KONAMI、PSP「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」

正統派続編であると同時に、携帯機としての楽しみ満載
「モンスターハンターポータブル 2nd G」などとの強力コラボも


4月29日 発売予定



今回の発表会ではAR技術を利用してプレゼンテーションが行なわれた。ステージ右側では小島監督しかいないが、スクリーン上には兵士が銃を構えている。下写真では女性がただ板を持っているように見えるが、スクリーン上にはマザーベースが映し出された

 株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)は4月29日に発売となるPSP用「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER(メタルギア ソリッド ピースウォーカー)」の発表会を開催した。発表会では各種コラボなどを中心に発表されたが、ここでは今回プレゼンテーションが行なわれたゲーム内容についてお伝えする。

 発表会に登場したKONAMIの専務執行役員であり小島プロダクション監督の小島秀夫氏は「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」について、なぜプラットフォームにPSPを選択したのかについて言及。

 小島監督は「2つの理由がある。1つは、この作品は次の世代に何を伝えるかがテーマなので、未体験の若い人に遊んで欲しい。もうひとつは、近い将来クラウドコンピューティングの時代が来て、同じソフトでどこでも遊べるようになる。そうなった時に『メタルギア』がどうあるべきなのかを知っておきたかったので、PSPで実験しておきたかった」と語り、グラフィックスやサウンドの進化に頼らない、新しい遊びの提案として「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」が進化型の作品として仕上がっていると語った。

 2部構成となった第2部では、小島監督が中心となりゲームのプレゼンテーションが行なわれた。1つ目のテーマとしては重厚なストーリー。「抑止力」をテーマに、兵器によって平和を守る現状を描いている。小島監督は「なぜ軍が存在するのかを知って欲しい」と言い、「抑止力」を語るために最適な時代と舞台を考えた時、軍を持たないことを規定しているコスタリカと冷戦時代に行き着いたという。今回スネークはコスタリカの抑止力になり同国を助けるために入国するが、抑止力足るために軍備が増強され、そのことが世界の軍事的均衡を破り、さらなる軍拡を巻き起こしていく。

 発表会では何度となくムービーが流されたが、重厚なテーマなだけに非常に熱い仕上がりになっているように感じた。プレイするのが非常に楽しみだ。

 さらにいくつかポイントが上げられたが、その1つがAIを搭載した無人で動く巨大な敵。これはただ破壊するだけならそれほど難しくはないという。しかし実はこの兵器はパーツとしていくつかから構成されている。つまりただ破壊するだけでなく、うまくすればこれらパーツを回収したり、AIのチップを集めることもできる。例えば協力プレイでこういったパーツを回収すれば、メンバー全員が手に入れることができるため、協力プレイに参加する意味合いも出てくる。

今回のストーリー的なテーマが「抑止論」。冷戦時代頃から始まった平和を守るために軍備を拡張し、お互いにそれを繰り返すことでふくれあがった軍事の世界。その事実に真っ向から取り組んだのが「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」。そのテーマを最も表現できるのが1974年のコスタリカと小島監督は説明した
AIを搭載した超巨大な兵器が多数登場する今作。左写真でわかるとおり、かなりの大きさだ。ちなみに右写真は現実にある建造物などとの対比




■ 携帯ゲーム機ならではの楽しさを徹底追求

携帯ゲーム機をプラットフォームとしたこともあり、もう1つのキーワードは「潜友(せんゆう)」助け合ってプレイするということをこれまでのゲーム以上にシステム面に盛り込んだという

 小島監督は今回、協力プレイについて「もう一歩踏み込んだ」という。

 小島監督流に言えば「友達以上、親友以下の戦友」として共に戦えるのか? という点。その想いをシステムに落とし込んだという。例えば「CO-OPイン」。各キャラクターには周囲にCO-OPリングが表示される。キャラクターが接近するとリングが一体化し「CO-OPイン状態」となり、LIFEゲージや武器などが共有される。武器を貸したり勝手に使うことも可能。例えば死にそうになったところでCO-OPイン状態になれば助かる可能性もある。逆にそれだけ各人のスキルも重要視されるだろう。

