Xbox 360/PS3ゲームレビュー

リアルな映像で描かれる2012年の空中戦
最後に頼れるのは自分の腕だけだ!

「Tom Clancy's H.A.W.X」

  • ジャンル:フライトシューティング
  • 発売元:ユービーアイソフト
  • 開発元:Ubisoft Montreal
  • 価格:7,329円(税込)
  • プラットフォーム:Xbox 360 / プレイステーション 3
  • 発売日:4月24日(Xbox 360版)、5月28日(PS3版)
  • プレイ人数:1~8人
  • レーティング:CERO:A(全年齢対象)

本作は、現代・近未来の戦闘機が登場するフライトシューティングだ

 今回ご紹介する「Tom Clancy's H.A.W.X(以下『HAWX』)」は、プレイステーション 3およびXbox 360用のフライトシューティングゲームだ。本作では、緻密な3Dグラフィックスで再現された「F-22 ラプター」や「Su-37 スーパーフランカー」など最新戦闘機をはじめとして、実機をモデルとした50種類以上の機体が登場し、簡単な操作で手に汗握るシューティングを楽しむことができる。

 「Tom Clancy」シリーズとしては、はじめてのフライト物となった本作であるが、そのゲーム性は「エースコンバット」シリーズ(バンダイナムコゲームス)との対抗馬に位置する。戦闘機の映像、挙動、操作性、様々な点において、「HAWX」はアーケードスタイルのアクションを貫いているのだ。

 その中で見所となるのは、やはり「HAWX」の持つ独自性となる。本作ではUbisoftが満を持して送り出すフライトシューティングゲームとして、独自のフライトアシストシステム「ERS」や、機体の限界能力を引き出して高度な機動を行なえる「デュアルコントロールシステム」をはじめ、様々な独自システムを搭載している。そのすべてをひっくるめて、どれほどのタイトルに仕上がってるのかを本稿でご紹介したい。なお、本稿では先に発売されたXbox 360版をベースに話を進める。



■ 2012年。傭兵として戦地を飛ぶエリートパイロットの戦いを描くフライトシューティング

「H.A.W.X」隊員としてメキシコ内乱の鎮定に臨む。最初のミッションは対地攻撃がメインだ
利用できる機体はステージを追う毎にアンロックされていく

 舞台は近未来。アフガン、イラクで抜群の働きを果たした米空軍デビッド・A・クレンショー大尉は2006年、高々度戦闘実験飛行隊、通称「H.A.W.X」に配属される。この部隊はいわば空の特殊部隊で、正規の航空部隊の手に余る難しい作戦を遂行するエリート飛行隊だ。

 そして2012年、超国家的軍事組織を容認する「レイキャビク協定」が結ばれ、各国の軍事力は巨大な民間軍事会社(PMC)との契約によってコントロールされるという、新しい世界秩序が成立する。「HAWX」で実績を挙げ、米軍を退役したクレンショー大尉は、そんな民間軍事会社のひとつ「アルテミス」の雇われパイロットとして世界の戦場に身を投じていく。だが、国家の手を離れた軍事力は危険な可能性を孕み、世界は予想外の方向へ向かっていく……。

 といったプロットでゲームが展開する本作の主人公は、エリートパイロットであるデビッド・A・クレンショー大尉。民間軍事会社の傭兵ということで、プレーヤーは様々な機体を駆って戦場に向かうことができる。登場する機体は、F-22やSu-37といった最新世代機から、Mig-25、A-6Aなど旧型機、YF-12、YF-17などの実験機まで、幅広く50種類以上が用意されている。

 ゲームは基本的にミッション単位で進行し、メインストーリーを追うキャンペーンモードでは最大3人による協力プレイも可能だ。各ミッションでは指定された目標の破壊や防衛が目的となり、敵対する航空兵力や地上兵力、海上兵力など様々な敵と交戦する。多種多様なシチュエーションが用意されており、近未来の空中戦をあらゆる角度から楽しませてくれる。


多種多様な機体と戦場のシチュエーションで、近未来の空中戦が幅広く描写される。「リアルさ」はあまり重視されておらず、戦闘機の格好良さと、シューティングとしてのダイナミックな展開に重きが置かれたゲーム内容だ


