NHN Japan、「ハンゲームキャラバン 2012夏」を東京からスタート

初日は、「スペシャルフォース2」と「TERA」。今後の展開も発表


7月14日開催

会場:ワイプ 代々木店



 NHN Japan株式会社は7月14日、インターネットカフェのワイプ 代々木店において、日本全国7カ所を巡る「ハンゲームキャラバン 2012夏」の最初となる「スペシャルフォース2」と「TERA」のオフラインイベントを行なった。「ハンゲームキャラバン 2012夏」はこれ以降、京都や福岡などを回っていく。

 NHN Japanはこれまでもオフラインイベントを積極的に取り組んでいたが、特に今年の春からは「ハンゲームキャラバン」として、複数の運営タイトルで日本全国を巡るオフラインイベントを展開している。オフラインイベントの担当者、ハンゲ太郎氏を中心とした、NHN Japanのオフラインイベントチームの経験を蓄積したからこその楽しさを実現している。

 「スペシャルフォース2」では運営プロデューサーの佐野亘氏、「TERA」では運営プロデューサーの鈴木貴宏氏が、ハンゲ太郎氏と共にイベントを盛り上げた。本稿では動画と共に、それぞれのタイトルのイベントをレポートしたい。





■ 「スペシャルフォース2」は連携が勝利の鍵? 占領モード用新マップ「ヘビーレイン」が登場

「スペシャルフォース2」の運営プロデューサーを務めるNHN Japanの佐野亘氏
「ハンゲームキャラバン 2012夏」全般の司会を担当するNHN Japanのハンゲ太郎氏
有名FPSプレーヤーも多く集まり、テンションの高いイベントとなった

 「スペシャルフォース2」は、7月12日より基本プレイ無料、アイテム課金の正式サービスを開始したばかり。オープンβテストは6月7日より行なわれ、正式まで1カ月という期間をかけている。昨今のタイトルとしては長めといえる。これは運営チームと開発チームで話し合い、正式時の課金アイテムでバランスが崩れないように、さらに慎重にバランスを調整してからの正式スタートを目指したという。

 今回は、1チーム4人、7チームでのトーナメント形式の対戦が行なわれた。参加者は事前に応募で選ばれていた。実況プレーヤーとして、イベントにも参加するyukishiro氏を始め有名プレーヤーも多数参加していたが、当日に欠員があり、チームに何人かスタッフが参加する形になった。司会を務めるハンゲ太郎氏や、プロデューサーの佐野氏もチームに参加した。

 当日の欠員なども出たのは、運営スタッフの分析によれば、募集時は本作がまだ正式サービスなため、ゲームのバランスが明確でないところや、あくまでこのイベントで完結するトーナメントなため、全国大会よりはユーザーのモチベーションが低いかもしれないということだ。それでも参加者の中には女性や、家族連れも見られ、幅広い層のユーザーが集まった。

 試合のルールは「爆破モード」。チームが攻撃側と防御側に分かれて戦い、攻守を交代しながらラウンドを進めていく。6ラウンド先取することで勝利となる。マップはオープンβテストで実装されていた「デザートキャンプ」と「ステーション」に加え、正式サービスより追加された「ピースホーク」の3つを、試合開始時にくじ引きで選択するという形になった。試合を実際に見ると、武器の威力が強めで、倒しやすく倒されやすい、エキサイティングなゲーム内容が見えてきた。どこから敵が来るかを知っているプレーヤーが的確にそこを狙い続け、そこに敵が顔を出した瞬間撃ち抜くという展開が多かったように思えた。

 前作「スペシャルフォース」と大きく異なる要素で、キャラクターが短距離をダッシュできる「スプリント」があるが、このため全体的にプレーヤーの足は早めで、試合展開は極めて早く感じた。敵を待ち受けるプレーヤーも長い時間待ち受けるよりも、常に移動しながら射撃ポイントをチェックするという感じだった。1対1の戦いになったとき、敵の前でジャンプし、空中で身体をひねってヘッドショットを決めた場面などは、会場中が大きく盛り上がった。

 トーナメントで勝ち進んだのは、Cチーム。ここのチームは4人中2人が助っ人の運営チームだったが、この2人が大きく声を上げ、スナイパーとの連携もうまく、yukishiro氏を含むチームなどを次々と撃破していった。決勝戦で当たったのは、シードから勝ち進んできたDチームだ。決勝戦は、下の動画を参照して欲しい。マップは「デザートキャンプ」。マップ上に2カ所ある戦車を巡っての攻防戦が繰り広げられる。激しい戦いを勝ち抜いたのは、Cチームだ。

