「DESOLATE」レビュー

DESOLATE

恐怖に打ち勝って隠された島の謎を解き明かせ!

ジャンル:
  • サバイバルホラー
発売元:
  • HypeTrain Digital
開発元:
  • Nearga
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
1,980円
発売日:
2018年2月9日

荒涼とした町
夜は怖さUP

 ホラーサバイバルのゲームは数あれど、こんなに気の休まらないゲームはなかなかない。夜が怖い。昼も怖い。町が怖い。町の外も怖い。もう全部怖い。ここにいる以上ずっと怖い。そんなオープンワールドホラーサバイバルゲーム「DESOLATE」(開発元:Nearga、パブリッシャー:HypeTrain Digital)がSTEAMにて2月9日早期アクセスゲームとして配信された。

 原因不明の大自然災害でおかしくなってしまった世界。その始まりの島「グラニーチニー島」。事実を隠蔽しようとする企業によって送り込まれたプレーヤーは、この島を歩き回って探索し、想像を絶する体験をしながら過去に起こった真相に近づいていく。

 まだ早期アクセスゲームということで粗さはあるが、魅力の片鱗を感じさせる「DESOLATE」。これからの伸びしろにも期待して、「DESOLATE」のおもしろさを紹介したい。

【DESOLATE - Launch Trailer】

プレーヤーとキャラクターは一心同体。一緒に怖い思いをして、一緒に頑張れる唯一無二の存在!

もう彼が心のよりどころ

 まず、プレーヤーが探索する「グラニーチニー島」は、ゲームタイトル通り荒涼とした島である。荒れに荒れた島。しかも冬。大地は凍っている。夜になると空にはオーロラが現われる。真っ暗な針葉樹の森にロシア語の看板。そこにプレーヤーが1人ポツンと手ぶらでいるのだから、もうこの状態でちょっと怖い。

 この島にはプレーヤー以外に「マッドマン」と呼ばれる狂人や1~3人でチームを組んで行動している略奪者、何のためにいるのかわからない「兵士」など人間も一応いる。しかし、島にいる人間はセーフゾーンにいる人間以外、すべての人がプレーヤーに襲い掛かってくるという認識でいてほしい。マルチプレイでない限りプレーヤーはしばらくの間、生きたまともな人間と会うことはできない。

 プレーヤーは「ボランティア」と呼ばれるキャラクターを操作することになる。この「ボランティア」、複合企業「新たなる光」という会社のボランティアで、祖国と世界をかつてのように戻したいと思って参加しているが、島の異変については全く知らない模様。「ボランティア」は「ウォッチャー」と呼ばれるの指揮官の指示のもとクエストをこなしていき、その過程で徐々に島の異変を体験していくことになる。ちなみに、指示は無線でしか飛んでこない。物語が進んでいくと「ウォッチャー」以外の人とも無線を通じで会話したり、セーフゾーンで会うこともできるようになるが、その道のりはかなり遠い。

 キャラクターには「体力」、「空腹」、「のどの渇き」、「精神状態」、「温度」の5つのステータスがある。島で起こる様々な現象によってかなり上下し、どのステータスも下方に向くと「ボランティア」の行動に制限が出るため、よく確認しながらゲームを進めなければならない。特に怖い目に遭ったり、驚いたりして「精神状態」が悪くなると、ケガのリスクが高くなったり、さらに「精神状態」を悪くする要因になってしまうので、早め早めにケアしたい。ただ、筆者は怖い思いをした後キャラクターが精神的に参っているのを見ると、プレーヤーと「ボランティア」の心境が一致しているみたいでなんだか嬉しかった。

 バックパックに入っている荷物には「回復」、「食料(飲み物含む)」、「道具」「クラフト用素材」のジャンルがある。各々使い道は分かれているが、「回復」アイテム以外でも「食料」を食べると少し「体力」が回復したりする。本作では「回復」アイテムはかなり希少なので「食料」などを上手に使って生き延びたい。

 「クラフト」は「調理」、「道具作成」、「武器強化」ができる。「クラフト」は作成するものによって必要な「道具」や作成できる場所が限定されているものがある。例えば「調理」で言えば「キノコシチュー」は「鍋」という道具が必要で「キャンプファイヤーやコンロの前」という場所で、という具合だ。

