PS4ゲームレビュー

inFAMOUS Second Son

炎を操り、光と化してビルを駆け上がり、天使の翼で滑空。ド派手な超能力で戦え

炎を操り、光と化してビルを駆け上がり、天使の翼で滑空。ド派手な超能力で戦え

ゲームでは早い段階で様々な強力な能力が使える
スキルツリー。街で入手できる“シャード”を集めてパワーアップしていく
ネオンの能力で、高速走行が可能に
兄のレジー、堅物で口うるさいが、弟へ強い愛情を持っている
ネオンの能力を持つフェッチ

 前作までの主人公コールは「電気」の能力者だったが、デルシンは最初「煙」の能力を使う。「スモークショット」を撃ち、「スモークボム」や、「スモークミサイル」を使って強力な攻撃を行なう。鎖に熱を込め、赤熱した鎖を振り回しての近接攻撃も強い。この中でもスモークミサイルは特に強力で、D.U.P.の施設を粉々にし、装甲車に大ダメージを与えることができる。先制攻撃としてとても有効な技だ。

 移動に関しては「スモークダッシュ」で、短い距離ではあるが身体を煙に変えて移動できる。ダッシュは空中でも2回まで連続でできるので、ホバリング能力と組み合わせることで距離を稼ぐことができる。慣れてくると敵と距離を取ったり背後に回り込んだりできるようになる。また建物の通風口を見つけ、そこに向けてダッシュすると、側面から天上へ出られたり一気に移動できる。

 「inFAMOUS Second Son」では、街に浮遊している「トラッカードローン」を打ち落とすことで“シャード”が手に入り、これを使うことで能力をパワーアップできる。前作に比べ、収集が少なくてパワーアップが可能なので速いペースで強力な超能力を使えるバランスになっている。能力が増えると新しいおもちゃを手に入れたようにデルシンははしゃぐ。「俺、ミサイル撃てるようになっちゃったよ!」といった感じのデルシンのリアクションも楽しい。

 ゲーム中盤からはデルシンは「ネオン」の能力を獲得する。ネオンの能力は高速移動に長け、「ライトスピード」で身体を光に変えて地上を高速で移動できるほか、ビルの壁面を駆け上ることができる。これまでのシリーズ作品ではフリーランニングの様にどこでも壁面にしがみつき、建物を上ることができたが、ライトスピードによって以前とは比べものにならない速度で壁面を駆け上ることができるようになる。この動きは特に爽快だ。

 また、ネオンの「ネオンビーム」は弾速が早く、トラッカードローンを撃ったり、狙撃に最適だ。一方で強力な「ルミナスビーム」は溜め時間が必要なので当てにくいところがある。このため移動はネオン、攻撃するときは煙という感じに能力を使い分けていた。

 能力の切り替えやエネルギーの補充は、煙ならば建物の屋上の排気管や、破壊された車などで行ない、ネオンは街中のネオンを使う。派手派手なネオンきらめくチャイナタウンでは、ネオンの能力使い放題だったりもする。このネオンのためか、「inFAMOUS Second Son」のシアトルの街は全体的に色彩に溢れている。

 さらに後半にデルシンは「ビデオ」の能力を手に入れる。透明化できたり、マシンガンの様にエネルギーを発射したり戦闘能力が強力な上、背中から翼を生やして空を飛べるようになる。ネオン以上に移動が爽快で、ちょっと便利すぎるかも、と思ってしまうところもある。アンテナでエネルギーを補充するのだが、このアンテナにダッシュすることで、アンテナの向いている方向に打ち出されるのが楽しい。

 キャラクター描写も触れておきたい。「inFAMOUS Second Son」では特にデルシンとレジーの兄弟の描写が面白い。レジーは超がつくほど堅物で、頭が堅く、コンジットに警戒心を持っていて、何かと言えばデルシンに説教をしたがる。しかし、それでも弟のデルシンを愛しているのだ。

 前作の「inFAMOUS 2」ではお調子者の相棒ジークが、「俺はコールと親友!」と調子に乗りまくっているのが楽しかったが、今作ではお調子者のデルシンと、堅物のレジーという、前作までとは逆の配置と、やりとりが楽しい。レジーは超能力を持っていないし、持ちたいとも思っていない。力に酔いそうになるデルシンのブレーキの役割も果たしていて、本作の“超能力のあり方”を考えさせる良いキャラクターとなっている。

 今作でのコンジット達は迫害され、社会に追い詰められ、能力を暴走させる存在だ。D.U.P.はその“一般人の恐れ”を利用し、コンジットの能力を使って人々を支配しようとしている。彼らの拠点は建物の周りをコンクリートの能力で覆っており、ことさら自分の能力を誇示し、威嚇しているように見える。それはオーグスティンの生き方そのものかもしれない。

 デルシンは、ほかにもコンジットと出会う。ネオンの能力を使うフェッチや、ビデオの能力を持つユージーンとも触れあうことになる。彼らはコンジットであるために一般的な生活ができなくなった人間だ。コンジットが生まれる世界で、一般人とコンジットはどのような世界を作っていくのか、「inFAMOUS」開発スタッフが、本作でどうコンジットを描写しているかに注目して欲しいし、もし本作の続編があるとすれば、このテーマをどう発展させていくかも楽しみだ。

 「inFAMOUS Second Son」は、PS4のパワーを実感できる“次世代”のゲームである。シアトルの街は歩いているだけで楽しいし、超能力を使って縦横無尽に駆け回ればさらに楽しい。能力の使い方を覚えると戦闘はさらに奥深くなる。ゲームになれたことでより難しい難易度で再挑戦したくなるだろう。この街はメインストーリー1作で使い切るのは惜しい。「Grand Theft Auto VI」のDLCの様に、シアトルを舞台に他のキャラクターを主人公とした外伝の展開も期待したい。

【多彩な超能力】
煙の能力は強力な攻撃を持つ。特に「スモークミサイル」は使い勝手が良く、破壊力抜群だ
ネオンの能力は、スピードと正確性が魅力。狙撃にぴったりで、範囲攻撃で敵を気絶させることも
ビデオの能力は、アメコミ風に派手なものが多い

【様々な場面】
ストーリーでは善悪の選択が迫られる。今作も2通りのストーリー展開が用意されている
巨大なボスとの対決も
街の描写はPS4のパワーを実感できる。マップはストーリーの進行に合わせ、様々な時間帯に変わる
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(勝田哲也)