PSPゲームレビュー

大人気「MGS」シリーズの最新作が
携帯機ならではの要素を搭載してPSPに登場!!

「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」

  • ジャンル:タクティカル・エスピオナージ・オペレーション
  • 発売元:コナミデジタルエンタテインメント
  • 開発元:コナミデジタルエンタテインメント
  • 価格:5,229円(UMD版)
       4,700円(ダウンロード版)
  • プラットフォーム:PSP
  • 発売日:発売中(4月29日発売)
  • プレイ人数:1人(アドホック通信を用いた4人までの協力プレイ、6人までの対戦プレイあり)
  • CEROレーティング:C(15歳以上対象)


 KONAMIは4月29日、「METAL GEAR SOLID」(以下、「MGS」)シリーズの最新作であるPSP用タクティカル・エスピオナージ・オペレーション「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」(以下、本作)を発売した。PSPをプラットホームにした本作は、アドホック通信での協力・対戦プレイのほか、兵士を配下に入れて傭兵部隊を拡大していく育成要素など、単なるステルスアクションゲームにとどまらない要素を追加した野心作となっている。

 ここからは、本作の内容について、シナリオやゲームシステムを中心に、気になる通信プレイなどのネットワーク要素の内容も含めて紹介していこう。


■ 「MGS3」後のネイキッド・スネークを主人公に
  核抑止をテーマにしたストーリーが展開される

本作の主人公は、「MGS3」の主人公だったネイキッド・スネーク。BIGBOSSと呼ばれることになった彼だが、本作では祖国アメリカを離れ、国境なき軍隊(MSF)のリーダーとして活動している

 舞台となるのは1974年の中米。国境なき軍隊(MSF)を率いていたBIGBOSSことスネークは、コスタリカ平和大学教授と名乗るガルベスと、その教え子であるパスから、コスタリカに出没するようになった謎の武装集団を追い出してほしいと依頼を受ける。CIAが関与している疑いが高いことから、最初は依頼を受けることを渋っていたスネークだが、ガルベスが持ち込んだカセットテープから、かつて自分が倒したはずの師であるザ・ボスの声を聞いたことで、最終的には依頼を受ける。こうして、コスタリカの地で何が行なわれているかを探る、スネークの新たなミッションが始まった……。

 このような形で本作のストーリーは動き始める。「MGS」シリーズでは、実際の歴史とリンクする形で、リアリティのある架空のストーリーが語られていくが、本作でもその重厚なストーリーは健在だ。また登場するキャラクターたちも、ストーリーに関係する設定はもちろん、細かな設定までもが用意されており、プレーヤーを惹きこむ魅力にあふれている。

 時代的には「MGS3」の10年後の話となっており、「MGS3」と大きくリンクしたストーリーとなっている。「MGS3」の内容を知っておいたほうがより楽しめると思われるが、重要なストーリー設定はメインストーリー中にも説明されるほか、登場人物たちとの会話の断片から情報を拾うこともできるので、「MGS」シリーズをプレイしたことがない人もゲームを進めていくうちに、「MGS」シリーズのストーリーが少しずつ理解できるのではないだろうか。


デモシーンはアメコミ調の独特なグラフィックスで展開される。これらは単なる一枚絵ではなくムービーのように動くため見ているだけでも楽しい本作のヒロインは、平和という意味の名前を持つパス。平和を守り行方不明の友人を探すため、彼女はスネークにミッションを依頼するデモシーン中にはプレーヤーが方向キーやボタン操作を行なえる場面も。インタラクティブなデモシーンは「MGS」シリーズではおなじみの要素だが、ここまでのボリュームは初めてのことだ



■ ゲームの柱はミッションの遂行と
 マザーベースの運営の2つ

キーコンフィグでは3種類の中から操作タイプを選べるほか、武器やアイテムの選択方法やSELECTボタンの機能も設定できる

 ゲームは、まずプレーヤーネームを登録することから始まる。プレーヤーネームは通信プレイ時にプレーヤーを判別するためのもので、ストーリーにはまったく関係しないので、好きな名前をつけて構わない。