 「スペシャルフォース2」はゲームの進行はスピーディーで、かなり“攻め”が有利になる。「デザートキャンプ」はマップとしては狭く、受け身になると一気に押し切られてしまう。運営スタッフがチームの半数というチームが優勝というのはちょっと考えさせられるが、中盤からの勢いは止められないものがあった。

 トーナメントの後は、今後の展開が語られた。2012年10月には、全国レベルでの大会が開催されることが明らかになった。優勝者には100万円の賞金が贈られると言うことで、プレーヤーの練習量もまた違ってくることも考えられ、注目していきたいところだ。現在募集を行なっている初の公式クラン戦「SPECIAL FORCE 2 SUPER LEAGUE」で優秀だったクランにはこの全国大会への優先参加権も与えられるという。

 アップデートとしては、現在開催中の「クランマーク争奪戦」のクランマークが明らかになった。そして拠点を一定時間占拠して奪いあう「占領モード」用の新マップ「ヘビーレイン」の存在が明らかになった。吊り橋などもある鬱蒼とした森にずっと激しい雨が降り注いでいるマップとなるという。さらに「詳細は伝えられない」という前置きの元「不気味な町が……?」という画面も紹介された。

 質疑応答では、課金アイテムは「スペシャルフォース」と同じように色違いの武器が出ること、また、特殊武器はもう1種類増えることが明らかになった。プレーヤーからは「女性アバターは出ないのか」という質問があり、運営チームは開発側に希望を出していることも明らかになった。正式サービスが始まったばかりの「スペシャルフォース2」だが、これから様々な展開が待っていそうだ。


 






【オフラインイベント決勝戦】



 


中央が優勝したCチーム(後列)と、準優勝のDチーム。右は「リアルガチャ」で、コインは大会参加や、質問、会場を盛り上げた発言などでプレゼントされる
佐野氏も大会に助っ人に参加。積極的に声を出して連携する、熱い戦いが繰り広げられた
今後のアップデートプラン。新しいゲームモード「占領モード」向けの「ヘビーレイン」、そして謎に包まれた「不気味な町」




■ 「TERA」はコアプレーヤーコンテンツを大会仕様に。巨大なカニに即席パーティで挑戦!

「TERA」運営プロデューサーNHN Japanの鈴木貴宏氏
フラッグに描き込むイベント参加者。このフラッグは各タイトル分用意されており、全国を回る
初挑戦の人もいたが、 見事に連携し最速タイムをたたき出したCチーム

 「TERA」は2011年8月から正式サービスを行なっている。Unreal Engine 3が生み出す美しいグラフィックスとその世界観、そしてノンターゲッティングのアクション性の強いゲーム性が人気だ。韓国では“アルゴンの女王PART.2”というアップデート要素が発表され、日本での実装も期待されている。

 現在の日本の「TERA」は高レベルコンテンツを集中的に遊ぶプレーヤーも増え、活気もあるが、一方でプレーヤーの連携や、PvPなどで遊びが複雑化しており、結果間口が狭くなってしまっていて、初心者と乖離しているかもしれない、という状況も見られるようだ。

 今回のイベントの中心となった「T-1 グランプリ タイムアタック最速挑戦」は、インスタンスダンジョンの「封禍神蝕の冥堂 下級」の前半部分を対象に、プレーヤー達から“カニ”と呼ばれる中ボス「アガルタ」までの討伐を目指す。使用キャラクターはレベル60で、スキルも全部習得している、装備アイテムも強力な者を所持している。パーティは5人で、会場の参加者を振り分け、話し合いによって職業を決め、10分間で装備やショートカットを準備し、インスタンスダンジョンに向かうというものだ。

 この「封禍神蝕の冥堂 下級」のタイムアタックというのは、昨今のユーザーが実際に遊んでいるルールで、アガルタ討伐まで何分か、という挑戦を繰り広げているという。現在のところ連携を取れているユーザーで5~6分での討伐が成功しており、会場では「4分台でやってやる!」と豪語するプレーヤーもいた。会場での鍵は連携はもちろん、装備の“封印”だという。装備の封印を解くとランダムで様々な効果が付与される。この封印の結果で、タイムもかなり変わるのではないか、というのが会場の参加者の意見だった。

