東京ゲームショウ 2011レポート

TGS2011「SCEブースレポート」Vita編・Part.1
PS Vitaの機能を使った各社タイトルを試遊


9月15日~9月18日 開催(15日、16日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ1~8ホール

入場料:前売り1,000円、当日1,200円、小学生以下無料


 ついに開幕した東京ゲームショウ2011。来場者の方々に「今回、1番注目しているのは?」とアンケートを行なったら、恐らく大多数が「PlayStation Vita(PS Vita)」と答えるだろう。それを裏付けるかのように、ビジネスデイ初日という比較的人が少ないはずの15日にもかかわらず、SCEJブースのPS Vitaコーナーは、開場と同時にまたたくまに人で埋め尽くされていった。

 待ち時間はタイトルごとに若干バラつきこそあるが、注目度が高いものは昼過ぎ以降は「混雑のため現在お待ちいただくことができません」となっているものが多く、一般公開日は絶望的な混雑が予想される。ちなみに混雑はプレスも例外ではなく、ゲームにとどまらずTVなど一般媒体もPS Vitaに殺到している。ここでは、初日にかろうじて触ることができたプレイアブルタイトルのインプレッションをお届けする。他出展タイトルは可能な限り順次フォローしていく予定だ。




■ 墨鬼 SUMIONI(アクワイヤ)

 御伽噺(おとぎばなし)風の世界観で戦うベルトスクロールアクション。主人公の赤鬼を操作して、攻め寄せてくる鎧武者や弓兵などの敵キャラを倒していく。

 左アナログパッドで主人公を動かし、□ボタンで剣を振り敵を攻撃。アナログパッド上方向でジャンプ。本作最大の特徴は、タッチパネルを指でなぞった部分に描かれる「墨」ライン。公式には“墨汁アクション”と呼ばれるもので、描いたラインが足場になる。高い位置にあるアイテムをとったり、大型の敵と戦うときに重宝する。ただし、画面左上の体力ゲージ下にある墨ゲージを消費してしまうため、むやみに使うといざというとき困ることになる。墨ゲージは□ボタンで敵を攻撃すると、少しずつ増えていく。

 墨には、Lボタンを押してからラインを引くという、もうひとつの使い方がある。この状態でLボタンを再び押すと、ラインに沿って火炎が発生し敵にダメージを与える。体験プレイでは確認できなかったが、水で墨を消すこともできるようだ。また、墨ゲージがMAXの状態でLボタンを押すと、画面右上にピンク色のアイコンが表示され、これをタッチすると召還された巨大な獣が敵に襲い掛かる。

 開発度は20パーセントながら、快適な操作性と墨汁アクションによるフレキシブルなテイストは存分に味わうことができた。平安時代を想起させる和風のグラフィックも美しく、先々が楽しみなタイトルだ。発売日、価格ともに未定。



(C)2011 ACQUIRE Corp. All Rights Reserved.



■ 忍道2 散華(スパイク)

 死角から不意を突いて敵を葬り去っていくステルスアクション「忍道」シリーズの正統続編。ゲームの舞台は室町後期。一条家が統治する小国「宇高多」を巡り勃発した、隣国の赤目家、新興寺社勢力の阿無璃他(あむりた)による三つ巴の抗争。つかの間の平穏を取り戻した宇高多だが、一条家譜代の謀反に呼応するかのように阿無璃他が再び決起。同じ頃、同胞の裏切りによって忍衆の里「風華」が一夜にして消滅。主人公「火祭のゼン」は、かろうじて一命を取り留めた……。

 体験版は、屋敷のなかにいる悪の親玉を始末するという流れ。プレイして何より驚かされるのが、従来の携帯機とは明らかに一線を画すグラフィックスクオリティ。明瞭かつ落ち着いた色調で、人物はもとより屋敷や草木の1本に至るまで丁寧に描かれている。主人公ゼンの端正な顔立ちもハッキリと見てとれる。

 手裏剣など、アイテムの使い分けは十字ボタンを使用。近くに敵がいると、画面右側に「目」印のアイコンが出現。これをタッチすると、その方向に自動的にカメラが向く。人数、距離、危険度がひとめでわかり、これは非常にありがたい。開発度は80パーセント。12月17日発売予定で、価格は未定。



(C)Spike/ACQUIRE All Rights Reserved.



