SCEJ、PS3「ラチェット&クランク オールフォーワン」
オンラインマルチプレイ先行体験ファーストインプレッション
一緒にプレイすることが本当に楽しいアクションゲーム!


10月20日 発売予定

価格:5,980円

CEROレーティング:A(全年齢対象)


協力プレイを大々的にフィーチャーしたシリーズ最新作。おなじみのコンビ、おとぼけ自称ヒーロー、宿敵が呉越同舟

 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEJ)は、アクションゲームシリーズ「ラチェット&クランク」の最新作「ラチェット&クランク オールフォーワン」を10月20日に発売する。価格は5,980円。CEROレーティングはA(全年齢対象)。ここでは、プレス限定で行なわれたオンラインマルチプレイ先行体験のファーストインプレッション記事をお届けする。

 「ラチェット&クランク オールフォーワン」は、おなじみのヒーローコンビ「ラチェット」と「クランク」、ヒーローを自称する「キャプテン・クォーク」、因縁の仲である悪の科学者ロボ「ドクター・ネファリウス」がプレーヤーキャラクターとして登場する人気アクションゲームのシリーズ最新作。平和な日々に、ヒーロー引退を考えていたラチェットとクランク。そんな矢先、ドクター・ネファリウスの悪巧みにより、知らない銀河の星に連れ去られてしまう。なぜか一緒に連れさられる、ドクター・ネファリウスとキャプテン・クォーク。この星には、ラチェットたち同様に連れられてきたロボットやクリーチャーがあふれていた。この謎を究明し、元の世界に戻るため、4人が力をあわせて戦うストーリーとなっている。

 プレス限定で行なわれたオンラインマルチプレイは、体験版のオンラインベータを使用。オンラインプレイ専用で、マッチングサーバーに接続すると「ゲームを作る」、「ゲームを探す」、「招待状を確認」のメニューが出現。「ルミノポリス」、「ネスト」ステージのいちセクションがそれぞれプレイ可能で、難易度は「難しい」と「普通」が選べるようになっていた。筆者はまず「ルミノポリス」をチョイス。ゲームは最大4人まで同時プレイが可能。参加オプションを「誰でも」に設定していたため、3人目の時点で「途中参加する人もいるだろう」と見切りでスタート。余談だが、スタート前のキャラクター選択は“早いもの勝ち”。どうしてもお気に入りのキャラを使いたい人は、自分でゲームを作り即座に決めてしまうという手もある。


街を破壊する超巨大モンスター。なんとしても止めなければ!

 冒頭のデモシーンでは、近未来的な都市を破壊する超巨大モンスターが出現。かなたに飛び去っていくと、その後を追跡するシーンからゲームが始まる。操作系は、左スティックで移動、スティック押し込みでダッシュ。×ボタンでジャンプだが、ジャンプ頂点付近でもう1回×を押すとダブルジャンプが可能。□ボタンが攻撃で、ジャンプ中に押すと特定のオブジェクトなどを破壊できるオーバーヘッドストライクが繰り出される。R2ボタンと同時押しすると、離れた場所の敵をまとめて攻撃できるブーメランアタック。△ボタンで味方や足場にフックを飛ばし、それをとっかかりに空中などを瞬時に移動できるフックショット。くっついている状態で再び△ボタンを押すとフックが離れる。空中の足場をフックショットで撃ち、ぶらさがって移動する“ターザン”ばりのシーンはとても爽快だ。

 □ボタンでザコを蹴散らし、オブジェクトを破壊して“ボルト”をゲットしながら先に進んでいくプレーヤー一行。ボルトは、途中に出現するショップでアイテム(ガラメカ)の購入に必要とされる。4人は仲間だが、同時にライバルでもある。ステージ終了時はさまざまな項目の成績が表示されるため、協力すると同時に“競争”も念頭に置く必要がある。体験版は、ショップで2種類の武器「コンバスター」、「プラズマボムランチャー」が購入可能。残弾は限られているが、ステージのあちこちにある補給ポイントの上にいけばMAXまで補給される。面白いのは、仲間と同時に同じ敵を攻撃すると、攻撃力がガンガンあがっていくこと。ボスや手強い敵には効果テキメンで、SIXAXISからズンズン伝わってくる振動とエフェクトがメチャクチャ気持ちいい。ちなみにアイテムは右スティックでいつでも切り替えが可能。頻繁に使うものは方向キーでクイックスロットに設定することもできる。