操作はとても簡単。空中機動を支援する独自の「ERS」システムが目新しい
「アシストOFF」の状態にすれば、機体の性能を限界まで引き出すことができる。だが失速の危険もあるため、オフで乗りこなすにはそれなりの練習が必要だ

 フライトシューティングとしての基本ゲームシステムは、冒頭で触れたように「エースコンバット」シリーズに近いもので、航空機の挙動はあくまでゲーム的にまとめられており、ゲームパッドで自由自在に操縦することが可能だ。基本操作は左スティックでピッチ角、ロール角の制御で、LBおよびRBがヨー操作となる。左右のトリガーで速度調節、A、B、X、Yの各ボタンで武器発射、機銃発射、「ERS」起動、ターゲット切り替え、となっている。

 基本操作のうち「ERS(Enhanced Reality System)」というのは本作独自のシステムで、起動することによりターゲットを攻撃するための最適進路を立体的に示してくれるというものだ。空中戦では、敵機の後ろを取るためのルート、対地攻撃では、地形を避けてターゲットに攻撃を加えるためのルートが表示される。これに従えば、3次元空間上の戦闘に不慣れなプレーヤーでも的確な機動で敵をしとめることができる。

 もうひとつ、本作独自のシステムとして目玉になっているのが「デュアル・コントロール・システム」だ。通常、機体はコンピューターによってアシストされ、機動能力に制限がかけられているのだが、右トリガーを2回タップしてアシストをOFFにすることにより、限界を超えた機動が可能になる。

 アシストOFFの状態に移行すると、ゲームの視点が機体を遠くから眺める格好となり、いわばラジコンを操作しているような形になる。この状態では機体の旋回速度や速度調整が極端な結果を生むこととなり、たとえば減速しながら機種上げ操作を行なうことで、プガチョフ・コブラ、クルビットといった失速旋回機動が発動する。これを利用して、逃げる敵機にすばやく機首を向け、有利な体勢でロックオン、ミサイルを発射してすばやく撃墜できるというわけだ。ご想像のとおり、慣れるまでは操作が非常に難しいのだが、難しい状況になればなるほど真価を発揮するという面白いシステムになっている。

 本作ではこのように、フライトシューティングとしての単純性を守りつつ、独自のシステムを導入することで個性的なアクションを提供する作品になっている。いわゆる「飛行機モノ」に航空力学的なリアリティを求めるユーザーにとっては、A-10が超音速で巡航したり、戦闘機が200発以上のミサイルを搭載したりといったゲーム的な部分に抵抗を感じるかもしれないが、いちどプレイしてハードコアなストーリー展開を体験すれば、本作を気に入ることができるはずだ。

 操作性について筆者の好みを言うとすれば、少し解釈を変えて欲しかった部分が何点かある以外は、問題なく楽しむことができた。変えてほしかった点としては、ひとつは本作の航空機が、左右にバンクした状態でも完全に直進する点。バンクした方向に多少でも旋回効果が掛かれば、より緻密な操作ができたと思う。もうひとつは、「アシストOFF」状態で主観視点ビューが利用できない点。コブラやクルビット機動をコックピット視点でやってみたかったところだ。

「アシストON」時に利用できる視点は、後方視点、コックピット視点、HUD視点の3種類。アクション重視のプレーヤーには後方視点、臨場感を重視するプレーヤーにはコックピット視点、プレイ効率を重視する現実主義派にはHUD視点がそれぞれオススメだ

「アシストOFF」の状態では、ラジコンを操作しているような視点となる。減速しつつ旋回することで機首を急激に転換することが可能で、回避行動を取る敵に対して強引にロックオンを仕掛け、攻撃することが可能だ。あまり極端な動きをすると失速を起こし、速度が回復するまで無防備な状態となってしまうため、状況をよく考えつつ利用したい



■ 協力プレイも可能なキャンペーンモード。「Tom Clancy's」らしいストーリー展開を楽しむ

ストーリーはブリーフィングとミッションの反復で展開していく
「アシストOFF」の認定訓練中。複雑なフィーチャーはステージを追う毎に次第に導入されるため、スムーズにプレイできる

 次に、本作のメインゲームモードである「キャンペーン」モードについてご紹介しよう。本作では、利用できる機体や装備の制限にプレーヤーのレベル制を採用しており、初めてのプレイでは全20ミッションで構成されるキャンペーンの各ミッションをクリアしていくことで制限が解除されていく仕組みになっている。

