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「艦これ」2014年秋イベント「発動!渾作戦」プレイレポート

統括:イベント全体の難易度は低めながら、素直でバリエーション豊かな内容

イベント全体の難易度は低めながら、素直でバリエーション豊かな内容

連合艦隊を主体にしつつ、多彩な戦いを楽しめるイベントだった

 今回のイベントは、これまでの季節イベントに比べると難易度は低めだった。金曜日にイベントが開始された後、数日経たないうちに攻略を終えてしまう提督も見受けられた。「艦これ」のイベントと言えば、「ボス前で大破しまくる!」、「最後のボス撃破ができない!」という提督たちの悲鳴がTwitterなどで響き渡るのが常であったが、今回はそうでもなかった……と思うと、逆に少々物足りなく感じるのは、過去の辛い経験に慣らされすぎただろうか。

 難易度が低く感じられた要因はいくつかある。進行において索敵値が重要なのは従来どおりながら、夜戦マスが連続するような理不尽なマップはなかったのが大きい。また連合艦隊での出撃が基本となっていたため、道中での大破が出づらかった上、「艦隊司令部施設」による護衛撤退も可能だったこともある。長くプレイしてきて戦力が充実した提督ならば、スルリと抜けられるバランスだったと言えるだろう。

 難易度は低めだったとしても、第1海域から連合艦隊での出撃になることや、第2海域が駆逐艦中心の編成になること、第3海域が編成に影響を受けやすいルート設定になっていたことで、バリエーション豊かな海域が楽しめたのは確かだ。イベントとしてのお祭り感は普段以上に感じつつ、ストレスや無理を感じず楽しめるものだった。

 また今回新登場のボスとなる「駆逐棲姫」と「空母水鬼」は、深海棲艦ならではの禍々しさは薄く、綺麗な外見だったのも印象的。毎回、絵柄の方向性が違うのもイベントの楽しみの1つである。報酬の艦娘はもちろん注目すべきだが、新規イラストを楽しめる要素としては敵にも注目してもらいたいと思う。

【スクリーンショット】
第2海域のボス「駆逐棲姫」と、第4海域のボス「空母水鬼」。新ボスは毎回密かな人気が出る存在だ

 報酬的には大型艦が少なく、戦力増強という点ではさほど期待できない。以前は「大和」や「武蔵」といった大型艦が報酬になっていたこともあるので、当時を知る提督としては物足りなさを覚えるかもしれない。ただ最近は、イベントはお祭りとして楽しむという方向性になりつつある。「イベントだから豪華な戦艦を出そうか」とできないのが、史実を基にする本作の苦しいところではあるが、他で充実させようという努力の方向性は最近のアップデートからも感じられる。

 最近のアップデートで通常海域が増えるとともに任務も充実し、全ての任務をこなそうと思うと相当な分量になっている。自分のやりたいものをマイペースに進めるという遊び方なら、やることがなくなるということはなさそうな状況になってきている。今から始めたいという人も含め、幅広いプレーヤー層を受け入れられるボリュームはできてきたように感じる。しばらく遊んでいないという人が戻ってきたら、かなりの変化が感じられるはずだ。

 あとはタイトルにもなっているコレクション要素が気になるところ。1年以上プレイしているベテラン提督では、ほぼ全ての艦娘を集めている人も多い。その後の改造も入れれば、図鑑をパーフェクトに埋めるのは簡単ではないが、「コレクションする楽しみ」を柱に持ってきて遊ぶのは、そろそろ限界だと感じる提督も多いはずだ。

 そもそも旧日本海軍の艦艇は有限なので、無計画に実装していれば先がなくなるのは必然。かと言って海外艦をどんどん入れると、ほぼ壊滅した旧日本海軍との対比で生まれる悲壮感のような、元々の世界観を壊してしまいかねない。

 となると、あとはゲーム的な広がりを期待したいところだ。ブラウザゲームでありながら、未だソーシャル要素がほぼないというのが気になる。プレイを強いるような競争や協力要素は求めていないが、他のプレーヤーとゆるい繋がりを感じられるコミュニティ要素は欲しいなと思う。ひとりで遊んでいるのに、他のプレーヤーとの一体感がある……と感じられるのは、同時期にプレイを始めた人がいてこそ。時間が経って戦力が概ね横並びになり、ゲーム内容もあらかたわかってしまうと、なかなか話題にすることもなくなってしまう。

 「艦これ」はコンテンツとしてはそろそろ限界、などと言う人もいる。しかし事実として、現在も数千人の新規プレーヤー募集枠が公開開始から数時間でなくなる状態なだけに、勢いが衰えたとは言い難い。未だ制限付きでしか募集できないという状況にも問題はあるが、そこも含めて、まだまだコンテンツとして広げられる余地はある。

 「任務を全部やる」から「疲れたから止める」への急変化ではなく、のんびりマイペースでいいので、少しずつでも遊んでおいて欲しいなと、一提督として願っている。

【スクリーンショット】
新たな改造や新要素も次々に導入されている。プレイの幅も広がり、自分なりの楽しみ方ができるようになってきた

(石田賀津男)