2020年2月20日 00:00
1986年にタイトーが発売した名作アーケード用アクションゲーム、「バブルボブル」のシリーズ最新作「バブルボブル 4 フレンズ」。前作にあたるアーケードゲーム「バブルメモリーズ」の稼働開始が1996年なので、実に24年ぶりとなる新作の登場となったことで、とりわけ30代以上のレトロゲーム好きにとっては気になるタイトルではないだろうか。
主人公は過去のシリーズと同じく、口から泡をはくことができるコミカルなドラゴン、バブルンとボブルンに加え、クルルンとコロロンの2体が登場、最大4人同時プレイが可能となった。歴代のシリーズ作品と同様に、泡の中に敵を包み込み、ツノや背びれで割ることで倒すという独特のアクションと、敵・味方ともにかわいいキャラクターばかりが登場する世界観が楽しめるのが特徴だ。また、本作には懐かしの初代「バブルボブル」も収録される。
以下、33年前に初代「バブルボブル」の面白さに感銘を受け、以後歴代のシリーズ作品をすべてプレイした経験のある筆者なりに、本作の良し悪しをまとめてみたので、購入する際のご参考にしていただければ幸いだ。
基本操作とシンプルなルールはそのままに、初心者にも遊びやすい親切機能を追加
左スティックで主人公を左右に移動させ、BまたはXボタンを押すとジャンプ、AまたはYボタンを押すと泡をはくという基本操作は、旧シリーズ作品とまったく同じ。本作では、新たに十字キーを下に入力すると主人公がしゃがむようになり、これを利用して狭い通路を通り抜けたり、敵の攻撃を避けることも可能になった。
旧「バブルボブル」シリーズと同様に、ゲームの基本ルールもいたって簡単。泡をはいて敵を包み、主人公のツノや背びれで割って敵を倒し、すべての敵を倒すとステージクリアとなる。ステージ数は1エリアごとに10ステージ、全100ステージが用意されている。各エリアの最終ステージにはボスキャラが登場し、ボスを倒すと特殊なスキルが使えるようになるアイテムが入手できるとともに、次のエリアへと進めるようになる。スキルには、強力な攻撃を繰り出せる「サンダーバブル」、「ボムバブル」などの種類があり、L/Rボタンを押すことで発動する。ただし、ステージごとに使用回数の制限があり、プレイ中に使用できるスキルはゲームスタート時に選択した1種類のみとなる。
敵やステージ内に配置されたトゲに触れるとミスとなり、主人公のストックがゼロの時にミスをするとゲームオーバーとなる。2人以上での同時プレイ時は、主人公のストック数を全員で共有し、敵やトゲに触れると泡に包まれ、一定時間後に破裂してミスとなる。もし誰かがミスをした場合は、泡が破裂する前にほかの味方が割って救出すればストックが減らないようになっているので、同時プレイがより楽しくなるとともに、初心者にも遊びやすくなるよう配慮している。
ゲームオーバー後にコンティニューをすると、終了したステージから何度でも再開することができる(※ただし、得点はゼロになってしまう)。また、同じステージで3回ゲームオーバーになると、新たに敵に触れてもミスにならない、「ムテキでコンティニュー」を選択することも可能となる、これまた初心者に優しい救済措置も用意されている。
基本操作において、旧「バブルボブル」シリーズと異なるのは、泡の上に乗ってジャンプをする際の操作だ。旧シリーズでは、泡に乗ってジャンプする際はジャンプボタンを押しっ放しにする必要があったが、本作ではジャンプボタンを押さなくても乗ることができるようになった。なお、乗っている泡を割りたい時は、十字キーの下を押して踏みつぶすことで割ることができる。
また、初代「バブルボブル」では主人公がアイテムを取ることで、泡の連射速度、飛距離、泡が飛ぶスピード、および主人公の移動速度がアップする仕組みだった。だが本作では、これらのアイテムによるパワーアップシステムはなく、初期状態からでも泡を連射できるようになった。よって、もし途中でミスをしても、パワーアップのない状態からやり直しになるストレスを感じることがないのも好印象だった。
ステージごとに敵の配置や地形がまったく異なり、それぞれの攻略パターンを考えながらプレイするのも本作の楽しいところだ。だが、唯一気になったのは、ステージによって主人公が乗ることができる足場なのか、それとも単なる背景画なのかが、初見では区別がしにくい場所があったこと。特に、下から上にジャンプしたり、横から入るとすり抜けられる、青い半透明の足場が登場するステージは、どれが足場でどれが背景なのか、パッと見て区別しにくい場所が目立っていた感がある。足場にある地形と背景とは、より明確なルールを決めて描き分けたほうが良かったかもしれない。
得点稼ぎや、風の流れを利用した攻略パターンを研究すれば楽しさ倍増!