 インスタンスダンジョンの「封禍神蝕の冥堂 下級」はかなり見応えのあるダンジョンだった。目もくらむような吊り橋を越えると待ち受けているのは、「ログラン」という、上半身が肥大化したトカゲのような中ボス。腕の振りが強力で、動きが素早い。盾役のプレーヤーがしっかりひきつけておかないと、大暴れされてしまう。また、“柱”を壊さないと魔法を使う敵があたりを飛び回るといった要素もある。

 このログランとの戦いは、戦闘開始時にパーティ全員が戦場に入っていないと閉め出されてしまう。実際、閉め出されて苦戦したり、メンバーの大部分が戦場に入る前に始めてしまいギブアップする人達もいた。即席のパーティでありながら、最初からかなりの連携を求められる。

 そしてログランを倒してから、アガルタまでの道にも巨大なモンスターが待ち受けている。これらは一般モンスターで、強引に横をすり抜けることで突破できるモンスターと、そうでないモンスターがいる。このダンジョンのタイムアタックに何度も挑戦している人ならばわかるが、そうでない人では大きくタイムが変わってくる場所だ。

 そしてアガルタである。巨大なカニ型モンスターで、その堅い甲羅のためか桁外れのHPと高い攻撃力を持っている。飛び上がり、周囲にダメージを与える攻撃をする。さらに「ドリル」という槍のようなトラップが壁から突き出し、パーティを襲う。このトラップはうまく活用するとアガルタにもダメージを与えられるという。イベントではパーティの熟練度、連携で大きく差が出た。結果、7分50秒で討伐を成功したCチームが優勝となった。

 イベントの途中、運営プロデューサーの鈴木氏が会場に問いかけていたのは「ゲーム内のバランス」だった。武器を作るための「神託の結界石」のドロップ率は、低すぎると感じているか? アップデート後金策が難しくなってるのではないか? 現在ネットで言われている意見を確認し、よりプレーヤーが望む方向にしたいという鈴木氏の熱意が見えた。これらはイベントを積極的に開催したりすることで対応していきたいとのことだ。また期待されるアルゴンの女王PART.2の実装は現在は未定とのこと。8月で「TERA」は1周年を迎えるが、ここに向け盛り上げていくことなども語られた。

 今回の「ハンゲームキャラバン 2012夏」は、オフラインイベントの進行をUSTREAMで実況配信していたのだが、この「T-1 グランプリ」は少し課題の残る結果となった。オフラインイベントは来場者を即席でパーティを組ませ、ワイワイ楽しむというのがコンセプトなのだが、その分連携がうまくいかなかったり、不慣れなプレーヤーもいる。今回は不幸にも中継用の端末で、もたつくプレイが集中してしまったのだ。

 USTREAMで中継を見て、コメントを寄せるような人はコアプレーヤーが多い。しかしオフラインイベントに参加する人は、友人に誘われたり、イベントをきっかけに離れたタイトルを久しぶりに触ってみたりと、そのプレイ経験にはばらつきがある。タイムアタックという極めてコアプレーヤー向けのコンテンツということもあって、USTREAM視聴者が期待するような場面が提供できず、不満の声が上がってしまう結果となった。

 司会は独特の掛け合いで会場を盛り上げ、来場者達とも積極的に交流していた。機器的なトラブルがあってもすぐに対応し、そしてその後もきちんと進行した。オフラインイベント単体としては楽しいものであったが、“両立”というところの難しさが出てしまった気がする。「ハンゲームキャラバン」のスタッフ達は、現場の状況を見て、積極的に対応している。今回もUSTREAMユーザーから「実況でゲームの音声を聞きたい」という声に応えるために、その場で回線や機器を工夫したりと、その努力のエネルギーは見ていて思わず感心させられる“熱さ”がある。汗だくになって取り組むオフラインイベントスタッフのがんばりは、今後も応援していきたい。


 






【封禍神蝕の冥堂 下級タイムアタック】



 

コアプレーヤーも、ライトプレーヤーも会場で即席のパーティを組み、難関コンテンツに挑む。挑戦心を燃やす熱い選手も多かった

(2012年 7月 17日)

[Reported by 勝田哲也]