 また、戦場で力尽きても、心臓マッサージをすることで戦線に復帰することができるようになった。助けたから、今度は自分が助ける側にまわる。助け合って戦場で生き抜いていく。こうやって助け合っていると戦友から贈りものが届く時があるという。特に機能アップなどに繋がるわけではないと言うが、小島監督は「気持ちの問題。嬉しいもの」とコメントした。

 この他にも以下に示したように、前方にいるプレーヤーが移動を担当し続くキャラクタが探索や攻撃を行なう、ある意味、背中を仲間に任せる「スネークフォーメーション」といったシステムも用意されている。

協力プレイ中に各操作キャラクターの周囲にCO-OPリングが表示されるが、キャラクター同士が接近するとリングが一体化し「CO-OPイン状態」となる。こうなるとキャラクターのLIFEゲージや武器などが共有される協力プレイ中はライフゲージがゼロとなっても、心臓マッサージをすることで蘇生することが可能となっている。助けたら、今度は自分が助ける!! といった熱い友情が生まれそうだ
協力プレイではこのスクリーンショットのように段差のあるところを登ったり、シャッターを開けてその間に他のプレーヤーが通路を通ったりといったプレイが可能「メタルギア」といえば毎度おなじみのダンボール。今回はパワーアップしており、1つのダンボールに2人まではいることができるようなった
「スネークフォーメーション」。キャラクター同士がふれあうくらいに接近した時にボタンを押すと「スネークフォーメーション」をとることが可能となる。この状態では前方のプレーヤーが移動を担当して、後方のキャラクターは探索や攻撃に専念することができる
CO-OPS中に仲間との意思の疎通に便利な通信手段で、様々な効果が発生する。例えば「俺はここだ!」と発したら自分のカムフラ率が低下するといったことが起こる




■ 歌う巨大兵器? AI兵器にVOCALOIDを採用

小島プロダクションのサウンドディレクター、村岡一樹氏

 すでに発表されているが、「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」にはVOCALOID音源が採用されており、AI兵器がしゃべり、叫び、歌いながら攻撃してくる。サウンドディレクターの村岡一樹氏は「巨大兵器と女性の声というミスマッチ。それが恐いというのを狙った。ちょっと変だな? 奇妙な雰囲気を感じ取ってもらえれば」とコメント。

 さらにユーザーが自由にセリフや歌詞、旋律を作成することができるという「Net VOCALOID」を搭載しており、KONAMIサーバーにアップすると音声合成エンジンと歌声データベースを持つYAMAHAのサーバーに転送され、合成、音声加工が行なわれ曲を作成、KONAMIのサーバーを経由してユーザーに提供される。

 これらのデータを使いゲームをプレイし、CO-OP仲間に自慢することもできるが、KONAMIではコンテストを行ない優秀な作品はダウンロードコンテンツとして再配信することも考えているという。

VOCALOIDの収録風景。今回は菊池由美さんの声を収録して作成されたただ単にしゃべって歌うだけではなく、ユーザーがセリフや歌を作成することができる「Net VOCALOID」システムを搭載
曲も詩もユーザーが作成することができる。同社ではこれらの曲を募集しコンテストを開催し、優秀作品をダウンロードコンテンツとして再配信するといったことも考えているというこちらは村岡氏が作ったというセリフ。こうやって字幕もきちんと出る




■自分の基地が発展していく。重要な意味を持つ「マザーベース」

 ゲームはこれだけでは終らない。戦場で敵対する兵士はただ倒すだけではなく、眠らせたり瀕死状態にさせた上でなんと回収することができるという。では回収した兵士はどうなるのか? 実はゲームにはプレーヤーの任務をサポートするマザーベースが存在し、プレーヤーは回収した兵士をスタッフとして各部署に配置、働かせることができる。そうすることで、武器や装備品の開発を行なったりすることができる。

 グラフィックス的にもどんどん発達していき、初めは洋上にポツンとあったマザーベースもどんどん大きくなっていく。スタッフは300人まで回収することができ、どのように配置することも可能。例えば武器の研究開発班のスタッフを増強すれば、早くに高性能な武器を手に入れることができるかもしれない。

