PSPゲームレビュー

デジモンアドベンチャー

TVアニメ本編、劇場版のエピソードを収録し、原作を完全再現!さらにオリジナル要素も追加したドラマチックRPG

ジャンル:
  • ドラマチックRPG
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • PSP
価格:
6,280円
発売日:
2013年1月17日
プレイ人数:
1人
レーティング:
CERO:A(全年齢対象)

 1月17日、バンダイナムコゲームスから発売されたPSP用ドラマチックRPG「デジモンアドベンチャー」。価格はUMD版、ダウンロード版共に6,280円。ダウンロード版はPlayStation Vitaにも対応している。

 PSP「デジモンワールド リ・デジタイズ」、iPhone 4/4S(iOS4.3以上)「デジモンクルセイダー」に続く、デジモン15周年プロジェクト第3弾となる本作の開発は、「ソニック」シリーズなどで知られる中 裕司氏が率いるプロペが担当している。

 データインストールに対応しており、利用するには749MB以上の空き容量が必要。ロードの入る場面は多く、利用すればものの数秒でロードが終わるため、プレイするなら必ず利用してもらいたいところだ。なお、ネットワーク関連の要素はない。

 発売から時間が経ってしまったが、早速どんなゲームなのか紹介していきたい。

異世界デジモンワールドへと放り出された7人の子供たちが冒険を通じて大きく成長していく物語

【ストーリー】

サマーキャンプにいた7人は何も知らずにいた。
それが誰も知らない世界への
冒険のはじまりになることを……。

7人の少年少女は、日本ではみえるはずのない
オーロラから飛来した謎の機械の力によって
異世界デジタルワールドに
吸い込まれてしまう。

謎と危険に満ちたその世界で彼らを待っていたのは、
なぜか太一たちの名前を知る奇妙な生物、
デジタルモンスターだった。

世界を狂わせる黒い歯車。
次々と襲いかかる強大な敵。

戦いの中で進化するデジモンたちの火花散る熱いバトル!!
はたして太一たち7人の少年少女は
無事に元の世界に帰ることができるのだろうか?

ワクワク・ドキドキ・アドベンチャー
今、冒険が進化する!!

 1999年放送のTVアニメ「デジモンアドベンチャー」をゲーム化した本作。突如として異世界「デジモンワールド」へと放り出された7人の子供たち――八神太一(CV:藤田淑子さん)、石田ヤマト(CV:風間勇刀さん)、竹之内空(CV:水谷優子さん)、泉光子郎(CV:天神有海さん)、太刀川ミミ(CV:前田愛さん)、城戸丈(CV:菊池正美さん)、高石タケル(CV:藩めぐみさん)――がデジモンと出会い、現実世界へと帰るべく冒険し、様々な体験をすることで成長していく様子が描かれている。

 兄弟ながら両親の離婚により別々に暮らす石田ヤマトと高石タケル、両親が実の親ではないことを知ってしまった泉光子郎、サッカーをやりたいが華道を知ってもらいたい家元の母とうまくいかない竹之内空など、子供向けのアニメながら複雑な悩みを抱えていたりする。

 ゲームはエピソードを選択していく形で進めていく。エピソードにはストーリーが進むメインエピソード、メインのストーリー進行とは直接関係のないサブエピソード、レベル上げやアイテム獲得などに便利で何度でも挑戦できるフリー(デジタルダンジョン)がある。

 エピソードを選んだら、最大3人のパーティメンバーを決定すると物語が始まる。エピソードにもよるが、冒険を始めてからでもパーティメンバーを入れ替えることができる。

メインエピソード、サブエピソード、フリーがあり、多くのエピソードではメンバー1名がリーダーとして固定される。サブエピソードはメインエピソードを進めるとなくなってしまうことがあるので物語を全て楽しみたいならサブエピソードから先にプレイしていくといい

 大抵のエピソードは30分とかからず終わる程度のボリュームで遊びやすい。数分で終わるエピソードすらある。ただ、全54話も放送されたTVアニメが元になっていることに加え、劇場版のエピソードやゲームオリジナルのサブエピソードなどもあるため、全体のボリュームはかなり大きい。また、ゲームオリジナル要素として、全体の流れに変化はないものの、選択肢により展開が変化する要素もある。

進化・行動順・キズナが鍵を握るデジモンバトル!

