★オンラインゲームレビュー★

目移りする圧倒的なボリュームが魅力
個性的なMSをパワーアップして戦え!

「SDガンダム カプセルファイター オンライン」

  • ジャンル:オンラインアクションゲーム
  • 運営元:CJインターネットジャパン
  • 開発元:SOFTMAX
  • 対応OS:Windows XP/Vista/7
  • 利用料金:無料(アイテム課金)
  • 発売日:6月17日より正式サービス中

 CJインターネットジャパン株式会社は、Windows用オンラインアクション「SDガンダム カプセルファイター オンライン」(以下、「SDGO」)において、基本プレイ無料、アイテム課金制の正式サービスを6月17日から実施している。

 「SDGO」は「機動戦士ガンダム」から始まるいくつものガンダム作品のMS(モビルスーツ)が登場するアクションゲームだ。カジュアルな操作性で、手軽に対戦や協力プレイが楽しめる。ゲーム性はもちろんのこと、本作の大きな魅力はやはりMSにある。初代「ガンダム」のシンプルなMSから、「機動戦士ガンダムSEED」や「機動戦士ガンダムW」などの派手でケレン味たっぷりなMSまで、かっこよさとコミカルさを併せ持つデフォルメと、機体の特徴をうまく表わした性能や武器はコアなファンも惹き付けている。

 本稿では、課金アイテムや追加されたミッション、いくつかのMSの使用感といったポイントを紹介していきたい。ゲームの基本要素はファーストインプレッションで紹介しているので、こちらも併せてチェックして欲しい。



■ 接近戦専用機、狙撃特化型……。個性豊かなMSを使いこなせ

カプセルマシンは様々な種類がある。例え目当てのMSが当たらなくても、新しい魅力に気付く場合も
Zガンダムでアムロの乗るディジェは、本作ではバランスの取れた扱いやすい機体だ

 「SDGO」は、正式サービスがスタートしたことで、たくさんのMSが追加された。MSは主に「カプセルマシン」を通じて入手できる。プレーヤーはゲーム内ポイントや、課金による「CP(1CP=1円相当)」でコイン(1枚30円相当)を購入し、カプセルマシンから様々なMSを入手するのだ。ちなみに、一部のMSはクエストやミッション報酬でも入手でき、「設計図」など特別な方法で入手できるものも存在する。

 カプセルマシンはいくつものラインナップがある。1枚のコインでプレイできるものから、3枚使うもの、20枚使うものもあり、メニューに表示してあるMSの中からどれかが手に入る。お目当てのMSを狙って挑戦するのだが、違うMSが出てしまう“偶然の出会い”もゲームに独得の感触をもたらしている。「外れるかもしれないのにコインを20枚使えるか?」、「もう1回引いたら当たりが出るかも」といったプレーヤーの葛藤も楽しい。

 こうして得るMSには近接戦に強い「グー」、中距離の戦いを得意とする「チョキ」、狙撃など遠距離の戦いに秀でた「パー」の3つの属性がある。さらに各MSによって大きく武器、戦い方が異なっており、プレーヤーは使う機体によって戦い方を考えなくてはならない。この感触が「機体を使いこなしている」という、“ガンダム”ならではの高揚感をもたらしている。

 例えば、今回入手した「ケンプファー」は接近戦に特化した機体だ。ビームサーベル、ショットガン、チェーンマインを持っているのだが、ショットガンは有効距離が短く、チェーンマインも近距離でしか当たらない。しかしショットガンの当たり判定の大きさや、チェーンマインの攻撃力は接近できれば強力な武器となる。“敵にいかに近付くか”がこの機体で戦うテーマになるのだ。

 前回使ったネーデルガンダムは同じ接近戦機体だったが、遠距離武器もあり汎用性が高かった。それに比べるとケンプファーは本当の意味で接近戦専用機体だ。実を言うと筆者はこの“とんがった”機体をうまく使いこなせない。この機体でうまく戦える人には、憧れてしまう。

