Game Developers Conference 2012レポート
【GDC 2012】GREE Internationalセッションレポート
モバイルソーシャルゲームは「フリーミアムの変種」。その優位性を語る
米GREE Internationalは「GDC2012」の会期3日目となる3月8日、「Why Mobile Social Games Need a Platform Now More than Ever」と題したセッションを開催した。
ソーシャルゲームと言えば、日本ではグリーをはじめとするモバイル向けのソーシャルゲームが真っ先に思い付くが、GDCの会場となるサンフランシスコではその2つはまだまだ結びつきにくいようだ。
GREE International SVP of ProductのEthan Fassett氏 |
それはセッションをカテゴリ別にまとめた「SOCIAL & ONLINE GAMES SUMMIT」および「SMARTPHONE & TABLET GAMES SUMMIT」という区別からも明らかだが、GREE Internationalは今年にサービス開始を予定しているグローバルプラットフォーム「GREE Platform」を成功に導くためにも、モバイル用ソーシャルゲームの可能性を広く知っておいてほしいという事情がある。
このセッションに登壇したのは、同社SVP of ProductのEthan Fassett氏。Fassett氏はセッションが始まると、そもそもグリーはどのような実績があるのか、モバイルソーシャル事業のどこに魅力があるのかを語りだした。日本ではすでに実績のある事業を、Fassett氏がどこにポイントを置いて来場者に説明したかにも注目していただきたい。
■ モバイルソーシャルゲームの強みはSNSの伝播力との融合
Fassett氏は最初にGREEを「世界で最も大きいモバイルソーシャルゲームプラットフォームの制作企業」として紹介した。内容は、モバイルソーシャルゲームの成功はGREEのような大きなプラットフォームがあってこそ、という切り口 |
Fassett氏は、これから展開しようとしている事業について来場者に伝えるため、「グリーとは誰なのか?」という所からセッションをスタートさせた。Fassett氏はグリーを、「世界で最も大きいモバイルソーシャルゲームプラットフォームの制作企業」だと説明し、Zyngaなどといったプラットフォームを展開する企業だと位置づけた。
そしてGREEが展開しようとしているモバイルソーシャルゲームについては、Fassett氏はまず、アメリカでもダウンロードや利用料金のかからないフリーミアムアプリが需要を増やしており、無料で遊べるゲームに注目が集まっていることを述べ、その上でモバイルソーシャルゲームを、フリーミアムアプリとSNSを合わせた「変種のフリーミアム」だと話した。
日本でもモバイルソーシャルゲームは口コミによる伝播力が重要とされているが、この口コミこそが、「変種」たるゆえんだとFassett氏は述べた。口コミの伝播力を利用すれば、アメリカで従来的だったフリーミアムアプリがさらに発展し、より有利な事業展開が望める、というわけだ。
Fassett氏は、従来のアプリケーションのビジネスモデルでは様々にあるチャンネルに宣伝をすることがユーザー獲得の前提となっていたが、口コミの力に頼れば、そのコストを抑えられることを強調した。またその後も、ユーザー同士がゲームのチャンネルとなって、ゲームを続ける持続力もそこで高められる。
口コミの伝播力がモバイルソーシャルゲームの最も強みとなるとFassett氏は説明した |
さらにグローバルプラットフォームとなる「GREE Platform」を利用すれば、開発者はターゲットユーザーに直接アピールする機会を増やせることになる。また共通の仮想通貨はiOS端末、Android端末に関係なくユーザーを取り込めるので、マネタイズの面でも優位になると、Fassett氏は述べた。
Fassett氏が目指すモバイルソーシャルゲーム事業のゴールは、顧客とのロイヤリティを高めることで利益を確保する「ライフタイム・バリュー」と、そして顧客1人あたりのコストを抑えることの両方を実現させることにある。Fassett氏は自社プラットフォームで展開するモバイルソーシャルゲームの魅力を上記のように語ることで、この2つの目標を達成できると説明した。
またソーシャルゲームそのものについては、Fassett氏は「ドリランド」をはじめとした内製のタイトルが成功していることや、Zyngaの事業成績のグラフをスライドで取り上げ、同社がここ2、3年で目覚しい成功をあげていることを確認した。
10億人の顧客獲得という目標は、今回のセッションでも掲げられた |
最後にFassett氏は、グリーとOpenfeintが融合した「GREE Platform」について、グローバルでの展開、口コミによる顧客獲得、オープンな開発環境の3つの強みを戦略として持っていると話した。また現在「GREE Platform」にゲームを提供するパートナーにもカプコン、スクウェア・エニックス、バンダイナムコゲームスなどの有名企業を挙げた。日本企業以外でもゲームロフトとUbioftが最新のパートナーとして紹介され、世界からも期待されていることを伝えた。
セッションは、GREEの紹介から始まり、モバイルソーシャルゲームの魅力、そしてそれがなぜプラットフォームで配信されなければならないのかが説明された。講演の最後に雇用募集のスライドが掲げられると、早速来場者から反応があり、会場に来ていた採用担当のスタッフと来場者の話し合いも行なわれていた |
□「GDC 2012」のホームページ(英語)
http://www.gdconf.com/
(2012年 3月 9日)