★DSゲームレビュー★

“キャラゲー”とあなどるなかれ! 気軽に楽しめる横スクロールアクション
「超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!」


 2月19日、株式会社バンダイナムコゲームスから「超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!」が発売された。本作は、3月7日に公開された本作と同名の劇場映画を題材としている。昨年発売された「超劇場版ケロロ軍曹3 天空大冒険であります!」と同様、劇場用アニメとの連動も取り入れられた横スクロールアクションながら、大幅なパワーアップを遂げている。

 まずは、本作がどのようなゲームか、簡単な概要から紹介していこう。



■ 能力の異なる「ケロロ軍曹」のキャラクター達が活躍する本格横スクロールアクション

ケロロ達、それぞれの能力を駆使して、ステージをクリアしていく

 「ケロロ」、「タママ」、「ギロロ」、「クルル」、「ドロロ」は、それぞれ異なる能力を持っている。ステージに用意された仕掛けにあった能力を駆使しながら、ステージを攻略していく。仕掛けも様々用意されており、誰でも遊びやすい難易度の本格横スクロールアクションに仕上がっている。

 本作の目的は、ボードゲームのようなワールドマップを1マスずつ移動しながら、各マス毎に用意されたステージをクリアして、侵略率を100%にすること。ステージには、特定キャラクターでしかプレイできないものや会話イベントが発生するものなど様々だ。

 一定回数ゲームオーバーになると、難易度の低い「やさしいモード」が選択できる。アクションゲームが苦手な人でも楽しめるような配慮が嬉しい。

 特定条件を満たすと、スペシャルゲームという、どこか懐かしいゲームが遊べるようになる。遊べるようになるゲームは、どれもニヤリとさせられるものばかりだ。

 ステージ中に隠されているフィギュアを集めると見ることができる「フィギュアコレクション」や侵略率によって変化していく階級や特定条件で入手できる通り名などが記録される「ケロロ戦記」など、やり込み要素も充実している。

 地球(ペコポン)人サポートや超必殺技が使い放題になるなどの隠し要素の開放キーとなる竜の紋章というものがある。竜の紋章は、雑誌の付録や劇場用映画「超劇場版 ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!」入場者特典などに同封されている。これらを入手したら、DSの下画面に重ねて、指示通りにタッチペン操作をすれば、隠し要素が開放される仕組みだ。


ステージ内にある全ての旗を侵略ポイントに納めればステージクリアとなるステージクリア時には、現在の侵略率が表示される。100%目指してがんばろうド派手な超必殺技もある。見た目だけでなく、威力も相当のものだ


■ 今度こそ地球(ペコポン)侵略なるか?ケロロ軍曹と4人の部下は、謎の巨大生物を調査すべく立ち上がる!!

 「ケロッ? 竜の伝説? この奥東京市にでありますか?」冬樹から聞いた話に興味シンシンなケロロ軍曹は、竜の力を侵略に利用できないかと画策中。そんなとき、突如として奥東京市上空に謎の巨大物体が出現。まるで竜のしっぽのように見えるそれは、敵性宇宙人のしわざなのか、それとも……。謎の巨大物体を調査すべく、ケロロ小隊が立ち上がる!!

 ケロロ軍曹を筆頭とするケロン小隊。彼らの目的は地球(ペコポン)侵略。ケロロは竜の伝説の話から、竜の秘密を暴き、ドラゴンパワーで一気に地球(ペコポン)侵略をしようと画策する。謎に包まれた竜のしっぽとは一体何なのか?果たして、今度こそ地球(ペコポン)侵略は成るのか?