 基本的にフィールドやダンジョンを徘徊する敵デジモンに接触することでデジモンバトルがスタートする。敵デジモンは動き回っており、視界に入ると襲いかかってくる。接触時に背後を取れば先手を取って先に行動することができるが、逆に背後から接触されると敵に先手を取られてしまう。

敵デジモンと接触するとデジモンバトルがスタート。視界に入らないように近づいて背後から接触すれば先手を取って有利に戦闘が進められる
フィールドにはセーブポイントや宝箱などがある。敵にやられてしまうとセーブデータをロードしての再スタートとなってしまうのでセーブはこまめにとっておきたい。また、フィールド上にあるセーブポイントに触れるだけで全快するのでセーブしない場合であっても触れるよう癖をつけておきたい
草原やお城など、冒険の舞台は様々。スイッチやワープといったギミックがあるダンジョンも存在する。マップはないので自分で構造を記憶しながら探索を進めることになる

 バトルはコマンド選択式。コマンドは「こうげき」(通常攻撃)、「ワザ」(デジモンが持つ技を使用)、「ガード」、「にげる」、「しんか」(進化してパワーアップ)、「さくせん」(自動行動の方針設定)の6つ。「さくせん」での自動行動はリーダー以外にのみ設定でき、全員の行動を直接指示することもできる。

「こうげき」を中心に上下左右に「ワザ」、「ガード」、「にげる」、「しんか」が配置されている。選択する際には上下左右いずれかに方向キーを入れっぱなしにして○ボタンで決定するという少し変わった操作になっている
「ワザ」コマンドで選択できる技は単体・複数攻撃、補助、回復など様々な性能を持つ。デジモンたちは固有の技を習得しているが、後述の「デジピース」で技を追加することもできる

 ストーリー上でも大きな意味を持っている進化。SPを消費して進化することでデジモンの性能がアップし、使える技が変化する。同じ戦闘中であれば一度進化すれば進化状態を保つことができる上、「しんか」コマンドではターンを消費しないので使い勝手はいい。

キャプ:ゲームを進めていくと進化段階が増えていく。最高段階まで進化したいのに誤って途中段階に進化してしまっても「しんか」ではターンを消費しないので再度「しんか」を選べばいいし、必要なSPは差分だけなので損することもない

 「ワザ」や「しんか」といったSP消費行動はどれも強力。SPがなくならないように注意すべきではあるが、レベルアップ時には全快するし、触れるだけで全快するセーブポイントは多く配置されている。さらにはメンバー入れ替えも利用できるので頻繁に使っていけるような調整になっている。

 コマンドは各デジモンの行動順が来る毎に選択する。行動順は画面下のタイムラインで確認でき、左端に位置するアイコンのデジモンから行動し、行動するとタイムライン右側へとアイコンが移動する。「こうげき」や「ガード」では右側への移動量は少ないが、強力な「ワザ」を使うと、大幅に右側へとアイコンが移動してしまうので、次の行動順が来るまでに時間がかかってしまう。

 攻撃時に発生する状態異常もこの行動順のシステムに関与してくる。通常攻撃を含め、攻撃時に発生することのある「SHOCK」と「BREAK」はその最たる例。「SHOCK」だとタイムライン上のアイコンが一定時間動かなくなり、「BREAK」だとタイムライン上のアイコンが一定距離右側に移動する。「SHOCK」や「BREAK」を発生させやすい技が存在するので意図的に狙うこともできる。

「SHOCK」と「BREAK」がうまく決まれば敵を行動させずに仲間だけで何度も行動することが可能

 さらに仲間と連続して攻撃する「キズナコンボ」が攻撃順の重要性を高めている。「キズナコンボ」は次に行動予定の味方が技を使って攻撃してくれるシステムで、その味方は技を発動しつつも通常通りに自分のターンを迎えることができる。

 発生条件は自分のターンが回ってきた際、次に行動予定のキャラクターが仲間である(=タイムライン上で最も近いアイコンが仲間である)こととその仲間との「キズナランク」が2以上であること。条件を満たしていても必ず発生するわけではないが、「キズナランク」が高いほど発生確率が高まる。なお、「キズナランク」はエピソードを進めたり、エピソード内に出てくる選択肢で絆が深まるものを選ぶと上昇する。

「キズナコンボ」が発動すると次に行動する仲間が持つ最強の技で攻撃してくれる。その際、SPは一切消費されず、コンボを発動した仲間は通常通りそのまま自分のターンを迎えることができる
「キズナランク」は各キャラクター毎に設定されており、数字で表される。アニメ本編では完全体までだったデジモンも本作では全てが究極体へ進化するのだが、この「キズナランク」は究極体への進化の鍵にもなっている
正解すれば「キズナランク」の上がる選択肢。難しい場合もあるが絆が深められそうな選択肢を選んでランクアップを狙いたい
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(木原卓)