ガマニア、「ラングリッサー・トライソード」、運営・開発インタビュー
7月6日よりプレオープンβテスト実施、戦いに特化したブラウザシミュレーション
株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントは、ファンタジーシミュレーションRPGゲーム「ラングリッサー・トライソード」のユーザーを限定しない形での“プレオープンβテスト”を7月6日15時から実施する。このテストはオープンβテストと同じ形でユーザーを募り、システムのバランスを主に見ていき、その後問題なければオープンβテスト、正式サービスにつなげていく予定だ。
「ラングリッサー・トライソード」ではプレーヤーは3国にわかれ、他国との戦いを繰り広げるブラウザゲームだ。プレーヤーは何人もの指揮官を雇用し、彼等を冒険に出し、得た資源で傭兵を雇い入れ、指揮官に傭兵をつけて他国へと出征させる。従来の“村ゲー”に比べ、生産にあたる要素を、指揮官が戦う「タクティカルバトル」や戦争部部分である「レギオンバトル」にあてており、より戦いに特化したゲームとなっている。
今回はサービスに先がけ、開発を担当するガマニア商品開発部プロデューサーの古川浩史氏と、運営を担当するガマニアオンライン事業本部ディレクターの梅本清一氏に、前回のデバッグテストの様子や、これからの追加要素、今後の展望等の話を聞いた。
■ 戦いに特化、指揮官を育てる楽しさを追求したブラウザゲーム
開発を担当するガマニア商品開発部プロデューサーの古川浩史氏 |
運営を担当するガマニアオンライン事業本部ディレクターの梅本清一氏 |
コンシューマゲームのシミュレーションRPGのような「タクティカルバトル」 |
傭兵を率いて他国とぶつかる「レギオンバトル」 |
ガマニアは「ラングリッサー・トライソード」の前に、「ラングリッサー シュヴァルツ」というタイトルを発表している。今回、まず先に「ラングリッサー・トライソード」が出たのはどうしてなのだろうか、本作はどのようなユーザーに向けた作品なのだろうか。まず最初に、この質問をぶつけてみた。
ガマニアでは、昨今ブラウザゲームが好評であり、「ラングリッサー」というIPでブラウザゲームも展開したいという意識があった。「ラングリッサー シュヴァルツ」がクライアント型のMMO+MOのアクションRPGとなることに対し、違った形で「ラングリッサー」の世界をアピールしたかったという。
「ラングリッサー・トライソード」は原作での兵士達の相性を考慮した戦略性を活かした形で、ブラウザゲームとしての特性を持たせ、自分なりの指揮官を育成し、戦わせていく。戦いにはコンシューマゲームのシミュレーションRPGのような「タクティカルバトル」と、傭兵を率いて他国とぶつかる「レギオンバトル」がある。この2つの戦いを軸にした、戦いに特化した作品を目指した。これまでのガマニアのブラウザゲームとはひと味違うもの、というところを狙った作品だ。
「ラングリッサー・トライソード」は、あえて「ラングリッサー」ファン向けの要素よりも、“現在のオンラインゲームファン”に向けた要素を厚めに作っていると、開発担当の古川氏は語った。古川氏は、「ガマニアが提供する、現代に蘇った『ラングリッサー』を『ラングリッサー・トライソード』で感じていただき、原作ファン、ひいては広い意味でのオンラインゲームファンに届けられれば」と語った。
原作の「ラングリッサー」は“光”、“闇”、“帝国”という3つの勢力が争う中、闇の勢力は“敵方”と描かれてしまう。しかし「ラングリッサー・トライソード」ではプレーヤーは3つの勢力のどれかに所属でき、戦えるという点でも、あえて原作とは異なる新しい世界設定を行なっている。
テストの感触に関しては好評で、ガマニアのブラウザゲームとしてはこれまでを上回る人気を獲得し、梅本氏は「ラングリッサー」という原作のパワーを改めて実感したという。さらに原作ファンだけでなく、ファンタジーという題材に魅力を感じたゲームファンの人気も獲得できた。
テストに関しては、多くの課題も見つかった。今回は負荷テストを重点的に行なったのだが、Flash部分での重さ、ゲームバランスの部分でユーザーからの指摘が多かった。特に攻撃側にメリットが大きく、防御側にメリットが少ないという点に対しての意見が大きかったという。ここに関しては、バランスを調整していると梅本氏は語った。UI部分や、戦闘システムに関してはよりわかりやすい形で情報を提示していきたいとのこと。また、チュートリアルに関しては、「細かすぎて逆にわかりにくい」という指摘もあった。こういった点も改善していくという。