 次に操作系の選択をする必要がある。操作系は「MGS4」の操作方法に慣れた人にオススメの“シュータータイプ”、以前に発売されたPSP用「METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS」に慣れた人にオススメの“アクションタイプ”、「モンスターハンターポータブル2nd G」に慣れた人にオススメの“ハンタータイプ”の3つのタイプの中から選ぶことになる。どの操作タイプを選んでも一通りのアクションはできるため、自分の好みにあったタイプを選べばいい。個人的には移動を左手のアナログパッド、カメラ操作を右手の○△×□ボタンで行なう“シュータータイプ”が移動しながら狙いをつけやすかった。

 これでいよいよゲームがスタート。まずは簡単なチュートリアルが始まる。ここで操作を覚えながら、さらにオプションでいくつか設定をしておきたい。

 まずはアナログパッドの感度を低くしておこう。敵に見つからないことが求められるゲームなので、感度が高いとすぐに走ってしまい見つかりやすいからだ。

 またカメラの感度やカメラ切り替え時の移動方向も調整しておきたい。カメラの移動はどの操作タイプでもデジタル操作となるため、早ければいいというものではなく、自分に合った速度に随時調整したほうがいいだろう。個人的には中間よりやや早めの5~7ぐらいが微調整しやすいように感じられた。


ゲームの冒頭は、MSFの兵士たちとスネークの訓練シーンから始まる。操作を組み合わせることでさまざまなアクションがとれるので、覚えるまでよく練習しておきたいオプションでは、アナログパッドの感度やリバース設定などを設定できる。デフォルト設定で操作していて歩きにくい人は、アナログパッドの感度を下げよう

 ゲームはスネークを含むMSFの兵士を操作してさまざまなミッションをクリアしていくパートと、マザーベース(MSFの基地)で人材の配置や武器・アイテムの開発を行なうパートの2つに大きくわけられる。

 具体的には、ミッションを遂行する中で、兵士をマザーベースに回収したり、武器やアイテムの設計図を入手。ミッション遂行後にマザーベースで仲間になった兵士を適切な部署に配置して組織の拡大を計り、手に入れた設計図から新たな武器やアイテムを開発することで、次のミッションをクリアしやすくする……ということを繰り返してゲームを進めていく流れになっているわけだ。

 ここからは、このミッションとマザーベースという2つのパートについて、詳しく紹介していこう。


● あらゆる手段を用いて見つからずにミッションを遂行せよ!
  メインはもちろんシリーズ伝統のスニーキングアクション

画面右上の数字がスネークの見つかりにくさを示すカモフラ率。急いで移動するとカモフラ率が大きく下がるため、敵の視界を避けながら見つからないように進んでいきたい

 ミッションにはクリアすることでストーリーが進行していくMAIN OPSと、ストーリーには関係しないEXTRA OPSの2種類が用意されている。

 ごく一部を除いて、ほとんどのミッションは、敵に見つからずにクリアを目指すスニーキングミッション。敵に見つからないようにするため、障害物に身を隠しながら進み、邪魔な敵は気づかれないうちに無力化する「MGS」シリーズでおなじみのゲーム性となっている。

 一応、敵に見つかった場合も、おかまいなしになぎ倒して進むこともできるが、その場合はクリア時の評価が下がってしまうため、なるべく見つからないように進みたい。

敵に見つかってしまうと、頭の上に赤い!マークがつく。こうなってしまった場合は、仲間を呼ぶ前に強引に無力化しなくてはならなくなる敵を無力化できないでいると、無線で増援を呼ばれてしまう。こうなるとますます状況は不利になってしまう一応、見つかった後に増援も含めて敵をすべて無力化することも可能だ。ただし、あくまで見つからずに進むという基本は忘れずに

 どうしても邪魔な敵がいる場合は、気づかれないうちに無力化してしまうといい。サプレッサー(消音装置)つきの麻酔銃で眠らせるほか、敵に近づいてCQC(近接戦闘技術)で気絶させたり、後ろから銃を構えて手を挙げさせるホールドアップなどをすると、仲間を呼ばれることなく無力化できる。

麻酔銃は離れた敵を気絶させられるが、サプレッサーの耐久値には限りがあり、あまり頻繁に使用していると銃声が鳴るようになってしまうCQCには麻酔銃と違って回数制限がない上に、気絶させるだけではなく、拘束した敵兵を尋問して情報を聞き出すこともできる敵兵の背後から銃を構えれば、敵兵をホールドアップさせるのも重要な無力化の手段。気絶と違い、時間が経っても無力化しつづけられる

