナビ」が画面やレーダーにマーカーで“道標(みちしるべ)”を示してくれる。ゲーム序盤につき複雑なルートはほぼ皆無だが、それでもゲームを始めたばかりのときは「どこになにがあったっけ?」となりがち。そんなとき、進行ナビはとても頼もしい存在となってくれる。

 冒頭から、その過酷さがヒシヒシと伝わってくるEDN-3rd。海外スタジオ開発ということもあり、グラフィックスは従来シリーズよりも“濃厚”な味付けで、シリアスな環境を描くにはより適しているといえる。登場人物の顔立ちや台詞のやりとりも、ハリウッド映画を思わせる作り。本作は“ワールドワイド”を強く意識したものであることが実感される。

オープニングの導入部より。着陸に失敗したジム一行だが、なんとか救助隊と合流に成功し拠点コロニスにたどりつく。妻子のため、割のいい仕事を求めて過酷な依頼をこなすことになる。生身時の操作はここで、リグの操作は拠点でと、それぞれ基本操作を教えてくれる

海外スタジオで開発された作品につき、キャラクターの外観や会話のテイストなどは、まさに“洋ゲー”そのものだ

飛躍的に存在感を増したアドベンチャー要素

 「ロスト プラネット」シリーズといえば“シューティング”要素が濃厚で、特に前作はシングルプレイよりもオンラインマルチプレイに重点が置かれていた印象がある。だからといってストーリーや世界観がおざなりだったわけではないのだが、それでも前作までに比べると「ロスト プラネット 3」は“ストーリー”つまり“アドベンチャー”要素の比重が飛躍的に増している。この辺りは和ゲーのテイストと言える。

 従来シリーズが「戦闘パート=ゲームのコア」だったのに対し、「ロスト プラネット 3」はEDN-3rdの謎に迫るストーリー演出に重点が置かれており、戦闘パートは構成要素の一部といった印象。ダメージシステムも過去シリーズのような数値やゲージではなく、一定以上のダメージになると画面に血飛沫のようなインフォメーションが表示され注意をうながすといった心理的な演出効果が最優先されている。

 フィールドや洞窟を探索している最中も、物陰や死角からふいにエイクリッドが襲い掛かってきたり、穴を降りたら実はエイクリッドの巣だったりと、これまた「バイオハザード」シリーズをほうふつとさせるホラー演出も随所に見受けられる。シリーズを象徴する要素のひとつだった“アンカー”は、前作までのようにあちこちに自由に打ち込めるのではなく、緑色のマーカーが表示された場所でポイントを絞りながら使えるギミックに変わっている。

 使える遮蔽物があるときはボタンで任意に身を隠せたりと、細部で発展的な要素がくわえられている。前作「ロスト プラネット 2」の感覚で「さーて、とにかくバリバリ敵と戦うぜ!」というノリで楽しむタイプのゲームではなくなったが、「もっと人物や周辺描写、ストーリーを進めていく過程に力を入れて欲しい」と願っていた人には、本作は歓喜をもって受け入れられるのではないだろうか。

依頼にもとづき行動するが、その過程で体験する“アドベンチャー要素”の比重が従来作品とは比較にならないほど増している。プレーヤーを驚かせる演出などは同社の大ヒット作「バイオハザード」シリーズをほうふつとさせる

【コクピット視点演出~ダメージ表現】
リグ視点はFPSで固定されている。従来シリーズのファンからは賛否ありそうだが、コクピット視点を活かした演出が随所で見受けられ、これがなかなか楽しませてくれる。ダメージシステムは数値やゲージではなく、ピンチになるとインフォメーションが表示される仕組み

【遮蔽物を利用した戦い】
エイクリッドとの戦闘時、周辺に身を隠せるオブジェクトがあるときはボタンのインフォメーションが表示される

【飛行タイプエイクリッドとの戦い】
飛行しているため照準が定めづらい。しかも中型エイクリッドのように組み伏せられることがあり、本当に厄介だ

【大型エイクリッドとの戦闘・人間編】
従来シリーズ同様、弱点を狙っていく。大型タイプとの戦闘は周辺の弾薬も要チェック

【大型エイクリッドとの戦闘・リグ編】
エイクリッドの攻撃をしっかりガードして反撃。限界までダメージをうけるとリグから強制的に降ろされてしまうが、一定時間で回復するので再び搭乗して戦うことが可能だ

新たな一歩を踏み出した「ロスト プラネット」シリーズ

 レビュー可能なゲーム最序盤をプレイさせていただいたが、筆者をはじめとする歴代シリーズのファンは、アーケードライクな戦闘が大胆にフィーチャーされた前作までの構成に対し、ストーリーとアドベンチャー要素を重視した今回の作りは、わりと衝撃的かもしれない。特に「2」がオムニバスストーリー+マルチプレイ重視型だったため、初代をプレイしていないか、その印象が希薄になっている人ほどギャップを感じそうではある。

 ゆえに、人によっては「『2』のままのほうがいい!」と仰られるかもしれないが、今回のテイストの変化は、カプコンという企業がそれだけ「ロスト プラネット」シリーズに多大な期待を寄せていることの証左でもある。老舗が代替わりで味を変えるかのように、シリーズも時代にあわせて変化を見せていく。たとえていうなら、今回は1本のストーリーをじっくり味あわせていくフルコース。さらにいえば、筆者はオードブルを食した程度で、この先どんな刺激的な品が出てくるか乞うご期待といった状況だ。

 本インプレッションは都合2回お届けする予定になっており、次回はさらにゲームを進めた段階で原稿を執筆する手はずとなっている。個人的にも好きでプレイしてきたシリーズだけに、この先何が待ち構えているのか興味津々。シリーズのファンの方々はもちろん、今回の記事ではじめて「ロスト プラネット」を知ったという人も、もしよろしければ8月掲載予定のPart.2に目を通していただけると幸いだ。

軍人崩れの便利屋としてEDN-3rdに降り立ったジムだが、危険な依頼をこなす日々のなかで、少しずつ運命の糸にたぐりよせられていく。謎の先に待ち受けるものは……。
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(豊臣孝和)