「バブルボブル」シリーズならではの面白さのひとつが、泡の連鎖割りを利用した得点稼ぎだ。本作も、泡を割るとその周辺にある別の泡も連鎖して割れるようになっているので、これを利用して一度に多くの敵をまとめて倒すと高得点が得られる。さらに、敵を倒すと出現するフード(得点アイテム)も、連鎖で多くの敵を倒すほど高得点のものが出現する。よって、一度クリアしたステージであっても、連鎖割りでいかに高得点を稼げるのかを研究することで、ゲームがより楽しくなる。さらに、各ステージで敵を全滅させると、同じく得点アイテムのクリアフードが出現するが、こちらは連鎖割を成功させるだけではなく、クリアタイムも速くなるほど高得点になる仕組みなので、最速のクリアパターンを研究するのもまた面白い。
各ステージで攻略の大きなポイントとなるのが、ステージごとにまったく異なる風(気流)の流れを把握することだ。背景をよ~く見ると、白い渦のようなものが流れていて、主人公がはいたり、画面外から自然発生した泡は、必ずこの流れに従って動くようになっている。通常のジャンプでは届かない位置にいる敵を倒したい、あるいは高い位置まで移動したい時は、風が上昇気流、すなわち上方向に流れている位置に向かって泡をはき、この流れを利用して移動することが必須テクニックとなるのだ。
なお、風の流れがわかりにくい、あるいは見えにくいという人は、設定メニュー内にある「風のみため」を「ふつう」から「こい」に変更すると風が濃く表示されるようになるので、「こい」設定に固定してプレイすることをオススメする。
特定のステージにだけ出現する、「E」、「X」、「T」、「E」、「N」、「D」の文字が書かれた「EXTENDバブル」を集める攻略パターンを構築するのもまた面白い。過去のシリーズ作品では、各ステージで連鎖割り数に応じてランダムに出現する「EXTENDバブル」をすべて集める(割る)と主人公のストックが増えるルールだったが、本作では「EXTENDバブル」を1個割るごとに主人公のストックが増えるので、これを狙わない手はない。
ただし、序盤のステージは比較的簡単に取れるが、ステージが進むにつれて主人公が直接入れない場所に出現したり、消滅するまでの時間が早くなったりするようになるので、集めるのがどんどん難しくなる。よって、正確に主人公を操作するテクニックだけでなく、風の流れも把握しつつ、どのように泡やスキルを使えば取れるのかを考えるというパズル的思考も要求される。さらに、同一エリア内の「EXTENDバブル」をすべて集めてクリアすると、スキルがレベルアップしてより強力になるメリットもあるので、ぜひ全バブルの獲得パターン構築にもチャレンジしていただきたい。
シンプルだけどもついつい夢中になってしまう、普遍的な面白さを堪能できる逸品
泡をはいて敵を倒す、あるいは泡に乗ってジャンプするという、シンプルかつ30年以上も前から体験しているアクションでありながら、本作を通じて今遊んでも面白いことを改めて実感することができた。また、歴代の「バブルボブル」シリーズのファンにとっては、過去作品をオマージュしたステージ構成やBGMが随所に登場するので、これらを見たり聞いたりするだけでもきっとうれしくなることだろう。
冒頭で、本作は初代「バブルボブル」と同じく全100ステージと述べたが、実は51面以降は、1~50面をより難しくした「ハードモード」という設定になっている。「ハードモード」では敵の数が増えていたり、最初からすべての敵が怒り状態(※通常よりも移動速度が速い)になっていたり、ステージによっては地形が異なるなど、その名のとおり難易度がより高くなっている。腕に自信のある人は、ぜひ100ステージを制覇にチャレンジしていただきたい。旧シリーズをやり込んだことがあるプレーヤーであれば、旧作での隠しゲーム(スーパーバブルボブル)を攻略した時と同じ感覚で楽しめるハズだ。
また、本作に収録された初代「バブルボブル」についても、筆者がアーケード版と比べて違和感がまったくなく、隠しコマンドやネームレジスト(名前書き)時に使える裏技もきちんと再現されたのも本当にうれしかった。敵を泡に包んで倒すだけでも快感で、連鎖割りやタイムアタックによる得点稼ぎを研究することでさらに楽しさが増す「バブルボブル 4 フレンズ」。旧「バブルボブル」シリーズ未経験者にもぜひおすすめしたい。
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