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【E3 2013】スクエニ、「SQUARE ENIX - THE FUTURE -」で「FFXV」実機デモを披露

「FFXV」と「KH III」のXbox Oneへの展開を正式発表。Wii Uへの展開は否定

6月11日~13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 スクウェア・エニックスはE3初日の6月11日の朝、「SQUARE ENIX - THE FUTURE -」と題したプレスカンファレンスを開催した。カンファレンスには、6月に新社長に就任する松田洋祐氏を筆頭に、スクウェア・エニックス 第一製作部Vice President兼ファイナル・ファンタジー・ブランド・ディレクターの橋本真司氏、「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏、「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」と「ファイナルファンタジーX/X-2 HD リマスター」のプロデューサーを務める北瀬佳範らが登壇し、スクウェア・エニックスの最新ラインナップを披露した。

【FINAL FANTASY XIV "CRYSTAL'S CALL" トレーラー】
「FFXIV: 新生エオルゼア」βフェーズ3以降の内容を盛り込んだ最新トレーラー

【FINAL FANTASY XV 2013 E3 トレーラー】
SCEAのプレスカンファレンスで初披露された「FFXV」トレーラー

「ファイナルファンタジーXV」の実機デモを初披露

今回紹介された最新ラインナップ
スクウェア・エニックス代表取締役社長松田洋佑氏
「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏
スクウェア・エニックス 第一製作部Vice President兼ファイナル・ファンタジー・ブランド・ディレクターの橋本真司氏

 「SQUARE ENIX - THE FUTURE -」は、文字通りスクウェア・エニックスの未来を提示するイベント。前半は各作品のプロデューサーによるタイトル説明が行なわれ、後半では「ファイナルファンタジーXV」プロデューサーを務める橋本真司氏によるスペシャルQ&Aセッションが行なわれた。

 まず始めに挨拶を行なった松田洋佑氏はスクウェア・エニックスCEOとして登壇し、「『FF』シリーズは毎回注目を浴びるシリーズであり、今一度素晴らしいブランドであることを示したい。昨期の業績や社長交代により心配を掛けたが、E3 2013を基点に前進していくことをお見せしたい」と挨拶し、新体制においても「FF」シリーズは変わらず旗艦ブランドとして押し出していくことをアピールした。

 続いて壇上に上がった吉田氏は、全編実機からキャプチャした最新のE3トレーラーを披露し、「『FFXIV』はMMOでありながら『FF』らしさを前面に押し出した作品。PC版はもちろんのことPS3版にも自信を持っている。PS3でこれだけのクオリティで遊べるのは『FFXIV』だけ」とPS3版の仕上がりに自信を覗かせた。「新生エオルゼア」としてリローンチしたことについては特に触れず、ナンバリングの最新タイトルとして存在感を見せた。

 昨日のSCEAのプレスカンファレンスで発表したPS4版については、2014年のリリースを予定していることを告知し、PS3版の購入者に対しては、PS4にスムーズに移行できるような施策を現在SCEと協議中であることを明かした。「ドラゴンクエストX」のような旧ハードのユーザーに対する廉価での提供、あるいは無料提供を実施すると予想されるが、楽しみに正式発表を待ちたいところだ。

 そして今回の主役である「FFXV」プロデューサーの橋本氏が登壇した。橋本氏は、昨夜の発表から大きな反応があり、昨夜はなかなか寝付けなかったことを明かし、ようやく正式発表できたことに安堵感をにじませた。

 続いて「FFXV」について、DirectX 11で製作していることを明らかにし、そのツールによって様々なハードへのポーティングが可能になったとし、昨夜のPS4版の発表に続けて、Xbox Oneにも展開していくことを正式発表した。また、「FFXV」のあとに紹介された「キングダムハーツ3」についてもXbox Oneへの展開を発表。こちらは「キングダムハーツ」シリーズ初のXboxへの展開となる。発表会には日本でXbox事業を担当する日本マイクロソフト執行役の泉水敬氏が参加していたが、謎が解けた感じだ。