■ 真かまいたちの夜 11人目の訪問者(チュンソフト)

 音楽、グラフィックスと共に本編ミステリーと複数のサイドストーリーが楽しめる、マルチエンディング・マルチストーリー型のサウンドノベル。

 体験版は、ガールフレンドが巻き込まれたフィギュア紛失事件を解決するという短編ストーリー。半透明のブルーで描かれた人物のシルエットを見ると「あぁ、これぞチュンソフトのサウンドノベル!」という“信頼のブランド”が感じられる。サウンドは申し分なく、文字も読みやすい。基本機能でストレスを感じる人は皆無に等しいのではないだろいうか。

 推理パートでは、ジャイロセンサーとタッチパネルが大活躍。PS Vita本体を動かして室内を見回し、怪しいところをタッチして調べていく。時間が限られていたため早足のプレイとなってしまったが、正式発売のあかつきにはジックリ腰をすえて推理を楽しみたい。12月17日発売予定で、価格は未定。



(C)2011 CHUNSOFT



■ 魔界戦記ディスガイア3 Return

 弊誌でも何度かご紹介している、1,000万時間遊べる史上最凶のシミュレーションRPG。PS3版のダウンロードコンテンツをすべて収録し、PS Vita独自要素を盛り込むなどファン垂涎のパワーアップを遂げている。

 シミュレーションRPGにつき体験プレイはスタート直後を駆け足といったていで終わってしまったが、それでも「なるほど、これがPS Vita版か!」とうならされた。PS3版と遜色ないグラフィックスは言うに及ばず、タッチパネルによる閲覧性の向上が、何よりも素晴らしい。

 タッチパネルを活かしたスライドや拡大・縮小、本体裏面を使った回転などにより、マップの見たい場所や確認したいポイントがすぐわかる。高精細の有機EL液晶により、小さい文字や数字もハッキリ識別できる。シミュレーションに不慣れな人も、これなら楽しくプレイできるのではないだろうか。12月17日発売予定で、価格はカード版が6,090円、ダウンロード版が5,000円。



(C)2008-2011 Nippon Ichi Software, Inc.



■ ダーククエスト(仮称 / ユービーアイソフト)

 闇に落ちた王国を救うべく闇に戦いを挑む、俯瞰視点のアクションRPG。最大4人までのマルチプレイに対応する。

 キャラクターは、接近戦が得意なナイト、素早さと器用さを兼ね備えたローグ、魔法が使えるメイジなど、複数のクラスから好きなものを選択。筆者はシングルで駆け足プレイしてしまったため、ザコの物量攻撃にかなり苦戦。操作性は良く、このあたり本来であればじっくり処理して堅実にレベルを上げていきたいところ。体験プレイでは確認できなかったが、各クラスごとに習得できるスキルや装備品が多数用意されているようだ。

 興味深いのは、キャラクターの周囲をうろつく“妖精”の存在。妖精は右アナログパッドもしくは背面タッチパネルで操作できるが、基本的にはほったらかしで「気が向いたら助けてくれるし、何かを見つけてくれることもある」といった感じ。体験プレイでは積極的に動かすとしばらく何もしてくれなくなるようで、どのように活用できるかは不明瞭だった。このあたり、正式発売後にぜひ確認したいところだ。発売日、価格ともに未定。



(C)2011 Gameloft. All Rights Reserved. Gameloft and the Gameloft logo are trademarks of Gameloftin the US and/or other countries. Published by Ubisoft Entertainment under license from Gameloft.Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or othercountries.