 この他にも、志願兵の募集や兵士の交換、アイテムの配送なども行なうことができる。

 オートモードも用意されており、自動的にスタッフの配置を行なってくれる。しかし小島監督は「初めはミッションを進めていくことになるが、次第にこのマザーベースでできることが増えていき楽しくなる」と力強く語った。このため、「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」においてはこれまでの「タクティカル・エスピオナージ・アクション」からジャンル名が変更となった。新しいジャンル名は「タクティカル・エスピオナージ・オペレーション」。今回の変更は「マザーベース」の楽しさに自信を持っていることの表れだろう。

これが「マザーベース」。プレーヤーが戦場で兵士を回収し、マザーベースにおいて能力を確認して配置することで、マザーベースはどんどん発展していく
マザーベースのデータ。全てオートで人員の配置なども行なえるが、もちろんユーザーが細かくデータを確認して自分好みに配置していくことも可能。プレーヤーの性格が出るところかもしれない
マザーベースでは武器の開発を行なうことができる。資金(GMP)とミッションクリアによって手に入る設計図などが必要な場合も。スタッフを増強すると開発スピードが上がり、より高度な武器を生産することも可能となる




■ 驚きの「モンスターハンターポータブル 2nd G」とのコラボ!

発表会の最後にいきなりAR技術でスクリーンに映し出されたのがティガレックス。なんと「モンスターハンターポータブル 2nd G」とのコラボだった

 発表会の進行で言えば最後。しかし、ある意味最も大きな発表となったのが「モンスターハンターポータブル 2nd G」とのコラボだろう。特にいろいろと語られることはなく、ただひたすらプレイ動画が流されただけだったが、これで十分といった内容だった。

 スネークが「ティガレックス」、「リオレウス」、「ランポス」を狩るという衝撃的な映像だったが、協力プレイで最大4人でのプレイが可能。狩りの途中でアイルーがアイテムや弾などをダンボールに入れ支援補給してくれたり、ステージに設置されたレーション焼きセットでレーションを焼くとスネークが「上手に焼けました」と掲げるなど凝った出来となっている。

 小島氏によれば5年前から繋がりがあったと言い、「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」の舞台がコスタリカに決まった時点で「コスタリカと言えば映画『ジュラシックパーク』の舞台。PSPと言えば『モンスターハンターポータブル 2nd G』」とコラボが決まっていったのだという。「METAL GEAR SOLID」といえば以前ピポサルとのコラボも行なわれたが、今回も非常に驚かされるコラボとなった。

 ちなみに操作系は「METAL GEAR SOLID」のFPS系、アクション系だけでなく、「モンスターハンターポータブル 2nd G」系でもプレイ可能だとか。小島氏は「モンハン系の操作を選択すれば、『モンスターハンターポータブル 2nd G』プレーヤーならすぐにプレイできる」と言い切った。

スネークがモンスターを狩ることができる。最大4名でのプレイも可能。「珍しい生き物がいる島に案内するニャ」と言われやってきた。会場ではスネークが「上手に焼けました」と掲げるシーンも上映され、大きく盛り上がった




■ユービーアイソフトの「アサシン クリードII」とのコラボも

 さらに、ユービーアイソフトの「アサシン クリードII」とのコラボも実現した。特定のステージにおいて「アサシン クリードII」の高所からのジャンプ“イーグルダイブ”が可能となっている。

 このイーグルダイブで麦藁の中に飛び込むと、ダンボールのように隠れて進むことができる。さらにはこの麦藁の中に敵を引きずり込んで無力化することも可能となっている。しかしこの麦藁に敵を引きずり込みすぎるとだんだんボロボロになっていくようだ。

特定のステージにおいて「アサシン クリードII」のように、高所から麦藁の中に飛び込むイーグルダイブが可能となる
この麦藁がダンボールのような役割を果たし隠れるアイテムとなり、中に敵を引き釣り込み、無力化することも可能となっている

(C) 2010 Konami Digital Entertainment

(2010年 4月 7日)

[Reported by 船津稔]