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「ザ・シムズ4」拡張パック「The Sims 4 Outdoor Retreat」体験レポート

森の中で1人きりのテント生活、発見だらけのサバイバル旅行

森の中で1人きりのテント生活、発見だらけのサバイバル旅行

レンジャー小屋でテントやクーラーボックスを購入したら、冒険に出かけよう
たまにはひとりきりのサバイバルも悪くない。問題は外にあるトイレが虫だらけなことくらい

 町と変わらない快適な環境が整っているバンガロー生活では、大自然を感じられないという本格アウトドア派には、野外でのサバイバルライフに挑戦してみてはどうだろうか。この場合、シムの願望を新願望「アウトドア愛好家」に変えておくとなおいい。

 「アウトドア愛好家」を達成するには、Grantie Fallsで魚釣りをしたり、野生植物を探したり、ハーブ学のスキルを上げたりといったように、そこにある目標を達成してくことがすなわちGrantie Fallsのコンテンツを理解することにつながるような仕組みになっている。4段階まで上げると「サバイバー」の特質が手に入る。

 新スキルとしては「ハーブ学」が加わった。ハーブ学はリアルのキャンプにも必携したい「虫よけ塗り薬」のほか、風呂が面倒な時に便利な「消臭クリーム」、「ストレス解放煎じ薬」など、街での生活でも便利に使えそうな色々な薬を作ることができるようになるスキルだ。調理器具を使って、料理を作るような要領でハーブを調合する。出来上がった薬はワールドに配置することで誰でも使うことができる。

 ハーブ学スキルは、薬を調合するか、キャンプ場に生えている名前のわからない植物を鑑定することで上がっていく。鑑定を選ぶと、謎の植物をほんの少しだけ口に含んでそれが何かを特定する。丸ごとむしゃむしゃ食べることもできるのだが、もし毒草だった場合にはマイナスの効果を受けてしまうことがある。最初に鑑定できる植物はキャンプ場周辺に生えているものだけだが、レベルが上がればだんだんと鑑定できる種類が増えていく。他のスキルと同じように、本を読むことでも上げられるので、事前に家でたっぷり予習していくという手もある。レンジャー小屋にも「ハーブ学第1巻:レッツ調合!」が売っているので、大自然の中で読書するという贅沢な時間の過ごし方もありだ。

 ハーブ調合の材料には、昆虫も必要だ。Grantie Fallsには21種類の虫が生息している。この虫はケースに入れて飾ることもできるが、ハーブの材料にも使う。さらに木の枝にさして焼いて食べたり、料理の材料にも使う。前述した「アウトドア愛好家」の願望を満たすためには、甲虫を材料にした料理を2回食べるという条件もある。やはりサバイバルのためには、虫はごちそうということだろうか。ちなみに、川で釣った魚も木の枝にさしてキャンプファイアーで焼き魚にできる。

 キャンプ中のトイレと風呂はキャンプ場の公衆バスルームか、森の中にあるレンジャー小屋のものを借りる。森もキャンプ場もだいたいマップの中央辺りに、誰でも使えるトイレが完備されているので、好きな場所にテントを張ってキャンプしていても間に合わなくて恥ずかしい思いをすることはほぼない。

 あとは近くの川で魚を釣って焼き魚を作るもよし、楽器を弾いたりハーブ学の本を読んだりするもよし、昆虫や植物を採集して1日を過ごすもよし。シムたちの町は緑が多く、近くに魚釣りができる場所もあるので、ここに来るまではあまり新鮮みがないのではと思ったりもしていたのだが、やりこんでいくうちに日常から遠く離れた別世界のリゾートにすっかり浸っていた。

【1人で過ごすサバイバルホリデー】
キャンプ場案内からグッズ購入までとても便利なレンジャー小屋
1人でテントを張っていると、近くにいる宿泊客が遊びに来ることもある
虫を捕まえる。虫は装飾品の他、調合や料理の材料にもなる
あちこちに生えている植物を集める。ハーブ学のレベルが低いうちは種類のわからないものも多い
一口食べて鑑定するもよし、毒かもしれないがとりあえず全部食べてみるという手もある
グリルやコンロでハーブを調合して便利な薬を作れる
つり上げた魚を焼いて食べる。サーモンやバスなど食べ応えのありそうな魚も釣れる
甲虫を焼いて食べる。ここまでくればどうやっても生き残れそうだ