 もう1つ、今回入手できた「スーパーガンダム」はガンダムMK-IIとGディフェンサーが合体したMSで、個人的に好きな機体だ。この機体が出るカプセルマシンはコイン20枚が必要で、祈るような気持ちで挑戦したのだが、幸運にも1回目で入手できた。スナイパー用の機体で、敵キャラクターが視界に入っていないような距離から、ロングライフルのスナイプモードで敵を狙うことができる。中距離のミサイルも強力だが、どちらの武器も弾切れしやすい。またHPにも不安がある。使い込むことで弱点を補強できればと思い現在、積極的に使っている機体だ。

 MSは使い込むことでスキルを獲得し、さらにステータスをアップできる。ゲーム序盤では限られた機体をチョイスして使い込んでいくことになるが、「ミッション」では機体特性が攻略の鍵になる場合もあり、実際には数体の機体を育成していく幅も必要だと感じた。ゲームを続けていくことで、何体かのお気に入りの機体を持ち、自分にあった戦い方を突き詰めていくことになると感じた。

 本作では様々な作品に登場するMSが入手できるが、筆者はガンダム、Zガンダムなどの、「宇宙世紀」のMSが好きだ。他のプレーヤーを見てると、世代の違いや好みの違いも感じられて楽しい。この後も多数のMSが追加されるが、ユーザー自身の好みだけでなく、“流行”や“強いMS”といったその時々のムーブメントも見えてきそうで、楽しみである。


接近戦に特化したケンプファー。クセが強いが、使いこなしたくなる機体だ
アウトレンジから敵を攻撃できるスーパーガンダム。狙撃に秀でている
バランスの良いディジェ。その代わり特化したところもなく、物足りなく感じる場合も
遠距離戦の得意なザクII(マゼラトップ砲)。必殺技が遠距離攻撃なので敵を捉えやすい


■ さらに多彩なシチュエーションが追加されたミッションモード。バランスに少し難ありか?

「ジャブロー基地防衛(上)」。原作のシチュエーションは楽しいのだが、難易度設定で疑問が
谷間を進むか、上から飛んでいくか、高低差が激しいマップ「グランドキャニオン」

 正式サービスがスタートしたことで、MSだけでなく多数のミッションや対戦マップが追加された。βテスト時と比べてバリエーションが増え、より多彩なミッションが楽しめるようになった。

 例えば新ミッションの「TEST FACTORY」はMSの工場で戦う。次々といろいろなMSが襲いかかってくるのはいかにもMSの生産工場らしい。工場内では設置された砲台がプレーヤーを狙ってくる。ラストはエールストライクガンダム。素早い動きでプレーヤーを翻弄する。プレーヤー達が協力して、エースパイロットに立ち向かうというシチュエーションが楽しい。

 「月面基地破壊!」ミッションは後半、ミサイルを乱射する巨大基地と戦う羽目になる。当たる場所が最初はちょっとわかりにくく、基地と戦うときにはいきなり難易度が上がったと感じるミッションだ。「砂漠のバクゥ」は「機動戦士ガンダムSEED」からのミッション。故障中の船を守り、敵を迎え撃つのだが、四方八方からバクゥが襲いかかってくる。砂丘の向こうから走ってくるバクゥがかっこいい。

 ミッションには難易度があり、プレーヤーはゲームを進めていくことで上がる階級に合わせて難易度を上げていく必要があるが、現在のバランスだといきなり「NORMAL」で難易度が跳ね上がる。敵はヒットアンドアゥェイを数でこなしてくるし、グーチョキパーの相性が合わないと倒しにくいしで、いきなりクリアが難しくなっている。

 また、原作を意識したシチュエーションの「原作ミッション」も用意されているが、こちらはプレーヤーは1度倒されると再出撃不可という厳しい条件の下で多数の敵と戦わなくてはならない。その中で追加された「ジャブロー基地防衛(上)・(下)」では、敵も多く、ガウも理不尽なほど爆弾をばらまくしで、他のミッション以上に難しい。個人的には、バランスが取れておらず、「攻略しよう」という気持ちがくじけてしまった。