 以前の記事TGSレポートでもお伝えしているとおり、本作は“協力プレイ”が大々的にフィーチャーされている。エア タクシーの車内でみんなが同じ側に移動して障害物を回避したり、パイプの上を滑走したり、人数分の足場で同時にスイッチを入れるなど、協力プレイの楽しさを引き出す多彩なギミックが登場。最終戦は、4人が銃座についてボスや飛んでくる敵弾をガンガン攻撃するシューティングゲームに早変わり。変化に富んだ展開の妙味は「ラチェット&シリーズ」ならではの楽しさだ。


最新CGアニメーション映画にひけをとらないグラフィックスクオリティで進行していくパイプの上にある障害物を避けながら滑走。変化に富んだステージ構成がたまらない自動運行するタクシーの前に障害物が! みんなで協力して体重移動で回避する
どこから見ても屈強極まりないボスの姿。どうやって戦えばいいのか、と思ったら……なんとボス戦はシューティング形式。ここでもみんなで協力すると、より倒しやすくなる

断崖など起伏のあるステージ構成。ここからがいよいよ本番か

 「ネスト」ステージでは、本作を象徴する新ガラメカ「VAC-U(バッキュー)」が登場。○ボタンで特定のアイテムや仲間(!)を吸い込み、もう1度押すと指定したポイントや方向に射出。狙える場所はラインで明示されるので、それっぽい場所に近寄るだけでオーケー。アイテムを特定の場所に飛ばしてスイッチを入れたり、仲間を通常のジャンプでは届かない足場まで飛ばし、その仲間にフックショットをひっかけてみんなで移動したり、飛ばされた仲間が空中で□ボタンを押して真下の敵めがけてローストライク(ゲーム内ではモルタルトスという名称が使われている)をブチかますなど、使い方は多種多様。余談ながら、ヒットポイントがゼロになった仲間を助けるときにもバッキュー(○ボタン)が使われる。

 ○ボタン押しっぱなしで吸い込み体勢をとっている仲間の近くでジャンプすると、「スポンッ」と吸い込まれていくキャラクター。言葉で説明すると珍妙だが、この「みんなで一緒に協力している」感覚は、慣れてくると楽しさが飛躍的に増してくる。正面から攻撃できず、なおかつ裏に回りづらい敵がいたとき、横にいた仲間がバッキューを作動させる。このとき「あぁ、誰かを飛ばして攻撃しろってことか!」と気づき、思わずニヤリ。初対面のパーティでも、一緒にプレイするにつれて「俺バッキューで飛ばす係ね。ほらほら、君がジャンプして!」みたいな感じで“役割分担”みたいなものができてくるから不思議。バッキューだけでなく、体重移動で足場を動かしたり、4人で息をあわせて手をつなぐアクションなど、本ステージは「ルミノポリス」以上に協力プレイがフィーチャーされていた。チュートリアル的な「ルミノポリス」に対し、「ネスト」は実質的なファーストステージといえる。

 「ネスト」のボス戦は、スイッチを作動させてボスのシールドを無効化しダメージを与えていく。スイッチの作動には、もちろん協力プレイが欠かせない。バッキューで吸い込んだ仲間をギミックに飛ばし、モルタルトスでスイッチオン。これを左右2カ所作動させてシールドをなくし、その間に武器で一気にダメージを与えていく。ボスの攻撃はなかなか熾烈で「誰がバッキュー役やるの? マジで誰よ!?」みたいにまごまごしていると、細かいミスの蓄積でどんどん状況が悪くなっていく。ボス戦は“一致団結”あるのみで、ここで前述の“役割分担”の精神が効いてくる。スムーズにスイッチを作動させ、なるべく同じ武器を使って効率よくダメージを与えていく。すべてが上手く回ったときの強烈な一体感は、言葉で表現しきれないほどのカタルシスがある。


