Wiiゲームレビュー

6人の医師による6つのストーリー
感動の医療ドラマが貴方を待っている

「HOSPITAL. 6人の医師」

  • ジャンル:医療ドラマ
  • 発売元:株式会社アトラス
  • 開発元:株式会社アトラス
  • 価格:6,980円
  • プラットフォーム:Wii
  • 発売日:発売中(6月17日発売)
  • プレイ人数:1~2人
  • CEROレーティング:B(12才以上対象)


「カドゥケウス」シリーズのジャンルには超執刀外科アクション、ドラマティック手術アクションなど「アクション」が必ずついていた。だが、本作のジャンルは「医療ドラマ」である。これは手術のアクションパートだけでなく、医療ドラマパートを体験して欲しいという願いが込められているのだろう

 株式会社アトラスから6月17日にリリースされた「HOSPITAL. 6人の医師」。DSやWiiといったハードの特徴を活かしたゲーム性とストーリーに定評のある「カドゥケウス」シリーズ開発スタッフによる最新作だ。手術の緊張感と無事終えた後の安堵感は本作ならではといえるだろう。

 医療ドラマというジャンルがつけらた本作。命の大切さが……といったありきたりな言葉では片付けられない、練り込まれたストーリーが味わえる。ドラマ性が高く、誰もが引き込まれていくだろう。

 ディレクター金田氏が「誰もが医療ドラマを体験できるゲームを目指し、制作いたしました。その為、難易度に関しては、控えめなセッティングを心がけております」と語るように難易度は低めに設定されており、誰でも楽しめるように調整されている。もちろん難易度選択は可能なので、難易度を上げさえすれば「カドゥケウス」シリーズのプレーヤーも納得の歯ごたえあるゲームが堪能できる。

 「6人の医師」と副題にある通り、6人の医師がプレーヤーキャラクターとして登場する。それぞれの医師は外科、救急、整形外科、内視鏡、診断、検視と専門が異なり、ゲーム性も違ってくる。中でも診断、検視は異色。患者の治療をするわけではなく、謎解きアドベンチャーのようになっている。どの医師のストーリーラインを進めるかは任意で選択可能。1つのエピソードをクリアすれば次のエピソードがプレイできるようになる。また、医師によってはCO-OP(2人同時)プレイが可能だ。

 血みどろは苦手……という人はいないだろうか。筆者はその1人なのだが、本作では臓器などが独特のデザインで表現されており、エグさは少ないため、抵抗なく遊ぶことができた。

 ここからは、6人の医師とそのゲーム性について紹介していきたい。




■ [外科] 懲役250年の外科医 CR-S01

 とある事件により懲役250年を課せられた記憶喪失の青年CR-S01(囚人番号)。彼は司法取引により、減刑を条件に執刀を行なう。懲役250年を課せられることになった事件とは何なのか、彼はどのように事件に関わったのか。全ては物語を進めることで明らかになる。

 外科手術ではヒールゼリー(小さな傷の治療や消毒)、注射(バイタルの回復など、症状に合った薬を投与)、針と糸(裂傷や切開部の縫合)、ドレーン(血液などの吸引)、レーザー(小さな腫瘍などの患部を焼却)、エコー(患部の探索および発見)、メス(病巣の切断や切開)、ピンセット(異物の摘出や移動)といった器具を用いて行なう。他の医師と比べ、使用する手術道具の種類が多いのが特徴だ。CR-S01に限った話ではないが、状況によっては保護テープなどの追加器具も登場することもある。患者のバイタルが0になると手術失敗でゲームオーバーとなってしまうので、常にバイタルに気を配りながら、処置していく。

 基本的な操作は、Wiiリモコンで処置する部位のポインティングと実行、ヌンチャクで使用する器具の選択。手術器具の選択はヌンチャクのスティックで行なうため、といった斜め方向は誤入力しやすい。落ち着いて正確な入力を心がけたい。

 CO-OPでは8種類の器具を2人で分担してプレイする。

8つの手術器具と状況に応じて登場する追加器具を用いて外科手術を行なう。患者のバイタルが危なければ注射でバイタルを回復しておけばOKだ



■ [救急] 男顔負けの火の玉ガール マリア・トレス

 救急現場の最前線で活躍するマリア・トレス。男勝りで情に厚い彼女はある想いを秘めて日々の救命活動を行なっている。

 マリアは災害現場で複数の傷病者に延命・応急処置を施し、搬送する救急救命医。用いる器具はヒールゼリー(小さな傷の治療や消毒)、保護テープ(治療した患部の保護)、注射(バイタルの回復など、症状に合った薬を投与)、ピンセット(異物の摘出や移動)の4つ。患者のバイタルが0になったり、他の傷病者の状態を示すトリアージタグが0になると救助失敗。救助失敗数が規定値を超えるとゲームオーバーとなる。