 橋本氏は続いて世界初となる「FFXV」の実機デモを披露した。実機デモでは、トレーラーで紹介している実機映像部分の拡大版といった感じで、広場でのベヒーモスとのバトルや、次々にビルを飛び渡っての空中バトル、海中シーンや、ビルの駐車場のような薄暗い建物の中をベヒーモスがのしのし歩くシーンなどが紹介された。撮影禁止ということなので写真で公開できないのが残念だが、パフォーマンスやビジュアルエフェクトは未調整のα前のバージョンといった感じで、姉妹作の「FFXIV」の仕上がりと比較すると、まだ発売には時間が掛かるという印象を受けた。

 トレーラーや実機デモを通じてもっとも驚かされるのは、「FF」シリーズ伝統のターンベースRPGの形を捨て、アクションゲームのスタイルを採用していることだ。「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」で採用された大胆なアクション性をもっともっと進化させたような、語弊を恐れずに言えば「キングダムハーツ」シリーズのようなアクロバティックなアクションゲームに仕上がっている。

 予想通り、Q&Aセッションでもこのアクション性についての質問が集中し、あまりの多さに橋本氏も苦笑を隠せないほどだった。予想以上に海外では「FF」≒ターンベースバトルの方程式が浸透しているようで、賛否両論あるターンベースバトルを排除し、アクション性を全面的に取り入れたことに関する戸惑いが感じられた。続いては橋本氏のQAセッションの模様をお届けする。QAセッションは基本的に英語のだったため、誤訳、言葉足らずはご容赦いただきたい。

【そのほかの登壇者】
北瀬氏は「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」と「ファイナルファンタジーX/X-2 HD リマスター」のプロデューサーとして英語バージョンを披露
Disney Interactive Co Presidentのジョン・プレサント氏は、「キングダムハーツ3」でのコラボレーションについて語った

「FFXV」に対する期待と不安が入り交じった橋本氏へのQAセッション

QAセッションでは多くのメディアが質問の列を作った
海外メディアの勢いのある質問に終始苦笑気味だった橋本氏

——「FFXV」と「キングダムハーツ3」のXbox One版は北米限定か?

橋本氏:そんなことはない。世界中で展開する

——「FFXV」の世界観は?

橋本氏:「FFXV」は壮大なドラマを持ったRPGで、いろんな予定はあるが、今回は「FFXV」というかたちで出して、ストーリーの詳細に関してはインタビューでお答えしていくつもり。

——「ヴェルサスXIII」から「FFXV」にタイトルを変えた理由は?

橋本氏:「ベルサスXIII」もともと「ファビュラノヴァクリスタリス」というブランドでやっていたが、ストーリーが大きく膨らんでしまって、この大作をどうお届けするのがいいかと考えたときに、ゲームハードの大きな変革期でもあるので、このタイミングで、名前を変えて用意したという感じ。

——発売時期は?

橋本氏:まだ答えられる段階ではない。実機で動いているので、かなり進んではいる。

——今回初めて「キングダムハーツ」シリーズをXbox Oneに展開するが、過去のシリーズは、Xboxフランチャイズでフォローしないのか?

橋本氏:今のところその予定はないが、様々な書籍や映像は出ているのでご覧いただければと思う。

——「ヴェルサスXIII」と「FFXV」で開発チームに変化はあるか?

橋本氏:メインスタッフは変わっていない。社内の優秀なスタッフを増やして製作している。今回のハードは素晴らしく作りがいのあるハードなので、優秀なスタッフを集めている。

——「ヴェルサスXIII」が「FFXV」になり、「FF」シリーズは今後アクションゲームになるのか?