森の奥にひっそりと暮らす隠者の家はどこよりも美しい場所だった

森を探索中に見つけた怪しい入り口
奥には隠者が住む隠しエリアが

 Grantie Fallsの森には、さらにファンタジックな“隠者の隠れ家”がある。森のどこかに隠者がいるらしいという情報はレンジャーが教えてくれるが、場所に関するヒントはまったくない。筆者も、植物と虫を探して森をうろつきまわっている時に入り口を偶然発見したため、どこにあると詳しいことが説明しづらい。

 入り口は植物のつるが垂れ下がるいかにもな雰囲気で、茨をかき分けて奥へ進んでいくと、時々2択の質問が出てくる。ほとんどの質問が脇目も振らずに進むか、途中で立ち止まるかという内容になっていて、筆者が試した限りでは多少間違えていても最後にはたどりつくことができた。

 洞窟の奥には広いエリアがあり、その中央辺りにカントリー調のとても素朴な雰囲気の家がある。ここに隠者が住んでいる。見た目はシニアで、植物に水をやったり付近を散歩したりして、“隠者”というよりは老後に悠々自適な田舎暮らしをしているという雰囲気だ。男性の隠者と女性の隠者がいるが、友人関係などは毎回リセットされていたので、どちらが出てくるかはランダムなのかもしれない。隠者はハーブ学のプロフェッショナルで、仲良くなると「キノコ入り肥料」のレシピを教えてくれる。「アウトドア愛好家」の第3段階には「隠者と友達になる」という項目があるが、見た目の雰囲気とは裏腹にかなりフランクな人で、すぐに打ち解けることができた。

 そんな感じに隠者と出会ってシムたちの休日は終わった。町に戻ってからも、ゆっくりと休暇を過ごしたシムたち全員にしばらくは良い影響が続いていた。さらに、キャンプ場ではいつもクマの姿で足繁く遊びにきてくれていたシムが、普通のアウトドア衣装で町の自宅にも遊びに来てくれた。どうもうちの家族を気に入ってくれたらしく、その後もことあるごとに遊びに来て、ついには同居することになった。それはいいのだが、クマの衣装を隠し持っているせいで、普通の服だというのにシムたちがクマの気配を感じて緊張してしまうのは困りものだ。

 数日間をGrantie Fallsで過ごしてみて、すっかり心が洗われた気分になれた。屋外のトイレを使ったら虫だらけだったり、自分の周りをブンブン飛び回る虫を追い払ったりと虫関連でやたらリアルな描写には、きっと制作者の実感がこもっているのだろう。キャンプと言えばこれでしょ! と誰もが思いつきそうなアイテムやイベントなどがこれでもかと盛り込まれており、一通りこなせば実にキャンプらしい思いで写真がたくさん集まる楽しい休日となった。

 実は野生動物との出会いも期待していたのだが、空をワシが飛んでいるのと、着ぐるみのクマ以外には出会うことができなかったのは少し残念だ。今回のレビュー用にメインで動いてくれていたアウトドア好きの長女が途中でシニアになってしまったり、一緒に釣れてきたおじいちゃんとおばあちゃんの寿命が来てしまい、途中からゴーストでの参加になったりとハプニングもあったが、きっとそういうのも含めてキャンプの醍醐味なのだろう

 田舎暮らしに憧れつつ、忙しい毎日を送っている人なら、とりあえずシムと一緒にGrantie Fallsを訪れて、カントリーライフの美しさや虫の多さを体験してみてはどうだろうか? そうでない人も、大量に追加されたアイテムのために十分手に入れる価値はあるだろう。

【隠者の隠れ家】
隠者の出現には条件があるようで、会えたのは2度目の訪問から。この時には男性の隠者が出迎えてくれた
隠者の住んでいる家。カントリー調でとてもかわいい
隠者は意外とフランク。すぐに打ち解けて友達になることができた
隠者の家周辺の景色は、キャンプ場の他のエリアに比べると幻想的な雰囲気がする
Amazonで購入

(石井聡)