■ MICHAEL JACKSON THE EXPERIENCE HD(仮称 / ユービーアイソフト)

 “キング・オブ。ポップ”こと「マイケル・ジャクソン」のヒット曲を使ったリズムアクションゲーム。ダンスの動きやリズムにあわせて画面をタッチしていく。

 体験版は、難易度にあわせて3曲がプレイ可能。筆者はビギナー向けの「BLACK AND WHITE」を選択。美しいCGで再現されたリアルなマイケルとダンサーたちが登場し、華麗なモーションでプレーヤーの目を楽しませてくれる。曲の途中に表示される矢印の動きにあわせて、タイミングよく画面をタッチ&スライド。曲に聞き入ったり、マイケルの動きに目を奪われていると、画面のインフォメーションを見落とすこともあるので要注意。

 ゲーム以外にも、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオ15曲をHDクオリティで収録。ファンにはたまらない1本といえる。発売日、価格ともに未定。



(C)2011 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Ubisoft and Ubisoft logo are trademarks ofUbisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. (C)2011 Triumph International, Inc. AllRights Reserved. The Michael Jackson name and associated logos are trademarks of TriumphInternational, Inc. in the U.S. and/or other countries.



■ Rayman Origins (仮称 / ユービーアイソフト)

 フランスで人気のアクションゲーム「Rayman」をモチーフにした完全新作。多彩なアクションを生かして、起伏に富んださまざまステージをクリアしていく。

 トゥーン調のグラフィックが特徴で、スピーディかつ滑らかなアニメーションでキャラクタが所狭しと画面内を暴れまわる。スクリーンショットで見るとクセの強いデザインに感じられるかもしれないが、実際に動いている様子は可愛らしく明朗快活そのもの。基本アクションを応用して先に進むパズル的な仕掛けがあちこちに用意されており、コアなアクションゲーマーにも十分訴求する内容となっている。発売日、価格ともに未定。



(C)2011 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. The character of Rayman, Ubisoft and theUbisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.



■ 地獄の軍団(スクウェア・エニックス)

 100体からなるゴブリン軍団を操り、巨大モンスターを殲滅していく軍団アクション。プレーヤーは地獄の軍団の長・魔王となり、強大な魔神の群れを殲滅し、地獄の制覇を目指す。

 プレーヤーの周囲にいる兵士のゴブリンは、ゲームスタート当初だと約30匹。これはゲームを進めていくと少しずつ増えていくようだ。ステージを先に進んでいくと、異形のモンスターが出現。ある程度接近して○ボタンを押すと、ゴブリンたちが健気に立ち向かっていく。当然やられてしまうゴブリンもいるが、それはプレーヤーこと魔王が接近回収すると復活。倒されたモンスターは、たまに肉などのアイテムを落としていくことがある。

 体験プレイの最中はMAX引率で33匹程度だったが、それでも配下のゴブリンたちがちょこまか&ワラワラ動く様子は、見ているだけでなんとなく癒される(?)から不思議。巨大モンスターの一撃で20匹くらいまとめて瞬殺されたときなどは「うちの子に何をするんだ!」といった気分で敵愾心がもりもり上昇。操作自体は極めてシンプルだが、熱中度はかなり高い。12月17日発売予定で、価格は未定。



(C)2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.



■ パワースマッシュ4(セガ)

 簡単操作で誰でも遊べるテニスゲーム「パワースマッシュ4」がPS Vitaに登場。据え置き機と遜色ないリアルなグラフィックスは、見ているだけで惚れ惚れする仕上がり。通信時は最大4人までのマルチプレイに対応する。

 左アナログパッドや右側の各ボタンを使った従来型の操作も可能だが、PS Vita版は「タッチパネル」による操作に注目したい。プレーヤーの移動は、タッチパネルで位置を指定するだけ。打つときは、手前から指でタッチしたまま相手方向にスッとなでる(スラッシュ)など、方向を変えることで球種などをコントロール。直感的な操作だが、ボタンとはまったく異なる感覚だけに慣れるまで少々時間を要したものの。コツをつかむと体感ゲーム的な楽しさはこちらほうが断然上。

 12月17日発売予定で、価格はカード版が5,229円、ダウンロード版が4,700円。



(C)SEGA All trademarks used herein are under license from their respective owners.