 冬樹や桃華達もサポートキャラクターとして、ケロロ達のステージ攻略をサポートしてくれる。

地球(ペコポン)侵略を目論む「ケロロ軍曹」。趣味はガンプラ作りとネットサーフィンオカルト好きの中学生「日向 冬樹」。冬樹は宿題のために、竜の伝説が残る神社を調べようとするが……冬樹に想いを寄せる資産家の娘「西澤 桃華」。キレると出てくるバイオレンスな人格は本作でも健在


■ それぞれの能力を活かしてステージクリアを目指す

 ワールドマップからステージに入ると横スクロールアクションがスタートする。ステージは大きく分けて「誰でも入れる」、「特定のキャラクターのみ入れる」、「スペシャルゲーム」、「会話イベント」、「ボスとの戦闘」の5つに分かれる。

 ステージをクリアするには、ステージ毎に決められた数の旗を取り、侵略ポイントに納めればいい。

 ステージには、100個集めるといのちが1つ増えるスター、サポートキャラクターを呼ぶためのクリスタル、超必殺技の使用に必要な超メダルなど様々なアイテムがある。中でも重要なのが体力を回復できる食べ物。キャラクターによって食べ物の好みが異なるので、好みのものを食べれば体力が全回復し、好みのもの以外であれば体力のメモリが1回復する。ステージクリアには関係ないものの、フィギュアがステージに隠されている。入手したフィギュアのデータは、別モード「コレクション」で閲覧が可能。

クリアしたステージには旗が立つ。全ステージに旗を立て、侵略率100%を目指したい好みの食べ物を食べれば体力が全回復する。好みのものでなくとも、1メモリ分回復できるステージ中にある超メダルを取れば、超必殺技の準備完了。いつでも超必殺技を出せるようになる

 ここからは、ケロロ達について詳しく紹介していく。

 ケロロ軍曹は、敵を使った2段ジャンプを持ちつつ、攻守のバランスが良い、誰でも扱いやすいキャラクター。誰でも入れるステージで、キャラクター選択に悩んだらケロロを選ぶのをオススメする。好物は「いきなり団子」。

・基本アクション:敵を吸い込み、吸い込んだ敵を投げる
  敵を投げる方向は、上下左右の好きな方向を選べる

・チャージ攻撃:アイテム変換ビーム
  敵にビームを浴びせ、アイテムに変える

・特殊アクション:2段ジャンプ
  敵を吸い込み、下に投げた場合のみ、敵を放り投げた勢いで2段ジャンプができる

・超必殺技:スイトールくんZ(ゼータ)
  一定時間無敵になり、体当たりで敵を攻撃する

・サポートキャラクター:冬樹
  一定時間、入手したスター、クリスタル、食べ物の効果が2倍になり、体力が回復する

ケロロは敵を吸い込むことができる。敵を吸い込んだ状態で下方向に敵を投げれば、2段ジャンプができる。2段ジャンプを使えば、通常のジャンプでは届かない場所も楽々と乗り越えていけるアイテム変換ビームは、その名の通り敵をアイテムに変換する。もらえるアイテムは微々たるものだが、チリも積もれば……だ

 タママ二等兵は、見た目がかわいいものの、近接攻撃を得意とする攻撃的なキャラクター。基本アクションに飛び道具を持たないので、うまく操作しないとダメージを受けやすいことから、扱いは少し難しいといえるだろう。好物は「ケーキ」。

・基本アクション:パンチ
  左右方向に最大2連続の攻撃、敵を打ち上げるアッパー、下方向への攻撃を持つ

・チャージ攻撃:タママインパクト
  口から巨大な光の玉を放ち、目の前の敵にぶつける

・特殊アクション:ブロックを吹き飛ばせる
  ステージにあるブロックをパンチで吹き飛ばせる

・超必殺技:タママ拳法最終奥義 超嫉妬玉
  嫉妬の念を集めた巨大な玉を目の前の敵にぶつける

・サポートキャラクター:桃華
  一定時間、桃華が加勢し、タママとの協力攻撃「ダブルインパクト」を発射する

下方向へのパンチ。足元にあるブロックも易々と破壊できるアッパーは敵を打ち上げる効果を持ち、打ち上げた敵をぶつけての攻撃も可能桃華との協力攻撃「ダブルインパクト」。見た目もさることながら、威力も高い

