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「ストリートファイターV」、「ガイル」の性能をチェック!

「ソニックブーム」の変化と新技の使い心地はいかに?

4月29日 解放

価格:
7,990円(税別、パッケージ通常版)
7,398円(税別、ダウンロード版)
8,990円(税別、HOT!パッケージ)
11,990円(税別、VALUABLE EDITION)
12,990円(税別、VOLCANIC EDITION)

 アレックスの解放により、ますます対戦が加熱する「ストリートファイターV」に、早くも次なる戦士が姿を現わした。新たに戦いへ身を投じたのは、シリーズでもおなじみの「ガイル」。アメリカ空軍の少佐であり、本作に登場しているナッシュの親友だ。解放期間は「ゼニーショップがオープンするまで」で、それ以降もファイトマネーやゼニーを消費して購入すれば、そのまま使用できる。

 今回は、20余年にわたってガイルを使い続けてきた筆者が「ストV」の新生ガイルをプレイ。約40時間ほど使ってみたうえで、気づいたこと・気になったことをレポートしていく。本作における性能だけでなく、過去作との比較についても触れているので、「ストV」でどのような変更が施されたのかを知る一助としてほしい。

“待ちガイル”から自分から動ける“攻めガイル”へ

これまでのガイルはタンクトップに迷彩パンツという、いかにも軍人らしいスタイルだったが、本作ではアメリカ空軍の制服にサングラス姿。とはいえ、ゼニーショップでアレンジコスチュームを購入すれば、かつての衣装で戦うこともできる

 もともとガイルは、1991年にリリースされた「ストリートファイターII」のプレイアブルキャラクターの1人である。コンセプト的には、スキの少ない飛び道具・ソニックブームで相手を動かし、豊富な対空技を使いわけて迎撃していく対応型。

 とくに初代「ストII」や「ストIIダッシュ」では必殺技のソニックブームとサマーソルトキックが高性能だったこともあり、“待ちガイル”という言葉を生み出したほど強力なキャラクターだった。

 しかし、作品を重ねるごとにソニックブームを回避できる技が追加されたり、サマーソルトキックが弱体化したりして、安易な“待ちガイル”だけで勝利するのは難しくなっていく。本作でも、待つ手段よりも攻める手段のほうが増えたため、待って戦うだけでなく自分から動いて攻めることもできるキャラクターに仕上がっている。

基本技・特殊技はそのままに必殺技が大幅に変化

立ち中Kは「ストIV」の遠距離立ち中Kとほぼ同じモーション。出るまでに少し時間がかかるが、足の先端を当てるように使えば相手の飛び込みを一方的に迎撃できる
従来のガイルのものにくらべて、攻撃範囲がややせまくなった立ち強P。しかし、ここからしゃがみ中Pなどにつなげられるため、連続技の起点として重宝する

 過去に登場したガイルは、基本技に遠近の概念があるものが多かったが、本作は相手との距離によって基本技が変化することはない。基本技の数が減るため、使用感が単調になってしまうのでは? と危惧していたが、そこは一部の基本技を特殊技に逃がし、「ストリートファイターIV」とほぼ変わらない操作性となっている。

 気になった点と言えば、中距離の対空技として機能していたトルネーディーアッパー(遠距離立ち中P)が消えたことくらい。とはいえ、その距離の対空は本作だと立ち中Kでカバーできるため、対空環境自体に大きな変化はない。

 そして、新しく手に入れた武器が立ち強Pだ。ガードされると反撃を受けてしまうが、ヒット時にはしゃがみ中Pなどにつなげることができる。飛び道具を読んで飛び込んだときやクラッシュカウンター発生時のような確定状況では、連続技の要として活躍してくれるだろう。

 1つ問題があるとすれば、レバーをニュートラルに入れた状態でしか出せないので、溜めが解除されてしまう点。そのため、立ち強P→しゃがみ中P→ソニックブームorサマーソルトキックという連続技は、最速入力ではなく遅らせてキャンセルしなければ必殺技の溜めが完成しない。このあたりのシビアさは、「ストIV」のリバーススピンキック→しゃがみ中P→サマーソルトキックに共通するものがある。

 また過去の作品と同じ感覚で使える基本技・特殊技とは異なり、必殺技は大きく様変わりしている。ガイルといえば、スキの少ないソニックブームが魅力であったが、本作では発射後のスキが激増。これによって“中間距離でとりあえず撃っておく”といった使い方には、甚大なリスクが伴うようになった。

 ガイル同士の戦いにおいても、これまでは“ソニックブームの溜め時間を身体で覚え、どれだけ早くソニックブームを撃てるか”がアドバンテージを取るうえで大事だったのに対し、本作では“いかに読まれずにソニックブームを撃つか”が最重要になっている。