■ 王と魔王と7人の姫君たち ~新・王様物語~(コナミデジタルエンタテインメント)

 魔王に奪われた国を取り戻すため、配下の親衛隊と皇女を引き連れ戦いを挑むアクションRPG。体験版は、いきなりボスキャラとのバトルからスタートした。

 タイトルには“7人の姫君”となっているが、体験版で選べるのは3人。それぞれ攻撃、回復、レーザー攻撃といった特徴があり、どれを選ぶかはプレーヤー次第。10人弱の親衛隊のほか、姫君も一緒にボスキャラと戦う。○ボタンを押すことでプレーヤーもボスキャラに攻撃できるが、基本的にはボスの攻撃を回避しつつ死角や隙を狙って親衛隊を突撃させる。無理をさせるとやられてしまうので「危ない!」と思ったときは素直に×ボタンで退却させたほうがいいようだ。

 体験版のボスはなかなか手強く、なんとなくコツをつかんで体力を1/3くらいまで減らせるようになったところで時間切れ。ディフォルメされた味方キャラの可愛らしさに反比例するように、中身はなかなかスパルタンなゲームのようだ。発売日、価格ともに未定。



(C)Konami Digital Entertainment (C)2011 MarvelousAQL Inc.



■ BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT EXTEND(アークシステムワークス)

 アーケードやコンシューマで高い人気を誇る2D対戦格闘+ヴィジュアルノベル。新キャラ「レリウス=クローバー」を加え、総勢19キャラが登場する。

 ストーリーモードは4本の新規シナリオを追加。シリーズ1作目「カラミティトリガー」ストーリーのリファイン版も収録される。ゲームモードは、アーケード版の「UNLIMITEDMARS MODE」、キャラクタを強化しつつ階層都市の深淵を目指す「ABYSS MODE」を追加。ネットワークモードは新ルール「2on2」、「3on3バトル」が追加され、最大6人が参加可能となっている。

 PS Vita版は、PS3とストーリーモードのセーブデータを共有可能。また「BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT」で発売された有料ダウンロードコンテンツがすべて収録された状態で発売される。熱心にやりこんだクチではないが、筆者が見る限りグラフィックスや操作性は据え置き機版とほぼ遜色ないレベルといってよく、非常に気持ちよくプレイできた。12月17日発売予定で、価格は未定。



(C)ARC SYSTEM WORKS



■ 真・三國無双 NEXT(コーエーテクモゲームス)

 一騎当千の爽快感でファンを魅了し続ける無双シリーズ最新作。体験版は王元姫など4キャラクタが選択可能。時間が限られていたため初期ステージをプレイした程度だが、それでもPS Vitaの底力と「無双」シリーズの突き抜けるような爽快感を再確認する、素晴らしい体験だった。

 まず驚かされたのは、据え置き機ばりの美麗なキャラクタが、ある意味「据え置き機以上」のスピード感でサクサク動くこと。従来シリーズをさんざん遊ばせていただいている筆者は「いくら最新ハードといっても携帯機だし、過剰な期待は……」とタカをくくっていたが、実際に触れてみて、その先入観を完全に覆された。画面サイズは限定されるが、そこから伝わってくる疾走感とダイナミズムは、まさしく最新シリーズの「無双」そのものだ。

 画面左下にある緑色のゲージがMAXになった状態で画面にタッチすると、画面内の敵を瞬時に攻撃できる「ダイレクトブレイク」が発動。同様に、専用ゲージMAX状態で背面タッチで、王元姫であれば矢の雨を降らせる新必殺技「神速乱舞」が繰り出される。飛び掛ってくる敵をタッチで倒していくイベント的なシーンや、ジャイロを使った飛び道具攻撃など、PS Vitaらしいさまざまな新要素が追加されている。発売日、価格ともに未定。



(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

(2011年 9月 16日)

[Reported by 豊臣孝和]