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【ホビー特別企画】「クロスファイトビーダマン」アジア大会密着レポート

激戦が続く過酷な状況を制した日本代表Ryoto選手がアジアNo1に!

チャンスを逃さず打ち込む、緊張感のある決定戦

イベント用の特別な「DXブレイクボンバー7」。左右に動く壁のタイミングが変化する
日本代表となったShohei選手(左)とRyoto選手

 日本代表決定戦と、アジアチャンピオンシップは「DXブレイクボンバー7」でぶつかった。DXブレイクボンバー7は対戦する2人の間に動く壁のような本体があり、この壁に「ボム」と呼ばれるブロックが積まれている。ボムは最下段のみビー玉で崩すことができ、だるま落としのようにボムは低くなっていく。

 最上段は色が変わった緑のボムはファイナルボムと呼ばれており、このファイナルボムを相手陣地に入れることで得点となる。ボムは全部で7列あり、ファイナルボムを4つ相手側に入れれば勝利となるのだ。上位の戦いでは競技用の特別な台が用意され、戦いを盛り上げた。

 DXブレイクボンバー7はかなり駆け引きが重要となる。青いボム(ノーマルボム)を相手に崩させ、ファイナルボムは必ず相手側に押さなくてはならない。このためここぞというタイミングに正確に素早く連射する必要がある。ところが、ビー玉を連射するとあっという間に打ち尽くしてしまう。

 リロードするためにフィールドに散らばったビー玉をかき集め装填しなくてはならないが、その間は無防備になる。この打ち込むタイミングとリロードをどうするか、時にはお互いが待ちに徹してしまうこともある。そのときはカウントが始まり、10カウント以内に打ち込まなければそこで試合終了となってしまう。

 DXブレイクボンバー7での日本代表決定戦は、これまで以上の緊張感の溢れるものとなった。日本の選手の間では相手に打ち込ませチャンスを狙う“カウンター”戦略が流行しているようで、相手の攻撃を待つという姿勢の選手が多かった。驚かされたのは彼らの集中力である。ここぞという時のビー玉の連射力と正確なショットはかなりなもので、選手達の気合いも伝わってきて、見ているこちらもグッと引き込まれた。

 見事に勝ち残り日本代表となったのは、Shohei選手とRyoto選手。Shohei選手は「次世代ワールドホビーフェア」で10回以上も競技にチャレンジし、予選のスコアを上げるためひたすら練習をしたという。Ryoto選手は家族と対戦して腕を鍛えていたとのことだ。彼らは、台湾、香港、韓国の選手とアジアNo1を競うこととなった。

【日本代表決定戦】
最上段の緑のボムを相手側に入れれば得点となる。この戦いでは、最後に相手選手はポイントを勘違いしてしまい、Ryoto選手の出方を待ってタイムアウトしてしまった

【日本代表決定戦2】
こちらはも相手の攻撃を待ってのカウンターだったが、ここぞという時の連射力と正確さに注目して欲しい

激戦が続く過酷な状況を制した日本代表Ryoto選手がアジアNo1に!

台湾、韓国、香港、そして日本の選手が集い、アジアNo1を競った

 アジアチャンピオンシップはこの大会のために招待された台湾、香港、韓国の選手2名とその家族、現地スタッフも参加しさらに賑やかなものとなった。試合が始まる前に休憩時間があったのだが、日本代表戦に使われた様々な競技フィールドをみんなで遊んでいる姿が印象深かった。スーパーBシューティングやスーパーロングブリッジに何度も挑戦している子もいた。

 大会会場には普段プレイすることのできないビーダマン専用の競技フィールドがあり、自分と同じようにビーダマンに夢中になっている子と遊ぶのはとても楽しい様で、見ていて微笑ましかった。一緒に遊ぶだけでなく、自分のコレクションを見せ合う子達も多かった。各国の子供達もみんなで様々な交流を行なっていた。

 そしていよいよアジアチャンピオンシップが始まった。最初は8人の選手を2つのブロックに分け、その中でDXブレイクボンバー7での総当たり戦を行なった。戦いは3ラウンド制で、2ラウンド先取した方が勝ちとなる。ここでの勝利数を基に上位2人が準決勝戦へ進むのだ。予選AブロックにはShohei選手、予選BブロックにRyoto選手が参加した。

 Ryoto選手は時には相手にラウンドを取られることはあっても粘り強く戦い、全勝し予選Bブロックを1位通過した。Shohei選手は台湾と香港の選手に敗れ、準決勝に進むことができなかった。特に台湾のHsiang Yung選手は相手に1ラウンドもとらせない試合で、圧倒的な強さを見せつけた。Shohei選手は「台湾の子はとにかく早かったです」と試合を振り返った。

【アジアチャンピオンシップ】
アジアチャンピオンシップは2ブロックに分かれた選手がリーグ戦形式でぶつかり合った。各ブロック上位2名が準決勝に進出した

見事アジアNo1となったRyoto選手。後半は緊張感のある試合の連続で、かなり消耗を伺わせたものの、ぎりぎりの勝利を手にした
2位となった台湾のPin Han選手。まだ8歳だという

 予選Aブロックは台湾のHsiang Yung選手と香港のMan Hin選手、予選BブロックはRyoto選手と台湾のPin Han選手が勝ち進んだ。準決勝では組み合わせとして台湾の選手同士がぶつかることになった。予選Aブロックを1位通過したHsiang Yung選手はPin Han選手に敗れてしまった。

 Ryoto選手はリーグ戦で劣勢から挽回することが多く、かなり精神力を使っていたようで疲労の色が見られた。他国の選手と違い、日本代表決定戦から連続して試合をこなしているのだ。準決勝でも相手にラウンドをとられ、そこから気持ちを奮い立たせて戦い、ぎりぎりの勝利を手にした。

 Ryoto選手とPin Han選手による決勝戦は“激闘”という言葉がふさわしい戦いとなった。お互いがラウンドをとった最終戦、ファイナルボム獲得数3-3状況からの激しいショットの応酬の余り、DXブレイクボンバー7本体にトラブルが発生したため、両者の了承を得て異例の再試合となった。最後の戦いではPin Han選手が連続で3つのファイナルボムを押し込み決着はついたと思われたが、ここからRyoto選手が逆襲、3:3に追いつきここでも最後のファイナルボムを巡っての戦いが繰り広げられた。ぎりぎりの戦いを制したのはRyoto選手。見事アジア大会の覇者となった。

 家族と練習をし、パーツを買いそろえたビーダマンで様々な競技に挑戦、ライバルと戦いながら勝ち進み、世界のライバルとの戦いに勝つ。駆け足ではあるが、児童向けマンガそのままの熱い戦いが展開した。Ryoto選手は緊張感の続くかなりきつい戦いを制し、勝利を手にした。

 「クロスファイトビーダマン」は見た目も、ビー玉を発射する機構も“おもちゃ”そのものである。しかし、そのおもちゃをベースにきちんと競技として成立させ、「アジアNo1」という戦いを実現したタカラトミーの“力”には感心させられた。この戦いを体験したり、観戦した子供達にとって、強い記憶を残すものになったに違いない。ホビー、そしておもちゃの大きな可能性を感じた大会だった。

【アジアチャンピオンシップ決勝戦】
Ryoto選手とPin Han選手による決勝戦。ラスト1個のボムを巡る戦いが熱く、最終戦は仕切り直しも入る激戦となった

【アジアチャンピオンシップ】
試合前は各国の選手も日本の選手と混じり交流していた
アジアチャンピオンシップも選手の家族やギャラリーが大きな声で応援していた

(勝田哲也)