梅本氏は「ラングリッサー・トライソード」の大きなセールスポイントとして、“多くの指揮官を使いこなすところ”を挙げた。本作ではタクティカルバトルと、レギオンバトルの2つがあり、この2つの戦いでは必要とされる能力が異なる。プレーヤーはそれぞれの戦いに向け、指揮官キャラクターを用意し、育成していく。流れとしては、タクティカルバトルで得た資産で、レギオンバトル用の傭兵を用意していくという形になる。指揮官は今後“クラスチェンジ”といった要素で、さらに特化した能力を獲得していく。プレーヤーごとに異なった軍が形成できるのが、本作の面白さだ。
“戦いの準備をする”という点も、本作の大きな面白さだ。「ラングリッサー・トライソード」のレギオンバトルでは、攻略する拠点の兵士の構成などがある程度わかるようになっている。攻略するプレーヤーはその情報を元にその兵士に強い傭兵を用意し、戦いに臨む。このため、本作は本質的に「攻撃側有利」のバランスとなっている。戦闘に参加すると攻撃側、防御側に「戦略ポイント」が入る。プレオープンβテストからは防御側も防御用傭兵を多数用意することで多くのポイントが手に入るようになる。攻撃側は相性を考えていかなくてはいけない、ハイリスク、ハイリターンのバランスとなる。
レギオンバトルで各目標を達成した際に入手できる「RING」は、いわゆるガチャである「RINGコース」を回すことに使う。RINGコースで入手できる指揮官は通常の指揮官雇用で出現する指揮官よりも強力で、プレーヤーはよりよい指揮官を求めるためにレギオンバトルに挑戦していく。コアプレーヤーは強力な指揮官を数多く揃えて戦力をより高めていく。強さのみを求めず、レア度は低くても、お気に入りの指揮官をじっくり育てていく、という方向ももちろんアリだ。2つの戦いに向け、指揮官を育て上げていく楽しさ、それこそが「ラングリッサー・トライソード」の柱となる楽しさだという。
「タクティカルバトル」は指揮官の能力を組み合わせて戦っていく | ||
傭兵の相性が重要となる「レギオンバトル」 | ||
「ラングリッサー・トライソード」には戦争可能な「龍の刻」と、準備期間の「女神の刻」がある。レギオンバトルに備え、様々な準備を進めていくのだ |
■ オープンβからは新原作キャラクターが登場。逆点要素など今後の展開も
指揮官の1人ブリジットは、胸が揺れるギミックがある |
「ラングリッサーII」からリアナ |
インタビューではさらに、「ラングリッサー・トライソード」のこれからの要素に関しても質問した。 現時点で、明らかになっている今後の新要素としては「原作キャラクターの追加」がある。前回のテストでは初代「ラングリッサー」から“レディン”と“クリス”が指揮官キャラクターとして入っていたが、オープンβテストからは、「ラングリッサーII」から主人公“エルウィン”とヒロインの“リアナ”、“ラーナ”、そして「ラングリッサーIII」から主人公の“ディハルト”が追加される。今後はライバルキャラクターや、魅力的なサブキャラクターの追加も検討しているという。
原作ファンからの要望としては原作でのキャラクターデザインを手掛けたうるし原智志氏を起用して欲しい、という声が多かった。こちらに関しては、何らかの大きなイベントをタイミングとして応えたいとのことだ。この他にもオリジナルの指揮官は10人以上のイラストレーターによって描かれており、こちらもさらに充実していくとのこと。指揮官の中にはFlashアニメで動くキャラクターが登場する。デバッグテストでもクリックすると胸が揺れるキャラクターが入っていたが、今後はさらにラインナップが充実する。また、「水着バージョン」など季節に合わせ、名前が同じでもイラストが異なる指揮官の登場も企画しているという。
正式サービス時の課金アイテムは時間短縮や効率アップ系と、レアガチャでは、通常のプレイで回せるRINGコース以上にレア度の高い指揮官が入手できる。レア度はノーマル、ノーマル+、レア、レア+、スーパーレアとなっており、RINGコースではノーマル+以上、課金ガチャではレア以上の指揮官が出現する。
「ラングリッサー・トライソード」では3~4カ月の戦いで一巡する設計となっている。ストーリー要素に関しては、シミュレーションRPGの原作のような濃厚なものではなく、あくまでバックストーリーとして展開し、勢力の動きで展開は変わってくる。リセットは、戦略マップのリセットが行なわれるが、課金で強化した要素などは残していく方向だ。こちらは特に要素について細かく検討しており、今後詳細が発表されるという。