 このミッションはクランなど繋がりの強い人達と共に、きちんと話し合いながら、各人の役割を決めて攻略するのがいいようだ。しかし、現在の「SDGO」はユーザーを募って適度に楽しむという風潮が強い。現時点でここまで難しいものを入れる姿勢には疑問を感じるし、今後追加されるミッションにも不安を感じる。運営側の意図を計りかねるところだ。

 一方、対戦マップはユニークな物が多数追加され、好感を持った。「コロニー落下」は落下したスペースコロニーの残骸が地面に突き刺さり、両軍を分断しているマップ。高低差が激しく、敵の場所を捕らえにくい。「グランドキャニオン」も高低差があるが、中央が谷になっており、狙撃を狙うプレーヤーと、接近戦を挑むプレーヤーの攻防が熱い。

 「Desert P.S」は真ん中に巨大な穴のように落ちくぼんだ空間がある。穴の底には機体を一気に跳ね上げる“スーパーブースター”があって、活用することで一気に距離を詰めることも。どういったルートで敵に迫るか選択肢が多い。「Eight GATE」はいくつもの部屋が繋がっているような狭い空間での戦い。密集空間で狙い狙われ、という戦いが続く空間だ。この他にもいくつかのマップが追加されており、どう戦うか模索していきたいと感じた。


様々なMSと戦う「TEST FACTORY」。エールストライクガンダムを4人で追いつめる
「砂漠のバクゥ」では四方八方からバクゥが襲いかかってくる
「月面基地破壊ミッション」は、終盤の対月面基地の時、敵の弱点やミサイルを攻撃の場所などの情報が提示されない上に、移動範囲が限定されるため突然難易度が跳ね上がる。コンシューマーゲーム的なアプローチでもっと練り込んで欲しいと感じた
左から、コロニーの残骸が視界を遮る「コロニー落下」、戦うスペースが小さい「Eight GATE」、中央のくぼんだ部分が戦いに大きく影響してくる「Desert P.S」


■ 性能を上げる課金アイテムと、経験値が多く得られるオペレーター。マイレージが得られるコミュニティーも

正式サービス時に追加された多彩なアイテム。今後はどんなアイテムが販売されるのだろうか
コインはまとめ買いすることでお得になる

 正式サービスによって1番大きな変化は様々な課金アイテムが追加されたことだ。課金アイテムには「コイン」、「オペレーター」、「バトルアイテム」、「スキルパーツ」、「ユニットインベントリ」といった種類がある。各アイテムはCPで買うものだけではなく、ゲーム内ポイントで入手できるものもある。

 この中で注目はオペレーターだろう。「SDGO」の無料のオペレーターはタレントの土田晃之さん演じるセリフがかなり棒読みのキャラクターなのだが、課金することで声優の演じるかわいらしいキャラクターが務めてくれる。男性声優の演じるオペレーターも用意されている。無料オペレーターを除き、各オペレーターは「ポイント+20%」、「ユニット経験値+20%」、「エネルギー消耗50%減」など様々な特典が用意されている。

 20時から22時までの“ゴールデンタイム”に獲得経験値が大幅に上がるといったオペレーターもいる。面白いと感じたのはユニットを成長させなくても全てのスキルが開放される、というオペレーター。対戦に様々なMSを手軽に使うのに便利だ。このように、ポイントを多く欲しいか、ユニットを育てたいかなどプレイスタイルに合わせて選ぶのが基本だが、キャラクターデザインや、担当声優で選ぶ人もいるだろう。

 価格は3日間と30日間のタイプがあり、3日間は500~650CP、30日間は1,500~1,800CPだ。3日間のプランは効果の割に割高だと感じた。また、各キャラクターのデザイン、声優には魅力があるものの、キャラクター性と言うところでは今ひとつだ。オペレーターのセリフはそこそこバリエーションはあるが、「撃墜しました」、「次はがんばってください」など、“ゲーム用メッセージ”そのままで、オペレーターに思い入れしにくい。