フックショットで移動。こんなふうに4人で連なって遊ぶことも可能だ本作を象徴する新ガラメカ「バッキュー」。ゲーム全般で大活躍する
シールドを展開してくるやっかいな敵も、協力して戦えば簡単に倒せるボス戦は、もっとも協力が必要とされる。上手くいかないときもあるけど、それもまた楽しいものだ




毎回ファンの期待を裏切らないハイクオリティの新作を届けてくれる本シリーズ。大げさといわれそうだが、筆者は掛け値なしに歴代最高傑作だと思う

 「ラチェット&クランク」シリーズといえば、アクションゲームの楽しさをトコトン追求した快適な操作性、極上のグラフィックス、多彩なシチュエーションが特徴。今回は、それらに磨きをかけたうえで“協力プレイ”を前面に押し立ててきた。協力プレイの楽しさは従来シリーズでもわかっていたので、正直「なんでいまさら」と訝っていたが、TGSと今回の先行体験で「なるほど、ここまで丁寧にお膳立てされてはかなわない!」と脱帽させられてしまった。

 TGSプレイレポートでも触れたが、本作における他プレーヤーとの協力関係は“基本中の基本”で、押し付けがましさみたいなものは微塵も感じられない。最初はちょっと身構えてしまうかもしれないが、先に進むごとに、ごく自然に、かつ楽しく行なえるよう徹底的に調整されている。秀逸なのは、シングルでもそれっぽい感覚が味わえること。シングルのときは、背中にひっついているミニクランクが必要なときだけ「ヒョイ」っと地面に降り立ち、かけがえのない相棒として手助けをしてくれる。人間とまったく同じというわけにはいかないが、そのぶんストイックというか、パズル風味の純然たる秀逸なアクションが楽しめる。人間同士のワイワイ感とあわせると、1粒で2度美味しいといった感さえある。

 ここ数年、マルチプレイを売りにしたアクションゲームは枚挙にいとまがないが、マルチプレイが大前提のゲームでさえ「複数人が集まって、同じ場所でシングルプレイ(もしくはその延長線上の行為)をやっている」だけのものが少なくないように感じられる。ある程度のレベルまで仕上がっていればいいが、成功タイトルの上っ面をなぞったり、あるいは模倣以下で終わるなど、そういった「作り手側の“本気”が感じられない」ものを、日々の仕事で少なからず目の当たりにすると、吹雪のなか薄着のまま凍えて動けなくなったかのような気分に陥ることさえある。

 その点、本作は筆者の心や身体を芯から暖めてくれた。元々「ラチェット&クランク」シリーズが大好きということもあるが、それを差し引いても、世界中のアクションゲームファンを笑顔にさせてくれる“かけがえのない1本”だと思う。オリジナルのテイストを崩さず、なおかつ作を重ねるごとに確実な進化を遂げていく。言葉にするのは簡単だが、これがどれだけ大変なことかは、ゲームファンであればいちいち説明する必要もないだろう。シリーズのファンはもとより、アクションゲームが好きな人は、ぜひ本作に触れて欲しい。本気で作られた極上のエンターテインメントで、心身ともにポカポカになっていただきたい。


【スクリーンショット】
最後に一挙掲載したスクリーンショットは、主にベータ体験版の範囲外のもの。千変万化のステージがてんこもりで、どんな冒険が待ち受けているのか、今からワクワクが止まらない

(C)Sony Computer Entertainment America LLC.
Developed by Insomniac Games.

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(2011年 10月 13日)

[Reported by 豊臣孝和]