SCEJ、「nasne(ナスネ)」プレス向け合同体験会を開催
PS3をはじめ様々な機器との連携を実演! 気になる使用感をレポート
ソニー・コンピュータエンタテインメントより2012年7月19日に発売予定の「nasne(ナスネ)」を実際に体験できるプレス向け体験会が実施された。「nasne(ナスネ)」は地デジ/BS/CS放送チューナーを搭載した「ネットワークレコーダー&メディアストレージ」という新機軸な製品だ。
こうして概要だけ書いても新機軸な製品だけに、“どんなことができる製品なのか?”、“どんな風に使う製品なのか?”が、イメージしづらいところがあるだろう。そこで、この体験会の模様を伝えるとともに、実際に触れた「nasne(ナスネ)」がどんな製品なのかを伝えていこう。
まず先に「nasne(ナスネ)」について簡単に説明したいと思うが、「nasne(ナスネ)」は地上はデジタル、衛星BS/110度CS放送に対応した番組視聴・録画ができる機器。LANや無線LANといったネットワークを経由して活用するネットワーク専用機器で、プレイステーション 3だけでなく様々な機器で活用できるのが大きな特徴だ。
この日は「PS3」、Windows PCの「Vaio」、アンドロイド端末の「Xperia」や「Sonyタブレット」と、「nasne(ナスネ)」が実際に連携しているところを体験できた。
「nasne(ナスネ)」のパッケージおよびセット内容、本体画像 |
Webブラウザからアクセスできる設定画面「nasne HOME」 |
■ ホームネットワーク上で様々な機器と連携する次世代レコーダー「nasne(ナスネ)」を紹介
ソニー・コンピュータエンタテインメント 商品企画部 ハードウェア企画課 課長の渋谷清人氏が「nasne(ナスネ)」の基本仕様や特徴を解説 |
「nasne(ナスネ)」本体の概要。HDMIなどの映像出力がない事が大きな特徴。ネットワーク経由で使用する専用の製品だ |
PS3だけでなく、多彩な製品とネットワーク経由で連携するのが最大のポイント |
体験会の前に「nasne(ナスネ)」を紹介するプレゼンテーションが行なわれた。このプレゼンにまず最初に登壇したのは、開発の中心人物であるソニー・コンピュータエンタテインメント 商品企画部 ハードウェア企画課 課長の渋谷清人氏。渋谷氏からは「nasne(ナスネ)」について基本的な仕様や特徴が紹介された。
「nasne(ナスネ)」本体についてだが、まず大きな特徴としてHDMIなどの「映像出力端子」は存在しない。当然の話ではあるが、これは本製品が“ネットワークを通じて映像を各種機器へ出力する”からだ。ギガビットイーサネットのLAN接続でPS3をはじめとした各種の機器と、さらに無線LAN経由でPS Vitaなどの無線LAN対応機器と連携する。
「nasne(ナスネ)」のチューナーとしての機能を見ると、地上波デジタル、BS放送、110度CS放送の3波に対応している。それを視聴および録画するわけだが、レコーダーとしては500GBのHDDを内蔵している他、USB2.0端子を使って外付けHDDを増設することもできるようになっている。
さらに「nasne(ナスネ)」は複数台用意することで同時録画数を増やせる。PS3との組み合わせで使う場合なら「nasne(ナスネ)」4台と「torne(トルネ)」1台を使って最大5番組録画が可能だ。また、PCのVaioで使うと「nasne(ナスネ)」8台をネットワーク上に置いての最大8番組録画が可能となっている。
映像出力のフォーマットにも工夫されている。PS3などの「ホーム機器向け」と、スマートフォンなどの「モバイル機器向け」の、2種類のファイルフォーマットのストリームをリアルタイムに配信できる。SONY タブレットのデモンストレーション担当の方に伺ったところ、モバイル機器向け480pということだった。
マルチストリーム、つまり映像の複数同時出力も可能だ。録画した番組の視聴ならDTCP-IPで2ストリームを配信できる。2台の機器に対してそれぞれ同じ番組も、別々の番組も、それぞれ独立した再生状態で視聴できる。なお、ライブ番組については「nasne(ナスネ)」1台につき1ストリームになる。
So-netが運営するテレビ王国のリモート録画予約サービス「CHAN-TORU(チャントル)」に対応している。これにより、外出先から録画予約できる。
このほか「nasne(ナスネ)」では、ネットワーク越しにブルーレイディスクなどの記録メディアへ録画した番組を書き出すDTCP-IPなども対応している。これによって様々な機器と連携して、さらに使い勝手が良くなるというわけだ。
「ネットワークレコーダー」と「メディアストレージ(NAS)」という2つの機能が1つにまとまって、独立した機器として動作し、様々な機器に連携する |
・PS3での専用アプリケーション「トルネVer4.0」はネットワーク経由でもレスポンス良好