 こうして無力化した敵は、フルトン回収システムというアイテムを使うことで、マザーベースに即座に送ることができる。マザーベースに送った兵士は、傭兵部隊の一員として味方にすることが可能だ。ただし、フルトン回収システムの数には限りがあるので、すべての敵を無力化してマザーベースに送ることはできない。有能な兵士を優先してマザーベースに送るように心がけよう。

無力化した敵のそばでフルトン回収システムを使えば、すぐにマザーベースに回収できるアナライザーを使用すれば、兵士の能力を調べることが可能だ。なるべく能力の高い兵士をフルトン回収しよう潜入中、敵に捕らえられた捕虜を発見することもある。捕虜もフルトン回収することで仲間にできる

 スニーキングミッションをクリアしていった中で感じたのは、意外と携帯機でも違和感なくプレイできるということ。カメラ操作がデジタルキーとなるため、動き続ける敵兵士を移動しながら麻酔銃などでヘッドショットするのは難しいものの、あらかじめ移動する先に照準を合わせておいて、敵が照準に入ったときに撃てばかなりの確率でヘッドショットすることができた。

 また、地面が土の場所では、移動中に音が立たずにカモフラ率が低くなるため、背後から大胆に近寄ってCQCをかけても意外とバレない。複数の兵士が近くにいる場合や、見通しがいい場所など、CQCをかけにくい場所でのみ麻酔銃を使えばいいことに気づくと、スイスイと進めるようになるはずだ。

 とはいえ、調子に乗って大胆に行動しすぎると、意外なところにいる敵兵士に発見されてしまうところもしばしば起こる。各ミッションクリア時に最高ランクのSを取るには、クリア時間も重要なため、敵に見つからない繊細さと、時間を短縮するための大胆さが求められるわけだ。実際に「あと少しで見つからずにクリアできたのに……」というところで見つかってしまい、悔しい思いをしたこともあり、このあたりのバランス調整はさすがの一言となっている。

 なお本作は、ミッションクリア時に自動セーブされるものの、ミッション選択制になったため、1度プレイできるようになったミッションは、いつでも再プレイ可能な作りとなっている。そのため、クリア時のランクにこだわったプレイをする必要はあまりない。ストーリーの先が気になる人は、クリア時のランクにこだわらずにどんどん先に進めていき、ゲームに慣れて装備も整った際に高ランクに挑戦するのも全然ありだ。あまり目立たないものの、自分に合ったプレイスタイルでゲームを進められるのは、嬉しい変更点といえるだろう。


・ 装甲車や戦車、戦闘ヘリのほか
  巨大なAI兵器との戦闘も用意

こういった兵器との戦闘では、必ず歩兵が随伴している。敵に見つからないうちに随伴歩兵を無力化すれば、兵器本体との戦闘を有利に進められる

 通常のスニーキングミッションのほかに、ストーリーの区切りとなる場面では、装甲車や戦車、戦闘ヘリといった兵器や、AIを搭載した無人兵器とのボス戦が用意されている。こういったミッションでは、敵を倒さないと先に進めないようになっており、どんな手段を用いてもいいので、敵を倒さなければならない。

 人間が乗る兵器との戦闘では、敵がこちらを見つけていない状態からのスタートとなるため、見つからないように行動することで、一方的に攻撃を仕掛けることが可能だ。ただし、これらの兵器には、歩兵が随伴しており、見つかってしまうと非常に不利な状況となるため、細心の注意を払う必要がある。

 すべての随伴歩兵を倒して一定の条件を満たすと、敵の隊長が姿を現わすようになっている。この隊長を倒せば兵器を破壊しなくても勝利となり、さらに破壊しなかった兵器も鹵獲(ろかく)することができる。腕に自信のあるプレーヤーは、兵器の鹵獲を目指してみるといいだろう。

見つかってしまった場合は、兵器や随伴兵から容赦ない攻撃を受けることになる。障害物を盾にしながら対抗していこう兵器には燃料タンクなどの弱点があり、弱点を破壊することで一定時間移動できなくすることが可能だ。このスキに攻撃を叩き込みたいすべての随伴兵を倒すなど、一定の条件を満たすと、敵の部隊長が姿を現わす。部隊長を倒せば、兵器を破壊しなくともミッションクリア可能だ


