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【ホビー特別企画】「クロスファイトビーダマン」アジア大会密着レポート

日本、そしてアジアのライバルと、少年マンガのような激闘を繰り広げる!

【クロスファイトビーダマンアジアチャンピオンシップ】

8月開催

タカラトミー青戸オフィス

 「ビーダマン」は3頭身のロボット型フィギュアのお腹の部分に穴が開いており、そこから勢いよくビー玉を撃ち出すことができる玩具である。ロボットは様々な種類があり、コミックやアニメでも展開し、キャラクター玩具としての側面も強い。

「クロスファイトビーダマン」は発射機構の“コア”に様々なパーツをつけていく。ビーダマン1体は、パーツなども含めて組むと3,000~4,000円くらいだ

 最新シリーズの「クロスファイトビーダマン」では、竜をモチーフとした「ドラグレン」や、ライオンモチーフの「レオージャ」など多彩なロボット「ビーダマン」が存在し、しかもそこから無数のバリエーション展開が行なわれている。全体的にトゲトゲしたデザインで、わかりやすい格好良さがある。

 「ビーダマン」の面白さはこのロボット玩具としての楽しさと、“ビー玉を飛ばす”という遊びが深く関係しているところにある。連射力を上げるためにコアパーツを交換したり、たくさんビー玉が入るようにマガジンをつけたり、まっすぐビー玉が飛ぶように銃身を取り付けたり、目的に合わせて外見が大きく変わり、まるで“大砲ロボ”のような格好になる。ロボットとしてのロマンと、目的に合わせた実用的なカスタマイズという両方の楽しさを追求することで、「僕のレオージャ」、「俺のドラゼロス」といった自分だけのビーダマンを創ることができるのだ。

 筆者も存在は知っていたものの子供向け玩具ということもあり、関心の対象の外だったが、6月に行なわれた「次世代ワールドホビーフェア」で開催されていた。「クロスファイトビーダマンアジアチャンピオンシップ予選」を観戦して大きな驚きと出会ったのである。“競技”ができるほどにしっかりした遊びが楽しめる子供向けホビーになっていることを知ったのである。

 次世代ホビーフェアでは、「5メートルの板の上をまっすぐビー玉を転がす」、「大きな円柱をビー玉の連射力で前に押し出す」という2つの競技での大会を行なっていた。競技に挑む子供達は真剣で、ビーダマンを操るその姿には“技術”を感じた。単純にビー玉を撃ち出すだけではなく、まっすぐ玉を撃ち出すためや、連射するためのパーツ選択が必要で、競技で勝つためには、きちんと練習が必要なことがわかったのだ。高得点を上げる子達はビーダマンを理解し、その特性を活かしているのが伝わってきた。かなり奥深い遊びなのではないかと、その時思ったのだ。

 そこで、この夏行なわれたビーダマンの「日本代表戦」と、台湾、韓国、香港の子供達を交えて開催された「クロスファイトビーダマンアジアチャンピオンシップ」を取材することにした。次世代ホビーフェアの大会は、この戦いに参加するための予選の1つだったのである。本戦では、日本全国から予選を勝ち抜いた子供達が集まり、日本代表を決定し、続いてアジアのライバル達との激しい戦いが繰り広げられた。

 子供達の戦いといえど、読み合いやチャンスの時の集中力はすさまじく、観戦していてもぐっと引き込まれた。その戦いを征したのは朝から激戦を繰り広げ続けた日本人選手だった。緊張感の続く戦いの中、コミックそのままの逆転劇を展開したその熱い戦いをピックアップしたい。さらに「ビーダマン」の歴史や、開発者達が込めた想いも取り上げていきたい。

連射力、正確さ、駆け引き……様々な要素が絡み合う日本代表決定戦

日本全国の予選を勝ち抜き集まった35人の選手

 「クロスファイトビーダマンアジアチャンピオンシップ」は8月にタカラトミーの青戸オフィスで行なわれた。大会は2部構成になっており、最初は全国の店舗大会、そして「世代ワールドホビーフェア」での予選を勝ち抜いた35人の子供達が日本代表の座を競った。