 特徴はなんといっても1度に複数の傷病者を処置しなければならないこと。画面上部に表示される全ての傷病者の状態をチェックし、危険な傷病者を優先して処置していきたい。大半の処置が終わったと安堵していたら、傷病者が追加されるなんてこともある。最後まで気を抜いてはならないのだ。

 基本的な操作はCR-S01と同様。Wiiリモコンで処置する部位のポインティングと実行、ヌンチャクで使用する器具を選択する。器具数がCR-S01の半分の4種類と扱いやすく、誤入力もしにくい。ただし、追加器具の出現頻度は高いので注意深く画面をチェックしておきたい。

 CO-OPでは担当する患者を分担してのプレイが可能だ。

マリアのパートでは、複数の傷病者の状況を確認しながら、処置を進めなければならない。スピーディーな操作が要求されるのだが、慣れてくるとこの忙しさが癖になってくる器具だけでなく、心臓マッサージや胸部叩打などが必要になる場面も



■ [整形外科] 医者にしてヒーロー ハンク・フリーバード

 正義と平和を心から愛するハンク・フリーバード。彼は医者でありながらヒーローでもある。どんなヒーローなのかはプレイして確かめてほしい。きっと驚くことだろう。

 ハンクは、メス(腫瘍の切除)、ドリル(穿孔)など、様々な特殊器具を駆使して骨や関節の疾患を整形・修復する整形外科医。CR-S01やマリアのような器具の選択はなく、状況に応じて器具が自動的に選択される。器具の切り替えがない分簡単かというとそうでもない。ポインティング、ボタンを押す・離すタイミングが他より重要視されており、気が抜けない。規定数のミスをしてしまうとゲームオーバーとなる。

 整形外科手術においてのみ、ミスせず連続して手術の工程を進めると、CHAINとなりボーナススコアが獲得できる。このCHAINシステムにより、他とは違った感覚でプレイが楽しめる。どれだけCHAINがつながるかに挑戦するのがアツい。

 CO-OPでは交代制でプレイする。1工程ごと、もしくはミスすると交代となる。

危ない時でもすぐボタンを離せばミスが防げるが、CHAINが切れてしまうハンクはWiiリモコンだけで完結する操作が多い。両手でWiiリモコンを持ってプレイすれば正確にポインティングしやすい



■ [内視鏡] 華麗なる内視鏡医 トモエ・タチバナ

 礼儀を重んじる内視鏡医トモエ・タチバナ。登場する6人の医師の中で唯一となる生粋の日本人。他の医師も普通ではないが、彼女も只者ではない。彼女の家系は……。

 内視鏡で患者の体内を進み、バイタル注射(患者のバイタルを回復)、スネア(ポリープなどの切断)、止血鉗子(出血した患部の止血)、ドレーン(血液などの吸引)、注射(症状に合った薬を投与)、スプレー(隠れた潰瘍の発見)、メス(患部の切除)、ピンセット(異物の摘出)の8つを駆使して、病巣の摘出や治療を行なう。患者のバイタルが0になると手術失敗でゲームオーバーだ。

 操作は他の医師の手術とは全くの別物。Wiiリモコンで内視鏡の移動、体内を照らすライトを操作し、ヌンチャクでカメラ(進行方向)の変更、器具の選択・使用する。AボタンとBボタンを押しながらWiiリモコンを前に押し出したり、手前に引いたりする内視鏡の移動操作が特徴的。前に押し出しながらも画面をポイントして体内を照らすのが難しい。筆者は押し出す操作が下手で、Wiiリモコンを持つ腕が筋肉痛になってしまった。

 体内に内視鏡が触れてしまうと患者のバイタルが減ってしまうため、慎重な操作が求められる。他の医師でのプレイを簡単と思う人であっても内視鏡でつまづくことも起こり得るだろう。

 CO-OPは時間制限による交代制のプレイとなる。交代制といえど、ただ待つだけでなく、もう一方のプレーヤーはポインタで術野を照らすことができる。

レーダーで病巣の位置を確認しながら治療していく。体内は直線ではないので体内に内視鏡が触れないよう慎重にカメラを動かしながら移動するオプションではカメラの首振り速度と上下設定が変更可能。操作しやすいようにカスタムしておきたい