最初に戦闘することになるAI兵器、ピューパ。ブースターを使った高い機動力と、威力の大きい電撃で攻撃してくる

 AI兵器との戦闘では、最初から発見された状態での戦闘となるため、見つからないように行動することはできなくなっている。そのため、火力の高い武器や防御力の高い装備で戦闘に望んだほうがいいだろう。

 AI兵器は、機動力が高く、強力な武器で攻撃をしてきてスネークを苦しめるが、行動には一定のパターンがある。行動パターンを見極めて、確実に攻撃を回避しながら、弱点のAIポッドを中心に攻撃していけば、必ず勝利できるはずだ。

 見事にAI兵器を倒すと、AI兵器のパーツを取得できるほか、AI兵器の思考を司るAIポッドの中に乗り込み、記憶板を手に入れることができる。これらのパーツや記憶板は、ストーリーが進むとマザーベースで開発できるようになる、メタルギアZEKE(ジーク)に必要となるので、余裕がでてきたら取得したいパーツの位置を考えながら攻撃しよう。


ブースターを破壊すれば、高速移動はできなくなる。ただし、破壊してしまうとパーツとしてブースターを入手できなくなってしまうので注意したいAI兵器は、VOCALOID独特の声で、攻撃の種類を宣言しながら攻撃してくる。攻撃の種類を見極めて適切に回避しよう円柱状のAIポッドがAI兵器の共通の弱点。AI兵器が移動しなくなる瞬間にAIポッドを集中的に狙えば、より楽に勝利できる

AI兵器を停止させてAIポッドを破壊すれば、AIポッドに乗り込めるようになる。こうなれば、クリアしたも同然だAIポッドの中では、AI兵器の記憶板を抜き取ることができる。制限時間があるので、すばやく抜き取っていこう制限時間が終了して、AIポッドの中から脱出すると、デモシーンの再生が行なわれミッションクリアとなる



● 人員を適切に配置してマザーベースを拡大せよ!
  MSF経営もボスであるスネークの重要な役目だ

 各ミッションをクリアした後には、マザーベースで人材配置したり、兵器の開発をするといったことが可能となっている。マザーベースを育てていくことで、より便利で強力な武器やアイテムを装備できるようになる。ここからは本作の特徴の1つであるマザーベースでできることについて紹介していこう。

・ 人材を適切に配置してMSFを効率的に運用しよう

 まずはSTAFFで、MSFの兵士達を兵器開発に必要なGMP(資金力)を稼ぐ実戦部隊、武器やアイテムの開発を行なう研究開発班、マザーベースの食糧を担当する糧食班、兵士たちの健康管理を担当する医療班、事前にミッションの情報をつかむ諜報班の5つに割り振っていこう。兵士にはそれぞれ能力が設定されており、基本的には能力の高い部署に割り振っていくといい。

MSFに入隊した兵士の能力を見て、どの部署に配置するか決定しよう。たとえばこの兵士の場合はスパナマークの研究開発班に配属するのがいい研究開発班のレベルがあがると、より高性能の武器やアイテムを開発できるようになる。GMPを消費して開発を始めようFOODが100%を切ると、兵士たちの士気が低下し、最悪亡命してしまうことも。そうなる前に糧食班に人員を増員して、士気を回復させよう


・ 傭兵部隊の本職といえるOUTER OPS
  紛争地域へ部隊を派遣してGMP増加を目指せ

 OUTER OPSでは、実戦部隊の兵士と所持している兵器でチームを組み、紛争地域に派遣することで、兵士の増員や成長、GMPの増加をすることができる。OUTER OPSに派遣したチームの戦果は、次のミッションをクリア後に確認することが可能で、見事に勝利すると参加した兵士がレベルアップしGMPを稼ぐことができる。ただし、OUTER OPSで兵士が攻撃を受けると、負傷したり戦死することもあるため、敵の戦力を十分に考えてから部隊を派遣するかどうか考えたい

OUTER OPSでは、紛争地域の要請に応じて相手の戦力を確認しながらチームを編成して派遣することが可能だ。OUTER OPSの戦闘の詳細は、次のミッションをクリア後に確認できる。

見事に敵チームを倒せば、戦闘に参加した兵士が経験をつむことでレベルがあがるほか、設計図やアイテムを手に入れることもある。ただし、兵士が倒されると、負傷したり最悪の場合死亡することもあるので注意したい