 ビルには大きな幕が掲げられ、雰囲気を盛り上げていた。大会の参加資格は小学生ということもあり、一般公開は行なわず、ギャラリーとしては参加者の家族が集まった。参加者は様々なケースにビーダマンやパーツを入れて参加していた。応援の家族もかなり気合いを入れていて、ギャラリー席の最前列はカメラやビデオを持つ家族達でいっぱいになり、盛んに声援が上がっていた。

 日本代表は2人。この2つの席を35人で争うこととなる。最初は4つの競技に挑戦しその総合点から上位8人がトーナメントによりぶつかるという流れだ。4つの競技はビーダマンの“腕”を競うユニークなものが用意されていた。

 「スーパーロングブリッジ」と呼ばれる競技は「次世代ワールドホビーフェア」でも登場した5メートルのまっすぐなレールの上を外さずにビー玉を転がす競技の進化版で、距離がさらに長くなっている。「スーパーBシューティング」は大会用の特別な大型電動フィールドで、左右に動く的に向かってビー玉を当てる。

【スーパーロングブリッジ】
5m以上のレールの上を外すことなくビー玉を飛ばす

【スーパーBシューティング】
動く的を当てる。正確さと連射力が求められる

 「メテオボンバー」と「DXブレイクボンバー7 タイムアタック」は製品として発売されているものを使った競技となる。「メテオボンバー」はホッケーで使うようなプラスチックの“パック”をビー玉で相手ゴールに押し込む。「DXブレイクボンバー7」は電動で動く中央の本体に積まれたボム(ブロック)を、ダルマ落としの要領でビー玉で打ち抜いていく競技で、通常は対戦で遊ぶが、競技では1人で行なう。

【メテオボンバー】
製品として販売されている「メテオボンバー」。パックを敵ゴールに押し込むと得点で、2ポイントで勝利

【DXブレイクボンバー7 タイムアタック】
対戦用の「DXブレイクボンバー7」を1人用に。最上段の緑のボム(ブロック)を押し込むと得点になる

競技の合間にお互いのビーダマンを見せ合うシーンも
大会当日、青戸オフィスは大きな垂れ幕が掲げられた

 「クロスファイトビーダマン」はロボット型のフィギュア“ビーダマン”のお腹の部分に「コア」というビー玉を打ち出す機構を内蔵している。コアはビー玉を押さえる爪や、押し出すレバー(トリガー)などによって性能が異なり、正確にまっすぐ打ち出すものや、バックスピンをかけるもの、連射力に優れるもの、パワーに秀でたものなどがある。

 この他にビーダマンを保持しやすくするアームや、ビー玉を溜めておくマガジン、まっすぐに打ち出すためのバレルなどのパーツもある。選手達はこれらでビーダマンをカスタマイズする。ボディはメッキ塗装のきらきらしたもの、デザインがトゲトゲしたものなどなどがアリ、パーツも機能を備えつつ見た目が派手なものも多い。正確さ、性能の良さを突き詰めるだけでなく、おもちゃとしての子供らしい派手な格好良さも求めているところが「クロスファイトビーダマン」の魅力といえる。

 各競技はビーダマンの様々な“技術”が試される。スーパーロングブリッジでは5メートル以上をまっすぐ転がすという発射の正確性が求められるし、スーパーBシューティングは正確さと素早さ安定した発射が求められる。

 「メテオボンバー」は相手にいかに邪魔されずにパッドを押し込むか、またいかに相手の妨害を避けてゴールを目指すかが求められる。「DXブレイクボンバー7」は決められた弾を無駄にせずブロックを打ち抜かなくてはいけない。この2つの競技は公式競技として発売している製品を使った競技のため、どう撃ち込めばいいのか、どのタイミングで撃つのがいいのかといった“コツ”を知っていればグンと有利になる。

 スーパーロングブリッジ以外の競技では、いかにうまくマガジンにビー玉を入れ、正確に当てるかで実力の差が大きく出る。競技には制限時間があり、決められた時間内でできるだけ得点を挙げなくてはならない。じゃらじゃらとビー玉を集め、焦る気持ちを抑えてマガジンに入れる。スポーツと同じで子供達の運動神経が重要となるが、練習で実力を高めていけるように感じた。この4つの競技の総合点で上位8人が選出された。

【日本代表戦】
4つの競技を2回行ない、上位4人が選出された

【選手達のビーダマン】
各選手それぞれがこだわりのビーダマンを持ってきていた

(勝田哲也)