2018年2月19日 11:12
2016年11月にPS4/Xbox One向けに発売された「ファイナルファンタジーXV(以下、FFXV)」をスマートフォン用に最適化、オリジナルを踏襲したシステムと、まったく新しいグラフィックスでパッケージングしたのが、今回紹介する「ファイナルファンタジーXV ポケットエディション」だ。
先のPS4/Xbox One版は世界的なヒットを記録し、それ以外にもアニメ「BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV」、映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」と多彩な展開を見せている「FFXV」だが、その一方でスマートフォン全盛のこの時代、まだまだアプローチできていない人も多い。この後の記事で詳しく紹介するが、「ポケットエディション」はそんな人達にも十分届く手軽さとクオリティを両立した作品に仕上がっている。
コンシューマから変わらないこと、変わったこと
「FFXV」は、戦争状態にあったルシス王国とニフルハイム帝国を中心に物語が進行する。ゲームでは双方が停戦に合意し、和平の象徴として、ルシスの王子ノクティスは、神凪ルナフレーナと婚約。ノクティスが王都を出発するところからスタートする。これ以降、プレーヤーはノクティスを操作し、ニフルハイム帝国の思惑に翻弄されながらも世界を旅していくことになるが、驚くことに「ポケットエディション」では「FFXV」のメインストーリーが見事に再現されている。
グラフィックスはフォトリアルなオリジナルから打って変わって、5頭身程度のデフォルメキャラクターに変貌を遂げた。これに合わせて背景などもアニメ寄りになっている。キャラクターはセリフに合わせたリップシンクこそないものの、些細な動作、仕草で巧みに感情を表現してくる。またボイスもオリジナルとまったく同じで、スマートフォンだからといって重要な部分が削ぎ落とされていないのは大きなポイントだ。
もちろんスペックや容量の壁がある以上、変わっているポイントも多くある。もっとも大きいのはマップがオープンワールドからエリア制に変わっていることだろう。この変更に伴いサブクエストの数も最小限に留まっており、あくまでもメインストーリーを楽しむための作品という位置付けだ。
マップの構造は場所によってさまざまで、自由に移動できるマップもあれば、真っ直ぐ歩くだけでストーリーが進むケースもある。その一方で、アイテム収集などの探索要素もしっかりと用意されていることも強調しておきたい。点在する箱を壊せばポーションなどのアイテムが手に入るし、ところどころに料理の素材アイテムも置いてある。素材を集めたうえでキャンプをすれば、イグニスが得意の料理を披露してくれる。料理を食べると一時的にステータスが上昇するのもオリジナルと同じ。効率よく攻略するためにも、積極的に探索を行ないたいところ。
移動からバトル、シフトまですべてがタップ操作に集約
本作における一連の操作は、すべてがタッチ操作に集約されている。移動は行きたい方向をタップすればキャラクターが自動で動き始め、バトルのときは敵をタップすると攻撃するターゲットとなる。これ自体は他のスマートフォンアプリでもよくある操作方法なので、迷う人は少ないはずだ。
バトルでは多彩なアイコンが表示され、戦況もリアルタイムで変化していく。例えば敵から攻撃を受けたとき、画面中央にアイコンが出現。これを時間内にタップすればパリィで反撃したり、攻撃を回避できたりする。このアイコンが出る攻撃は大ダメージ必至なので、可能な限りパリィあるいは回避を成功させたいところだ。
また右下の武器アイコンをタップすれば、瞬時に該当する武器に変更することも可能。武器によって素早い攻撃を繰り出せたり、遅い代わりに重い一撃を与えたりと能力はさまざま。どれを使っても難易度が極端に変わることはないので、ショップで装備を整え、いろいろと試してほしい。
また「FFXV」といえば、敵キャラクターや特定のオブジェクトへ瞬間的に移動できる「シフト」も大きな特徴だ。「ポケットエディション」でもこのシステムは健在で、敵を長押しすれば対象の懐へ一瞬で入り、ダメージを与えられる。多くの敵と混戦になったときは重宝するテクニックだ。高い場所へシフトしてから攻撃すると、一撃で倒せるシフトキルが発生。このとき敵を立て続けにタップすれば一瞬で全員を倒すこともできる。
「FFXV」に触れてこなかった人、途中でやめた人にもおすすめのアプリ
本作は10個のチャプターに分かれており、チャプター1は無料でダウンロード可能、それ以降は有料配信という形態になっている。有料のチャプターもまとめ買いと個別での購入の2通りが用意されており、人それぞれの楽しみ方に対応している。
気になる人は、まずは無料のチャプター1だけでもプレイしてみるといいだろう。プレイスタイルにもよるが、メインストーリーを追うだけなら1、2時間程度でクリアできるボリュームに収まっている。
ストーリー自体はまったく変わらないため、PS4/Xbox One版を体験した人というより、興味はあったけど手を出さなかった、ハードを持っていなかったという人にこそおすすめしたい作品だ。また余計なものを削ぎ落とし、メインストーリーに特化しているという意味では、PS4/Xbox One版を途中でやめてしまった人も楽しめるかもしれない。PS4のトロフィーを確認すると、この原稿を執筆している2018年2月時点で「FFXV」の最後のチャプターをクリアした人は54.4%。裏を返せば40%以上が、ゲームを遊んだもののクリアはしていないことになる。「1度は脱落したけど、ストーリーだけは知っておきたい」、そんなプレーヤーにも手にとってもらいたい作品だ。
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