・ 自分だけのメタルギアを作ってカスタマイズすることも可能

 ある程度ストーリーが進行すると、マザーベースで“METAL GEAR”の項目が選べるようになり、メタルギアZEKE(ジーク)の開発が可能になる。

 ここではAI兵器との戦闘で入手したパーツをセットしたり、カラーセッティングの変更や取得している記憶板の情報を確認できる。AI兵器との戦闘前には、ここでの情報を確認してから取得していないパーツや記憶板の入手を狙おう。

 メタルギアZEKEはOUTER OPSの強力な兵器として派遣することもできるので、後半の強敵が出現するOUTER OPSに向けて少しずつ強化しておきたいところだ


AI兵器との戦闘で入手したパーツを装備させれば、機動性や装甲、武器を強化できる。AI兵器との戦闘でパーツを入手したら早速装備させようカラーリングでは、いくつかの色の中からボディカラーとラインカラーの2色を選択可能。自分の好みにあったカラーリングへ変更しようどのAI兵器の記憶板を入手しているかの確認もできる。ZEKEを強化したい人は、取得したい記憶板のある部位を狙ってAI兵器との戦闘に臨みたい



■ アドホック通信プレイを用いた協力・対戦プレイのほかにも
  ネットワークを利用したさまざまな試みを用意

協力プレイできるミッションはミッションセレクターで確認できる。ミッションにもよるが基本的にスニーキングミッションは2人まで、ボス戦などは4人まで協力プレイ可能だ

 本作では、アドホック通信を利用して、4人までの協力プレイと6人までの対戦プレイが可能となっている。

 協力プレイでは、シングルプレイでもできるミッションを多人数でプレイすることで、クリアしやすくなるほか、近くの味方と体力・気力を共有できるCO-OPイン、味方に自動的について索敵や攻撃に集中できるスネークインといった、協力プレイならではの要素が用意されている。アクションが苦手という人や、後半の強力なボスにどうしても勝てないという人は、友達に協力してもらったり、スネークインで一緒に動いて友達の動きを見せてもらうといいだろう。

 協力プレイでは、味方が敵兵士に見つかってしまう可能性もあるものの、それ以上にクリアしやすくなるように感じられた。CO-OPインやスネークインによるメリットはもちろん、敵兵士に見つかった際には、敵の攻撃が分散する上、こちらの攻撃力は増しているのだからそれも当然といえる。MAIN OPSのヘルプで協力プレイで参加した際には、あまりのシングルプレイとの難易度の差に、あっけなく感じてしまうほどだった。最初から協力プレイをしてしまうと、クリア時の達成感が損なわれるかもしれないので、まずはシングルでプレイしてみることをオススメする。その上で、どうしてもクリアできないミッションを協力プレイで挑戦するほうが、より楽しめるのではないかと思えた。


協力プレイ中に味方キャラクターに接近するとCO-OPイン状態となる。この状態では味方と体力と気力が合算され、倒されたり気絶しにくくなるメリットがあるさらに接近してアクションボタンを押すと、スネークイン状態に。スネークインをすると、後ろのプレーヤーは前のプレーヤーを自動的に追尾するため、攻撃や索敵に集中できる協力プレイ中は、体力が0になってもほかのプレーヤーに心臓マッサージをしてもらえば復活できる。ほかのプレーヤーが倒されたときは、積極的に助けにいきたい


 対戦プレイでは6人までのプレーヤーが参加可能となっている。ルールは2つにチームに分かれて戦うチームデスマッチ、ステージに配置されたケツァールを陣地に運ぶキャプチャーミッション、一定時間拠点内にいることで拠点を増やしていく拠点制圧ミッション、すべてのプレーヤーが敵となって戦うデスマッチの4つを用意。

 対戦プレイしてみた感想としては、「MGS」を題材にしたネットワーク対戦ゲームとして、プレイステーション 3用の「メタルギア オンライン」(以下、「MGO」)があるが、対戦できる人数が6人までなので、「MGO」の16人と比べると寂しく感じられるかもしれない。しかし、人数が少ない分、見えない位置から攻撃される可能性は低く、より初心者でも遊びやすいゲーム性となっている。

