Gamania Digital Entertainmentは現地時間の9月9日、現在台湾で開催しているプライベートショウ「2011 Gamania Game Show」において記者発表会を開催し、台湾のアニメーションスタジオSOFA Studio（首映創意）との間で合弁会社Two Tigersを設立し、アニメーション作品「Jade Armor（玉甲）」を共同制作していくことを明らかにした。「Jade Armor（玉甲）」の配信日や配信元は未定。日本展開についても未定としている。

GamaniaとSOFA Studioの合弁会社Two Tigersのロゴ

挨拶を行なう文化建設委員会 主要委員のEmile Sheng氏。異なる産業の2大トップがタッグを組み、ほかをかみ殺してくれることを期待している。もちろん、台湾メーカー以外のと挨拶し、場をわかせた

発表会では短いパイロットフィルムが公開された。四神をモチーフにしたキャラクターが派手なオーバーアクションを繰り広げたり、ビデオカメラをいじっていたり、アンバランスさがおもしろかった

　「Jade Armor（玉甲）」は、台湾が得意とする官民共同事業で、日本の内閣府に相当する行政院の傘下組織である文化建設委員会が総額100億台湾ドル（約270億円）の中から予算を出し、Two Tigersが世界に通用するハイクオリティなアニメーションを制作するというスキーム。GamaniaはRPGの担い手として主にストーリー部分を担当し、実際の制作はSOFA Studioのアニメーターが行なうという形になる見込み。

　台湾は、日本に勝るとも劣らないアニメーション消費国でありながら、世界に発信する力を持ったアニメーションスタジオが存在しない。多くのアニメーションスタジオはアニメCMやその他のクリエイティブの制作、そして日本や北米のスタジオの下請けなどで糊口をしのいでいる状態だ。

　台湾市政府としては、デジタルコンテンツ産業の育成において、ゲームと並んでアニメーションも重要視しており、ここ数年、こうした官民共同事業が相次いでスタートしている。アニメーションスタジオのSOFA Studioとしては、アニメ制作をする上で最良の形が整ったことになる。

　もちろん、Gamaniaとしてもアニメーションの共同制作だけでプロジェクトを終わらせるつもりはなく、ジョン・ウー監督の武侠映画「Raign of Assassins」のゲーム化（ゲームは現在台湾で再開発中）と同じように、マルチプラットフォームでのゲーム展開、グッズ展開も視野に入れて、大々的なワンソースマルチユース戦略をとっていく方針だ。

　肝心の「Jade Armor」のアニメーションの中身は、中国の神話をモチーフに、現代的な要素を取り入れた完全新規のオリジナルCGアニメーションとなっている。作品には伝説の四神、青龍、白虎、朱雀、玄武がかわいいらしい姿形で現われ、シュールなコスプレ的な格好かと思えば、かっこいい機動兵器に変形したりなど、4人の主人公と共に現代社会で刺激的な冒険を展開するという。

　「Jade Armor」は、Gamaniaのアニメーション第1弾「HERO: 108」と同様にグローバル展開が想定されているが、配給先が決まっていないため、何カ国でいつどのように放送されるのかは発表されなかった。ただし、政府が後ろ盾となったことで配給先が決定するのは時間の問題と思われる。なお、「HERO: 108」については台湾および欧米にてカートゥーンネットワークを通じて配信され、第1シーズンの放送は終わり、第2シーズンの制作に取りかかっているという。

　「Jade Armor」の日本展開についてはまったくの未定としているが、今回は日本市場にも親和性が高いアニメーションであり、またその手法そのものも日本のアニメーションの影響を強く受けており、日本展開の可能性は高いと思われる。オンラインゲーム、モバイルゲームなどの展開なども含めて今後進展が楽しみなビッグプロジェクトだ。

【挨拶】
挨拶を行なうSOFA Studio代表取締役社長Vance Yang氏（左）と、Gamania CSOのWilliam Cheng氏。共にビジョンを共有し、世界に通用するアニメーションを展開していきたいと期待を寄せた

【両社の代表作】
上段がGamaniaのアニメーション第1弾「HERO: 108」で、下段がSOFA Studioの「MUMUHUG」

【Gamania Creative Center】
本社訪問レポートでも紹介したGamania Creative Center。ここがGamaniaのアニメーションの総本山となっており、「HERO: 108」のアニメーションやその他パイロットフィルムもここで作られている。今回の協業でも重要な役割を担う部署となる

【「Jade Armor」イメージイラスト】
今回の公式資料はこの2点のイメージイラストのみ。左が青龍で、右が朱雀。台湾らしいユニークな解釈で四神が表現されている

【パイロット版「Jade Armor」】
発表会の最後に短いパイロットフィルムが公開された。まだちょっとどのようなアニメーションになるのか予測がつかない感じだが、日本にはない感性を感じることができた。台湾オリジナルの大型アニメーションとなりそうだ