「トルネVer4.0」について解説したソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ インターナルデベロップメント部 西沢 学氏 |
「nasne(ナスネ)」を複数ネットワーク上に設置したり、「torne(トルネ)チューナー」を接続することで、W録画も可能 |
PS3での専用アプリケーション「トルネVer4.0」について。まぜこぜになりそうなので補足するが、「nasne(ナスネ)」というハードをPS3で使うための“アプリケーションが「トルネVer4.0」”。発売済みの“「torne(トルネ)チューナー」というハード”とはまた別の存在になる。PS3では「トルネVer4.0」で、「nasne(ナスネ)」や「torne(トルネ)チューナー」を活用するというわけだ。
この「トルネVer4.0」の紹介には、ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ インターナルデベロップメント部 西沢 学氏が登壇。「トルネVer4.0」の画面がスクリーンに映し出されたのだが、基本的な画面のデザインや作りはこれまでの「トルネ」と大きな違いはない。UIは共通で、「nasne(ナスネ)」が加わって拡張されたという印象だ。
メインメニュー画面の左上にはこれまで通り「録画に使用可能な登録済HDDと容量の残量」が表示されるわけだが、ここに「nasne」や「PS3」という名称が並ぶ。「nasne」は登録してあるネットワーク上の「nasne」であり、「PS3」は“「torne(トルネ)チューナー」を繋いでいるPS3”だ。「torne(トルネ)チューナー」が無ければ、もちろん表示されないのがポイントで、PS3という存在を“録画保存先のひとつ”として捉えている。
わかりやすい大きな変化のひとつが「番組表」。ここには「nasne(ナスネ)」があれば地上波デジタル放送の番組以外に、BS放送や110度CS放送の表が番組表がズラリと並ぶ。R2ボタンと左アナログスティックの左右で地デジ、BS、CSと表を切り替えることもできた。動作は軽快だった。会場では「nasne(ナスネ)」がネットワーク上に、PS3には「torne(トルネ)チューナー」が繋がっている状態だったので、同じ時間帯の2番組同時録画予約も行なっていた。こちらも特別なことは必要なく、ただ録画予約するだけとスムーズだ。
録画した番組の視聴もデモされたが、こちらもレスポンスがいい。シーンサーチで数分、数秒ごとの映像のサムネイルが作られるわけだが、こちらも高速。ネットワーク越しに「nasne(ナスネ)」からデータを受信していても今の「torne(トルネ)」の動作とほとんど違いが感じられなかった。
2つの機器に対しての複数出力「マルチストリーム」もデモされた。会場にはもう1台スクリーンとは別のテレビが用意され、1つの「nasne(ナスネ)」に対して、2台のPS3から同時にアクセスしていた。同じ録画した番組を2台がそれぞれで再生し、別々のシーンを見たり。片方がライブ番組を見つつ、もう片方が録画した番組を見るということもしていた。動作は1台だけがアクセスしている時となんら変わりがなく、互いを意識することなく2台が「nasne(ナスネ)」で楽しめていた。
ネットワーク経由に地上波デジタル/BS放送/110度CS放送のチューナーや各番組表、録画した番組を扱うが、レスポンスは非常に良好。番組表をスクロールする時の快適さなど、「torne(トルネ)」からの魅力に大きな変化はない |
・Windows PCであるVAIOからのアクセス「VAIO TV with nasne」
「VAIO TV with nasne」について解説したソニー株式会社 VAIO&Mobile事業本部 企画2部 安彦 剛氏 |
トルネとはまた異なる独自のアプリケーションである「VAIO TV with nasne」。視聴や録画だけでなく、ブルーレイディスクやHDDへの書き出しにも対応する |
Windows PCであるVAIOからのアクセスについて初公開された。使用するアプリケーションは「VAIO TV with nasne」というVAIO専用のもの。「トルネVer4.0」とはまた別の、VAIOで「nasne(ナスネ)」を活用するためのアプリとなっている。こちらのプレゼンテーションを行なったのは、ソニー株式会社 VAIO&Mobile事業本部 企画2部 安彦 剛氏。
安彦氏はまず、「Vaioでnasneを使う場合はPS3は無くてもいい」ということを強調。「トルネ」はゲーム用コントローラーで快適に使えるアプリだが、「Vaio TV with nasne」はPCの機能や性能に向けたアプリということで、その設計は“シンプルさと機能の豊富さ”をモットーにしているという。