対戦プレイでは、敵の視界外から攻撃するのが基本だ。武器を構えている最中は正面しか見えないため、攻撃を避けられにくい対戦プレイ中も、協力プレイと同様にCO-OPインやスネークインできるが、攻撃を同時に受けやすくなるため、一緒に行動しすぎるのも考えものだチームデスマッチでは、敵チームよりも多くの敵を倒してチケットを減らしたチームが勝ちとなる。味方の死角をカバーするように心がけたい


 通信プレイ以外のネットワークを使った要素として、リクルートが用意されている。リクルートでは、近くにある無線LANのアクセスポイントから、兵士がMSFに志願してくる設定になっており、無線LANのアクセスポイントごとにさまざまな兵士を獲得できる。入隊テストは1分以内に決着がつく上に、時間内に気絶させた兵士が入隊するため、無線LANのアクセスポイントが多い場所を移動しながらリクルートすれば、簡単にMSFの兵士を増やすことが可能だ。

 実際に電車で移動しながらリクルートをしてみたところ、30分程度の移動の間に50人近くの兵士を集めることができた。細かな操作がしにくい通勤・通学の合間などには、おおまかな操作でも大丈夫なリクルートで、手っ取り早く兵士を集めてみてはいかがだろうか。

無線LANのアクセスポイントごとにさまざまな兵士がMSFに入隊を志願してくる。駅や繁華街など実際に人通りが多い場所がお勧めのスポットだ1分以内にすべての兵士を気絶させれば、すべての兵士を入隊させられる。時間を無駄にしないために、複数の兵士を巻き込むようにCQCで投げようリクルートで志願してくる兵士は能力が高く特殊なスキルを持っていることが多い。ゲーム中にフルトン回収するよりも楽に兵士を集められるはずだ

 また、VOCALOIDエディタを使用してデータを作成、ネットワークを通じてデータ変換して、ゲーム中のデータと差し替える楽しみも用意されている。

 VOCALOIDのデータを自作するには、まずEXTRAメニューの「ネットワーク」を選択してVOCALOIDエディタを起動、VOCALOIDにしゃべらせたいセリフや歌詞やセリフ・音程を入力しよう。データ作成後には、VOCALOIDデータをゲーム中のデータに変換する必要がある。データの変換にはNetVOCALOIDのシステムを使う。サーバーに作成したデータを送ると、サーバーが変換作業を行ない、約1分後にダウンロード可能となる。こうして変換されたデータをダウンロードすると、ゲーム中に自作のデータをアイテムのWALKMANで再生したり、通信プレイのメッセージとして設定することができる。

SONG EDITでは、楽譜上の音符に合わせて歌詞を入力すればいい。データを変換すれば、自動的に音程を合わせてくれるセリフの場合は、表示されるメッセージのほかにもVOCALOIDらしく再生される音声の音程や速度をも設定できる作成したデータをダウンロードすれば、実際にゲーム中に聞くことが可能だ。自分だけの歌詞やメッセージを作ってみよう



■ バリエーションに富んだEXTRA OPSや
  ブリーフィングなどの小ネタも数多く用意し遊び応えも十分

 また、特筆すべきなのはPSP用ゲームとは思えないボリュームの多さだ。ストーリー進行中はもちろん、クリア後にも豊富なミッションが用意されており、特にEXTRA OPSに関しては、ゲームの基本となるスニーキングミッションのほかに、強化されたボスたちとのさらなる死闘や、「モンスターハンター2nd G」のモンスターの狩猟が楽しめる狩猟クエストなどの難易度の高いミッション、フルトン気球を打ち落とす古くからのKONAMIファンなら思わず心が和むこと間違いなしのプーヤンミッションまで、多種多様なミッションが100個以上も用意されており、プレーヤーを簡単には飽きさせない作りになっている。


狩猟クエストは、AI兵器戦のように見つかった状態からスタートするため、シングルプレイでは苦労する。協力プレイでの挑戦がオススメだタイトルロゴだけではなく、気球が出現するときのSEまで昔のままのプーヤンミッション。射的気分で風船を撃って兵士を助けようヒロインのパスと海岸で2人っきりのデートができる特別なミッションも。彼女のハートをつかむのが目的となる

 そのほかにも、ミッションの詳細はもちろん、ストーリーの裏話や、登場人物たちの意外な一面を知ることができるブリーフィングや、ミッションに合わせてこれでもかと用意されたキャラクターたちとの無線会話のほか、兵士たちのプロフィール、デモシーンなどにも、思わずニヤリとさせられる小ネタが散りばめられている。シリアスなメインストーリーと対照的に、こういったお遊び要素があることも「MGS」が大人気シリーズとなっている理由の1つだが、こちらもファンの期待を裏切らないボリュームといえるだろう。