 キャンペーンを通じて展開するストーリーは、いかにも「Tom Clancy's」の冠を持つ作風に仕上がっており、最小限のムービーと、うるさくならない範囲の無線通話による状況説明で、淡々とクライマックスに向かっていく。そこには過剰なヒロイズムもなければ、突飛な超兵器もなく、あくまで状況的なリアリズムに重きを置いた、アダルトな落ち着きを持つハードコアなストーリー展開だ。

 序盤においては、最初のミッションであるメキシコの反政府軍鎮圧作戦に従事した主人公クレンショー大尉は、民間軍事会社アルテミスに移籍し、エリートパイロットとして各地の戦場を転戦することになる。中東での石油精製施設の防衛、アフガニスタンでの地上戦力の撃破といったミッションを通じて実力を証明していくにつれ、雇い主である「アルテミス」もまた巨大な軍事会社に成長していく。

 そんな中で大きな転機となるのが、ブラジル・リオデジャネイロでのミッションだ。ここでは「アシストOFF」モードを解除する認定試験に始まり、米軍との大規模な共同作戦を通じて、どんなプレーヤーでも苦戦せずにはいられないほどの激しい戦いが展開する。四方八方から新手の敵軍が現われるので、すばやく敵を撃破するか、できなければ常時2機で主人公に随伴するウィングマンを別働隊として別の敵に繰り出し、同時に複数の敵に相対しなければならない。

 ちなみに本作のキャンペーンモードは、3名のプレーヤーで協力して進めることも可能だ。各プレーヤーは僚機を操る他のプレーヤーに攻撃や防御の指示を出すことも可能で、四方八方から敵が襲いかかってくるような難しいミッションであるほど協力プレイの価値が高まる。ただ、うまく連携しないと、同じ目標に同時に射撃してミサイルを無駄に使ってしまうようなこともあるため、ボイスチャットを使ってコミュニケーションしたほうがプレイの質が高まるだろう。

リオデジャネイロのミッションは序盤の最後を飾る難関だ。四方八方から大量の敵機、地上部隊、海上部隊が迫ってくるが、これをすばやく撃退しなければならない。2機のウィングマンにうまく指示を出し、戦闘を分担することも必要だ。協力プレイならもっと簡単にクリアできるので、ソロプレイで詰まってしまったらフレンドに助けを求めるのもいいだろう


「アルテミス」が突然敵側に寝返り、主人公を取り巻く戦局は混迷を深める
ミッションはさらに激しさを増し、より難しくなる。各ミッションの目的に合致した戦法を模索しよう
ミッションをクリアし経験値を得ることで、新たな機体・装備類がアンロックされる。同じミッションを繰り返しプレイしてもOKだ

 さて、ブラジルの作戦で米軍と共同作戦を取ることになった主人公だが、敵の圧力はすさまじく、難しい状況が連続。そこで主人公は、友軍が危機に晒され、人命か、利益かという二律背反に直面する。そして、利益を重視する「アルテミス」の命令に違反し、友軍救出を優先。これが傭兵としての主人公と、民間軍事会社「アルテミス」との間に、重大な亀裂を生むのだった。

 そのような経緯を経て、主人公は大国の軍事力を超えるほどまで成長した「アルテミス」とついに敵対することになる。裏切りに遭ったのは何も主人公だけではなく、米軍であり、また国家アメリカ、そして人類全体が「アルテミス」の脅威に晒されることになるのだ。

 それ以降は怒涛の急展開で事態が混迷を極めていく。「H.A.W.X」飛行隊の一員として米軍に復帰した主人公が直面するミッションも、あの手この手で難しさを増し、いよいよ手ごたえのあるゲーム展開が楽しめるのだ。激しさを増す空中戦だけでなく、各ミッションに組み込まれた、ゲームシステムをうまく使った仕掛けも見所である。

 ネタバレになってしまうのでいくつも紹介することはできないが、面白いもののひとつとしては「ERS」を前面的に使用しての対地攻撃ミッションがある。「ERS」はターゲットを攻撃するための最適進路を表示してくれるシステムだが、無数の対空兵器で堅固に守られた戦場で戦うとき、「ERS」は最強の盾にもなるのだ。示される複雑なルートを正確にトレースすることによって、迫り来る大量の対空ミサイルを交わし、作戦目標に一撃を加える。高度な電子兵装とプレーヤーの腕前が完璧に融合する瞬間だ。