 ギロロ伍長は、武器の扱いに長けた、遠距離攻撃を得意とするキャラクター。基本アクションは全て飛び道具なので、攻撃特化タイプとしては最も扱いやすいといえるだろう。好物は「焼きいも」。

・基本アクション:マシンガンとしゅりゅう弾
  左右方向にマシンガンによる遠距離攻撃と、斜め上方向に投げるしゅりゅう弾を使う

・チャージ攻撃:ビームライフル&チャージしゅりゅう弾
  ビームライフルは敵を貫通する。チャージしゅりゅう弾は普段より高くしゅりゅう弾を投げる

・超必殺技:フルウェポン ギロロ
  一定時間無敵になり、追尾機能付きのミサイルで画面上の敵を撃墜する

・サポートキャラクター:夏美
  一定時間、夏美が追従し、近くにいる敵をビームサーベルで攻撃する

チャージ攻撃のビームライフルは、特定の仕掛けに打ち込むことで反射する超必殺技「フルウェポン ギロロ」発動。画面上の敵を追尾機能付きミサイルで撃墜する

 クルル曹長は、ケロロ小隊一の頭脳派だけあって、敵は倒さずに利用するといった特殊なアクションを使う。敵をなぎ倒してプレイしたい人には向かないが、性能を把握して扱えれば強力な戦力となる。好物は「カレー」。

・基本アクション:音波
  音波を浴びせて敵を痺れさせる

・チャージ攻撃:催眠音波
  敵に催眠効果のある音波を浴びせ、十字ボタンで操ることができる

・特殊アクション:痺れさせた敵を足場に/落下スピードを遅く
  音波で痺れている敵に乗ったり、フックでぶら下がることができる。また、ジャンプ中に逆噴射をして、ゆっくりと落下できる。逆噴射中は、左右の移動が可能なので長距離のジャンプができる

・超必殺技:クルル時空
  画面上の敵全てを一定時間痺れさせつつ、浮遊したまま移動できる

・サポートキャラクター:サブロー
  一定時間、落とし穴やトゲから守ってくれるブロック、敵の攻撃を防ぐ盾、スターなどが出現する

特殊な能力を持つクルル。敵を痺れさせ、移動手段として利用するチャージ攻撃「催眠音波」では、敵を操ることができる普通に降りたら針に刺さってしまう場面でも逆噴射を使えば、安全に降りられる

 ドロロ兵長は、移動が早く、ジャンプが高いなど、元暗殺兵らしい能力を持つ。多くの能力を持つため、扱いになれるまで少し時間がかかるかもしれない。好物は「お茶」。

・基本アクション:忍者刀
  左右方向に忍者刀による攻撃を行なう。ボタン連打で連続攻撃にすることやジャンプ中に回転攻撃を出すことが可能

・チャージ攻撃:分身の術
  3体に分身する。分身は本体の左右に並び、本体と同じ行動を取る。分身が触れたアイテムは入手できるので、壁に埋まったアイテムを見つけたら分身しよう

・特殊アクション:壁にはりつく/敵の攻撃を弾き返す
  壁にはりつき、壁を蹴ってジャンプできる。敵の攻撃に合わせて忍者刀を振ることで弾き返せる

・超必殺技:ドロロ忍法 究極奥義 十字光輪
  一定時間無敵になり、反射して飛ぶ手裏剣を画面上の敵に放つ

・サポートキャラクター:小雪
  一定時間、体が半透明化し、敵に見つからないようになる

壁に張り付いて、そこからジャンプ。壁から壁へとジャンプしながら移動できるチャージ攻撃「分身の術」で出せる分身は、アイテムを取れるので、壁に囲まれた場所にあるアイテムがあれば、「分身の術」を使うといい刀は直接攻撃するだけではなく、相手の飛び道具を弾き返せる。弾き返した飛び道具で敵を倒すことも可能