ブリーフィングには、ミッションの説明から、メインストーリーでは語られないや裏話や、登場キャラクターたちの情報が満載。「MGS」シリーズのファンならピンとくる情報が聞けることもあるデモシーンでは、本作を含めた「MGS」シリーズの産みの親ともいえる小島秀夫監督らしき人物が登場。さらに、このイベント後には映画好きのHIDEOという兵士がMSFに入隊してくるスネーク役の声優である、大塚明夫さんと思われる兵士も登場。単純にプレイしているだけでは気づかない小ネタを探すのも、「MGS」シリーズの醍醐味の1つだ

 筆者がメインストーリーといえる第4章までクリアするのにかかった時間は20時間程度、その後のスネークたちが描かれる第5章をクリアするまでには、プレイの仕方にもよるだろうが約30時間程度遊ぶことができた。

 なお、第5章では、それまでのミッションとは逆に、スネークが追跡者となってMSFから脱走したザドルノフというエージェントを探す、それまでのゲーム内容とは立場が逆になったかのようなMAIN OPSが発生するほか、最後にはあっと驚くストーリー展開がプレーヤーを待ち構えている。

 さらに、第5章クリア後には、ストーリーの理由が記録されたブリーフィングファイルが入手できるほか、第5章をクリア後に登場するEXTRA OPSも大量に残されており、まだまだ遊び尽くせていない印象だ。

 第4章をクリアした後に、1度スタッフロールが流れる上、第5章のMAIN OPSが現われるにはそれまでとは違って一定の条件があるため、ここでゲームをクリアしたと勘違いする人もいると思われる。しかし、その後の第5章以降をプレイしないでやめてしまうのは、あまりにもったいない。第4章クリア後にもまだまだ遊べる内容が用意されているので、第5章はもちろん、それ以降も忘れずに遊んでいってほしい。


■ 1人はもちろん多人数でも楽しめる新感覚の「MGS」
  「MGS」は未経験という人も友達と一緒に始めてみてはいかが?

カリブ海に浮かんだゲーム序盤のマザーベース。ここから兵士を集めてマザーベースを発展させていくことが楽しい。ストーリー本編を進めることよりも、有能な兵士を集めることの熱中してしまう人もいるのではないだろうか?

 以上のように、本作は「MGS」シリーズとの伝統ともいえる、魅力的なキャラクターたちが重厚なストーリー展開が楽しめるのはもちろん、マザーベースを拡大して武器やアイテムなどの開発をすることで、できることが次々と広がっていく育成ゲームの要素をとりいれた内容になっている。フルトン回収やリクルートを続けてマザーベースを発展させることで難易度が下がるほか、協力プレイをすることもできるため、アクションゲームが苦手な人でもより遊びやすい作りといえるだろう。

 1つ難点を挙げるとしたら、武器やアイテムの開発がミッションクリア時にのみ進行することだろうか。ミッションに失敗すると開発も進まないため、強敵に何度も立ち向かっている最中には、開発を進めるために、クリア済みの簡単にクリアできるミッションをあえてプレイしなくてはならない場面があった。むしろミッションを失敗したときにこそ、開発が大きく進んでもよかったのではないか?というのが正直な感想だ。

 とはいえ、そんな不満はささいなものといえる。据え置き機でフルプライスで発売されていてもおかしくない豊富なボリュームの本作が、4~5,000円前後で楽しめるのは何よりもうれしいところ。せっかくの協力プレイも友達がプレイしていなければ魅力が半減してしまうだけに、友達と一緒に始めやすい良心的な価格設定は、「MGS」シリーズのファン層をさらに広げるに違いない。

 1人でじっくりとストーリーを進めたりやマザーベースを発展させていくもよし、みんなでワイワイと通信プレイを楽しんでもよしの本作は、「MGS」のファンはもちろん、そうでない人もきっと満足していただける1本となるはずだ。

(C) 2010 Konami Digital Entertainment
(C) CAPCOM CO., LTD.
VOCALOID、NetVOCALOIDはヤマハ株式会社の登録商標です。

(2010年5月21日)

[Reported by 菅原哲二 ]