古川氏は「昔のメールゲームのような雰囲気も出したい」というような構想も語った。ランキングトップのプレーヤーがストーリー展開で取り上げられるような、アイデアも良いのではないかとのこと。梅本氏は「古川とはアイディアベースを含め、色んな事を話しているのですが、ユーザーが主体になって楽しんでいけるようなシステムは1番に入れていきたいですね」とコメントした。
ゲームバランスに関しては、デバッグテストで「難しい」という指摘も受けた。特にレギオンバトルはキャラクターや傭兵の相性による駆け引き要素が強く、わからないプレーヤーは戦闘がうまくいかない場合も多い。このため、序盤は易しく、そして徐々に相性を意識していくバランスにしていくという。ゲーム的にはきちんと“攻略”が必要になってくるやり応えのある難易度を目指している。
指揮官の“強さ”という視点でバランスを見ると、魔術師系が序盤は強いのだが、戦士系も属性の武器を得るなどしていくことで強力な存在になっていく。指揮官のスキルやアイテムは今後大きく充実させる予定だが、開発ではそれに合わせた“敵”の充実も大きな課題として現在作業を進めている。「ラングリッサー・トライソード」の各指揮官のレベルキャップは現在20だが、“クラスチェンジ”も含め、要素の充実とバランスを練っているところだ。
クラスチェンジではよりレギオンバトル、タクティカルバトル向けの性能、そして相性が特化される。万能な強さのキャラクターではなく、より特化した能力を持つ指揮官を状況に合わせて使いこなすという楽しさが大きくなっていく。「全ての要素がバトルに特化していく、そういう方向性を持たせています」と古川氏は語った。特定の領土を取るとイベントクエストが発生するといったアイデアも検討中だそうだ。
また、今作では「劣勢側でも逆転要素がある」という。領土を取り合うブラウザゲームは終盤は勢力の差が大きくなりすぎてどうにもならなくなってしまうことが多い。「ラングリッサー・トライソード」では、後半、劣勢の勢力でも逆転が狙えるような仕掛が入り、最後まで戦いの行方がわからない。戦いのバランスを実現するため調整を進めているそうだが、このシステムの鍵を握るのが「ラングリッサー」となる。
“聖なる剣”とも呼ばれるラングリッサーは、ゲーム開始時点ではどこにあるかすらわからないが、ゲーム内で時間が進行していく中で、3つの国の戦いの鍵を握る存在としてピックアップされていくという。「ラングリッサーは手に入れたからといって終わりではない」ということで、システムの詳細は今後明らかになる。ラングリッサーを手に入れることに夢中になっている内に、領土の防衛がおろそかになるかもしれないなど、戦いは後半に向け、より複雑になっていくという。
そして、まとめとして、本作の他の作品にはない面白さはどこか、という質問をぶつけてみた。現在ブラウザゲームは、スマートフォンでプレイできるソーシャルゲーム・ブラウザゲームに押されつつある。いつでも、どこでもプレイできるスマートフォンは、時間でコマンドが限られるブラウザゲームに最適のデバイスであり、あえてPCでプレイするメリットはあるのだろうか。梅本氏は「PCでプレイするからこその“本格的な戦略性”が最大のセールスポイントです」と語った。シミュレーションRPGとして楽しめるタクティカルバトル、そして情報を得て軍を編成していくレギオンバトル。これらの様々な要素が絡み合うゲームシステムが、大きなウリになっているという。
そして勢力チャット、ギルドチャットによる同期性がある。より強い仲間意識を持つだけでなく、「国としてここを攻めるからこういった編成にしていこう」、「俺達ギルドはあえてここを攻めてみよう」といった意見や攻略情報を交換し合うのは、非同期のゲームではできない。PCでのブラウザゲームという“本格的”なゲームだからこそ楽しめる要素だと言える。
最後に梅本氏はユーザーに「従来のゲームとは違うものになっています。原作ファンの皆様はもちろん、そうでない方にもプレイして欲しいです。来週金曜日はぜひプレイしてみてください」と語った。古川氏は「現在のブラウザゲームユーザー向けに楽しんでもらえるゲームに仕上げていますが、原作ファンの方にもぜひ触ってもらって“手触り”のところで『ラングリッサー』を感じてもらいたいと思います」と語った。
上段の左から、エルウィン、ディハルト、ラーナ。新キャラクターも登場する |
(C)NCS/extreme
(C) 2012 Gamania Digital Entertainment Co., Ltd.
※画面は開発中のものです
(2012年 7月 4日)