Vaioと連携する場合の大きなメリットは、“Vaioに搭載されたブルーレイディスクやHDDへの書き出し”だ。録画した番組を書き出して保管できるようになる。さらに前述のように、「Vaio TV with nasne」では8台の「nasne(ナスネ)」を使っての8番組録画も可能と、こちらはPS3での「トルネVer4.0」による最大5番組よりも多くなる。さらに、この日は具体的には語られなかったのだが“独自UIによる番組探索”も検討しているということだ。
「VAIO TV with nasne」のインターフェイスも、「トルネVer4.0」とは全く異なる。画面の上に横並びで「home」、「video」、「guide」、「schedule」、「tv」と機能のタブが並ぶ(タブそれぞれの名称は「トルネVer4.0」に揃えてある)。「home」では縦の3カラムなレイアウトで、左にライブ放送中の番組、中央に録画した番組、右に注目番組の情報が表示される。このほかの画面も、マウス操作に適した一覧性の高いレイアウトだ。
この「VAIO TV with nasne」は「nasne(ナスネ)」発売と同日の7月19日にWindows7搭載のVAIOユーザー全員に無償で提供されるとのことだ。
「VAIO TV with nasne」のインターフェイスは一覧性が高く、密度の高い作り。マウス操作に最適化している |
■ PS3の「トルネVer4.0」で、「nasne(ナスネ)」を使う! 現在の「torne(トルネ)」同様に分かりやすく扱いやすい
プレゼンテーション後の体験会では、自由に「nasne(ナスネ)」と各種機器との組み合わせを触ることができた。ちなみにこの会場では全ての機器が同一ネットワーク上にあって、どの機器も複数の「nasne(ナスネ)」を認識していた。PS3の「トルネVer4.0」で言えば、その中から登録した「nasne(ナスネ)」が、録画保存先などに使えるようになるわけだ。
「トルネVer4.0」では、前述のように現在の「トルネ」とそれほどデザインが大胆に変わっているということはない。これまで同様の使用感で「nasne(ナスネ)」が使えるようになっているという印象だ。ネットワーク越しと言ってもレスポンスなどが低下したようには感じない。そのあたりの手触りも変わっていない。
ここで重要なのは、“複雑な操作なしに自然に「nasne(ナスネ)」が活用できる”ようになっていること。例えば録画予約時には「録画保存先」を選択するわけだが、ここでは従来どおり「torne(トルネ)チューナー」や「nasne(ナスネ)」といったように使用するHDDを指定できるが、ここに「自動」という項目が加わっている。これは、地デジなら「torne(トルネ)チューナー」側(PS3やPS3に接続してい外部HDD)を選択し、BS/CSなら「nasne(ナスネ)」のHDDを選択するという。
もちろん使っている機器が「nasne(ナスネ)」だけなら、ここは「nasne(ナスネ)」だけになるわけだが、「torne(トルネ)チューナー」など複数ある場合は、地デジ放送にはネットワークを介さないという意味でレスポンスが最も良い「torne(トルネ)チューナー」+「PS3」を選んだり、BS/CS放送は「nasne(ナスネ)」が必須なので「nasne(ナスネ)」のHDDを選ぶというわけだ。
同様に、「nasne(ナスネ)」と「torne(トルネ)チューナー」があった場合に、“ライブ放送視聴にどのチューナーを使うのか?”や、“番組表のデータをどのチューナーから持ってくるのか?”というのも、自動的に最適なものを選択してくれる。実際に見てみると、地デジのライブ番組は「torne(トルネ)チューナー」が使われていて、CS放送に切り替えると「nasne(ナスネ)」のチューナーを使っているというようにアイコン表示が変わっていた。この切替には特に時間はかからず、瞬時に変わっていた。自動で切り替わっているのを意識させるような瞬間がない。
「nasne(ナスネ)」のHDDに録画保存されている番組の再生も、だいたい決定してから再生開始されるまでに2~3秒かかるかなというところで、現在の「torne(トルネ)チューナー」での録画番組再生とほとんど変わらないという印象だ。同様に、番組表をスクロールする快適さ等もほとんど遅くなったとは感じない。ネットワーク越しでも非常に快適と感じた。ただし、ホームネットワークが他のファイル転送などで重い場合は、その影響を受けるであろうことは想像できる。その点には違いがあるだろう。
このほか、基本的な機能も「Ver4.0」ということで向上しているのが確認できた。番組表では、番組カテゴリの選択後に「サブカテゴリー」を選んで絞り込みできるようになっていた。これは例えば、「スポーツ」カテゴリーの後に「サッカー」というサブカテゴリーを選べば、サッカー関連だけが表示される。
より詳細に番組カテゴリーを絞り込める「サブカテゴリー」が追加。録画保存先では「自動」という、最適な保存先を選んでくれる項目があった |
「nasne(ナスネ)」のACアダプター。非常にコンパクトなサイズだった |