 プレーヤーは各ミッションをよりうまくクリアすることによって追加の経験値を得ることができるほか、各ミッションに隠された「チャレンジ」の条件を満たすことで大きな経験値を得たり、「実績」のロックを解除することができる。また、クリアするごとに利用できる機体が増えていくため、一度クリアしたミッションをより高性能な機体でプレイすることで、もっと楽にミッションが達成可能になる。

 プレーヤーのレベルはレベル1の「2等兵」から、最高レベルの「元帥」までの40段階に分かれており、1レベル上昇するごとに各種の機体や、装備類がアンロックされる仕組みだ。これはマルチプレーヤーの「対決」モードにも共通で、まずキャンペーンモードで十分な経験を積んでから対戦に移行すれば、お気に入りの機体でスムーズに戦えるはずだ。


「ERS」をフル活用したミッション。無数の対空砲、ミサイルに狙われて非常に危険な状況だが、指定された航路に沿って正確に飛ぶことで、すべての攻撃をかわし、敵の中枢を叩くことができる

本作はミサイル兵器が中心のゲームだが、自由落下爆弾もなかなか強力。爆弾は威力があるので複数の目標を一度に片付けることができるほか、誘導しないかわりに射程の概念がないのがメリットだ。3,000~5,000メートルといった高高度から地表を「狙撃」すれば、一方的に攻撃することが可能だ


■ 最大8名でプレイできるデスマッチ。オンラインプレイでは判断の速さが命!

「対決」は最大4対4のチームバトル。相手を多く撃墜することが目標だ
大抵は中距離でのミサイルの撃ち合いになる。ミサイル警告が出たら素早くフレアを射出し回避行動を取ろう
「多目標AAミサイル」は乱戦になるほど強力。乱戦の横合いから狙い、最高のタイミングで発射すれば一気に複数機の撃墜も可能

 本作を長く楽しむためには、オンライン対戦を楽しめる「対決」モードに手を出すのが1番だ。「対決」モードは同時最大8名でプレイできるチーム・デスマッチで、基本的には相手チームとひたすら空中戦を繰り広げ、撃墜数を競うというもの。標準の設定では好みの機体や装備を選択してプレイできるので、あらかじめ「キャンペーン」モードでレベルを上げ、機体・装備を多めにアンロックしておくとやりやすい。

 チームデスマッチは常に激しい混戦になりやすい。最大4名づつの各チームの機体は、本作で利用できる長射程ミサイルの有効圏内ギリギリの距離に出現するため、互いに機首を向けて接近すれば、十数秒で格闘戦の距離に接近するためだ。そこでうまく立ち回るためには、自分が操縦する機体・装備の特性を十分に生かして、飛び回る敵機の動きに惑わされないよう、素早い判断で戦う必要がある。

 本作に登場する主な対空装備のうち、装備数が多く、長期戦になれば役に立つのが「統合攻撃ミサイル」だ。もっとも基本的なミサイルであり、命中させるためには敵を十分にひきつけ、正面あるいは背後からきっちりロックオンして直撃させる必要がある。装備の制限がない対戦セッションでは、長距離の「レーダー誘導ミサイル」を使って、アウトレンジからチクチク攻撃してもいいが、短時間で一気にスコアを上げたければ、最大同時4目標を追尾できる「多目標AAミサイル」が心強い。格闘戦で有利に戦いたいなら近距離専用の「全方位ミサイル」が最善の選択だ。

 こういった各種の対空ミサイルは、同時にすべてを装備することはできず、ほぼすべての機体において「統合攻撃ミサイル」+どれか1種類、という構成になる。そのため、自分自身の戦闘スタイルとスキルを考えて、事前に最適な装備を選択しておくことが重要だ。

 それに加えて、敵との距離や戦い方に応じてすばやくミサイルを選択するか、場合によっては機関砲で直接射撃するか、いくつかの行動オプションから選択する必要がある。だが、ゆっくり考えている暇はない。判断が一瞬遅れるだけでも、一方的にミサイル攻撃を受け、フレアを噴射しながら逃げ回った挙句に撃墜される、と後手に回ってしまうため、いかに早い判断をするかが対戦のポイントとなっている。