■ [診断] 一癖ある診断専門医 ガブリエル・カニンガム

 飄々とし、何を考えているのかわからない雰囲気が印象的なガブリエル・カニンガム。診断専門医としての腕前と洞察力は院内随一。

 このパートでは、患者とのやり取りや検査から得られた患者の症状を元に病名を特定するのが目的。これまでに紹介した4人とは違い、手術を行なわない。アクション性はなく、難しい操作を要求されることもないわけだ。推理アドベンチャーをイメージしてもらえばわかりやすいだろう。診断で規定数のミスをするとゲームオーバーとなるが、時間に追われることはないので、じっくり考えながらプレイできる。

 問診、視診、聴診などで症状を調べる診察室、CTなどで撮影された画像から異常を探す画像検査室、入手した症状の情報を元に病名を特定する自室を移動しながら診断を進めていく。画像検査室では正常例と患者の検査画像を切り替えて異常を探すのだが、この切り替えがクセモノで、異常個所の発見を手強くさせる。

 自室で診断補助端末RONIを使った病名の特定方法が特徴的。診察室、画像検査室で情報を得て自室に行くと、得られた情報を元にRONIが病名の候補を出してくれる。候補に対して患者の症状を当てはめていき、全てが合致するものが患者の病名となる。難しそうに聞こえるかもしれないが、実際にやってみると簡単でサクサク進められる。情報を探す部分にプレイ時間の大半を費やすことになるだろう。

 CO-OPモードは存在しないが、診断と検視をプレイ中は、2Pのポインタが人の手に変わる。症状探しや間違い探しを誰かと一緒に楽しんでも良いのではないだろうか。

手術とは異なり、アドベンチャーのようなゲームが楽しめる診断。様々な手段を駆使して情報を集め、病名を特定していく



■ [検視] 余命半年の元天才外科医 ミラ・キミシマ

 ある病の後遺症によりメスを握れない身体となってしまった日系3世の女性医師ミラ・キミシマ。Wii「カドゥケウスZ 2つの超執刀」のもう1人の主人公であったため、ご存知の方もいるだろう。「Zで登場し、残念ながらNBでは登場することの無かったキミシマですが、私自身、とても好きなキャラクターの1人です。機会あれば、また是非登場させたいですね」というディレクター金田氏の思いが実現されたわけだ。「カドゥケウス」シリーズファンにとっては嬉しい再登場だろう。

 ガブリエルと同様に手術はなく、アドベンチャーのような形式で検視を行なう。遺体、遺留品、現場を調査し、得られた情報を整理して、事件の真相を解明していくのだ。

 検査室、現場、ICレコーダーで情報を集めたらPCで情報を整理する。情報はヒントカードとなってまとめられており、各カードごとに解明度を意味する★マークが表示される。分析し、★マークが全て揃うとヒントカードが証拠カードとなり、全てのヒントカードが証拠カードになれば事件再現フェイズに移行。質問内容に当てはまる証拠カードを提示していくと事件が再現され、真相が解明される。

 検視では頻繁にクイズが発生する。このクイズは一部の例外を除き、出題後にクイズの回答を後回しにすることが可能。情報を再確認してから回答できるのがありがたい。クイズの回答を規定数間違えるとゲームオーバーとなる。

 CO-OPでのプレイは存在しない。

遺体、遺留品はカメラアングルを変えながら調査を行なう。詳しく調べたい場所を見つけたらAボタンでズーム表示だ頻繁に登場するクイズ。選択肢を選ぶものだけでなく、画像をポイントしたり、数字を打ち込むものもあるヒントカードにはカードの融合やクイズの回答につながる重要な情報が記載されている。確認は怠らないように



■ 最後に

 完成度の高い重厚な大人向きのストーリーが楽しめる本作。ゲーム後半には6人の医師全てのエピソードをクリアしなければプレイできないエピソードが出てくる。彼らのストーリーがどうつながり、どう展開していくのか、プレイして体験してもらいたい。

 ストーリーだけでなく、バリエーション豊かでやればやるほど上達感の得られるゲーム性についてもさすがの一言。多くのプレーヤーが楽しめるようゲームバランスを調整したのは成功といえるのではないだろうか。

 筆者のエンディングまでのプレイタイムは25時間程度。各ステージの難易度別スコアアタックだけでなく、クリア後にしかプレイできないやり込み要素も用意されている。

 自信を持ってオススメできる良作。これほどのゲームには中々巡りあえない。本作を開発してくれた開発スタッフに心からありがとうを言いたい。



(C) ATLUS CO.,LTD. 2009

(2010年7月23日)

[Reported by 木原卓 ]