 一方、もう1つの必殺技であるサマーソルトキックも性能が変化。通常版は出際の無敵時間が削除され、投げと飛び道具に対してのみ無敵になった。地上戦で相手の攻撃に合わせて出すと一方的に潰されやすい反面、飛び道具を抜けつつの反撃は本作のほうがやりやすい。

 また、空中の相手に対する迎撃に関しては、基本的に過去作と同じように利用できる。そのほか、EX版は無敵時間があるため、こちらの起き上がりに重ねられた技への反撃や相手の連携に対する割り込みに使えるのはこれまでどおりだ。

近距離でソニックブームを撃ったときに見てから飛び込まれても、ガードするのがやっと。タイミングしだいでは、そのまま連続技を食らって大ダメージを受けてしまう
サマーソルトキックは、対空技としてはかなり信頼できる。弱で出せば、反応が遅れたときでも一方的に負けることはまれ。ゲージ状況によってはEX版を使うのも一手だ

VスキルとVトリガーにより新たな飛び道具が使えるように

 ガイルは長いあいだ、必殺技が2つしかないストイックなキャラクターというイメージがあったが、本作ではついに2つの新必殺技を獲得した。

 どちらもVスキルとVトリガーを利用したもので、単独の必殺技とはやや異なるものの、必殺技に分類されている。1つは、2ヒットする巨大な衝撃波を放つソニッククロスだ。

 ガイルのVスキルであるソニックブレイドは、その場に停滞する真空波を作り出し、これだけでも攻撃判定はあるのだが、ソニックブレイド発生中にソニックブームのコマンドを入力することで巨大な飛び道具・ソニッククロスを発射できる。飛び道具を持ったキャラクターとの対戦では、ソニックブームによる弾の相殺だけでなく、ソニックブレイドとソニッククロスをどう使っていくかも駆け引きの焦点になりそうだ。

 そしてもう1つは、ソニックブレイク。「ストリートファイターZERO」シリーズをプレイしていた人にはおなじみであろう、ナッシュのスーパーコンボの1つだ。

 Vトリガーのソリッドパンチャーを発動しているあいだは、ソニックブレイクが使えるようになる。ソニックブームの発射後に撃つこともでき、最大で合計5発までの連続発射が可能だ。これがケンセイにケズリに、そしてコンボに大活躍! 「ガイル1人だけオリジナルコンボでもやってるのか、オイ」と言いたくなるくらい、特殊な連係・連続技を実行できる。これもまた、今までのガイルにはなかった新しい魅力の1つと言えよう。

ソニックブレイドは飛び道具判定で、相手の弾を打ち消せる。直後にソニックブームを撃てるため、リュウやケンとの飛び道具合戦でも押されることは少なくなった
ソニッククロスは2ヒットするうえ、上下に広く避けられにくい。飛ぶスピードの遅い弱で出し、それを盾にして攻め込めば、相手にかなりのプレッシャーを与えられる
ソリッドパンチャーは、すべての基本技とソニックブームをキャンセルして発動できる。動作の大きい技のスキを軽減したり、連続技を伸ばしたりするのにも役に立つ
最大で5発まで連続発射できるソニックブレイク。しゃがみ中P→ソニックブームなどから連続ヒットするうえ、最後にCAのソニックハリケーンへつなげることもできる

【総評】ソニックブームに頼らずに戦うキャラクターへ変貌

 全体的な傾向としては、ソニックブームのスキの増大により「飛ばせて落とす」戦法がかなり難しくなったのは間違いない。その一方で、VスキルとVトリガーが加わり、やれることが大幅に増えた印象を受けた。

 ソニックブームを盾にして攻め込む往年の戦法は、ソニッククロスとソニックブレイクのおかげでより強力に。中間距離で、ソニックブレイドやソニッククロスなど、ソニックブーム以外の選択肢が増えたのもおもしろい。

 さらに、戦略の幅を大きく拡げたのがソニックブレイクだ。これまでのガイルは守りながら戦ってリードを奪い、そのまま勝ち切るタイプのキャラクターで、逆転性に乏しいイメージが強かった(作品にもよるが)。ところが本作では、ソニックブレイクを使った連続技で一気に大ダメージを与えられるため、逆転力がバツグンにある。また、相手に待たれたときもソニックブレイクを2~3発撃ち、それを足掛かりにして攻める手もある。

 往年のガイル使いとして、ソニックブームのスキに飛び込み攻撃を食らうようになってしまった点は実のところかなり寂しいが、代わりに、本作のガイルは複数の新たな武器を手に入れた、まさに“新生ガイル”と言えるのではないかと思う。

 これまでにガイルを使っていた人はソニックブームの弱体化にとまどうかもしれないが、それならばいっそ、本作で初登場した新キャラクターとして見てはいかがだろうか。さまざまな戦い方できる奥の深いキャラクターへ変貌した新生ガイルを、ぜひ楽しんでいただきたい。

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