 また、チーム・デスマッチでは、味方の攻撃・防御要請を受け入れたり、敵機を撃墜していくことで「プレイヤースコア」が蓄積され、これを一定以上溜めることで「支援攻撃」が利用可能になる。これはチーム全体に効果のある強力な特殊機能で、「EMP攻撃」、「AWACS」、「ジャミング」、「機関砲アップグレード」の4種がある。

 例えば「EMP攻撃」を発動すると、敵チームの機体が強制的に失速させられ、一定時間操作不能になるので、多くの場合、そのまま地面に激突させて撃破することができる。「AWACS」は味方チームのミサイル能力が強化され、「ジャミング」は敵チームのロックオン機能を低下させる。あとは文字通りの効果だ。この「支援攻撃」は非常に強力だが、ゲージが溜まって利用可能になったタイミングですぐ使わないと意味がないため、ややわかりにくい画面表示と相まって、プレーヤーの注意力を必要とする要素になっている。目の前の敵への対処だけに集中していると、チャンスを逃すことにもなってしまうので、しっかりと対処したい。

「支援攻撃」を食らうと、操作不能になったり、ロックオンができなくなったりと極端な影響が出るためすぐにわかる。特に「EMP攻撃」は強烈で、かなり高度を取っていなければ確実に墜落させられてしまう。しかし、倒されてもすぐ復活できるので、すぐさま反撃を加えてやろう。好成績で対戦セッションを終えることができればかなりの経験値を獲得できる


■ DLC第1弾「ヨーロピアンアサルトパック」がリリース。今後の拡張にも期待

DLC第一弾に含まれる「Saab-37 Viggen」
クラスター爆弾の爆発。対地ミッションで効果を上げそうだ

 本作のオンライン対戦である「対決」モードは上記のような内容で展開していくが、少なくとも現時点ではチーム・デスマッチしか対戦の方法がないため、今後のアップデートでもっと多様な対戦ルールがサポートされることを期待したいところだ。例えば対地攻撃メインの対戦モードや、攻撃・防御チームに分かれてのより戦略的なルールがあっても面白いだろう。現時点では、本作の魅力を100%引き出す対戦モードになっているとは言いがたいので、ぜひこの点を強化し、より長く遊べるタイトルに成長してほしいところだ。

 そこで気になるダウンロードコンテンツ(DLC)の展開としては、Xbox 360版の発売後、数日で早速最初のDLC「DLC1 ヨーロピアンアサルトパック」がリリースされた。400マイクロソフトポイントで配信されるこのパックには、サーブ、ダッソーといった欧州メーカーの個性的な特殊戦闘機や試作機に加え、「Tom Clancy's END WAR」に登場した近未来の戦闘機「XA-20 Razorback」という完全フィクションの機体をまじえ、6種類の機体が含まれている。

 これらのDLCとして利用できる追加の機体は、通常の機体よりも全体的に性能が高いものが多いため、キャンペーンモードで利用するためのアンロックレベルが25~40近くと、かなりハイレベルプレーヤー向けとなっている。だが、「対決」モードではこれらすべての機体が無制限に利用できるので、対戦メインのプレーヤーならばすぐに活用することが可能だ。是非、自分の個性にあった最良の機体を見つけて対戦を楽しもう。

 本作は、全体的に見てフライトシューティングとして純粋に楽しめる作品に仕上がっている。同じジャンルに「エースコンバット」シリーズという対抗馬が存在することを考慮しても、十分に良作だと言っていい。各ステージの素晴らしいグラフィックスは必見の価値があるし、フレンドと楽しむキャンペーンの協力プレイも面白い。「対決」モードはよりルールの拡充を求めたいところだが、その1点を除けば明確な弱点が見当たらない。DLC第1弾がすばやくリリースされたことで、「Tom Clancy's」を冠する他の作品と同様に、今後の拡張にも期待が持てる。多くのゲーマーに安心してオススメできる作品だ。

【「DLC1 ヨーロピアンアサルトパック」収録機体】
Saab-37 ViggenMirage 2000 nMirage 4000
Rafale MFB-22 Strike RapterXA-20 Razorback



【スクリーンショット】

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(2009年 5月 7日)

[Reported by 佐藤カフジ ]