 そして、クラフトは至るとことに落ちているレシピを拾うことでレパートリーを増やすことができる。特に「武器強化」に関しては、前述のとおりゲーム前半では武器自体は拾うこと以外手に入れることができないので、あまり強くない武器を拾った時「武器強化」のレシピを持っているとその武器を有効活用できる。

 また、バックパックに入る荷物は、所持できる量に上限はないが、重さによって「ボランティア」の動きに制限がかかってくる。40kgまではいくら持ってもダッシュすることが可能だが、40kgを超えると歩くスピードが遅くなり、ダッシュが不可能になる。ダッシュが不可能になると、敵から襲われたときに逃げることができなくなるので、たくさん荷物を持つときはしっかり戦う覚悟を持って挑んでほしい。

 このゲームでは死んでしまってもゲームオーバーにはならない。死ぬと近場の復活ポイントかベースのどちらかから復活することになるのだが、その際バックパックに入っている荷物は全て死んだ場所に置き去りにされる。武器も調理用の道具も全部だ。10分以内に死んだ場所まで戻れば回収可能だ。ただ、死んだ場所によっては回収不可能だったり、回収に行く道中でまた死んでしまったりして回収できないこともある。しかし、回収できなくても全てのアイテムは再びどこかで必ず見かけるし、拾うことができる。ミイラ取りがミイラになってどんどん精神的に追い詰められていくくらいなら、あっさり諦めてしまうのも1つの手だと感じた。何よりクエストに必要なアイテムは拾ってもバックパックに入らず、別カウントとなるため再度探しに行かなくても大丈夫なので安心してほしい。

 ちなみに、このゲームでは「OASIS」と呼ばれるセーフゾーン以外安全な場所はない。ミッションを遂行しに1度出てしまうと他に休める場所はないので、常に気を張っていなくてはいけない。アイテムを落とすことよりも何よりもキツいのは目的地に到達する前までの道のりに他ならない。目的地にたどり着く前に死んでしまって、復活ポイントから再び出発するのは精神的にかなりきつかった。

会う人会う人みんな襲ってくる
レシピがあれば色んな料理が作れるように
セーフゾーンを見つけた瞬間の達成感がすごい

島全体が恐怖をあおる!

不思議な現象も起こる!

 「DESOLATE」は、ロシアの冬の島らしきところが舞台ということもあり、夜が長い。昼間と夜の時間の割合が1:2。基本暗い。兵士もいるし、電気を作っている素振りもあるのに、道には街灯はない。町も暗い。夜光っているのは月かオーロラか灯台かキャンプファイヤーくらいのものだ。「懐中電灯」をつければ10mくらい先までは見ることができるが、それでも暗い。しかも、「懐中電灯」をつけると狂人や略奪者、兵士に見つかりやすくなるリスクが発生する。前述したが、この島では人間に見つかると襲われる。

 冬の気候という演出だろうか、音がほとんどないこともある。真っ暗闇の中、まったくの無音で、ミュータント化した獣の唸り声や狂人の叫び声だけが響いているとものすごい孤独感に襲われる。また時折、人もいないのに女性の泣き声が聞こえたりしてさらに怖い。

 そして、この島には人間ではないというか、生き物でない“何か”も確実に存在している。突然現われては消える女の子、「ハンター」という人の形に似た姿の怪物。真っ暗闇の中人間や獣に襲われ、怖さMAXのときに出くわしてしまうと心臓が止まる思いをする。

 海外のホラーサバイバルだと思っていると、たまに日本のホラーゲームのような突然驚かせに来るといった描写もあり、油断しているとプレーヤーのメンタルも徐々に疲弊していく。正直筆者軽くトラウマ化した。

 また、この島では超常現象も起こる。触れると雷が空中で起こる電磁波が発生したり、無数の竜巻が1カ所に集中して発生したりしてプレーヤーの行く手を阻む。常識ではありえない異様な光景がいたるところで見られる。異常気象だって当たり前だ。もうこの島には何ひとつ信じられるものはない。そんな感じがした。