橋本氏:「FF」シリーズは、毎回ゲームシステム、仕組みを見直すので、「FFXV」でアクション性の高いゲームシステムを採用したからといって、それが今後「FF」のゲームデザインに影響を及ぼすということはない。それはその都度ディレクターが考えること。私としても「FFXV」は世界の皆さんが、どういう感想を持つか、メッセージを聞きたいと思っている。

——現在の開発体制ではターンベースバトルを実現するのは難しいと言うことか?

橋本氏:難しいということではなくて、アクション性の要素は「ベルサス13」でもともと考えられたシステム。今後もシリーズのファンをガッカリさせないように、これならばというシステムを考えていきたい。

——AAAタイトルにターンベースバトルを採用することについてはどう思うか?

橋本氏:アクションRPGというカテゴリ、コマンドRPGはそれぞれ未来があると思っている。「FFXV」に関しては前者を選んだが、後者も当然未来があるし、今後もスクウェア・エニックスとして作る可能性はあると思っている。

——「キングダムハーツ3」はどのチームが作っているのか?

橋本氏:スクウェア・エニックスはたくさん開発チームも持っているが、大阪に「キングダムハーツHD1.5」や「キングダムハーツ バースバイスリープ」を製作しているチームが大阪にあって、「キングダムハーツ3」もその精鋭部隊が担当している。

——ターンベースバトルからアクションゲームにゲームシステムを変えたことについてどう考えているか?

橋本氏:今回の「FFXV」に関してはこの仕組みがいいと思っているだけ。私のような年齢でも遊べるように、多くのファンを裏切らないように、その辺は調整してよいものを提供していきたい。FFは常に変わっていくし、チャレンジしていくので、そこはポジティブに捉えてもらいたい。

——プレイステーションのファンは「ヴェルサスXIII」、今は「FFXV」を6年も待ってる。Xbox Oneへリリースすることについてどう考えているか?

橋本氏:確かにPSとXboxを同時に発表したのははじめてだが、Xboxへの展開は「FFXI」から始めていて、「FFXIII」でもやっているのでそこはご理解いただきたい。同時アナウンスはちょっとインパクトはあったと思いますが(笑)

——野村(哲也氏:「FFXV」ディレクター)氏のスケジュールはどのような状況になっているか?

橋本氏:開発の中心に野村がいて、その回りに優秀なスタッフがたくさんいる。スケジュールについてはもうちょっと待って貰いたい。

——「FFXV」は男性中心のキャラクター構成になっているが、女性キャラは入れないのか?

橋本氏:野村に伝えておく。キャラクターなどゲームに関する話は、私の方からはコメントできない。

——PSPのように今後「FF」シリーズをPS Vitaに展開することはないのか?

橋本氏:「FFX」、「FFX−2」を用意している。今はそこに集中している。

——「FFXV」は過去の「FF」シリーズの影響が大きいタイトルは?

橋本氏:それはクリエイターインタビューで聞いて欲しい

——「FFXV」や「キングダムハーツ3」はWii Uに展開しないのか?

橋本氏:この2つのタイトルはDirectX 11で開発している。DirectX 11はWii Uでは動かないので、基本的に展開は難しい

——「FFXV」のバトルシステムは「ダージュオブケルベロス」とは違うのか?

橋本氏:それは「FFVII」のコンピレーションなので違う。

——「FFXV」はPC版の予定はあるのか?

橋本氏:今は約束していないが、FF14はPC版で出るので、PCへの取り組みは積極的にはなっている。

——Xbox Oneへポーティングするといったが同時発売ではないということか?

橋本氏:スケジュールについては順次発表させていただく。

——「FFXV」はアグニスフィロソフィーで作られているのか?

橋本氏:ルミナスというエンジンで作っていて、ルミナスで作ったテックデモがアグニスフィロソフィーで、FF「FFXV」にはアグニスのテクノロジーが使われている。

——ピクサーのキャラクターは登場しないのか?

橋本氏:それについてはお答えできない(笑)

(中村聖司)