「nasne(ナスネ)」本体もチェックしてみた。西田氏の「RandomTracking」でも詳しく伝えられているが、やはり本体は非常にコンパクト。
側面がPS3を思わせる曲面の筐体になっていて縦に置くのが基本スタイル。3波チューナーと内蔵HDD、端子類ではUSB・イーサネット・アンテナスルー・アンテナ入力、さらにサイドにB-CASカードスロットと、コンパクトなサイズに凝縮感のある作りになっている。
また、ACアダプターも見る事ができた。USBのみで動作していた「torne(トルネ)チューナー」とは違い、内蔵HDDやNAS機能もある「nasne(ナスネ)」ではACアダプターを使うことになる。ACアダプターは長方形でこちらも本体同様にかなりコンパクト。ゲーム機関係で言えば、PSP用のACアダプターぐらいのサイズだろうか。
会場に置かれていた「nasne(ナスネ)」。スマートかつコンパクトな筐体に、各種端子やB-CASカードスロットなどがレイアウトされていて、非常に凝縮感があった |
なお、PS Vitaとの組み合わせについては、今回は「絶賛開発中」というマスコットキャラクター「トルネフ」の挨拶が映し出された参考展示のみとなっていた。こちらは今後の続報に期待したいところだ。
残念ながらPS Vitaとの連携は参考展示のみ。続報に期待したいところだ |
■ その他の機器との組み合わせ
・Android端末「SONY タブレット S/Pシリーズ」、「Xperia SX SO-05D/GX SP-04D」
「SONY Tablet」では「RECOPLA(レコプラ)」というアプリケーションを使って録画した番組の視聴管理、録画予約を行なえる |
Android端末である「SONY Tablet」はSシリーズとPシリーズ両方のモデルが用意されていた。こちらは「RECOPLA(レコプラ)」という専用アプリケーションで、「nasne(ナスネ)」に録画した番組の再生視聴および管理と、録画予約管理に特化している。あくまで「nasne(ナスネ)」と連携するアプリであり、「torne(トルネ)チューナー」+「PS3」にはアクセスできない。
「RECOPLA(レコプラ)」を起動すると、どの「nasne(ナスネ)」にアクセスするのかを選択する画面が現われる。最大4台まで登録可能、選択可能ということだが、ここに「おまとめ機器」という一工夫がされていた。これは複数の「nasne(ナスネ)」に保存されているコンテンツをまとめて一覧に並べるというものだ。複数に別れている保存領域をひとつの巨大なものとして扱えるようになっている。
メイン画面では、左に番組のジャンル、右に録画されている番組が並ぶ。再生したい番組をタッチすると、この「SONY Tablet」で画面を表示するのか、接続先のTVに再生するのか(タブレットをリモコンとして使う)のを選択できた。
こちらも「トルネVer4.0」同様にネットワーク経由ながらレスポンス良好。番組の再生は720×480pのモバイル用データになる |
Android端末の「Xperia」では、SX SO-05D/GX SP-04Dがまず「nasne(ナスネ)」に対応。他の機種については別途アナウンスされるということだ。こちらも使用用途は「SONY Tablet」と基本的に同じで、「nasne(ナスネ)」に録画した番組を「管理・視聴」および、録画予約の管理となる。
「Xperia SX SO-05D/GX SP-04D」でも「nasne(ナスネ)」に録画保存した番組の再生や、録画予約の管理などが行なえる |
・「VAIO TV with nasne」
待望の機能と言えるブルーレイディスクへの書き出し保存が行なえる「VAIO TV with nasne」。「nasne(ナスネ)」との連携では機能面が最も充実している |
Windows PCのVAIOで「VAIO TV with nasne」を使っての組み合わせでは、やはり書き出しに注目したい。「nasne(ナスネ)」に録画保存された番組をダビング10を消費してVAIOのHDDに書き出すほか、DTCP-IPによって「nasne(ナスネ)」から直接VAIOのブルーレイドライブへと書き出す事も可能。
これについて1度VAIOのHDDに書き出してからブルーレイディスクへと書き出すのと、DTCP-IPで直接ブルーレイディスクに書き出すのとではどちらが速いのかを訪ねてみたのだが、ここに速度面では大きな違いはないということだ。というのも、最終段階であるブルーレイディスクへの書き込みが1番時間がかかるので、その前段階では時間に差が出ないという。ただし、安定性という面ではやはり1度VAIOのHDDへ書き出してからのほうが良いということだった。
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「nasne」のホームページ
http://nasne.com/
(2012年 5月 22日)