 各オペレーターへ思い入れが持てるようなイベントを入れるのも面白いかもしれない。もう1つ、MSがこれだけ原作にこだわっているのだから、オペレーターも原作キャラクターを配置すれば、ファンの食いつきが大きく違ってくるのではないだろうか。ともかく、一緒に戦っているような感触をもっともっと強化して欲しい。

 バトルアイテムはミッション中にNPCを攪乱できる「ダミー」や、姿を消す「インビジブル」、テレポートできるアイテムや、敵のブーストを下げるアイテムなど様々な物がある。これらのアイテムは消費アイテムで、30個で150~300CPという価格設定だ。

 スキルパーツは各MSが持っているスキルに加え、さらにスキルが追加できる。バトルアイテムが使用することで瞬間的に様々な効果をもたらすものなのに対し、スキルパーツはユニットの能力を底上げする感じだ。何度か出撃するとストックが減るという感じで、30個で300CPだ。必殺技の威力を増す「必殺技覚醒」や体力が少なくなるとブースターの効率が上がる「ニュータイプ覚醒」といったアイテムがある。

 今回はスーパーガンダムにスキルパーツの「必殺技覚醒」を使ってみた。スーパーガンダムの必殺技は、一定時間ビームを浴びせ続けるものなので有効だと思ったからだ。しかし対戦ではスーパーガンダムはスナイプが中心で、必殺技のゲージがあまり上がらない。ここはスナイプ攻撃がクリティカルになる「スナイパーマニュアル」の方が有用に感じた。

 本作は短いスパンでミッション挑戦、対戦を繰り返すというゲームスタイルなので、クラン戦など勝敗が大きく影響する戦い以外は、「アイテムを使っても勝ちたい」とう気持ちは薄いかな、と思っていたが、いざ機体の能力を底上げするスキルパーツを使うと、なかなか楽しかった。スキルパーツ、バトルパーツも活用して戦いを研究するのも有効だと感じた。


若手の声優を起用したオペレーター達。かわいらしかったり、元気だったりと、雰囲気は良いのだが、「ガンダム」ファンの視点から見れば、物足りない
アイテム、スキルはいざ使ってみると戦いが少し有利になって楽しい。効果的な使い方を試していきたい

 「SDGO」では公式SNSと連動した「マイレージ」というポイントも用意されていて、このポイントを使うことで機体のカラーや、ステッカーを入手できたり、ゲーム内ポイントに変換できる。特に機体カラーはミッションクリアの報酬でも入手できるが、こちらはかなり手に入れにくく、マイレージでの購入はうれしい。

 マイレージはSNSでブログ記事を書いたり、コメントを描き込むことで入手できる。このため、「書き込み用」というそのままズバリマイレージ入手のみを目標にした日記記事も多いが、コミュニケーションのきっかけとしてはアリだと思う。マイレージという“実利”のあるコミュニティーがゲームでどんな役割を果たしていくかは注目していきたいところだ。

 SNSでは「ネガティブなことを書いたら記事が削除された」、「台湾や韓国版のことを紹介する記事を書いたら削除された」といった“噂”が現在も出回ってる。CJインターネットジャパンに確認してみたところ、「クライアントソフトのクラッキングや改造方法等を書いていたので削除した記事がありました。また、“台湾版を~”というところでは、台湾版のゲームを日本版のデータでプレイする改造方法を書いていたので削除しました。また、日本の運営ではサポートできないので、台湾や香港等、海外サービスへの“勧誘”に関しても削除しました」とのことだ。運営に関してはネガティブな噂が広まりやすい。ユーザーの誤解に対してどう対処していくかも課題となるだろう。

 「SDGO」はやはり「ガンダムゲーム」として手軽で魅力的なコンテンツだ。一方で、臨時メンテナンスが頻発したり、ミッションでの難易度設定など、運営、コンテンツ両面でまだまだこれからの部分もある。今後も注目していきたいゲームだ。


公式SNSではマイレージが得られ、使うことでカラーなどが入手できる。ゲーム内ポイントにも変換可能だ

(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・毎日放送
Produced by BANDAI KOREA
Developed by SOFTMAX / Published by CJ Internet Japan.

(2010年 6月 30日)

[Reported by 勝田哲也 ]