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Game Developers Conference 2012レポート

【GDC 2012】米国サンフランシスコにてGDC 2012が開幕
基調講演無しのGDC、主役不在の群雄割拠時代の幕開けか


3月5日〜9日開催(現地時間)

会場:San Francisco Moscone Center


 


 世界最大規模のゲーム開発者向けのカンファレンス「GDC(Game Developers Conference)2012」が米国サンフランシスコのMoscone Center において、現地時間の3月5日開幕した。初日と2日目には1つのテーマを1日ないし2日掛けて掘り下げていくチュートリアル&サミットが行なわれ、通常セッションは3日目の3月7日よりスタートする。本稿では初日の模様をお伝えしたい。




■ プラットフォームキーノートが消えたGDC 2012

今年のGDCは数年ぶりにMoscone Westがメインになった
セッションルームの広さは例年通りだが、年々ノートPCを持ち込む開発者が増えているためか、テーブルと電源が用意されている部屋が増えている印象がある
GDC 2011で基調講演を行なう任天堂代表取締役社長 岩田聡氏

 今年のGDCのもっとも大きな変化は、基調講演(キーノート)がなくなったことだ。GDCでは会期3日目の午前中に基調講演が行なわれるのが通例となっており、過去には任天堂の宮本茂氏を筆頭に、Will Wright氏、John Carmack氏、Sid Meier氏などなど、俗に“Game God”と呼ばれる著名クリエイターが登壇し、開発者達に直にエールを送ってきた。

 ただ、GDCの運営事務局が伝統的に力を注いできたのは、ゲームプラットフォーマーの基調講演(プラットフォーマーキーノート)だ。任天堂、SCEA、Microsoftの3社が、いわゆる“次世代機戦争”が華やかだった2005年から2009年までは、各社持ち回りのような形で、各社が自社プラットフォームの優越性をアピールする基調講演を毎年行なってきた。

 状況が変わったのは2010年で、プラットフォームキーノートがゼロとなり、代わりに、モバイル(フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット)ゲームやソーシャルゲーム(Web、モバイルアプリ)分野が大きく躍進した。この流れは現在も続いており、これらを対象としたセッションは増える一方であり、さらにGDCのカテゴリに「MONETIZATION(ビジネス化、収益化)」があることからもそれは窺える。グローバルでフリーミアムのビジネスが当たり前になっているからこそ成立するセッションカテゴリである。

 1999年に宮本茂氏が基調講演に登壇して以来、GDCで長年圧倒的な存在感を示してきた任天堂は、この大いなる流れを変えるべく、昨年2011年に代表取締役社長の岩田聡氏がGDC基調講演で最多となる4度目の登壇を果たした。岩田氏は、世の中に無数のダウンロードゲームが存在し、そのほとんどが無料で提供されているゲームであることを挙げ、「ゲーム開発は混沌の中にある」と定義し、「ゲーム機は、どうしても遊びたいソフトを楽しんでいただくために仕方なく買っていただくもの。私たちは、お客様にどうしてもソフトの高い価値を認めていただきたい」と従来のビジネススキームの正当性を訴えたが、開発者からスタンディングオベーションや拍手は起こらず、フリーミアムの大いなる流れも覆すことはできなかった。

 今年、任天堂は次世代機Wii Uの発売を控えていることから、当然GDC 2012でも岩田氏の5度目の登壇が期待されたが、ある意味で“予想通り”今年の任天堂の基調講演はなかった。それはWii Uのプレゼンテーションの場としてGDCはもはやふさわしくないということと、GDCにおいて任天堂が果たしてきた役割にひとつの区切りが付いたのではないかと任天堂自身が考えたからではないだろうか。

 いまのGDCを包み込む熱気の渦の中心は、フリーミアムを前提としたマネタイズの方法論や、モバイル端末向けのマルチプラットフォーム展開のノウハウ、あるいはFacebookを筆頭としたSNSへのソーシャルゲーム実装のノウハウなどであり、いずれも従来のゲームプラットフォーマーとはあまり関係のないことばかりだ。かつての“次世代機戦争”の頃のように、ゲームプラットフォーマーのセッションから、スピーカーの言葉の端々から次世代機の性能やスペック、そして参入メーカーやローンチタイトルなどを推測したり、読み解いたりする時代は完全に終わったと言える。

 GDC 2012では、プラットフォーマーキーノートがなくなった代わりに、トラック別のキーノートが復活した。サミットキーノートも含めるとその数は9つもあり、スピーカーも粒ぞろいだ。一例を挙げると、「BUSINESS」カテゴリからは、2008年にMicrosoftを代表して基調講演を務めたJohn Schappert氏が、今回はZyngaのCOOとして、同社が推し進めるフリーミアムを前提としたゲームビジネスの未来について語る。

 また、ファンタジーの母国英国からは、ゲームブックの生みの親であり英ゲーム業界の総帥であるIan Livingstone氏が登壇し、ゲーム産業からダウニングストリート(英国政府)に対して、持続的な成長戦略を伝授する。そして「Visual Art」からは、今年最大規模の期待作であるアクションRPG「Diablo III」のアートテクニックが語られる。開発者は特定のカテゴリに集中して受講するのが普通であるため、各カテゴリに満遍なく基調講演がある今回の形のほうが開発者にとってはありがたいと感じるのかもしれない。

 そのほかの今年の新しい試みとして、基調講演の時間帯に「Flash Forward」が行なわれる。米国の人気テレビドラマ「LOST」で有名になった表現だが、SIGGRAPHなどの他の学術系カンファレンスではお馴染みとなっている、これから行なわれるセッションの内容の一部を動画等で先取りして見せてくれるというものだ。実際にどのような形での紹介となるのかは当日のお楽しみだが、GAME Watchではこれから連日様々なセッションのレポートをお届けしていくのでぜひお楽しみに。


【GDC 2012会場の様子】
GDCの初日と2日目は概論を取り扱うチュートリアルということで、これまでは開発者にはあまり好まれず、この2日間は閑散とすることもあったが、今はモバイル&ソーシャル系の話題に加えて、マネタイズ、ローカライズ、エマージェントの動向といったグローバル展開を指向するメーカーには気になる話題が多いため、非常に人気が高い

(2012年 3月 6日)

[Reported by 中村聖司]