森の中。真っ暗すぎてどこを歩いているのかもわからない
さすがロシア。熊のミュータントもでかい
ありえない超常現象に脳が付いていかない

できるならマルチプレイがいい

 本作ではマルチプレイにも対応しており、1組4人までグループを組むことができる。

 何度かマルチプレイをしてみたが、マルチプレイではホストプレーヤーのミッションに同行する形となる。しかし、マルチプレイでどこのホストの部屋に入るか決める際、進行状況などは全くわからない。アクセスしてみて初めてホストプレーヤーがどういった状況かわかるため、自分が希望するクエストを一緒にしたい場合は自分でホストプレーヤーになるのが1番確実になる。

 また、ホストプレーヤーにアクセスしても初めに降り立つ場所はホストプレーヤーの近くではなく、自分が最後にゲームを終了した場所なので、ホストプレーヤーのクエストを手伝うためにまずは大移動、ということもある。

 プレーヤーが死亡した際、シングルプレイなら問答無用で復活ポイントかベースで復活となるが、マルチプレイの場合1分間蘇生の猶予が与えられる。その間に他のプレーヤーから蘇生してもらえればわざわざ復活ポイント等に戻らなくてもその場で再開できる。これはマルチプレイの大きな特徴だろう。

 しかし何よりも大きいのが、同じ空間にまともな人(仲間)がいるという精神的安心感だろう。セーフゾーン以外で出くわしても襲われない。コミュニケーションが取れる。時に協力しともに行動できる。これだけでかなりプレーヤーの精神が安定した。精神的に参ってきたら、マルチプレイに切り替えてプレイするのもおすすめしたい。

人に会えただけでうれしい
マルチプレイならではの蘇生待ち

まだ「早期アクセスゲーム」! ということで、いくつか気になる点も

 「DESOLATE」は冒頭でも紹介したように、有料のβテストに相当するアーリーアクセスのタイトルなので、メジャーバグがまだ散見される、たとえば、オートセーブであるにもかかわらず、ゲームを終了後再度ログインするとゲームが最初から始まったりする。この場合は、もう1度ログアウトして、ログインしなおすとセーブしたところから再開可能になる。

 また、ゲーム進行についても不十分な点が多い。ゲームを進めるにあたり、鍵となるアイテムが見つけにくいのだ。露骨にわかりやすいのも嫌だが、探しても探しても見つからないというのもキツい。偶然見つけたアイテムがものすごく小さくて思わず苦笑いしたほどだ。

 クエストにおいても進行不能となるバグに遭遇することがある。そういう時は思い切って1度ゲームを終了してみるとバグが直ることがあるのでアップデートがあるまでは、根気強くやっていただきたい。

 ゲームバランスも少し偏りがみられる。まず、最初にいた部屋からエレベーターに乗ると突然暗闇の屋外に放り出される。よくわからないまま、近くのキャンプファイヤーのところに行くと狂人が襲い掛かってくる。もちろん武器も何も持っていないので素手で殴る以外対抗する方法はない。何とか狂人を倒しても、「回復アイテム」を持っていないので「体力」を回復することができず、次に獣や人間に会ってしまうとあっさり死んでしまう。マルチプレイを前提として作られているためだろうが、シングルプレイだと敵の攻撃力と主人公の「体力」が釣り合っていない。このあたりはアップデートが進むにつれてこなれてくることを期待したい。

 ちなみに、グラフィックスは、Unreal Engineを採用している割にはやや表現が荒い気もするが、個人的には、むしろそれが恐怖をあおる感じがするので、これはこれでありな気がすると感じた。

 以上のことを上げてみたが、ストーリーや操作性のどこをとっても大変おもしろいというか“怖いゲーム”であることに間違いはないと思う。早期アクセスゲームということで、全3章のうち、まだプロローグ、第1章、第2章までしか公開されていないが、今後のアップデート、正規リリースなどに大いに期待できる。何より冬の島が怖い場所という認識が筆者にはなかったので、舐めてかかっていたぶんだけ、たっぷり恐怖を味わうことができた。ふたを開けたら思いのほか怖くて途中でプレイできなくなることもあった。「恐いけどおもしろい」。その一言に尽きる気がする。

 なお、2月20日までスペシャルプロモーションということで15%OFFの1,683円で購入可能だ。ぜひこの恐怖を体感してほしい