 ボスステージでは様々なボスと戦うことになる。それぞれのボスは決まった行動を取るので、まずは行動を見極めることが重要になる。戦闘中に他のキャラクターの方が戦いやすいと感じたら、一旦ステージを抜けてキャラクターを変えるといい。

ボスとのバトルでは、ボスがどういう動きをするのか見極めるのが重要。良く動きを見ていれば、攻撃を当てられる隙が見つかるはずだ。ボスの攻撃を避けつつ、隙を見逃さずに攻撃すれば勝利できるだろう


■ 懐かしさ溢れるスペシャルゲームや各種データ閲覧ができる「コレクション」

 「コレクション」では、集めたフィギュアの中に入ったデータを閲覧する「フィギュアコレクション」、1度見たイベントを再び閲覧できる「ケロロシアター」、ゲーム中に1度プレイしたスペシャルゲームが遊べる「スペシャルゲームミュージアム」、侵略率の増加によって変わる階級と特定条件を満たすことで入手できる通り名が記録される「ケロロ戦記」、竜の紋章を使って隠し要素を開放させる「竜の書」の5つが選択できる。

「フィギュアコレクション」では、ケロロなど登場人物の情報だけでなく、妙なデータも閲覧できる階級や通り名が閲覧できる「ケロロ戦記」。全ての階級と通り名を獲得するには、やり込みが必要だ雑誌の付録や映画の入場者特典として、入手できる竜の紋章を使う「竜の書」。超必殺技使い放題など、強力な隠し要素を開放できる

 中でもスペシャルゲームは興味深い。どれも懐かしのゲームのパロディとなっている。難易度はそれぞれ3種用意されている。

 まずは「ケロロギャング ザ ビデオ」。迫り来るヴァイパーを追い払い、アイテムを守る。内容は、どう見ても「コズモギャングス」だ。

懐かしの「コズモギャングズ」を彷彿とさせる「ケロロギャング ザ ビデオ」。効率良くヴァイパーを撃って、アイテムを持っていかれないようにしよう

 次は「タマッピー」。トランポリンやドアを使って、全てのアイテムをゲットする。名前からわかる通り、「マッピー」のパロディだ。

「マッピー」のように、ドアを使って敵を吹き飛ばして一定時間動けなくしたり、同じアイテムを続けて取ると点数が倍になる

 最後は、「ケロロンスピリット」。ドラゴンのパワーでタママを救い出す。もちろんこれは、「ドラゴンスピリット」のパロディ。本作が竜に関係することから選ばれたのだろうか?

自機は上下画面どちらにも移動可能。パワーアップやボス戦など、シューティングゲームとして、しっかり作られている


■ 最後に

 ケロロ軍曹を知らない人でも、十分に楽しめるゲーム性を持っている。難易度は誰でもプレイしやすいものになっており、さらに易しい難易度も用意されている。キャラクターは5人いて、それぞれの能力の違いを把握して使いこなすには時間がかかりそうなものだが、プレイしながら覚えていけるステージ構成になっている。フィギュアや侵略率など、やり込める要素やスペシャルゲームといったオマケ要素も十分にある。

 竜の紋章に関しては、先日、公式HPにおいて「最後の竜の紋章」が公開されている。既に発売済みの雑誌の付録などで公開されている竜の紋章(赤、青、黄、黒、緑)に関しては、近日同じく公式HPで公開される予定ということなので、入手しそこねたプレーヤーは、公開を待とう。

 「ケロロ軍曹」のファンはもちろんのこと、スペシャルゲームだけでなく、超必殺技のカットインなど、各所にいろんな作品のパロディネタが満載されているし、アクションゲームとしてもしっかり作られているので、気楽に遊べるアクションゲームをプレイしたい人にもオススメしたい。



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(2009年 5月 7日)

[Reported by 木原卓]